May 6, 2007
第3話 儀式 Running Around
脚本/Jennifer Johnson 監督/Holly Dale
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2006年7月21日。
サラとアンナは仲のいい姉妹。
母・ミリアムはアンナに対して無理に行かなくても良いとし、
ここでラムスプリンガを迎えても良い事を語る。しかし母さん
はずっとここに居るので海を見た事がないでしょと告げると、
今日は私の16歳の誕生日だとして、出かける事を語る。
ミリアムはこれは畑の土だとして故郷を忘れない様に持って
いくよう告げる。サラは姉のアンナに毎日手紙を送って様子
を知らせてねと語る。
親友のレイチェルもアンナと一緒にラムスプリンガを迎えて
いたが、なんとフィラデルフィアでそれを行うと知って、
大都会だとしてレイチェルは憶する姿が有った。
「この女性を知りませんか」とするチラシが配られる中、
身元不明遺体・ジェーン・ドーとしてアンナの遺体が発見され
る。2006年9月のことだった。
2007年。
ヴェラはようやくオフィスにガラスが入ったと告げると、リリー
は5ヶ月経ってようやくだと語る。リリーは先週内務監査が
スコッティを聴取していたのだという。
そんなスコッティやリリーたちの元に、サラ・グンデンがやっ
てくる。姉が昨年失踪した事を告げると、リリーはここは部署が
違う事を語る。しかしサラは話を止めずに姉からは毎日手紙が
来ていたが急に途絶えたのだという。私は今日からアーミッシュ
の成人の儀式・16歳になるのだとし、自由が与えられた事を語る。
近代的な暮らしを経験してその後の生き方を決めるのだという。
ヴェラは帰るのを辞めただけではないのかと問うが、それならば
私には手紙で知らせるハズで絶対に変だという。
最後に届いた手紙は2006年8月20日・ケンジントンからのもの
だった。アンナには骨折や虫歯などはあるのかと問うと、
奥歯が一本ない事を告げ、アーミッシュでは近代機器を使わない
ので虫歯は抜いてしまうものだという。自分の住所はヴァーク
ラーズだとし、連絡をくれればその近くの雑貨屋が私の元に
呼び出してくれるのだという。のろしでもあげるのか?とヴェラ
は皮肉るが・・姉のことがなければ私は、ラムスプリンガで
フィラデルフィアにも来る事はなかったという。
スコッティとスティルマンは内務監査の件で会話する。
調査員はクリフ・バレルの件を知っていた事を告げ、何で調査員
はそんなことまで知っているのかとして、スティルマンが密告
したのではないかと疑う。しかしミッチ・ハサウェイがバレルを
殺そうとしたのはお前との電話のせいであり、そんなことは
署員の誰でも察しが付いていることだと語る。お前は何を被害者
ぶっているのかとスティルマンに言われ、スコッティが調べられ
ているのは自業自得のことだと語る。
ミラー、ジェフリーズ、スコッティは倉庫に足を運ぶと未解決
事件に関して、アンナに該当する人物がいないかを探す。
フィラデルフィアって兄弟愛の町なのに、こんなにも事件が
起きていると驚くミラー。年間の殺人は406件だという。
ジェフリーズは死亡推定時期は昨年の8月10日から9月10日の
ものだとすると、これではないかという。アパートの解体中に
地下室で遺体が見つかったものだった。ケンジントンのエメラルド
ストリート。被害者はかかとの皮膚が剥離しカーペットの繊維
が付着していると有った。スコッティは引きずられた跡だろうと。
凶器は刃渡り13cmのノコギリ刃のナイフで、レイプ痕はなく、
アルコールやドラッグも検出されていないという。
しかしアーミッシュの女の子がケンジントンの廃屋で何をしていた
のか。金が尽きて体でも売っていたというのか。手紙には手がかり
は有るのか?と問うとミラーは普通のティーンエイジャーが書きそう
なことだという。スコッティは新しい環境に適応するのは大変
なことだとして、父親は15歳でキューバから移民してきたこと
を話す。ジェフリーズはこの写真にアーミッシュの服を合成して
見せたらどうかという。しかし誰がアーミッシュの村のあるラン
カスターにいくのかと問うと、よそ者を嫌う村故にみんな抵抗
が有った。結局ヴェラとリリーがいくことになる。
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一年前にアーミッシュの成人の儀式でもあるラムシュプリング
の為に村を出たアンナという女性が連絡を絶つ。
身元不明遺体とされていたが、2007年になり妹のサラが16歳に
なりラムシュプリングの為にフィラデルフィアに出てきた際に
姉が行方不明である事を告げ捜査を依頼する。
アーミッシュネタは何度もホームページの方で取り上げた
気がする。ラムシュプリングの失踪事件に関しても、
「BONES」のS5-3でそういう遺体・事件を扱っているし、
「LAW & ORDER」、「グレイズ・アナトミー」「クリミナル・
マインド」「DR.HOUSE」などでも大抵一度くらいはアーミッシュの
人間が関わり合いを持つ案件が出てくるね。
なんと言ってもアーミッシュネタでは映画「刑事ジョンブック/目撃者」
は外せないものかなと思うし、初めてそういう主義・主張を
貫く共同体があるのを知ったのもこの映画かもしれない。
http://itawind.web.fc2.com/movie2/keijijohnbook.htm
色々と小ネタの詰まったエピソードだった。
ここのところ、このドラマは相棒が固定されずに、捜査に
行きたい者が行くみたいなところがあるね。
アーミッシュの村を訪れたのはリリーとヴェラのコンビ。
最初はヴェラは文明を否定してこの主義を貫くものたちを
軽視している態度を示していたけど、電化製品のない静寂な村の心地よさ
を知り、木工細工を作る姿を見て妙にハマっている姿があり
ヴェラの中の意外な一面を見た気がする。
そんなヴェラに木工細工をさせるのが、ヴェラとそっくりの
体型の人物であり、ヴェラのルーツがここにあるんじゃないのか
って感じのエピソードだった。
スコッティのスティルマンの内務調査の件ではもう少し遺恨を
残す形でドラマが進むのかな思っていたけど、スティルマンが
スコッティのしでかしたことなど誰でも知っていると一蹴したことで
その辺の蟠りを一掃される所は流石だった。
問題はリリーだけど、彼女もガンコで思い込みが激しいので
カウセリングなかなか素直に受け入れられない所が有るのは
実に厄介なところ。彼女の場合、問題の根っこは
この一件でなく、更に過去に遡るものが有る気がするしね。
「BONES」でもスイーツが受け入れられるまでは相当時間がかかった
こともあるし、この辺はじっくりと根気よく行くしかないのかも。
さて事件は一年前の事だと言うこともあり、俳優さんが
現在と過去で使い回しできる(笑)ということでドラマ製作の
経費の削減にも大いに役立つエピソード。
誰だってアンナのように無鉄砲なまでに新しい世界に挑戦
してみたいとする気持ちを持つ時代があるの有るだろうし、
それでも自分の生まれ育った故郷を捨てることへの抵抗感は感じる
ハズ。それと同時にそれなくして人間はアイデンティティを確立で
きないものなんだろうね。
如何に自分がいた世界が小さく、狭い価値感の中で生きていたのか。
しかし全く違った世界に身を投げ出して初めて居場所を失ってみて、
これまでの世界が如何に安全で幸せに満ちたものだったのか
ということを実感するものも多い。
幸せを装いつつも実際には空虚な人生を歩んでいるとする若くして
失敗談的エピソードが多かったのでちょっぴり切なくなった。
アンナが大都会フィラデルフィアに出てきた際に流れる
曲が、「アグリー・ベティ」の主題歌でもあった
K.T. TunstallのSuddenly I Seeでも有ったので、なんとなく
ノリノリな感じがした。つい最近までこの曲、音楽プレイヤー
でお気に入りリストの常連だったけど、ホント都会に出てきたーって
感じがして良い曲だな。
母が娘に夢を託すということはあるけど、まさかあんな形で
支援に来るとは思わなかった。
大きな海を初めて見たアーミッシュの子たちはその広大さを
目にして何を感じたのか。
かの有名な名作ゲーム「ドラゴンクエスト」で、主人公たちが
船を手に入れると途端にゲームとしての自由度が高くなり
プレイヤーたちはストーリーの道しるべを失う瞬間があるとして、
作者の堀井雄二さんがそのことに言及していたことがあったけど、
自由の本質とは一体何なのかというところに触れるものが有り、
若者が求める自由などたかが知れているような感じがする。
今の時代早熟だとされているけど、16歳という年齢はそういう
限定された土地で育ったものにはより未成熟さというものを感じる
気がする。
ドラッグ使用に関して誰も止める事が出来ず示唆する人が周りに
いないことで、結局堕落してしまい、殺人にまで及んでしまうもの
が有った。
サラ役のShailene Woodleyが可愛らしかったですね。
「The O.C.」でシーズン当初の頃のメリッサの妹ケイトリン・
クーパー役だった。彼女が活躍する頃には俳優さんがWilla Holland
に変わっていたけどね。
そういえばスコッティの父ってキューバ系なのね。
容疑者を説得する際に1959年のカストロ政権の時に逆らえば死刑
だということでアメリカに逃げてきた事を語っていた。
「何人もアメリカに住んでも故郷とは言えない。」
「新年の挨拶は、エラニオ ケ ヴィエンネン クーバ(来年はキューバで)」
と毎年語っているという。
そして被害者の親友が妊娠を知った際にリリーは妊娠したのが
2006年8月であり、出産まで何ヶ月かかるの?40週?とジェフリーズに
尋ねる辺りがまたリリーの性格を表している感じがした。
ミラーとスコッティがヴィンスを取り調べる際にミラーが・・・
「またぁぁ~わざとらしい」とヴィンスの言葉に反応するシーンが
何気に笑える。
■使用された曲
・Unwritten
Performed by Natasha Bedingfield
・Suddenly I See
Performed by K.T. Tunstall
・3rd Period: New Friend Request
Performed by Gym Class Heroes
・Stars and Boulevards
Performed by Augustana
・Sing, Theresa Says
Performed by Greg Laswell
・Other Side of the World
Performed by K.T. Tunstall
・Breakaway
Performed by Kelly Clarkson
リリー・ラッシュ (Kathryn Morris) 殺人課の刑事
スコッティ・ヴァレンズ (Danny Pino) 殺人課
ジョン・スティルマン (John Finn) リリーの上司
ニック・ヴェラ (Jeremy Ratchford) リリーの同僚刑事
ウィル・ジェフリーズ (Thom Barry) リリーの同僚刑事
キャット・ミラー (Tracie Thoms) 麻薬課刑事 s3#8から
2007年
レイチェル・ワグラー (Ashlee Gillespie) アーミッシュ、アンナの親友
ミリアム・グンデン (Robyn Lively) アンナの母
ジェイコブ・ビーシー (Christopher Shand) 元アーミッシュ、追放
ヴィンス・パトリエリ (Sean Wing) フィラデルフィアに居る人間嫌い
サラ・グンデン (Shailene Woodley) アンナの妹
Dr.ペニー・ダヴォレン (Patricia Bethune) カウンセラー、娘・ジェシカ
— (Sean Andrew) Rowdy Amish Teen
— (Jesse C. Boyd) Rowdy Amish Teen
フィル・コラド (James Ingersoll)
モーセ・ワグラー (Chip Joslin) アーミッシュ、レイチェルと結婚
— (Megan Rose) Biker
— (J.D. Ironfield) Amish Boy
— (Breaunna Lake) Party Teen
— (Jordan Timsit) Gunden Son
— (Haleigh Ward) Amish Girl
2006年
アンナ・グンデン (Mackenzie Mauzy) アーミッシュ、16歳
コメント
ヒロインは可愛くてごく普通のアメリカ人の少女だなぁと観てました。アメリカ社会が大人扱いを始める16歳をヒロインにするのはごく自然で、自分の過去を振り返ってました。
僕はアーミッシュじゃないけど、16歳の誕生日に両親から大人扱いすると告げられました。今から40年以上前です。両親曰く、日本人の男子は昔から16歳の誕生日が元服とされてて、家訓に従って16歳の誕生日の今日から大人扱いすると。門限無し小言も無し、更に小遣い無しと宣言されました。当時高校1年で大人扱いは非常に嬉しかったが小遣い無しでどうすれば良いかと訊くと自分で稼ぐか働けとの応え。元々高校行くのが厭だったのですが、16歳で就職したところで働き口は限定されてるし暫し呆然としてると、親父が時代が時代だから元服と言えど、18歳の高卒迄は面倒みてやるが、18歳になったら実家を出て行けと言われました。
大人扱いとは、自分で責任を取った行動する事、もう小言も言わないし全て自己判断で選択肢を選ぶこと。間違った行動してるなと両親が思った時だけ注意するとの話でした。18歳で実家を出たら自分で職を探して働き、互いに愛(いつく)しみ合える女性を見つけ、新しい家族を作れと。両親や一族の話を子供時分に聴いて居たので、そんなモノかとご先祖さま方々皆同じ経験してるなら自分も出来るなと考えて、実際その通りにして来ました。
両親の葬儀の後、親戚や兄妹間で話してると、親戚の男連中は、似た経歴でしたが、姉妹を含んだ女性陣は、初耳だわと皆驚いてました。然も同級生等も同じ経験してるかと思いきや、誰も居ませんでした。
18歳で最初に勤めたのは両親が挙(こぞ)って勧めた自衛隊で陸自に行きました。2人共に戦時中は海軍士官や軍属だったのですが、反対どころか家を出て心身を鍛えるのは軍隊しかないと。
若い頃に実家を離れたので、同級生等が悩む80/50問題とは無縁で、自分の人生はいつも自分の判断で切り開いて来たので、ドラマを観て、あぁ同じ経験をしといて良かったと思いました。ヒロインが死んでしまったのは劇中で可哀そうで残念だけど、ヒロインの母と自分の両親の言は同じだなと考えました。
両親共に戦争を経験して戦後直ぐに渡米して働きアメリカ国内で出会って結婚した日本人同士なので、彼らの生き方も真似して生きてます。最初に覚えた言語が英語もあってコールドケースで自分が住んでた時代が出ると、日本人なのに郷愁を感じて帰りたいと思う日々です。
貴重な経験話/書き込みありがとう御座います。
コールドケースの良さはいずれかのエピソードで、自分とは
生育環境は違うハズなのに、感情移入出来るようなエピソード
があり、郷愁を誘うような作りが魅力的ですね。
我が家に於いて大人になる・大人扱いされることに
年齢的な厳格さは有りませんでしたが、話を聞く限りでは
親の代はそれと似たような習慣づいた家訓のようなものが
有ったのかなという気がします。
「魔女の宅急便」って宮崎駿さんのアニメ映画が好きなので
すが、この映画の主人公の女の子はJohn934959Doeさんのよう
に親元を離れて「巣立ち」というものがあり自分で自分の
居場所を探していく物語ですよね。
当時のこのエピソードの舞台となったPhiladelphia、
Kensingtonですが、私は残念ながら直接は行ったことが無い
のですがyoutubeさんの中に毎日この地域のスラム街
(Kensington Avenue)を撮影されている方が居ます。
youtubeを見られる環境にあるのでしたら一度「kimgary」
さんで見てみるのも一興です。自由社会の光と影・・
親の決断、子供の決断が正しいかどうかって時間が経たないと
なかなか分からないと思いますが、自分が光り側に居られる
ことを願うだけでなくそれなりに居られるような体制を
整えておくということは必要かと思います。
そういえば亡くなった親御さんとは晩年そんなに連絡を取り
合っていなかったのでしょうか?
私と親の関係は距離的にも近い為に完全に切り離して行くと
いうのは難しいように思います。生き方とか人生に於ける価値観
は多様を極めていますが、コロナの時代なので何時いかなる事態
が起きようとも精神武装は必要だなと感じさせます。