October 13, 1985
第3話(3) スポットライトが死を照らす Murder in the Afternoon
監督/Arthur Allan Seidelman 脚本/Paul W. Cooper
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テレビ局では昼間に放送するドラマの撮影が行われていた。
フィリックス役を演じるマーチンはこの撮影の中で撃たれて
亡くなるシナリオだったが、腹部を撃たれるというシーンで
彼は腕を撃たれただけということにする。昼ドラマでは登場人
物を次々に殺害していく描写が流行し、視聴率を稼いでいる為に
局の方針で脚本家のジョイスは執筆していたが、マーチンは
そんな使い捨てのような形でドラマを降板させられるのは嫌
だとして死ぬ役を拒む。ご都合主義の金になれば良いとする
安易な発想だとして非難するが、局はこの脚本で喜んでいるの
だという。このままキャスト全員を殺すつもりなのかと。
ベテラン俳優のジュリアンも殺害するのであれば数ヶ月を
かけて伏線を張るべきことを主張するが、ジョイスはそんな
シナリオは古いのだという。フィッツフィールドの復讐の鬼
役のニータもこんな殺し屋の役は嫌だと考えていた。
ジョイスはディレクターのゴードンはキャロルに対して、
マーチンがイチャもんを付けてきている事を告げる。なんとか
上手く編集して死んだことにしてくれと告げる。そう見せない
とまた脚本を変えなければならなかった。しかしトッドの役
だけは消さないでくれとしてキャロルたちに局の方針を告げる。
トッドはこのドラマを辞めたがっていた。別の局で主役の話が
来ているのだとして、下ろして欲しいと頼む。しかしこのドラマ
を人気にしたのはジョイスにお陰で、トッドの人気もこのドラマ
があってこそだと語る。登場人物を次々と殺しているので
オレも殺して欲しいと頼む。
ニータはジョイスの元にいくと、こんな異常な殺人鬼役は困る
と訴える。ずっとこのドラマで役を演じていたいのだと告げ、
私には仕事が必要なのだという。安定した収入が欲しいのであ
ればOLになれば良いと語られる。
ニータは祖母・アグネスが入所している高齢者施設にいくと
そこには叔母のジェシカも既に来ていた。ニータは迎えにいけな
いことを謝罪する中、祖母はニータが復讐の鬼にされたことに
対して問う。ニータはジェシカに対して安易な役で番組を
下ろされたら収入が停まって困るのだと語る。ジェシカはそう
なったら私が援助すると告げる。しかしニータは親に変わって
育ててくれたアグネスの面倒を見る金は私が出したいのだと
語る。
ニータはジェシカを撮影所に案内する。
ビビーとハーバートがやってくるとニータはジェシカを紹介
する。ハーバートは推理小説が好きなので役作りの参考に
ジェシカの本は全て読んでいる事を語る。
更にニータは脚本家ジョイスの夫のラリー・ホレランが来ると
紹介する。
ジェシカはセットを見せてもらう中でニータに対して海外で
翻訳された私の本の印税が予定外に入ってくるので、貴方の
祖母の金は全て払うと告げるが、ニータはあくまで自分が払いたい
事を語る。
更に目の前からジュリアン・テンリーがやってくるとジェシカ
に紹介する。ドラマではDr.グッドマン役をしている彼はニータ
は私の姪役なんだと言われる。ジュリアンは挨拶を済ますと
明日が早いので先に帰らせてもらうとして出て行く。
ニータはジュリアンは俳優としても尊敬出来る人で30年間
この局での役を演じている事を告げる。ジュリアンは医者になり
きっているので時々本物の医師なのではないかと思う時がある
のだと語る。
ジョイスは執筆していると、そこに夫のラリーがやってくる。
彼はジョイスに一緒に飲もうと誘うが仕事が有るとして拒否する。
ビビーにでも電話すれば良いとして浮気したことを根に持って
いたジョイス。しかしラリーは僕には君だけだと告げる。ジョイス
はこれから新シリーズの仕上げの脚本を書くので邪魔しないで
と言うと、いつものクラブにいく事を語る。後で電話するが、
もしも居なければあなたの小遣いも打ち切るかも知れないわよと
語る。
そんな中一人でいるジョイスの元にニータ役の”復讐の鬼”の衣装
を来た人物が現れると、彼女に発砲する。そして新しく出来た
脚本を持ち去る。
警察がすぐに捜査を開始する。
夫・ラリーに事情を聞くのはアントネリ警部とキャプラン刑事
だった。午後9時30分にラリーはアパートを出てクラブへ行った
と証言しているが実際にはそのクラブに行っていないことを指摘
する。アントネリは被害者とあなたが口論しているのを見た人が
居る事を告げると、よくある感じの口げんかで犯人はニータ
なんでしょと語る。クラブに行かなかったのは、妻をちょっと
心配させたかっただけなのだという。
アントネリの元にキャプランはジェシカを連れて来る。
ジェシカは姪っ子の犯行ではないとして、彼女が人殺しだと
思うのであれば無能で月給泥棒でありオフィスにいる資格は
ないと非難する。しかし午後9時45分にニータの衣装を着た
人物がマンションに入るのを目撃した人がいるのだという。
ジェシカは聞き込みしていけば殺害の動機のある人物が居るはず
だと告げる。ジェシカはあくまでゴードンの証言であり
衣装を着た人物を見た人がいるだけでニータではないという。
現在他の役者からもアリバイを調べている事を告げるが、
彼女は役者としてこの役から降りたくないとして訴えていたこと。
そして新シリーズの脚本が現場から持ち去られていること。
何よりもニータ本人が居なくなっている事実が犯罪者であること
を物語っているのではないかとしてジェシカに告げるのだった。
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ジェシカは施設に入るアグネスを訪問している際に、姪っ子で
俳優として活動しているニータと逢う。ジェシカも推理小説家
として活躍している手前、彼女がドラマで活躍しているのを
応援しているが、その彼女が出演している昼ドラマの脚本家の
ジョイスが何者かによって射殺される事件が発生する。
彼女が殺害された午後9時半前後に被害者のマンションから
出てきた人物を目撃していたものがいて、その人物によると、
ニータが演じている”復讐の鬼”の役柄をした格好の人物だった
ということと、死ぬ直前にジョイスがプロデューサーのゴードンに
ニータに襲われたことを臭わせていることからもニータが勾留され
る。ジェシカは姪が殺人を犯すなど絶対にないとして、なかなか
捜査をしようとしない刑事たちの代わりに捜査していくことになる。
脚本としては相当雑な流れが有り、正直最後の種明かしの5分の
流れを見ても、納得出来ない流れがあった。
俳優が演じている脚本と実際の事件を被せるようにして事件を発生
させるという意図も分かるのだけど、イマイチ面白味が足りない
というか、小道具に本物の銃を使うハズもないだろうし、
役の中で着ている衣装を来た人物が目撃されたからと言って、
即その役者が犯人だとする流れは相当無理が有る。
そもそもジェシカたちが来たスタジオでディレクターがすぐ近くで
撃たれているのになんで捕まえられなかったんだ?って感じ。
今回のエピソード、過去に強盗事件で銃が使われているであろう
流れがあったので、本来線条痕を調べれば即解決して終了みたいな
流れが有る中で、証拠は破棄したとか言っている刑事の意味不明な
流れも有って、テレビ局がご都合主義ではなく、このドラマ
自体がご都合主義じゃないかと思わず小一時間だった。
俳優のことを契約で縛り付けることは分かるにしても、逆にドラマ
から抜けることを拒んで、ドラマのシナリオ上で死ぬ事を勝手に
俳優が拒んだりするということはあり得るのだろうか。
韓国などテレビ局と契約する形の俳優というのが今でも存在して
いるので、契約に縛られて不自由だとする人たちの主張は何度も
耳にしたことが有るけどね。
犯人役のラリーを演じたWilliam Athertonは、最近までレビューで
取り上げていた「Life」でのミッキー・レイボーン役を演じていた
役者さんだった。
ジェシカ・フレッチャー (Angela Lansbury) 小説家
ラリー・ホレラン (William Atherton) ジョイスの夫
ジョイス・ホレラン (Jessica Walter) 昼メロドラマ脚本家
ハーバート・アプトン (Paul Burke) 役者、メガネ
トッド・ワーシー (Nicholas Hammond) 俳優、しかし役を降りたがる”ギル”役
ゴードン・ラムニカ (Terry Kiser) ドラマ・ディレクター
ニータ・コーコラン (Alice Krige) 役者、”復讐の鬼”役
マーチン・グラトップ (Robert Lipton) 役者、”フィリックス”殺される役
ジュリアン・テンリー (Lloyd Nolan) 役者、”DR.グッドマン”役
ビビ・ハートマン (Tricia O’Neil) 役者、ラリーと浮気、”シビル”役
キャロル・ニードム (Mackenzie Phillips) 第二脚本家
アグネス・コーコラン (Lurene Tuttle) ニータの祖母
Lt.アントネリ (Robert Walden) 警部
キャプラン (George Murdock) 捜査官
— (John Miranda) Prop Man
— (Elven Havard) Guard