第9話 I’m with Stupid
原作/Pamela Redmond Satran
監督/Steven K. Tsuchida
脚本/Alison Brown
【Story】
●ダイナー
朝、24時間営業の店で食事を取りながら本を読んでいた
ライザ。そこに突然上司のチャールズがやってくる。
「ここは私がコッソリ朝食を買う店だがどうして君がいる
のか」と問われる。「出勤途中で降りるバス停を間違えた際
たまたま入った店です」というライザ。
「トルストイ?」
「こんな朝から読むのか?」
「ニューヨークポストって聞いたことが有る?」
そんな彼にライザは退屈な農業経営の部分は飛ばして
アンナの不倫が描かれたメロドラマの所だけを読んで
いる。ロシアのセレブ妻のリアリティショーみたいで
重厚なロシアの散文。そんな彼女に”持ち込み原稿”を読ん
で見たらどうか?という。そしてチャールズは去り際に
「ここのフレンチトーストのことを誰かに話したら君を
生かして置けない」
と言われる。”秘密を守るのは得意です。”とライザ。
●エンピリカル出版
ライザはケルシーの元に行くと、”持ち込み原稿”は何処
にあるのかと問う。私の後ろに悲しげに積まれているのが
そうだという。沢山の原稿の表紙をざっと見ていく。
「現ナマビッチ、財政はクレイジー」
「お嬢さんがなりたいのは普通のビッチ?億万長者のビッ
チ?」
最初の一行で十分なのよとケルシー。
「ラリーのスピリットアニマルはなんとハリネズミだ」
「やがて私はトレバーは排泄を我慢出来ず漏らすことに
気づいた」
メレディス・モンゴメリー著「スカーフ」というタイトル
の小説が目に入り読むライザ。
「傷の負傷の場所によっても変わる。でも彼が南軍の兵士
である私の祖父であることは変わらない。祖父を救った
少年は北軍のラッパ吹きだった。」
「12歳の彼はスカーフを使って止血した。お陰で生き延び
た南軍兵は5年後幼いラッパ吹きを探しスカーフを返した」
ケルシーは最後まで持たないわよという。
それよりもマッチングアプリでライアン・ゴズリングと
出会う確率の方が高いと。
しかしライザはそれ以降ずっと本を読み続ける。
仕事中・・帰宅途中・・
●運動コートへ
ライザはジョシュにもその原稿”スカーフ”についての話を
する。人道的精神が北軍兵の家族に何世代に渡って受け
継がれていたこと。ジョシュも読んだ方が良いと語る。
ジョシュは日本の漫画は時々読むが絵に興味がある
だけだとし、俺に読んで聞かせてくれという。
その前にドッジボールだとしてライザに内緒でコートに
連れてくる。このチームのロゴ “The Billburg Ball
Slingers”は俺がデザインしたという。
ドニー(Coy DeLuca)に挨拶する。彼はドッジボール界の
レジェンドで、あのコートの中の女性陣たちには気をつ
けた方が良いと語る。決勝の夜に乱れまくったと。覚悟は
良いか?という彼にルールも知らないのに良いわけがない
というが・・・ボールに当たらなければ良いんだという。
笛の音でボールの投げ合いが始まるが・・・ライザは
ある女性・ジェン(Janelle Velasquez)に狙われ、そして
顔面と股間に球をぶつけられてしまう。
●バー
ライザはドッジボールをしたことを同意したのが問題だ
ったとしてアザの出来た顔を冷やしながら語る。ジョシュ
は楽しんでくれると思ったというが、檻に閉じ込められた
状況で逃げようが無いという彼女。彼らは手作りのステロ
イド剤でも使っているのではないかと語る。
ジョシュが席を立つのと代わりにジェンがやってくる。
ライザに対して私のせいだねと顔のアザを語る。
私も最初はボロボロで「指を怪我」して「歯を折られた」
り「淋病」にもなったという。7年続いた彼と別れたばか
りで、それだけ付き合った後自由を手にするとハメを
外したくなるという。ジョシュのことはよく知っている
というと、ライザは「淋病の関係か?」と問う。違うと
否定するといい男だから楽しくやってくれとし、ただし
“お馬鹿さんだから・・”と。
ジョシュは”氷たちをもらってきたよ”と語る。
ライザは氷に複数形なんて無いというが・・・幻覚だった。
【Impression】
有名な作品を踏襲しているかのようなシーンが見られ
ますね。
例えばたまたま間違えて降りたバス停の近くに有った
小さな店がなんとチャールズの常連の店というくだり。
そこで読んでいるライザの本はトルストイの「アンナ・
カレーニナ」。
しかもアンナの不倫の描かれたメロドラマ部分ばかりを
読み返している。
不倫ではないがライザは台風の目になり得る存在感が
増してきた。ジョシュとの関係然り、そしてチャー
ルズとの関係然り・・。仕事でもなにげに存在感を出して
いるし、本に関する知識は出版社という以上に持ってい
る。仕事に就いて初めてのチャンスをものに出来るのか。
また恋愛に於いては彼女が語るようなロシアのセレブ妻
のリアリティショーの如く、ニューヨークのリアリティ
ショーになる可能性を秘めている。そんな状況の中で
ニュージャージーに戻った際に同性愛者と同居している
というライザに対してロリ(Donna Lynne Champlin)が
キスしてきて思わず気まずくなる。
チャールズとライザの冒頭のやりとりは最高だった。
「ここのフレンチトーストの事を誰かに話したら君を
生かして置けない」(Charles)
「秘密を守るのは得意です」(Liza)
まさに今の彼女の状況そのものだ。
そして今回は持ち込み原稿を見て未来が開けたかに思わ
れた。何よりも小説の中で描かれている南軍・北軍の話
はドッジボールの流れから派生してライザとジョシュを
描いていく。
ライザという人物、ジョシュという人物、それぞれの
人物を客観的に見た場合、その人はどんな人物なのか。
ライザは自分の価値観でジョシュを見てしまったが為に
険悪な雰囲気にもなる。
今回はそんなこんなで、【アイデンティティの問題】が
テーマとして浮上する。
【Work / Mission】
・持ち込み原稿に可能性を見いだしたライザはかつて
住んでいたニュージャージーの読書会に行き、そこで
6人の仲間(ミッシェル、ジョアンナ、レスリー、
クレア、ロリ)に取り上げてもらう。
・ライザはジョシュという人物が分からなくなってし
まう。
・ジェネレーション
・徐々にこのドラマではライザに対するジェネレーション
ギャップが抜けてきましたね。
寧ろライザが仕事に就いた際に最初にケルシーからPDFで
資料を送ると言われて戸惑った事を今回ニュージャージー
の主婦たちにも展開上同様の流れになった。
・またドッジボールをしたライザは今回顔にアザが出来て
しまう。上司からは結膜炎ならすぐに退社するよう言わ
れる。
・読書会の後、ケルシーから主婦の読書会ってどんな事を
するのかと問われ、「男のことを話して、一人は私に
キスをした」と語ると、”私たちとあまり変わらない”と
言われる。
・ライザがジョシュに嫌な言動を見せてしまったのか
「自分の幸せを信じられないから」。だからいきなり
壊されるよりも問題を探して離れようとしたみたいだ。
【ジョシュという人物】
それぞれの視線でジョシュを眺めてみる。
・あのジェンという謎の女性。
自ら7年続いた彼と別れたばかりだとしていたし、ジョ
シュ自身も彼女は大会で決勝の夜に乱れた人物として
いた。二人は付き合っていた関係なのか?
その彼女がジョシュのことを意味ありげに「お馬鹿さん」
だと語っていた。
・ケルシーに相談すると「当たり前、男だよ」とのこと。
しかし許せないことは誰にでもあるとも語っている。
・イタリアンのニョッキ(gnocchi)をグニョッキと読んで
しまう。日本人なら「ノッチです」って読みそうだが(笑)
ライザは彼が大学を中退したことを知り再入学
することを考えたことはないのか問う。
・ライザは彼のことを素晴らしい人。「誠実」で「深く
考えてもいる」。
・自らジョシュという人物を語る
・ジョシュは自らを「俺は視覚的人間」。
「強く惹かれるのは”心で惹かれたこと”や”目に映るもの”
で”言葉”にはあまり魅力を感じない」
・J-Trainの音を聞くのが好き。自分の人生を真っ直ぐに
生きる色んなタイプの人が沢山乗っているから。
・靄に霞んだ夕日が好き。寛ぐのが好き。この世界を
直に経験する方が本で読むよりずっと好き
・最後に「感情的には君よりもずっと利口だ」とライザに
語る。
・etc..
「スカーフはこの家族のIdentityを形成した」(Liza)
「”Fifty Shades of Grey”もそう。」(Liza)
「母のバスルームに置いてあった。まだ性欲が有って
何よりだが娘としてはそれを目の当たりにしたく無かった」(Kelsey)
「白ワイン片手にオプラ・ウィンフリーもお勧めの本を
読みながら出版界を動かす。主婦の心を掴めばベスト
セラーも夢じゃ無い」(Kelsey)
【Used songs】
・Million Dollar Life by Wizardz of Oz
・Queen Of The Quotation by New Cassettes
・Outlaw by Hilary Duff
・Seeing Stars by The Kinnardlys
【Cast】
ライザ・ミラー (Sutton Foster) 40歳・エンピリカル出版・ダイアナのアシ
マギー・アマト (Debi Mazar) 40歳、ライザの親友、ルームメイト
ダイアナ・トラウト (Miriam Shor) 43歳、エンピリカル出版のマーケティング責任者
ジョシュ (Nico Tortorella) 26歳、タトゥーアーティスト
ケルシー・ピーターズ (Hilary Duff) 26歳、エンピリカル出版のエディター
ローレン・ヘラー (Molly Bernard) 25歳、ヘクター・アンド・ドーフの広報担当
メレディス・モンゴメリー (Ana Gasteyer) 小学教師
ミッシェル (Heidi Armbruster) NJの読書会
クレア (Anastasia Barzee) NJの読書会
ロリ (Donna Lynne Champlin) NJの読書会、ライザにキス
ジョアンナ (Dana Cuomo) NJの読書会
レスリー (Polly Lee) NJの読書会
ジェン (Janelle Velasquez) ドッジボールの選手
(Nadir Hasan) ウェイター
ドニー (Coy DeLuca) ドッジボールの選手