コールドケース2 ~真実の扉~
(2018年10月期・WOWOW)
音楽:村松崇継
制作:蓮見宗一郎、天野佑亮、安井謙、磯本淳、垣内あづさ
プロデューサー: 岡野真紀子、近見哲平
プロデューサー補:五十嵐理、椛澤節子
原作: 『コールドケース 迷宮事件簿』
https://www.wowow.co.jp/dramaw/coldcase2/intro/
第3話 PKO
監督/波多野貴文 脚本/酒井雅秋
Created by LIZ W.GARCIA、CRAIG TURK
■【ストーリー】
・2007年7月21日、菅田歩(34歳)の葬式
野々宮一希は同じ自衛隊員として彼の葬式に出席。息子の
広志と父・一希は会話する中で叔父の蓮も居た。妻の理恵
を捜していると変な男に追い回されて困っていた。しかし
男は自分はフリーのジャーナリスト、大野司だとして亡く
なった菅田歩さんとはイラクで同じ隊に居たのですよねと
問う。蓮はジャーナリストを遠ざけようとするが、菅田紀子
が呼んだのだという。主人の為にも真実を報道してもらおう
と思ったという。大野はイラクで何が起きたのか取材して
諦めないことを語る。
しかしその後理恵はビルの上から転落して亡くなる。
・現在
11年前の2007年8月30日、広志は母・理恵の件でどうして
そうなったのか分からないままだという。母の遺品を整理
していたら名刺を見つけたこと。事件の日に彼と喫茶店で
待ち合わせしていた事を示すメモ書きがして有った。
高木は病院でカウンセラーの朝倉弘人に逢う。
そこでちかの命日のことを話す。墓参りに未だにいけない
こと。自然に行けるのが一番だが現場には何度か行って
しまうという。彼女が亡くなった場所。最後に何を思ったの
か分かるのではないかと。
高木は帰りに木村莉子の病室を通っていく。
本木から被害者の野々宮恵理について改めて話が有る。
2007年8月30日、横浜市中区日ノ出町の雑居ビルから転落して
亡くなったこと。その直前に喫茶店のラ・ルジェで
ジャーナリストに逢っていること。金子は現場の近くだとい
う。大野司には逮捕歴が有り一番近い所では2016年の安保法制
での事だという。
そんな大野から話を聞いていく。
■【感想】
三話目はアメリカ版ではどのエピソードに該当するかな。
当初戦争によって生じたPTSDによって行方不明になる
S4-2話「義手」かと思っていたのだけど、製作のクレジット
にはLiz W. Garcia & Craig Turkの名前が挙がっている。
恐らくS3-8話「英雄」のリライト/ローカライズ版だと
思われる。
https://itawind.web.fc2.com/kaigai/coldcase/coldcase.htm
11年前の2007年8月30日に亡くなった母・野々宮恵理。
自宅を改装することになり荷物を調べているとそこには
フリージャーナリスト・大野司の名刺と共に屋上から落下
した日に約束しているであろう証拠が書かれていた。
母親を失った息子の広志はその真相を知る為に神奈川県警
を尋ねる。
もう誰もが忘れているかも知れないけど、高木と恋人関係
に有った中山ちかが自殺したことになっている。
アメリカ版だとシーズン2の11話でその知らせを受けている
ので34話目ってことになるけど、日本はあまり ちかから
捜査の障害になるようなことは無かったような・・
本人はなかなか自殺だということを受け入れられず
シーズン3では似た様な川で遺体が発見される度にちかの事件
を想像してしまうというスコッティに暗い影を落としていた
のだけど、日本の場合13話目にして自殺してしまった知らせ
を受けたので今回のエピソードにすりあわせたような感じに
見えてしまうな。
ジャーナリストが嗅ぎ回っているのはイラク派遣について
その業務内容に疑問を持っている。PKO活動の一貫として
イラクに派遣された自衛官が自殺していること。憲法9条に
よって戦闘地域に行くことはなく安全地域で学校を作るの
に対して何故自殺しなければならないのか。
野々宮恵理の夫の一希もイラクに派遣されていて
作業中の資材の下敷きになって車椅子になっている。
その前にも2007年に菅田歩が自殺している。
イラクから帰国して変わってしまったこと。
イラクの件が生活を大きく変えてしまったことは事実だが
この件では亡くなったのがイラクに行った夫ではなく妻で
あること。
イラクで起きたことを何故隠さなければならないのか。
平和な所だけかいつまんで訪れて活動するなんてことが
そもそも無理な発想だったのではないか。
皮肉にも「隠し事」というのは隠したままが良い時もあるが、
人の気持ちだけは隠しようが無いという。
父親への罪悪感はある食堂によって生まれ始める。
弟の嫉妬心が殺意に向かったのかと思ったけどそれは中盤で
否定されている。兄夫婦を助けていると思っていたけど
子供のことを兄以上に知って居る弟の存在に兄が嫉妬して
ドラマは複雑な方向へと向いていく。
「行ったことがない人には分からない」
この言葉は確かに分かるけど一般人や政治家に言うなら
ともかく刑事は平和の為に身体を張っている人たちだしね。
平和の為に行っていたハズが家族を傷つけることになって
しまう。
素晴らしいのは妻の献身的な支えだな。
とても皮肉だけど後半部からは父親への容疑の疑いの目を
向ける。意味合いは全く違うのだけど結果的に殺意のない
殺しとなってしまうところが皮肉だ。しかも思い出を利用
して上手く気持ちが取り戻せそうなところなのに、とことん
運が悪いというかツキがないというか・・
あれだけのことで落ちてしまうなんて違法建築じゃないのか!!
高木は広志に関して墓参りのことを尋ねる。
心配する振りして高木は自分のことを語っているよな。
しかし高木は良い所に目を付けたよね。
何故亡くなった日にあの場所に居たのか。
それが謎を解く鍵となり事件解決に導かれていく。
このドラマを見て心強いのは滝藤賢一さんが刑事側の人間
だという事だよね。
■参考
石川百合 = リリー・ラッシュ
高木信次郎 = スコッティ・ヴァレンズ
立川大輔 = ニック・ヴェラ
金子徹 = ウィル・ジェフリーズ
本木 秀俊 = ジョン・スティルマン
■【使用された曲】
Mr.Children「旅立ちの唄」
B’z「永遠の翼」
Perfume「ポリリズム」
GReeeeN「愛唄」
【出演者】
石川 百合 …… 吉田羊 (40歳、警部 中隊長)
高木 信次郎 …… 永山絢斗 (31歳、巡査部長)
立川 大輔 …… 滝藤賢一 (39歳、主任。警部補)
金子 徹 …… 光石研 (54歳、主任。警部補)
本木 秀俊 …… 三浦友和 (58歳、警視。課長代理)
野々宮一希 …… 萩原聖人 (34歳、イラク派遣で車イスに・・)
野々宮恵理 …… 矢田亜希子 (33歳、一希の妻)
7歳の頃の広志 …… 高橋來 (当時の息子)
野々宮広志 …… 西山潤 (息子)
野々宮蓮 …… 永岡佑 (一希の弟)
菅田紀子 …… 河井青葉 (菅田歩・32歳の妻)
宮崎康晴 …… 井上肇 (42歳、陸曹長)
大野司 …… 菅原永二 (フリージャーナリスト)
眞田惠理子、茨木鳳惺
木村莉子 …… 松本穂香 (昏睡中。304号室)
朝倉弘人 …… 若葉竜也 (警察病院・カウンセラー)
中山ちか …… (信次郎の幼なじみ)