第8話 消されたパズルマスター The Puzzler in the Pit
脚本／Nkechi Okoro
監督／Chad Lowe
【ストーリー】
デイジーはラボに居るともうすぐ遺体が到着すると語る。
アンジェラとカムは大きな身重の彼女にお帰りと告げ、生まれたら
すぐに学校に行けそうな程大きいわねと語る。出産の世話をして
くれているドゥーラ/ヴァレンティナによると瞑想すれば2週間は
まだ生まれないと言っていること。スイーツが亡くなって色々大変
だったでしょと語る。ランスも私の復帰を望んでいるとし、私は
元気だと語る。アンジェラはなんだかデイジーが凄く禅っぽい感じだ
とすると、私がマイケル出産の間近の時にはイライラしてマイケル
の部屋の準備をホッジンズにさせたり彼を苛つかせていたと語る。
デイジーはまだ赤ちゃんの部屋は出来ていないが、話さなくても
母は赤ちゃんと意思の疎通が出来るとドゥーラが言っていたので
赤ちゃんに部屋は決めさせるという。カムはデイジーが居なくなる
とアンジェラに対してドゥーラって何者なのと尋ねる。
ブレナンは水圧破砕現場のピットに遺体があるのを反対派が見つけた
とブースに語る。反対派は水圧破砕としてる会社のせいにしていると
いう。推測だけど・・と。会社は焦っているとし遺体が出ずとも
水圧破砕は評判が悪いからだという。最近コロラドで水圧破砕で
地震活動が活発化との関連が見つかったという記事を読んで会社が
FBIに事件の早期解決を望んでいるという。私は科学を彼らのように
いい加減に扱わないというブレナン
そんな中彼女は娘の為のベビー用品を全部集めてデイジーにあげようと
考えていた。スイーツとデイジーの赤ちゃんだとすると、ブースは
学芸会も卒業式もホッケーの試合も全部見たいという。あなたは良い
オジさんになるわと。
そんな中二人に電話が鳴る。ブースはスタークからの電話。ブレナン
はカムから電話。早速出かけようとするが、ブースはこのオモチャだけ
は渡せないと呟く。何に使うのよとブレナン。
恥骨下角が狭いのと、恥骨結合の腹側縁がザラザラしていることから
見て被害者は40歳代男性だというブレナン。デイジーは左の尺骨を
骨折。ギプスしていて他に死因の損傷が見あたらないという。
デイジーに赤ちゃんにあげたいものがあるとして、赤ちゃんグッズを
プレゼントするブレナン。この子も感激しているというデイジー。
するとブレナンはそんな事はあり得ないわとマジメに語る。
骨が多孔質だとし、検視報告書に有った遺体の写真をアップロード
したというカム。一時間前に現場で撮影された写真だが、ブレナン
は別の遺体みたいだという。この写真だと組織は20%くらい多いという
デイジー。こんなに組織が無くなっているのは初めてだという。
ホッジンズは水圧破砕現場のピットから採取してきた水からリトマス
試験紙で調べたらただの水じゃなく塩酸が混ざっている事を語る。
水圧破砕にはそもそも酸を使うのではないかというブレナン。しかし
これよりもっと薄いものを使うというホッジンズ。
遺体に酸が残っているとし溶けたんだというブレナン。遺体には触ら
ないでというカム。酸で遺体が損傷するという。良い考えがあるという
ホッジンズは水圧破砕会社が口を出してきたのはこのせいかもと。社員
が反対派の一人を殺したのかというデイジー。
ホッジンズは遺体に何かを振り掛ける。これは重曹だとすると酸が
溶かすのを防げると語る。
デイジーは重曹のお陰で良い匂いがするという。カムは組織全部損傷
だとして毒物検査をしても何も出ないだろうと。塩酸とエチレングリ
コールとバイオサイドとディーゼル燃料が出るハズだという。ピット
に入っていた、骨は多孔質で表面に不規則に陥没がある所から見て
遺体がピット内に入っていたのは長くないというブレナン。分解のスピ
ードから骨が残っているのが驚きだというデイジー。ギプスの中に
挟まっていた繊維に血が付いているというホッジンズ。DNA検査で身元
が分かるかも知れないというカム。
デイジーはクリスティンのものを譲ってくれたブレナンに感謝を示す。
沢山持って来たが全部使わなくても良いわと語る。どれが好きかは
赤ちゃんが教えてくれるという。あなた乳児のことが分かっていない
というブレナン。ドゥーラは赤ちゃんと心を開けばお互いの心を意思
疎通が出来ると言っていたという。乳児は排泄したり空腹を感じたとき
泣いて意思表示するものだという。服を選んだりしないというブレナン。
ホッジンズはデイジーに大丈夫かと問うと絶好調だという彼女。
被害者の頭蓋骨の広範囲に他の部分と同様の陥没が見られるという
が後頭骨にはないというデイジー。ブレナンが頭蓋骨を見ると、
この部分は骨ではないとし、プラスチックポリマーだという。
昔頭部に損傷を負ったのだろうと。ポリエーテルケトンケトンだろう
というホッジンズ。生体適合性と骨伝導性が高いという。ブレナンは
アメリカでは珍しい手術で国内では2件だけの症例だという。
これで身元が分かるなと。
ブースは現場監督によると施設周辺の本当の防犯カメラは3台だけだ
という。正面入口はカバーしていたが、遺体のピットの映像はないと
いう。現場監督は反対派を殴り告訴されていること。彼にはアリバイ
が有り、入院中の弟を見舞いに言っているし、目撃者は100万人は居る
という。社員に変わりに殺させたのかも知れないというオーブリー。
これを調べて欲しいというブース。50人分くらいの資料だった。
46人だというと、チョロいだろうと語る。
被害者はローレンス・ブルックス。カムは有名なパズル作家だと語る。
彼のクロスワードパズルは沢山の新聞に掲載され、本も出す第一人者
だという。彼は世捨て人のようだったとし、彼のパズルは大好きだという。
超難解なパズルを作るというカムに対して、だから殺されたの?という
アンジェラ。家は現場の近くだという。妻のエミリアは未だに失踪届
を出していないという。
■今回の事件と流れ
・水圧破砕現場のピットから遺体が発見される。
骨から見て男性の遺体だと分かるが、明らかに現場写真と見比べて
見てラボに運ばれて来た時には骨の状態が悪化していることが分かり
水質を調べると、塩酸が混ざっていることが分かる。
・インターンとしてやってくるのは臨月のデイジー。
スイーツを亡くして大変な時期なのに仕事を頑張る彼女だが、出産や
赤ちゃんに対する考え方は少々不自然だということに気がつく。
また出産を間近にしているのにまるで恐怖も焦りも感じていない彼女
は禅における悟りの境地に立っているかのようでも有った。
・被害者は頭部を損傷し、プラスチックポリマー/ポリエーテルケトン
ケトンが損傷した頭蓋骨に使われていることも有って、そこから
身元が判明していく。
・被害者は有名なパズル作家のローレンス・ブルックス。妻・エミリア
は今でもまるで失踪届を出していなかった。
■感想
いよいよデイジーの出産ですね。
BONESではシーズン10の1話と2話に出演した際には、既にいつ出産
してもおかしくない状況だったのでアレだけど、あの”おしゃべり”
デイジーが、この状況に於いて何の取り乱しもなく出産に挑もうと
していることにみんなが心配していたりして、性格を知り尽く
しているなという感じ。そんな彼女を心配する良い職場の雰囲気が
有りますね。
どうもここの所、ジェファソニアンのラボって天才故のムカつく
インターン生が多いので、デイジーが出ると意外とホッとしている
自分が居たりしてね。
被害者がギャンブルサイトに関わっているとした際にも、オーブリー
はブースが除隊後にギャンブル依存症になっている事実を知って、
それをさせないように先回りしている姿が有り、本来の性格設定と
いうものを上手く活かして素直に表現した感じのエピソードだったかな。
今回の監督はChad Loweさんだった。
S10-5でも監督しているし、これまで何度も書いたけど、
Rob Loweの弟で、俳優業は勿論監督業でも活躍している。
BONESでは11作品目の監督エピソードだ。
■捜査
ドラマを見ると色々とエピソードには皮肉が込められている感じがする。
パズルと言えば穴を埋めて完成させるものだけど、元は穴だらけで
有り、それを暗喩するかのようにして、パズルの第一人者の被害者本人
は骨粗鬆症のようにして骨はスカスカで骨折しやすい身体であったし、
今回の事件が起きた現場は、頁岩/堆積岩の層から採取される天然ガス
のシェールガスなどに見る掘削技術の進化と同時に地中がスカスカ
になり、地震が起きやすくなっているとして反対派が出ているけど、
そんな工事を請け負う水圧破砕現場の中で遺体が発見されたというもの
だった。
パズルにまつわり結構ドロドロとした世界が有り、助手のアレクシス
はローレンスからパズルを作らせてもらえず激怒していたみたいだし、
かつてルームメイトだったというドナルドもまた、そんなパズルを
巡ったちょっとした争いが発生していた。
■デイジーのノイローゼ説
デイジーと言えば普段の方があれほど五月蠅いのに、ちょっと特異な
思想を持つと途端に不審な視線を持ってしまう人が多いこと。
アンジェラだって不思議な行動を取っていたことが有るし、ホッジンズ
だってブレナンだって正直、このラボの人は変わった人が多いのだから
そう目くじら立てる程ではないなと思わせる。
デイジーは出産の痛みを減らすという為に水晶を買っていた。
アンジェラはブレナンに対してデイジーはノイローゼではないかと
した際に、「無知でバカバカしいがノイローゼではない」と語っていた。
出産をよく鼻からスイカを出すくらいに痛いと例えられるけど、
アンジェラは、デイジーと言えば歯の治療に全身麻酔を使うくらいに
痛みに弱いとしていただけに、物理的痛み以上にスイーツの死に対する
心の痛みの方を気にしていたのかも知れない。
ブレナンはアンジェラに頼まれたので一応デイジーに話すとは約束。
ラボでの仕事の途中でブレナンはデイジーに対して
「また乳児の発育について馬鹿げた話をしたいの?」
と語る。ただブレナンもすぐに
「あなたを助けようとしているが私の対人スキルはあまり高くない」
として結局不器用だということで、デイジーを傷つけずにこの話題は
スルー出来たのかな。
ホッジンズもデイジーと会話する機会が有り、
「君はニューエイジを信じているの?」と尋ねていた。
「科学には限界がある」として啓蒙していたみたいだけど、
ホッジンズは彼女に
「誰かをまた失うことを恐れて俺たちとキョリを置いて欲しくない」と
語っていた。
■ブレナンの静かなる仕返しなのか
先日のエピソードで、クリスティンの子育て法に対してブースと
ブレナンで意見が割れるシーンが有った。「マヌケ」という言葉に
関して、下品な言葉を使って良いかどうかを巡るものだった。
今回ブース&ブレナンでいつものロイヤルダイナーでのランチの会話の中
で、ブースが言った言葉が元でブレナンがやけに食いついていた。
「頭の悪い人を捜すのね」
「だって(ブースが)どこかのアホかもって言っていた」
「犯人の頭は悪くない」
オーブリーがやってきて容疑者を見つけたかも知れないと語ると
「頭の悪い人?」かとブレナン。
容疑者のエモリーがコンピュータ科学と暗号学の2つの学位
を取得していると聞いて
「頭が良い。アホじゃなくて賢い人よ」
しかし2年前に両親が自動車事故で死んで以降、2度の飲酒運転と迷惑
行為、暴行で捕まっていると聞いた後には
「アホじゃないが情けない男だ」
■究極のパズル
ドラマではパズルを意識するかのようにして、脅迫してきたもの
を探したり、ギプスに書かれた鍵とも言える文字からして何かあるの
ではないかとして筆跡鑑定したり、その鍵から何か無いかを調べる。
まぁ事件そのものがパズルだし、骨のことを調べているだけで
究極のパズルみたいなものだけどね。
しかし結局の所、このエピでの究極のパズルはDNAの謎だった。
被害者に付着していた血痕から、被害者には子供がいないとされていた
けど、結局の所子供がいた。ホモ接合体が同じ。
殺そうという殺意はないけど、遺体遺棄と酸をかけたというのは
マズイ行動だったね。
更にパズルの制作者として、答えが分からなくなるというアルツハイ
マーという症状はある意味皮肉としか言いようがない。
■その他
・オオオッ
デイジーが突然産気づいた時に、時々「オオオッ」っという声を
発する。なんか面白い。
・デイジーをブースの家に預かったらどうか?
スイーツだってこの家に居たんだし、デイジーだってこんなにスイーツ
が尊敬していたブースのことを慕っている。
生まれた子の名前は「シーリー・ランス・ウィック・スイーツ」です。
もうなんだか分からなくなりそうなミドルネームの多さだな(笑)
・看護師が可愛い
Terryn Westbrookさんという方が演じているようで、YOUTUBEなんか
を見ると犬のエサの「Milk-Bone biscuit」というもののCMに出演
されているようで可愛かった。
アメリカらしく出産には麻酔を使う・使わないという話になっていた。
麻酔を使うのは危険だと聞いたことがあるのだけど、日本でも使う
ものなのかな。
■使用された曲
・Waiting for a Girl Like You by Foreigner
■出演者
テンペランス・ブレナン (Emily Deschanel) “ボーンズ”、法人類学者
シーリー・ブース (David Boreanaz) FBI捜査官
アンジェラ・モンテネグロ (Michaela Conlin) 骨格から似顔絵
ジャック・ホッジンズ (T.J. Thyne) 知識が豊富、実家が金持ち
カミール・サローヤン (Tamara Taylor) スミソニアン責任者、”カム”
ジェームズ・オーブリー (John Boyd) FBI捜査官
デイジー・ウィック (Carla Gallo) インターン
エモリー・スチュワート (Sean Marquette) コンピュータ科学、暗号学
アレクシス・シーマン (Alison Haislip) 助手
ヴァレンティナ / ドゥーラ (Mindy Cohn) 禅
エミリア・ブルックス (Debbon Ayer) ローレンスの妻
ドナルド・マッキーオン (Sam Lloyd) ローレンスの大学時代のルームメイト
リッチー・ウィリアムズ (Jack Topalian) オンラインゲーム・ノミ屋
— (Tracey Costello) 医者
— (Terryn Westbrook) 看護師