第5話 Episode #1.5
脚本/Andrew Davies
監督/Tom Harper
原作/Leo Tolstoy
【これまでのストーリー】
アンドレイは妻を亡くして心に深い傷を負う。そんな彼の心を癒したの
はナターシャだった。次第に二人は惹かれ合うが、結婚を望むアンドレイ
に対して父は条件を出す。一年後にも気持ちが変わらねば結婚を許す
というものだった。
【ストーリー】
ナターシャと伯爵夫人はモスクワに引っ越しする中、アンドレイも来て
いるか彼女は期待する。しかし夫人は彼からそう聞いているのかと問うと
ナターシャが一人期待しているだけだった。あまり期待しすぎるない
ことだという夫人。
ナターシャは手紙が届いたのを知り期待するが、そこにはアンドレイが
来ないことが書かれていた。ロストフ伯爵はどうしたのかと問うと、
アンドレイは傷口がまた開いたで医師の指示で安静にして治療しなけれ
ばならないのでモスクワにはまだ来られないという。アンドレイの手紙
には「ご両親によろしく、君を愛している」と言った内容が書かれていた。
逢えないなんてとても辛いとし、モスクワで治療すれば良いのに・・と
ナターシャは感じる。しかしロストフ伯爵は医者の指示には従わないと
いけないとし長旅だって体に触るだろうとして、そんなに気を落とすな
と娘を励ます。私は今すぐに遭いたいのだとし彼の顔を忘れそうだと
語る。
ボルコンスキイ公爵らもモスクワの家に引っ越してくる。
公爵は機嫌が悪く侍従に対して荷物を早く運べと強い語調で語る。
アンドレイの息子・ニコーレンカはマリアに対してここも家なのかと
問うとモスクワのお家よと語る。ブリエンヌはおじいさまは明るい
色に塗り直されるのではないかというが、今のままで十分だという
公爵。それよりもディナーは6時からでそれまで書斎にいるので邪魔は
するなと娘たちに怒鳴る。仕事が沢山有り女、子供には理解出来ない
政治に関する重要な仕事だと語る。しかし公爵はブリエンヌに対して
済まないとして謝罪すると、私の女の愚かさを口にするのはあの女
(マリア)だけであり、お前じゃないと語る。マリアはブリエンヌに
対してよく父親の弱みにつけ込めるわねというと、お陰で父も貴方も
私も世間のもの笑いになると語る。
アンナはボリスを連れてパーティーにやってくる。
アンナはあれがお嬢様だとしてマリアのことを指指し、息子に対して
あの人と仲良くなるのだと語る。しかしボリスは美人じゃないという
と、母はボリスに金よ!と語る。
アンナはボルコンスキイ公爵に「名前の日」に招待してもらったこと
を感謝すると告げる。しかし公爵は挨拶した後、ラストプチン伯爵が
入って来たことでそちらに話にいってしまう。ボリスはモスクワの総督
だとして自分も会話に入りに行こうとするが、母親は今日はお嬢様が
先だと語る。
ボリスはマリアの元にいくと自己紹介し、ようやく逢えたことを喜ぶ
振りをする。モスクワを楽しんでいますかと尋ねるとあまり外に出ない
からというマリア。私が案内するというがマリアは素っ気ない素振り
しか見せなかった。
ディナーの席でボルコンスキイ公爵は戦争に関する持論を語る。
ナポレオンはヨーロッパという船を荒らす海賊のようで野心は底知れず
必ずまた戦争が起きるという。ラストプチンでも増長は陛下が許さない
という。フランスとの戦いは我々がヨーロッパに関わっている限り必ず
失敗するという公爵。それよりも国境を守ることだとし、固めてナポレ
オンが来たら返り撃ちにすれば良いと語る。ビリービンは公爵の意見に
賛同しその通りだと語る。
そんなディナーの中マリアの隣にピエールがやってくる。隣に座って
も良いかと問うと大歓迎だとして来て欲しいと思っていたところだと
いう。ピエールはあの青年(ボリス)は気に入ったと問うと、彼は君に
気に入られようと一生懸命だったよと。彼と結婚する気は無いのか
と問うと誰でも良い気がするというマリアはこの家から出られさえすれ
ばと語る。ピエールは公爵に悪気はないんだよと語る。マリアは
ナターシャ・ロストフってどういう人なのかと尋ねる。アンドレイは
危ない橋を渡っているとし父の意向に逆らうなんてとし、そんな価値
が有る人なのかと問うと、ピエールは僕の口からはなんとも言えないが、
ナターシャみたいな魅力的な子はいないという。僕には何にも変えが
たい価値がという。
ボリスは帰宅する際、母に対して頑張ったが見込みはないと語る。反応が
帰ってこなかったという。ジュリィ・カデーギナはどうかとし、
彼女は僕を好きだしマリアくらい金も有るという。でも他に求婚者が
いるのでしょというと、ジュリィなら落とせるという。彼女はロマンチ
ックな詩が好きで悲劇のヒロイン気取りなんだという。それなら
ジュリィにしなさいと。
ボリスはジュリィの前に哀しい表情で接する。ジュリィもそんな彼に
気がついて哀しい顔をしないでとし気持ちは分かると語る。僕らは繊細
過ぎてこんな世の中には耐えられないというとみんな思いやりがない
と語る。あなたは上手くやっているじゃないと言われると仕方なく
合わせているだけだというボリス。ジュリィはあなたが書いてくれた詩
と絵を気に入っているという。「おおっ素朴な木々、その木陰は我が
悲哀を隠す。ああ曇り空よ、明日は光がさすだろうか」。ジュリィは
きっとさすわよと語る。
ロストフ伯爵夫人にアンナは息子さんはと尋ねる。ボリスはいつもジュ
リィの家に居るとし二人は結婚するみたいだという。ナターシャの昔
の良い人だというロストフに対してナターシャは子供の頃のことだと
いう。アンナ・ミハイロヴナにおめでとうと語る。ホントに良かった
という母はあの子は頑張ってきたという。ナターシャのフィアンセは
どうなのかと問うと長いこと離れて辛いでしょという。あの気難しい
父上だし・・。先日の晩餐会で会ったが頑固な人だったという。妹の
マリアは大人しくて優しい方だという。義理の妹が意地悪だと大変
だけどあの方なら問題は無いという。私なら明日にでも父親と訪問する
わというアンナ。ロストフは夫人にあの公爵が怖いんだとし、先日
ちゃんと兵士を揃えろと怒鳴られたばかりだという。しかしアンドレイ
が戻る前に家族と仲良くなるのは良い事だという。ナターシャも妹と
遭うなんて嫌だとし、お父様も会う前から私を嫌っているという。遭い
たいのは彼だけだとし何故来ないのかと語る。ソーニャは辛抱強く待つ
ことだとし死ぬまで一緒に居られるのだから少しくらい待てるでしょと
語る。
■感想
このドラマ、よく見ると本国では全6話構成なのに、NHKでは8話として
分割しているみたいだね。1話辺りの放送時間の関係なんだろうけど
俳優チェックしているととても難しいことになっているので、
少々更新作業が面倒臭い。
ドラマとしてはロストフ伯爵家がモスクワに移住してきて、いよいよ
アンドレイの実家であるボルコンスキー公爵家と関わり始めた感じが
するけど、時の経過によって懸念すべきことが現れたという感じかな。
ナターシャは良い子なんだけど、ちょっと目移りが激しいところが
有るのね。エレーヌの兄のアナトールから誘われて、当然ながら
断るかと思ったけど、彼女はアンドレイの居ない人生に寂しさ・空虚さ
を覚えたのか、突然アナトールに惹かれ始めた。
ナターシャが冒頭でそんなアンドレイから体調が思わしくないので再会
が延期されると手紙を読んで知ることになるけど、カメラのカットイン
の仕方が手紙を開くナターシャの手を写しているのだけど、意図した
ことではないのかも知れないが、その映像が胸にクローズアップして
しまい、妙になまめかしい角度からナターシャの胸元が映し出されたり
して、ナチュラルに萌えるシーンが有った(笑)
ハイビジョンってそういうところ鮮明に写るのが怖い。画質が悪ければ
まずそういう所に目が逝くことはないし。
驚くべきことは戦争故のことなのか、それぞれの家庭の事情が切羽詰ま
っているからなのか分からないけど、普段は大人しくて仲良かった感じ
の人物が突然嫌な性格になったり、また奇っ怪な行動をしているように
見えるなど、その人となりの潜在的性格が見え隠れしたような感じにも
見える。
アンドレイが居ない間にボルコンスキイ家との関係を深めようとした
けど、ナターシャは彼の父親や妹には嫌われているだろうとして遭う
のを嫌がっていた。
マリアは良い子だけど、アンドレイの父・ボルコンスキイ公爵はなんだ
かこれまでにはないくらいにピリピリしている姿が有ったな。
それ故にアンドレイとの関係は無理だと感じたのだろう。
■ボルコンスキイ公爵
ナポレオンとの交戦が迫っていると感じているのか、彼が妙に苛立ち
マリアに対して悪態をついていた。驚くべきは誰にでも悪態をついて
いるのではなくて、マリアには特に厳しく接していること。一緒に
住んでいる姪のブリエンヌに対しては寧ろ「女の愚かさを口にしたのは
マリアのことだけど君のことではない」とチクチクと語っている姿が
有って、今までそんな姿は無かったよな。
ロストフ伯爵とナターシャが来ているのに聞こえる声で遭わないような
事を口にしている姿が有ったりもするし、こうなるとナターシャが
この家を臆する気持ちも分からないでも無い。。
そんな公爵は自宅で「名前の日」のパーティーに色んな人を招待する
中で、対ナポレオン対策に関して色々と進言している姿が有り、
これまでのロシア軍が階級に拘りろくな指揮系統を持たずにやられて
いたところを見ると、ボルコンスキイ公爵の卓上での論理はどれだけ
正しいのかって感じだよね。
■ボリスとアンナ
ボリスは金持ちの妻捜し。
ロストフ家のニコライも金で失敗した口で大変だけど、ドルベツカヤ
家も状況は同じなのか。ボリスはマリアにターゲットするがまるで
関心を示さず、ジュリィ・カラーギナをターゲットにしようとしていた。
この時代の貴族たちの限界を示すものがあり、限界だと知っても尚
派手なパーティー/社交界に興じている姿を見ると、現実が見えてい
ない所があるんだろうな。こういう特権意識のある人物達のせいで
国って潰れていくんだな。
■ナターシャとマリア
マリアはナターシャに対して素っ気ない態度を取ったことを謝罪して
いたけど、後々彼女の元に来ると、兄が幸せを見つけたようで嬉しい
ことを語る。しかしナターシャとしてはボリスと関係を進めようとして
いたことも有り、その話を聞こうとしなかった。
■ボリスはフリーメイソンに入会したい
エレーヌが夫のピエールに頼んでボリスの入会を求める。
ただしピエールとしては本当に同胞の為になる為の覚悟があるのか
疑問に感じていた。当然ながらボリスにそんな覚悟など存在している
ハズもなく、ただただ金の為に・・って印象しかない。ボリスにしても
アナトールにしてもホントろくな人物が居ないよな。
■アナトールとエレーヌとピエールとアンドレイ
ピエールはアナトールがナターシャを遊びとしかみて居ないことを
知って激怒して詰め寄る姿が有った。
エレーヌに対してはアナトールにはポーランドの妻がいる身である
ことが遊びであることの証拠。そしてそれに手を貸していたのが
「何処までも堕落と邪悪を生み出す女だ」として激怒。
アナトールに対しても詰め寄って、頭をたたき割るとしてピエールは
彼を脅してナターシャからの手紙を取り返して二度とナターシャに
近づくなと語る。そして今度モスクワで見かけたら必ず殺すと語って
いた。この辺はドーロホフとの決闘が効果を発揮しているのかな。
ピエールって弱そうだけど(笑)
そしてピエールとアンドレイ。
ピエールはフリーメイソンに入る際に、バズジェーエフからは
許すことの必要性を説かれたことでエレーヌを許すことにはなった
けど、結局この女は変わらない。
一方アンドレイといえば、スイスに一年間の療養で旅立つときに
ナターシャのことは縛らないことを口にしていたし、その際には自分
の愛情は変わらないようなことを口にしていたのに、なんだか
急に態度を変えた感じ。ソーニャの言うことを聞いていれば
良かったのにね。
アンドレイがピエールに語ったのは・・・
「君は過ちを犯した女でも許してやれる立場の男だ。でも僕は違う。
僕は許せない。許す気も無い。」
■ナターシャとソーニャ、マリアとブリエンヌ
この両者を比較すると楽しいものがあるかな。
ナターシャは目移りが激しい女性でソーニャはニコライに対して一生
その身を捧げる人物。ナターシャのことを思って彼女の行動を監視
しては悪い方向に行かないようにコントロールしていた。
一方マリアとブリエンヌ。
ナターシャとソーニャ同様に姉妹ではないのだけど、一緒に親戚なの
で共にいる。ブリエンヌはどちらかというと本当の娘であるマリア
以上にこの家での存在感を表しているところが有る。
マリアはようやく兄が幸せを見つけたと思ったのに自らの存在・態度
がナターシャを傷つけている事を知る。彼女は社交界が好きではなく
ピエールとも精通しているので、一緒になるならピエールとマリアだ
ったのではないかって気がする。ディナーで隣に座った時にマリア
はピエールにだけは心を開いている気がしたしね。
■ドーロホフ
彼はコーカサスに行った後にペルシャで仕えてシャー兄弟を殺した
のだという。オペラの場で見た彼は格好が目立っていたね。
■使用された曲
・
■出演者
ピエール・ベズーホフ (Paul Dano) 名門貴族ベズーホフ伯爵の息子
アンナ・ミハイロヴァ・ドルベツカヤ (Rebecca Front) ボリスの母
ボリス・ドルベツロイ (Aneurin Barnard) ニコライ兄妹の幼馴染
アンナ・パーヴロヴァ・シュレーラ (Gillian Anderson) 公爵と仲良し
ワシーリィ・クラーギン (Stephen Rea) 伯爵、ピエールの面倒を見るが・・
アナトール・クラーギン (Callum Turner) ピエールの友人。クラーギン公爵の息子
エレーヌ・ベズーホヴァ (Tuppence Middleton) ピエールの妻・クラーギン公爵の娘
アンドレイ・ボルコンスキイ (James Norton) ピエールの親友、公爵家の息子
フェージャ・ドーロホフ (Tom Burke) ピエールの友人。エレーヌと・・
アレクセヴィチ・バズジェーエフ (Ken Stott) フリーメイソン
ブリエンヌ (Olivia Ross) ボルコンスキイ公爵家で預かる娘?独身
マリア・ボルコンスカヤ (Jessie Buckley) アンドレイの妹。ボルコンスキイ公爵の娘
ニコライ・ボルコンスキイ (Jim Broadbent) 公爵
バクシン (David Sibley) ロストフ伯爵の会計士
イルヤ・ロストフ (Adrian Edmondson) 伯爵
ニコライ・ロストフ (Jack Lowden) 長男
ソーニャ・ロストワ (Aisling Loftus) ナターシャのいとこ、ニコライ好き
ペーチャ・ロストフ (Otto Farrant) ニコライの末の弟
ナターシャ・ロストワ (Lily James) ニコライの妹
ナタルヤ・ロストフ (Greta Scacchi) 伯爵夫人、ニコライを見送る
ジュリイ・カラーギナ (Chloe Pirrie) ニコライが仲良くしている夫人
(Philippe Maymat) 医者 Metivier
ナポレオン・ボナパルト (Mathieu Kassovitz) フランス軍
アレクサンドル1世 (Ben Lloyd-Hughes) ロシア皇帝
— (Guillaume Faure) Napoleon’s Adjutant
グリーシュカ (David Quilter) ボルコンスキイの執事
ニコーレンカ (Matthew Stagg) アンドレイの息子
(Nicolas Carpentier) Monsieur Dessales
(Sakalas Uzdavinys) Smolensk Innkeeper
(Oscar Pearce) Lieutenant Colonel
(Andrew Papkov) Elderly Serf
カーチャ (Emily Taaffe) ボルコンスキイ家の使用人
ドロン (Nick Brimble)
— (Edward Dogliani) Angry Peasant
イリン (Harry Lister Smith) Lieutenant Ilyin
ビリービン (Rory Keenan) 社交界でアンナと仲良くする
(Alex Bhat) Helene’s Lover
(Fenella Woolgar) Catiche Kuragina
(Andrew Bicknell) Voronezh Governor
(Candida Gubbins) Voronezh Governor’s Wife
(Emily Lawrance) Voronezh Party Guest
ミハイル・クトゥーゾフ (Brian Cox) ロシア軍の元帥
— (Edgaras Zemaitis) Russian Officer, Borodino
— (Lukas Malinauskas) Soldier, Russian Camp
— (Edgar Bechter) French Officer
— (Dainius Jankauskas) Andrei’s Orderly
カイソロフ (Jolyon Coy)
— (Will Attenborough) Artillery Officer
— (Tom Lorcan) Artillery Soldier
— (Paul Bentall) Colonel, Borodino
— (Marc Arnaud) French Officer
— (Jean-Baptiste Puech) French Officer
— (Yitzchak Averbuch) Borodino Doctor
— (Justas Valinskas) Dressing Station Orderly
(Terence Beesley) General Bennigsen
ドラニャーシャ
マーブラ
ラストプチン伯爵