May 6, 2007
第4話 ロックンロール Devil Music
脚本/ Kate Purdy 監督/Chris Fisher
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1953年4月13血、バレンタインが経営するバラエティーストア
には、ウィッシングスターズのレコーディング姿を見る為に
女性客たちが集まっていた。
ストアの経営者のエドはベティと浮気し、そろそろ化粧品売り
場にいこうと誘う。JPは録音スタジオから出てくるとようやく
出来たことを父・エドに語ると、ジュークボックスの中に
入れておけばママ・ジュリアナが喜ぶだろうと語る。
ミランダは彼氏のビンゴが歌詞をノートに書いていることを
知ってみせて欲しいというが、恥ずかしいという理由で見せよう
とはしなかった。
ルークはビンゴやミランダのことをバカにしていた。
しかしビンゴは「愛と音楽が大切だ」として全く気にしないこと
を告げる。そんな中ビンゴが殺害される。1953年6月のことだった。
その年には、「ブラウン対教育委員会の再審問」の記事が世間を
賑わせていた。
2007年、「ブラウン裁判再考か?」という記事が掲載される。
リリーはスコッティに対して内務監査との第二ラウンドはどうか
と問うと状況はよくない事を告げ、バレルの件を誰かがチク
ったという。
そこにミラーがやってくると、くじ引きをひいて誰か証人室
のジャンキーから話を聞いてくれという。54年前の殺人を見た
と言ってきているのだという。
不機嫌なスコッティが自らジャンキーのロイドから話を聞く。
ロイドは実際には殺人を見た訳では無いが、1953年に大量の
血を現場で見ているのだという。あの日両親がケンカしていた
ので内緒に外に出てボールを投げていたが、そのボールが
裏路地に転がっていったとし、バレンタインのバラエティース
トアの裏だったという。
ロイドは昔を思い出す・・・財布の持ち主はビンゴで、血の付
いた財布を拾った2、3日後に殺されたことを聞いたのだという。
しかし死体が出たのはポイントブリーズのブルースクラブの裏。
サイフはシャーマンタウンに落ちていたものだという。当時は
白人地区だったこと。自分はその時夢だと思い込むことに
したのだとし、ずっと持っていたサイフをスコッティに差し出す。
自分は後2、3年で目が見えなくなるので、今のウチに見た事を
話して役に立ちたいのだという。
スコッティ、スティルマン、リリーは倉庫に行くと当時の資料
を見に行く。
ビンゴ・ゾーハー(当時19歳)。サウス20丁目ブルースクラブで
撃ち殺されていた。参考人はみんな黒人だった。当時被害者が
着ていた服には謎のシミが付着していたこと。勤め先で殺されて
いたものなのか。彼は両親を交通事故で失った為に、故郷の
ブランディワインからフィラデルフィアに来たばかりだった
という。バレンタイン家に身を寄せていたこと。叔父のエドに
そのエドの妻・ジュリアナ、従兄弟のJP、そしてミランダという
彼女がいて、一緒に写る写真が資料箱に入って居た。
写真の後ろに写っているレミーティングスタジオは、当時の
バラエティストアにはつきものだったという。その日は
アーサー・ブラウン(通称”エイセス”)とビンゴは同じ夜勤シフト
になっているという。彼はサウス22丁目に住んでいることから
遺体が見つかった現場の近くだった。取りあえずシミの正体を
調べて、バラエティストアで銃弾を見つけようという。
現在ストアを経営している男は、バラエティストアが経営して
いたのは27年前までのことで、50年前の弾なんて見つかる
ハズがないという。壁には塗ったばかりで、床材にはマレーシア
から輸入した竹が使用されていること。余所で捜査してくれと
いう店主にヴェラはもしも捜査妨害をすればブッタの教えが
通用しない連中の元にぶちこむと語る。カルマがあなたにまとわり
つくと警告する。
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突然ジャンキーの老人が殺人課で54年前の1953年に見た殺人
事件について話したいことがあるという。実際に遺体こそ
見ていないが現場の状況からすると人が亡くなっている
であろうこと。そしてそれが当時殺害され発見された
ビンゴだというのである。しかし自分が拾った血の付いた財布
の場所とはまるで違う場所で遺体が発見されたことを告げる。
当時被害者が着ていた服に染みが付いていることから分析に
回すと、それはニトロセルロースだと判明し、自動車の
塗装などに使われるものだとされるが・・・
今回は50年代が舞台。
それぞれの世代の持つ価値感を守ろうとする保守派と、変化を求め
る新世代の急進派の対立がもっとも割れた時代というのが背景
にあったのかな。
途中でジュリアナがミラーやリリーたちに呼び出される中で語って
いたけど、「私たちの時代は戦争や大恐慌を乗り越えてきたので
安定や品位を求めていた。」ということで、その価値感を揺るがそう
とするものたちを排除しようとして起こした殺人事件なのだろう
という感じのエピソードだった。
こういう時代のネタだとやはりジェフリーズとスティルマン
の出番だなって感じ。
以前にも同様に黒人差別の問題でジェフリーズが差別で苦労を語る
シーンが有ったけど、その主張はスコッティの仲間に対する
不信感の言動によってかき消されてしまった感じもする。
もうスコッティの問題は解決したと思っていたけど、寧ろ彼の中で
は、キャリアを失う事への恐怖故に我を失い感情的になる姿が有った。
今回のドラマではそんなキャリア、地位を失うことへの現代的
価値感を織り交ぜつつ、50年代に存在した同様の恐怖心を交えて
描いたものが有ったのだろう。
アメリカの中でも地域差は有るのだろうけど、50年代辺りの時代を
描くとどうしても黒人と白人の差別の問題が絡んでくる。
今尚差別問題に関しては完全に取り除かれた訳ではないけど、少なく
とも余程のことがない限りはここまで酷くはない。
時代を彩る象徴的な音楽がふんだんに盛り込まれている中で、
夢や希望、自由などを求める歌詞をメインとしたミュージック
シーンが、リズムやポップ、ノリの良さに象徴されるものへと
転換された時代背景も有るのだろうね。
ロックやブルースなどの黒人が聞く音楽のことを「悪魔の
音楽」だとする流れが有るが、日本では人種差別的意味
合いで使われることはなく、寧ろ世代間の葛藤を通して
「若者を堕落させる音楽」だとされていたことは有るのかな。
被害者は先見の明を持つだけでなく、自分自身が歌の才能
に溢れていたという辺りの事情から派生した嫉妬心が問題の根幹
にあるのかどうか。
一見するとビンゴを殺害したのはこの家の主人のエドだろうと
思う所も有ったけど、現代の世界ではもう亡くなっている人なので、
ドラマ的には現存する人物の中に犯人が含まれているのだろうな
とは思っていた。
一人の若者を殺害しておいて、54年間をのうのうと過ごしてきた
犯人の姿が実に憎らしい感じがする。
54年の歳月を考えると当時の物証を探すのは難しいと思っていた
けど、時代を象徴していたレコーディングスタジオがそのまんま
事実を覆い隠さんとばかりに原形を留めているところがある意味
凄かったけど、アメリカの建造物ってこういうことよく有るよね。
アリバイの証言もまた重要なものが有り、気が付くと当時のことで
本当のことを語る人が殆どいないところを見ると、あまりに凄惨
な時代性でも有ったのかな。
■使用された曲
・Dimples and Cherry Cheeks by Tex Beneke
・Can’t Help Falling In Love by Elvis Presley
・Bloodshot Eyes by Wynonie Harris
・Sixty Minute Man by Billy Ward & The Dominoes
・Noodlin’ Rag by Perry Como & The Fontane Sisters
リリー・ラッシュ (Kathryn Morris) 殺人課の刑事
スコッティ・ヴァレンズ (Danny Pino) 殺人課
ジョン・スティルマン (John Finn) リリーの上司
ニック・ヴェラ (Jeremy Ratchford) リリーの同僚刑事
ウィル・ジェフリーズ (Thom Barry) リリーの同僚刑事
キャット・ミラー (Tracie Thoms) 麻薬課刑事 s3#8から
2007年
ジュリアナ・バレンタイン (Diana Douglas) エドの元妻
ミランダ・アリソン (Jennifer Rhodes) ビンゴの元彼女
JP・バレンタイン (Peter White) エドの息子
アーサー・ブラウン (Cal Gibson) “エーセス”、ジャズバー経営
ロイド・ジョーダン (James Otis) ジャンキー、54年前の殺人目撃
— (Denetria Champ) Blues Singer
— (Kevin T. McCarthy) Store Owner
— (Taylor Nash) Prettiest Girl
— (Barry O’Neil) Wishing Star
— (Robert J. Steinmiller Jr.) Wishing Star
— (Aisha Jamila Francis) Dancer
1953年
ビンゴ・ゾーハー (James Snyder) 被害者
ジュリアナ・バレンタイン (Danielle Bisutti)
アーサー・ブラウン (Brandon Scott) “エーセス”、バラエティストア従業員
JP・バレンタイン (Grant Alan Ouzts) エドの息子
ミランダ・アリソン (Alexis Wolfe) ビンゴの彼女・メガネ
ルーク・ハートメア (Judd Fish) ウィッシングスターズメンバー
ロイド・ジョーダン (Caon Mortenson)
エド・バレンタイン (Wiley M. Pickett) 父親
ベティ (Deborah Rombaut) エドと浮気していた化粧品売り場の女