NCIS ~ネイビー犯罪捜査班 シーズン10
第12話 喪失 Shiva (aka. ジヴァ・後編)
製作総指揮/Shane Brennan、Donald P.Bellisario
監督/Arvin Brown
脚本/Christopher J. Waild、Gary Glasberg
【STORY】
●前回までのあらすじ
ジヴァの父でモサドの長官をしているイーライはワシントン
に居る娘のジヴァに逢いに来る。しかも部下には言わずに
内密でやってきていた。それと同時にイランの諜報員の
アラシュ・カズミ(1951/5/3生まれ)も来ていた。
イスラエルとイランは対立の関係にあるがアラシュもイーライも
率直な話し合いが必要だと感じていた為に二人共アメリカに
来たのである。
過去にイーライは国の為・作戦のためとは言え、様々な犠牲を
強いてきた。イーライは長官の座から降りて犠牲者の為に
何かをしようとしていた。ジヴァもまたそれを察して
隠居と償いの違いを解く。
しかしイーライの周りで遺体・ウィルクスが発見され、罪の
ない人を殺して死体を捨てたとする証拠が出てくる。内密で
来た事を知られることのリスクを回避するが故の犠牲。。
それを樹にイーライは娘との関係修復に失敗する。
ヴァンスの家でジヴァらはディナーを取ることになる。
そんな中で起きた屋外からの銃乱射事件。
すぐにNCISのエージェントが現場にやってくるが、イーライは
亡くなり、そして病院に運ばれたヴァンスの妻・ジャッキーも
また亡くなる。
●昔
若い頃のジヴァ(Gabi Coccio)は蝋燭に火を灯して祈る。
イーライを初めとする家族のものたちが周りを取り囲み
そしてジヴァは歌う。
●教会
そんな過去を思い返していた。
多くの犠牲を強いられてきたジヴァに取って神の存在に
疑問が生まれてくる。
「希望を捨てないようにお導きを・・」
そんな教会に何者かがやってくる。
ジヴァは内緒で来た場所故に緊迫感が走り思わず銃を手に
するがトニーだと知る。マクギーに携帯を追跡してもらった
という。
「君の力になりたい。寄り添いたい」
そう告げるトニーに対してジヴァと語り会う。
「涙は枯れた」「同情は要らない」
「何が欲しいのか?」
「復讐よ」
■事件現場
襲撃犯は死亡したが黒幕は不明。
ジャーヴィス (Matt Craven)はイスラエルに伝えるまで48時間
の猶予があることをギブスに伝える。
黒幕の目星はついているのか。
イーライが来た時点で私に知らせるべきだったのではないか
と告げるジャーヴィス。
直属の上司ではないし、元々伝える間もなく殺されてしまった
のだと語る。
これから責任の追求が始まる・・過激派組織はこぞって犯行
声明を出すだろうと。
ギブスは戦争回避の為にも内密に捜査を進めることを告げる。
「レオンとは話をしたのか?」
「クレイグ副局長は出張中か?」
ジャーヴィスはギブスに質問をする
●NCIS / モルグ
ダッキーはジャッキーに冥福を祈る。
ギブスがダッキーの元にやってくる頃には夫人の検視は終わって
いた。
側頭葉に銃創一つ。
ダヴィード局長の遺体もここに安置してある。
ギブスはダッキーの精神状態を気にする。
銃撃犯はシアン化によって自殺した。
古くから臆病者たちが逃げ道として使った手。
狙撃犯の特定は難しかった。
カルテが役立つかも知れないが、肝臓が腫瘍に蝕まれて
治療した形跡もない事から、いずれは自殺せずとも死ぬ運命
/余命半年だったというダッキー。
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■感想
イスラエル/モサドには内密に渡米したモサド長官でジヴァの
父親であるイーライがアメリカ国内で銃殺され亡くなる。
その日はヴァンス局長の家で食事をしていた所だった為に、
銃弾はイーライだけでなくヴァンスの妻・ジャッキーにも当たり
病院に運ばれるも命を落とす。
父親を失ったジヴァを心配するトニー。怒りに震えるヴァンス局長。
モサドの長官を狙った目的は一体何なのか。そして襲撃した人物
は個人なのか組織なのか。
NCISシーズン10の中でもっとも重要なエピソードの感想を書かずに
6年以上放置してしまった。シーズン10がアメリカで放送して
いたのは2013年のこと。私が見たのはコロナウイルス発生前に
見たと思うので2018年だったかな。
ドラマの中ではイスラエルの諜報機関(モサド)とイラン情報部、
そして親パレスチナ組織・ファーストウェーブやイランの武器商人
など複雑な権力争いが存在している為に犯人か誰なのか分かりづ
らい。
イーライの友達だとか、カズミの友達だとかジヴァの信頼できる
家族だとか色んな関係の人が紐づいているので少々戸惑うこと
でしょう。
現実社会でもイスラエル政府がアメリカのお墨付きをもらい
イスラエルは完全にパレスチナ・ガザ地区に於けるイスラム組織
ハマスに対してジェノサイドを起こし、ハマスを後援している
イランに対しても攻撃する事態に陥り、世界に緊迫感が走り
ました。元々イランとアメリカは仲が悪く、最初に両国の関係が
こじれた時には良好な関係にある日本が仲裁に入れるのではない
かという政治的にも世論的にも有りましたが、それが難しく
アメリカが日本を同盟国という名で巻き込んでいることも有り
日本とイランの関係は微妙なものとなっています。
そんな事情も重なりこの数年間のラグある感想を書くというのも
変に一興かなという感じになってしまったのではないでしょうか。
現在「NCIS:トニー&ジヴァ」(NCIS:Tony & Ziva)が放映されて
いる事からもこの二人のコンビが支持されているところがよく
分かります。
ジヴァが初めて登場したころには、ジヴァ側の兄弟や親との
関係・確執が有ったり、アメリカの組織に急遽転向して以降、
英語使用の間違いがネタにされてドラマを面白くさせましたよね。
このエピソードは12話ですが11話はすっかり内容を忘れています。
モサドの長官は色んな組織から恨みを買っているので安易な形で
単独での入国は出来ない立場ですが、そこには和平の名の下での
動きがあるようです。
アメリカでモサド長官が殺されたと聞けばアメリカの立場も
なくなるし、和平などとは当然更に程遠いものとなり、より
いっその報復合戦になるかもしれません。
ファーストウェーブに出資しているアメリカのテキサスの石油
業界の大物グスタフソンも取り調べの中で以下のように語り
ました。
「保守的なイーライがいなければやりやすくなるかって?それは
当然だろう」
しかし安易に殺すハズも有りません。
■ドラマの興味深い点
どうもNCISは少し過去の書き込みを見ましたが、我ながら
分かりづらい文章で、ストーリーを書いただけのような書き方
しかしていないので面白みに欠ける。時間をかければ誰でも
書けるのであれば、今時はAIに任せておけばいいでしょう。
●ジヴァとトニーの関係
これは外せないところがあるでしょう。
好きだ嫌いだという前により多くの信頼関係を結んでいかねば
ならないことでしょう。特にジヴァの生育環境とトニーのそれ
は全く違います。
ジヴァは父親からの教えに厳しく育ち、民族的にもアメリカの
風習とはまるで違う国から来ている。
それが人間関係の構築にも難しくしていることは確かだ。
ジヴァの悲しみは誰が見ても明らか。
一番慰められるモノや人は信頼できる人であり、トニーはここで
一つのジヴァの中での信頼度を図るエピソードに恵まれたと
言ってもいいでしょう。
トニーはまずは自分が親身になって話を聞くことをジヴァに
解きますが、怒りと悲しみが彼女の心を閉ざしていることが
分かると、同郷のシュミールを呼び出しました。
ジヴァはアビーとの間でも良好な関係を結んでいるので
彼女の元を訪ねています。
ジヴァにとってはギブスもまた信頼を寄せられる人の一人で
すがなかなか難しいものがありました。
イーライが狙われた意図が分からない以上、ジヴァへの危険が
払拭できないと分かると、トニーの家で匿うことになる。
ジヴァにとってみればトニーがどれ程頼りになる人物なのかと
いう疑問もあるかも知れませんが、過去のエピソードの中で
トニーが普段はヘラヘラしていたとしても、いざという時には
ギブスが育てた人物の一人として頼りになる存在であるのです。
色々と話し合う機会は有りましたが、それには至りません
でした。ジヴァが最後に父の遺体の柩と共に飛行機に乗る前に
何かを言いかけましたが結局口にはできませんでした。
職場での恋愛というのはご法度ですからね。
●ヴァンスとギブスの関係
これは常々捜査権を巡って鍔迫り合いのような形でヴァンスと
ギブスはイニシアチブを取り合ってきました。
局長の立場であるヴァンスの命令は絶対であるにも関わらず
ギブスはそれを自分の捜査信念・信条の元で貫いていくのです。
ヴァンスは今回身内(妻のジャッキー)が殺されたので捜査に
関わることが出来ません。これは上述したジヴァも同様です。
かつてギブスは妻子を麻薬組織にペドロ・ヘルナンデスに
よって殺されました。それ以降ダイアン、レベッカ、ステファ
ニーと結婚するも最初の結婚での妻シャノンと娘のケリーの死
によって結婚生活は常に破綻しています。
シーズン3の24話でギブスは復讐を果たしました。
しかし麻薬組織でペドロの子供たちはギブスに復讐を仕掛けます。
ヴァンスがギブスに対して教会で本音を語ります。
「今回の件で気づいたことがある。今なら君の選択を理解できる
今までも分かった気で居た。思い上がりだったよ。
報復を望んだことはない。だが今はそればかり考えてる」
しかし敢えてその気持ちを抑えてギブスに犯人検挙を託すヴァンス
の姿。この二人にも組織を守るものとしての気持ちが興味深い
形で通じていくという流れが有ります。
■捜査の手がかり
正直あまり手がかりはよく覚えていないのですが、
殺人犯が使用した「銃弾」と「殺人犯そのもの」、そして
「金の流れ」を追うことで捜査が進行していく。
銃弾は平凡なロシア製のもの。
犯人はローランド・エイムズ。スウェーデンの元傭兵。
イラク戦争時に逃走している人物。
襲撃後2000万クローナ(swedish krona)をケイマン諸島に振り込ん
だ人物がいる。
口座名義は“ヴァーチュー”。
これが意味するものは何なのか。
中東周辺の言語は主に、ペルシャ語、アラビア語、ヘブライ語
などがある。
イスラエルはヘブライ語。
イランはペルシャ語。
中東諸国ではアラビア語を話す。
「HOMELAND」の時にパシュトー語を話す組織がシーズン5の中に
出て来た。これを話すのはアフガニスタンであり、語っている
言語によってそれが敵か味方かを見分ける役割を果たすことが
ある。
“ヴァーチュー/virtue”という言葉をジヴァに聞く。
彼女は“美徳”の意味でしょという。
ペルシャ語ではテクア。
ヘブライ語ではトハール。
トハールとは人のミドルネームでありボドナーの名前だった。
■その他
・ゲーリング、ヒムラー
シアン化化合物を飲んで自殺した
・マクギーの呼び名。
「mcblivious」「mcfever」などトニーに言われていた。
ただFOX版の字幕版で見たので、字幕版は余計な言葉を省略して
しまうんだよな。
●ギブスルール8 “憶測するな”
■Music
・Not Alone by Patty Griffin
■Cast
リロイ・ジェスロ・ギブス (Mark Harmon) 主任
アンソニー・ディノッゾ (Michael Weatherly) “トニー”
ジヴァ・ダヴィード (Cote de Pablo) 元モサド、NCIS
アビゲイル・シュート (Pauley Perrette) “アビー”分析・解析
ドナルド・マラード (David McCallum) “ダッキー” 検視
ティモシー・マクギー (Sean Murray) コンピュータ
ジミー・パーマー (Brian Dietzen) ダッキーの助手、検視
レオン・ヴァンス (Rocky Carroll) NCIS局長
イアン・ボドナー (Oded Fehr) モサド副局長
アラシュ・カズミ (Nasser Faris) イラン情報部
デュエイン・グスタフソン (Forry Smith) 石油業界、”ファーストウェーブ”の出資者
シュミール・ピンカス (Jack Axelrod) イスラエルの男友達
ガブリエル・アデル (Georgia Hatzis) イスラエルの回線の女
クレイトン・ジャーヴィス (Matt Craven) 元NCIS局長
ジェローム・クレイグ (Greg Germann) NCIS副局長
ケイラ・ヴァンス (Kiara Muhammad) レオンの娘
ジャレッド・ヴァンス (Akinsola Aribo) レオンの息子
— (Kim Estes) Minister
若い頃のジヴァ・ダヴィード (Gabi Coccio) 13歳の頃
若い頃のイーライ・ダヴィード (Ben Morrison)
若い頃のジヴァの母 (Karen Levine)
ローランド・エイムズ (Ryan Locke) 襲撃犯、スウェーデン人、特殊部隊
(Zuanna Sherman) ボディガード
マヤ・エイムズ ローランドの元妻
エリアス・エイムズ ローランドの息子
オミード・アバシ。イラン国籍の武器商人