第2話 失えない味方 Ladies in Waiting
脚本/Daisy Goodwin
監督/Tom Vaughan
【ストーリー】
カンバーランド公爵(Peter Firth)は王の威信が地に落ちる
ことは許されないとして、18歳のヴィクトリア(Jenna Coleman)
が女王になることに懸念を見せる。ヴィクトリアが唯一頼れる
のはメルバーン首相(Rufus Sewell)。ヴィクトリアを自分の意
のままにしようとする母のケント公妃 (Catherine Flemming)と
その側近のジョン・コンロイ(Paul Rhys)。
国民達は新しい王妃に完成を挙げる。
カンバーランドはウェリントン(Peter Bowles)に対して、我が姪
のヴィクトリアの精神状態が気がかりだと語る。政治的判断を
下すには無理が有るという。今でさえメルバーン夫人と揶揄されて
いる女王の子守のようになっていると。
ロバート・ピール (Nigel Lindsay)は女王は健全な状態では
ないのか?と問うと何かと脆い子だという。君主としての重責を
担うのは難しいのだという。ウェリントンは母君のケント公妃
が支えになるしジョン・コンロイという側近が居るのではない
かという。公妃とは共同摂政が必要だというカンバーランド公爵。
ヴィクトリアは謁見の時間、ただ顔を見せて挨拶しただけで
何も言わず部屋に戻ってしまう。一方でケント王妃やジョンは
一人一人と丁寧に挨拶していく。
ヴィクトリアは何かを言うべきだが気の聞いた言葉が出てこない
と語る。そんな相談をしているメルバーンに対して懐中時計を
見るのは三度目だと指摘。議会に提出した奴隷制度廃止法案が
通るか気になっているのだという。もう廃止されているのではない
かというヴィクトリアに対してカリブ海には合法な島がまだある
のだという。トーリー党が我がホイッグ党政権を倒す為に反対
しているのだという。私に出来ることは?というヴィクトリア。
女王が廃止賛成派だと流布すれば有利に働くのではないかと
するが、リベラル派は喜ぶがトーリー党は私の入れ知恵だとして
非難する筈だという。それに女王は奨励や警告は出来るが要求は
出来ないのだという。
ケント公妃がやってくる。
大勢から歓声を受けて嬉しかったと娘に伝える。コンロイは
ケント王妃は皇太后の称号が相応しいのではないかとするが、
ヴィクトリアは亡きパパゆかりの今の称号を変える理由はない
と語る。
市長がやってくる。ジョンはメルバーンにに対して議場に居なく
て良いのかと語る。メルバーンはヴィクトリアに対して抜け出す
事を告げ議場に戻ると伝える。
●議場
大法官(Richard Dixon)はヘイスティングス卿(Julian Finnigan)
の意見を聞く。奴隷制度廃止ならジャマイカ経済は危機に瀕する
という。メルバーンは便宜の為に道徳的原則をないがしろにする
のは間違えていることを語り、文明人であれば誰もが憎む野蛮な
慣習だと告げる。事態はトーリー党とホイッグ党で意見が割れる。
大法官は静粛にと語る。
ケント王妃は娘の元に行き称号のことを告げる。メルバーンに
よって操られているのではないか。しかしヴィクトリアは全部
私の意思であり、ジョンがどう言おうとママを皇太后にする気は
ないという。
厨房では料理人/シェフのフランカテリ(Ferdinand Kingsley)が
突然の厨房の改装作業で女王の誕生日用のケーキが作れないと
して文句をいう。ペンジ(Adrian Schiller)は文句ならばドイツ
人/レーゼン (Daniela Holtz)に言えという。ガスを引くことに
決めたのは彼女だこと。スケレット(Nell Hudson)は陛下のため
に意気込んでいるのでケーキ作りに支障があると言えば変えて
もらえるのではないかという。それを聞いたジェンキンズ
(Eve Myles)はスケレットにたいして何のマネなのかとして
料理人にペコペコするなと叱る。しかし彼は料理人ではなくシェフ
だと告げる。そんな中ブロディー(Tommy Knight)はネズミだと
して捕まえたと語る。
ヘイター(Guy Oliver-Watts)はヴィクトリアの肖像画を描く。
まだ時間がかかるのかという女王。王冠は重いのだとし戴冠式
では鼻まで落ちかけたという。ハリエット(Margaret Clunie)ら
5人の女官たちはその話にそうは見えなかったと励ます。
ハリエットは続けてメルバーンが心配だとし、夫のサザーランド
公爵(Tom Price)もジャマイカ法案を案じているという。反対派
のトーリー党が強硬だと。エマ・ポートマン(Anna Wilson-Jones)
はヴィクトリアの叔父のカンバーランド公がメルバーン政権を
倒そうと躍起になっていること。しかし少し前のメルバーン
なら無抵抗だったし、いつも首相なんてウンザリだと言っていた
のだというハリエット。
議場では採決が行われようとしていた。
ジャマイカ法案に対して賛成派は右、反対派は左へと語る。
ペンジはネズミを捕るブロディーに良い案があるのでネズミは
捕まえるなと語る。ガスのお陰で見ずにいたものが照らし出され
たとしてレーゼンに語る。ネズミ駆除業者(Dan Carey)を雇って
も良いかと許可かをもらう。
■感想
イマイチ面白味が足りないというか、悪人の政策が目立ち、
逆にヴィクトリアたちがそれに対する反対的立場から反撃する
ような行動が面白く見えないところが物足りないのかな。
確かにヴィクトリアはまだまだ経験不足で心細いスタートとしか
言いようがないけど、助けてくれる人が皆無で、しかも特別な
策があるとも思えない。
唯一手放してはいけないと感じているのがメルバーン首相で、
彼が政治・政権の為に活動して忙しくしているにも関わらず
ヴィクトリアの相手もしていかねばならない。
ホイッグ党で指示している奴隷制度廃止法案は通ることが出来た。
しかしそれでもホイッグ党政権の維持は難しく、トーリー党は
弱った相手にトドメを刺すまで攻撃を緩めようとはしない。
そんな政治的駆け引きに於いては1話の時点からメルバーンは
疲れて首相を辞任は政権交代しようと考えているところが有った。
弱っている状況の中でヴィクトリアとしては何かしたいけど、
女王は基本的に政治には不偏不党の常に公正中立さを求めている。
日本の組閣でも同様だけど、結局バランスが大事だ。
■宮廷内のつばぜり合い
今の所ペンジが相当腐った感じの存在として宮廷を任された
無知なレーゼンを引っかけ回している。
ガス灯にしたことで慣れないことをしたが為に見たくないもの
まで照らし出されるというのは皮肉だ。
宮廷の厨房はそもそもネズミの住み処となっていて、駆除業者
無しでは何も出来ない。
ガスの使い方を忘れて灯に光を灯した際に怪我してしまう
ジェンキンズ。
宮廷内のスタッフだけでも十分に退治は可能なのに、駆除業者
を雇うフリして、ネズミ嫌いのヴィクトリアの誕生日の祝賀会
の場でネズミを登場させ「サプラ~イズ」を起こす。
■ヴィクトリアの重責を強調する
重責故にストレスからヴィクトリアが精神に異常を来している
ということを流布しようとしているのが叔父のカンバーランド
だ。
その為に今回は彼女の嫌いなネズミを出してみんなの前で必要
以上に動揺させるという姿を見せては、情緒不安定だという
ことに拍車を掛けようとしている。
微妙な立場を見せているのがウェリントン卿だ。
この人はメルバーンとは対立的立場でトーリー党でカンバーランド
の味方でもあるのだけど、メルバーンと同様に汚い手を使って
政治を動かすことを嫌っている。
「政治は法に則って選ばないといけない。私は会議手は。この
国の法律は信奉している。陛下への忠誠心ですら覆すことは
出来ない」
「君主と議会の申請な関係は冒してはならない。陛下にも
守っていかないと」(メルバーン談)
取りあえずトーリー党で若手のロバート・ピールが首相として
やり玉に挙がるが、この人は逆に女性の扱いを知らなすぎて、
どうにも人徳というかカリスマ性が足りない。
ピールは不偏不党を理由に、現在女王周りに居る4人の女官は
全てがホイッグ党の閣僚夫人であるのでトーリー党の繋がりの
あるものに入れ替えて欲しいという主張をしてくる。
■こんな時に手をさしのべてくるもの
母親がまたこんな時にヴィクトリアのことを心配しているとし
つつ二言目には皇太后だの摂政だのと話を切り出してくる。
一番味方して欲しいところなのに、母親もまたジョンに操られて
いるという自覚がまるで無し。母親も世間もヴィクトリアが無知
故にメルバーン首相によって操られていると考えているので、
その考えを覆すためには女王自らが本来政治・政権を動かせる
程の資質を備えていて自立・独立的立場であることを誇示しなけ
ればならない筈。
メルバーン首相は何処まで関わってくるかは分からないが、
やはりその後は夫の助けが必要だという考えを持っている。
今のままだとまるでメルバーンを好きになっていきそうな勢いが
する訳だけど、やはり新しい人物が必要だね。
■ジョンとカンバーランドは手を握る
組閣するには議会の信任と共に君主の意向も無視出来ない要素。
カンバーランドはヴィクトリアの乱心を理由にして共同摂政を
置きイギリス王室側の人間を共同摂政に置いた方が説得力が出る
という。ここに来て出てくるのはやはりドイツ系のルーツを
組む流れがあるヴィクトリアやケント公妃らの流れが不利なもの
に使われないかどうかということか。
■使用人を掌握出来ないレーゼン
これが今の所気がかりですな。
レーゼンは色々と節約のために努力しようとしているけど、
やはり内情を知るペンジらが邪魔をする。結局最後にはまた
ガス灯を変えようということになるけど、なんだかこの辺は
心細いところ。
使用人の中でも宮廷シェフのフランカテリとマダム・フレッチャー
の館で見かけたとするスケレットの件がどう関係してくるのか。
それぞれが自己の欲求の為ばかりに動いて、王妃の為に動きたい
と思っている人が少なすぎる。尊敬をこれ程集めていない人が
本当に信頼感を得る程に成長していくのだろうか?
「私は毎日真価を問われている。味方が必要です」
■その他
・聖クリュソストモス
・「蛇の牙より突き刺さるのは恩知らずの子供」(“リア王”)
■使用された曲
・Good Save the Queen
■出演者
アレクサンドリーナ・ヴィクトリア …… ハノーバー朝の第6代女王
カンバーランド公爵 …… ジョージ国王の弟
ウェリントン公爵 …… トーリー党、年を取りすぎ
Sirロバート・ピール …… 新しい首相候補
LORD メルバーン …… イギリスの首相
ケント公妃 …… ヴィクトリアの母、ドイツ人
Sirジョン・コンロイ …… ケント公妃の側近
…… サザーランド公爵
LORD ポートマン …… 植民地省の次官レベル
LADY エマ・ポートマン …… 顔が広い夫人
…… 大法官
LOAD ヘースティングス …… 大法官で反対する
Mrs.ジェンキンズ …… 使用人、手袋横流し
ペンジ …… 王宮の使用人長
フランカテリ …… 宮廷シェフ
スケレット …… 王宮の衣装係
Sirジェームズ・ヘイター …… 肖像画を描く
ブロディー …… 王宮の使用人
ハリエット …… サザーランド公爵夫人
ルイーゼ・レーゼン …… 家庭教師から
…… ネズミ捕獲人
…… メルバーンの執事
カンバーランド公妃 …… 妻
LORD アルフレッド・ペゲット ……
Sirジェームズ・クラーク …… 医者
…… 酔っぱらい
コーブルグの公爵 ……