第20話 収集癖の女 The Woman in the Whirlpool
脚本/Kathy Reichs
Kerry Reichs
監督/Dwight H. Little
【以前のあらすじ】
ジミーがブースの賭博の負債の回収に来てブレナンとクリスティンを
脅す。ブースに問い詰める中、ウソで誤魔化そうとした彼を家から
追い出すブレナン。
【ストーリー】
牧師は信徒を集めてポトマック川の下流の水の貯まり場で洗礼式を
行う。「イエスは言われた。全ての国の人々を弟子として父と子と聖霊
の名によって彼らに洗礼を施せ」と。牧師はテッパーを神のみ言葉を
受け入れて今日を救われる日として選んだのだという。水の中で君が
死ぬ事はないとして牧師はテッパーの顔を川の中に突っ込んで押さえる。
するとテッパーは苦しくて顔を上げると背中にはなんと遺骨を背負う
形でくっついてくる。悪魔だとして一同騒ぎ出す。
マイケルとクリスティンは公園で仲良く遊ぶ。
ブレナンとアンジェラは二人で子供を見ながら会話する。私たちの子
は仲良しねと。ブースと私の仲もああだと良いのに・・とブレナン。
でも家から追いだしたのでしょというアンジェラ。クリスティンが
寂しがっていると。彼は集会に行っているのか?行っているみたいだ
というが・・・ブースの事を話すとお腹の中の赤ちゃんが蹴るという。
アンジェラは何とかなるわとし、問題を抱えているがブースは良い人
だと語る。
ギャビンは依存症の集会を開催・主導する。
「神よ私に帰られないことを受け入れる平静な心を下さい。変えられる
ことを変える勇気を下さい。それを見分ける知恵を下さい。」と。
努力すれば上手く行くとギャビンは依存症者たちに語る。
ギャビンはブースに調子はどうかと問うと新しい部屋にも慣れたという。
次は君も自分の事を話すんだとし向き合うべきことを語る。ブースは
何年もオレの更生支援者をすれば分かるだろうとして努力していると
いう。ブレナンにオレがよくやっていると褒める電話をしてくれという
ブースに対して、生活を修復したければ集会に参加しないといけない
とし、自分の事を話す以外にはないと語る。
遺体が発見されたポトマック川に捜査官たちは集まる。
オーブリーはこんな目立つ場所に遺体を捨てるなんて変だというと、
ホッジンズはここまで遺体を運んだのは母なる自然だという。
上流で遺体を投げたのだろうと。カムはブースはどうしたのかと問うと
オーブリーはボクだけでは信頼出来ないかと告げ集会に行っている
事を語る。カムは純粋に友の心配をしただけだという。
ジェシカは遺体を見て眉間が小さくて眼窩上縁が鋭いので女性。
恥骨結合面から判断して被害者は50歳前半だという。
そこにブースがやってくる。状況を聞かれてカムたちは語る。
被害者の右腕がないこと。背中のギザギザの傷から自ら川に入った
訳では無いという。骨が奇妙な摩耗の仕方をしている
というジェシカ。
研磨機で頭蓋骨を磨いたみたいだというブース。
ジェシカは代謝性疾患の為か、死後に生じた傷か・・ホッジンズは
強い川の流れで遺体が岸壁に押しつけられたかも知れないという。
ホッジンズはノーチラスJr.が腕を見つけに行くとしてカメラ付きの
潜水機を川に入れるが、草に絡まってしまう。川の中にはワインの
ビンやら色んなゴミが多数落ちていた。カムから高価な機材よと
言われてホッジンズは仕方なく潜水して自ら取りに行くとその際に
腕を見つける。
ジェファソニアンのラボ。
カムは回収した遺体を見て変だと語る。腐敗と腐肉の形成の度合いが
一致しないという。ブレナンはポトマック川が汚染されているせいで
毒物も多数含まれているという。ジェシカは骨が摩耗していること。
死後に摩耗しているとし病気が原因ではないというブレナン。
そんなブレナンの元には一度、二度と携帯にブースからの電話が鳴る。
スタッフたちはそれに気がつくがブレナンが電話に出ることはなかった。
ジェシカは私は博士の味方だとして伴侶に愛想を尽かしたら別の伴侶
を見つけようとしても不思議ではないという。いつでもサポートする
というが、サポートしてくれても早々に解決はしないという。
ブレナンは死亡日は?と尋ねると、ホッジンズは水生のトビケラの幼虫
だとして巣作りの進み具合から見て被害者が水中にいたのは4日未満
だという。
アンジェラがやってくると顔が摩耗しているとして復顔は出来なそうだ
という。遺体から製造番号入りのインプラントでも有れば良いがと。
ホッジンズはシャツがあるというと、ボロのポロシャツだがかつては
胸ポケットの上にロゴが縫い付けられていたという。刺繍の縫い目の
点同士を繋げばモノグラムを再現できるかも知れないという。
コンピューターにかけている間にホッジンズはアンジェラに今朝ブレナン
とはどんな話をしたかと問う。ブレナンはブースを恋しがっている
というと、それはブースも同じ気持ちだろうという。戻って来てもらえ
は良いというホッジンズ。しかし
アンジェラはもしも悪党がウチに来てあなたのせいで私とマイケルが
脅されたら私ならあなたを追い出すだけでは済まないという。戦わなきゃ
いけないという。
そんな中コンピューターはポロシャツから人の目には見えないものを
映し出す。トンプソン金物店・レスリーと書かれていた。
アーリントンにある店で経営者はテッド・トンプソンだというアンジェ
ラ。ブレナンはブースは強い絆で結ばれているように見えたとし、
決して引き裂くことが出来ないとホッジンズは語る。
こうなったのは仕事が原因だと思うかと告げ、仕事が俺たちを蝕んで
いるのかと問うとアンジェラはそうかもと語る。
トンプソンに話を聞きに行く。
レスリー・ホドソルは最も優秀な店員だったこと。レスリーを最後に
見たのはいつかと問うオーブリーに金曜日の夜に彼女はいつも通り
レジを締めて帰ったという。恨みを持った人に心当たりは?と問うと
みんなに好かれていたとし、副店長に昇進させようとしたことも
有るが、責任のある仕事はしたくないと断られたという。娘のことに
時間を取られていたとし、名前は確かコートニーで20歳くらいのハズ
だという。親子の仲は良かったが、一度一ヶ月前にレスリーが泣いて
いることが有り、娘と話をしていたという。「行けない理由は言った
でしょ、愛してない訳じゃない」とか言っていたと。
ジェシカは骨を洗浄する。オーブリーがやってくると真実と正義の
為に戦っているスーパーマンと同じで急いでいることを告げる。機関車
よりも早く行ってしまうのかとしてそれではモテないというジェシカ。
カムはオーブリーに何をしているのかと問うと直接会って聞きたい
ので来たのだという。ジェシカは私も映画よりも芝居を見るのが良い
とするとオーブリーも同調する。カムは被害者は毒を盛られていた見た
いで検出されたのは、鉛、カドミウム、ヒ素、クロム、セレン、低レベ
ルのウランの放射線だという。ジェシカはそれだと変だとして長管骨
に骨端線は認められないという。つまり長期にわたって毒を盛られてい
たのかも知れないって事だというカム。オーブリーは身近な人が毒を
持っていたのかとしてブースに伝えると語る。
ブースの元に行くオーブリー。ボクもスクインツもあなたを心配して
いると語る。それよりも容疑者が居ないことを心配しろという。
オーブリーは容疑者がいる事を告げ長期に渡って毒を盛られていた
のでレスリーと数年間身近にいた人だという。20歳の娘が今も同居
しているのかと問うと、今時の子だというオーブリー。しかし母が4日
も福江不明なのに捜索願が出ていないというブース。
コートニーの元に行くブースとオーブリー。
寮に戻るために荷物をまとめていること。お母さんを最後に見たのはいつ
かと尋ねると多分3週間くらい前だという。寮に引っ越しする前だという。
今日逢えるかと思ったけどいなかったと。今朝ポトマック川でお母さん
は遺体として発見されたと語る。質問しても良いかと尋ねると、仲は
良かったのかと問う。良かったと。ケンカしたり反対されたりすること
はと問うとありませんという。私には興味がなかったとし、母は私を愛
してくれたし私も母を愛していたが、でも気にかけていたのはジャー
のことばかりだったと。取り憑かれていたとし、母親の収集品を見せる。
■概要
・ポトマック川で洗礼中の牧師たちが遺体を発見。
・ジェシカは遺体の骨格から50代の女性だという。
・ブースはギャンブル依存症の件で集会に通うがそれでも形だけで
自分のことを告白する気にはなれずにいた。支援者のギャビンは
自分のことを話して受け入れてからが始まりであることを語る。
・遺体の骨の状態は骨が奇妙な摩耗の仕方をしていること。
また腐敗の状態が不自然なことから察して、ポトマック川は毒物で
汚染された川であることを知る。
そんな中、遺体は被害者が着ていた服のロゴをアンジェラのコンピュータ
で解析した結果、トンプソン金物店に勤務するレスリーだと知る。
・娘のコートニー、職場の店長のテッドから話を聞いていく。
■感想
被害者は収集癖があるということで、現在のギャンブル依存症にある
ブースとブレナンの関係になぞられて描かれたようなエピソード。
収集癖の女性・レスリーは20年前に強盗被害に有って脳に損傷を負って
いたので物理的な原因が有るけれど、ブースのギャンブル依存症は
精神的なものに起因しているところが有り、依存症患者の更生が如何に
難しいものなのかということは捜査官であるブース本人も熟知している
ハズなのに、それでも辞められなかったという事実からして相当暗い
闇として存在している気がする。それともブースも戦地で何らかの負傷
をして脳に損傷を負っていたりするのだろうか。
ブースとブレナンの間で何か問題が有った時であるならば、その原因は
ハッキリしている訳だけど、ブースの場合、何かをきっかけにして
アドレナリン放出量が多くなる度にその時の興奮が蘇ってくるとまた
いつでも元の位置に戻りそうな感じ。
ブースの場合、父親の暴力性に対しても自分がいつかそうなるのでは
ないかという不安感も持ち合わせているので、アルコールに飲まれると
また別の問題が有りそうな気がするし、年齢を重ねる度にブースという
人物を構成しているFBI捜査官としてのプライドとスナイパー時代の
名誉なんかも薄れていくので、年を重ねる事に厄介事のようにして
問題が浮上してくる可能性は高い。
唯一の救いはブレナンはブースのことを変わらず愛しているし、
今後もブース以外の人との関係には及ぶような性格ではないという
ところが有るかな。ブースが裏切らなければブレナンがブースから
離れる事はないと思う。そういう意味ではブースって相当罪作りな
ことをしているんだよな。
理論的なブレナンに対してブースの直感的・感覚的性格がたまに衝突
することがあるけど、これまではブレナンの無知さがブースの感覚的
なものに教わることも多かったので、彼女の方から折れることでドラマ
が円滑に進むということをしてきたけれど、ブースの主張が通らなく
なっていくと、その不満はストレスとして上述した方向性を持っていく
リスクはある。如何に身体的なものだけでなく精神的にも強さを持って
いくのか。今後はブース自身にも課せられていく課題かも知れない。
・アンジェラ&ホッジンズ
・例え強い絆が有っても環境は人を蝕む。
仕事がその悪い環境を作っており、この二人は今の環境から次に進む
時ではないかと数話前から考えてフランスの物件を探していたところ
が有る。ただ今回の流れを見てもこの二人の活躍が捜査解決に役立って
いることは明らか。そして冒頭ではアンジェラとブレナンが互いの子供
を公園で遊ばせているので、良い感じでこのまま一緒に子育てして、年を
重ねていくのかなと思うと、もしも別れることになれば寂しいことに
なりそうだ。
・依存症は周りにいる人を破滅させる。
その事情を知ってブレナンの中では今回ジェシカに対して思いやる心
を見せてせめて周りにいる人を大切にしようと考えたみたいだ。
■法人類学的視点
・今回は冒頭から頭蓋骨が研磨機で磨かれたような形跡が有り、奇妙な
摩耗の仕方をしていたので、傷が死亡前、死亡後のものか見分ける
のが難しかった。
・被害者の右手の組織に裂傷があるとカム。それを受けてジェシカが
中手骨を調べる。
・ジェシカは骨の洗浄中に前頭骨と頭頂骨の傷が有ったことに気がつく。
ブレナンは弾丸が頭蓋骨をかすめたハズだという。更に右の鎖骨にも
同じ傷が有るが、どちらも骨修復の状態から20年前のものと判明。
被害者は前頭前皮質の傷のせいで異常な収集癖が有ったことを指摘。
この部分の傷は重要かどうかを判断する力が鈍るという。
・撃たれた傷の中にもかすかな陥没が有り、鈍的外傷だとブレナンは
判断。死亡時の傷だが摩耗のせいで傷のパターンが不明瞭な為に頭蓋骨の
中から調べることに・・。
・ジェシカは頭蓋骨を開けるというブレナンに感動していたが、
その結果内側に放射状の骨折線が見つかる。その傷は2回有った。
一回目は死亡時、二回目は死亡後。
・側頭骨と頭頂骨の骨折線はよの長い曲線になっていたことから凶器は
思い円筒形のものとし、底にはくぼみがあるというジェシカ。
・右の鎖骨の小さな傷を見落としていた。骨修復した銃創のせいで
見落としていたものだがその傷は骨修復していなかった。
鎖骨の傷と頭蓋冠の傷は関係が有るという。鎖骨下動脈を切断した
ことによる死が原因だと判明。傷跡から緑色のガラスの破片・耐久
ガラスが見つかる。炭酸の力に耐えられるシャンパンのビンだとされた。
科学的視点
・ポトマック川が汚染されている為に、毒物によって遺体の腐敗に関
しては不自然な状態だった。
・水生トビケラの幼虫の巣作りの進み具合から被害者の死亡時期を特定
していく。
・カムは被害者から毒を検出。鉛、カドミウム、ヒ素、クロム、セレン、
低レベルのウランの放射線だったけど、被害者の収集癖であるジャー
の古い陶磁器からのものだと判明。
・古い陶磁器には炭酸鉛、クロム酸鉛、バリウム、コバルトがジャー
の釉薬に塗られている。
・カムが「右手の組織に裂傷」->「ジェシカが中手骨調査」->ホッジ
ンズがその流れで微粒子を調べると錆びが検出。
・被害者の肺からグラスファイバーの断熱材。古い屋根裏部屋に籠もら
ないと見つからないものだという。
・川の中に有ったシャンパンのビン。真空金属蒸着装置を使って指紋
を検出。
■解決への道
アンジェラの活躍が大きいところが有った。
冒頭ではシャツの切れ端から被害者を特定していたし、2ヶ月前に被害者
のパソコンからネットでジャーを全て売ろうとしていた形跡が見つかる。
また肺の状態から屋根裏部屋を調べると釘に血痕、錆びも見つかる。
その屋根裏部屋にいたスコットが容疑者として浮上。しかし彼は
シェリルから取り戻して欲しいと頼まれただけで、ベーブル
ースのジャーを盗んだのだという。
フェイスブックを調べるとネットオークションに売り出そうとしていた
のは娘だと判明。その時母親はオークランドのマニアの集まりに参加
していた為。
元々シェリルの家からベーブルースのジャーを盗んだのはテッドだった。
鍵師の免許を持っていること。
テッドは彼女に気が有りジャーをプレゼントしたが彼女は男性に興味
を示さず最後までジャーに気にかけていたのでカッとなってジャー
を壊そうとしたら、彼女がジャーをかばった為にシャンパンのビンが
彼女に当たってしまったというものだった。
■その他
・ジェシカの趣味
みんな彼女の収集癖は何かという話になる。
グレイトフル・デッドのブートレグか、ペッツのディスペンサーなのか
と問うカムとホッジンズの姿が有ったけど、彼女は周期表の元素を
集めているという。化合物や合金ではなく、高純度のもの。
ホッジンズはカスンジウム、テクネシウム、ルビセシウムなど放射性
元素はどう手に入れているのかとしていたけど、ロシアのギャングから
買ったりしているというのは笑えた。
・ジェシカとオーブリー
冒頭からいい雰囲気があった。カムがそれを目の辺りにするけど、
容認していた感じ。まぁ自分もバジリくんとそういう関係だし文句も
言えない。
二人で被害者が殺されたのではないかという屋根裏部屋を調べに行く
際のやりとりは面白かったかな。
「スーパーマンは暗闇が怖いの?」(ジェシカ)
「蜘蛛が怖いんだ。ほう虫がボクにとってのクラプトナイトだ」(オーブ)
「私が守ってあげる」(ジェシカ)
・妙に優しいブレナン
ジェシカが見落とした件で、誰にでも見落としはあるとし完璧はない
フォローし謙虚だと言われたブレナン。でもすぐに私はほぼ完璧だから
と言っちゃうところは流石です。。
「私、失敗しないので」by 大門未知子
10月期から放送のようです(謎)
またジェシカが同情してくれたことに対して、X線でテフネシウムを注射
している画像をプレゼントしていた。テフネシウムは半減期が早いので
本物のサンプルをコレクションに持っておくのは難しい。
■使用された曲
・
■出演者
テンペランス・ブレナン (Emily Deschanel) “ボーンズ”、法人類学者
シーリー・ブース (David Boreanaz) FBI捜査官
アンジェラ・モンテネグロ (Michaela Conlin) 骨格から似顔絵、PC技術
ジャック・ホッジンズ (T.J. Thyne) 知識が豊富、微粒子、昆虫
カミール・サローヤン (Tamara Taylor) スミソニアン責任者、組織検査
ジェームズ・オーブリー (John Boyd) FBI捜査官
ジェシカ・ウォーレン (Laura Spencer) 研修生
クリスティン・ブース (Sunnie Pelant) ブレナンの娘
ギャビン・チャドウィック (Alex Skuby) 依存症の会
コートニー・ホドソル (Taylor Spreitler) 20歳、レスリーの娘
テッド・トンプソン (Michael Cram) トンプソン金物店
シェリル・マクマイケル (Juliette Jeffers) ジャーの販売
スコット・サイモン (Mahryah Shain) レスリーの家にジャーを盗みに入る
— (Rick Overton) Minister
テッパー (Jason Galloway) 神父
— (Wendy Worthington) ウェイトレス
ジミー・コシンスキー (Matt Burns) 胴元、回想シーン
— (Sandra Rosko) Recovering Gambler
— (Mark Casimir Dyniewicz) Gambling Addict
— (Maggie Parto) Sound