キャシーのbig C ~いま私にできること~
The Big C : Hereafter (シーズン4)
制作/Darlene Hunt
第1話 残された時間 Quality of Life
脚本/Darlene Hunt
監督/Michael Engler
プロデューサー/Elicia Bessette
音楽/Maecelo Zarvos
エディタ/Michael Oranstein
クリエーター/Darlene Hunt
プロダクションデザイナー/Edward Pisoni
共同プロデューサー / Laura A.Benson
コンサルティングプロデューサー / Melanie Marnich、Cara DiPaolo
【STORY】
●前回までのあらすじ
黒色腫 ステージ4のキャシーはシャーマン医師から新しい治験
で命が助かるかも知れないことを言われて希望を持つ。
死への恐怖は?・・・何も果たせないのが怖い。
出会ってから20年間不幸だったか?というポール。
できるだけ生きる。アダムを残していけないとするキャシー。
アダムはキャシーが用意していたプレゼントを入れた倉庫の鍵を
使い中を見てしまう。
私が死んだあとにプレゼントする物なの。
アバブーがキャシーの家に居候するとショーンの姿に驚く。
俺はキャシーの恥ずかしい兄貴だ。
隣人のマーリーンの様子が変になりアルツハイマーだろうこと
を知る。マーリーンもそれに気が付くと、銃を使って自害する。
キャシーはマーリーンが自分を一緒に天国に連れて行こうと
しているのではないかと感じるが、連れていこうとしても無駄だ
と断ち切る。
愛犬トーマスを頼むとマーリーンから託される。
ポールはブログを書く。
ジョイから講演ツアーに同行しない?と誘われる。
「スイッチガイ」として。
公聴者は「スイッチを押せ」コール。
ダイビングをする。
バディは?キャシーだ。
しかし戻ってない。
キャシーは釣の網に引っかかる。
これが現実なんて不思議な気持ちよ。
主治医から連絡が入った。腫瘍が大きくなってる。
キャシーはアンヘルに一年以内に死ぬことを話す。
●海中
ダイビングする中、キャシーは救急によって助けられる。
意識朦朧としている。
キャシーは無意識にアンヘルの名を呼ぶ。
・9月 September / 5か月後 Five Months Later
灰になるってもっとこう・・
アダムとアバブーとポールは粉々の灰を庭に埋める。
でも魂が混じってる。灰は灰に・・塊は塊に・・
全部ただの骨だよ。先に焼かれた人の骨だったりしてね。
気持ちの悪い事を考えるのは辞めようとアバブー。
その頃キャシーは室内にいてアバブーは彼女に手を振る。
・キャシーは気が滅入る。
私は幸せだよ。またこの子と一緒だ。
外に埋めていた灰は犬のトーマスのもの。
お葬式に出られずごめん。凍えそうだとキャシー。
考え方が暗くなってるわ。
墓標になんて書く? “Thomas”
“生きる目的を果たした”? 目的は有ったのか?
これは”寝床にフンをしても気づかない犬だった”
“病気に気づかない幸せな犬は?”
元気だしな。手術して髪型がよくなった。(Maxine)
思い出すとゾッとするわ。大勢の医者に脳みそを触られた。
転移した腫瘍に脳が圧迫された方が良かったのかい。
かもね。だって腫瘍のお陰であんな太陽を浴びて船に乗る
夢だか幻覚を見られた。天使(アンヘル)を本物の人間だと思った。
あんな美しい夢が見られるなら瀕死でいい。こんな状態よりマシだ
とキャシー。
・犬の遺灰を埋めて来た三人
アダムは祈りを捧げた。
きっとマーリーンと一緒ね。
墓標に”靴を食べた”って。(Andrea)
“亡くなっても臭いは消えない”も(Paul)
アダムは出かけるという。
サッカーだ。
アバブーは寮に戻るので車で行くか尋ねる。
大学の寮生活は最高よ、自由気ままで。(Cathy)
ルームメイトと模様替えをするの。クラブ風に。最高だよ。
服を洗わせてもらった。他のも全部洗っておいたよ。
序だしアダムの”アレ”も見られた。おんどりの柄パン。(Andrea)
アダムは運転するよ。来週に免許を取れる。
ダメだというキャシーだが16歳は特別な誕生日。何をしたいか問う。
免許を取りたい。特別にしないでよ。
誕生会はやらないよ。
キャシーはポールに誕生会をやりたいとするが、彼は免許が取れたら
十分だろと。
アダムとアンドレアは出かける。
ポールはキャシーの体調を気にする。
不安でいっぱい。急にパニックに陥るの。車で誰かひいた気分に
なる。4日後の化学療法のせいよ。
何が出来るか?と問うポールにキャシーは来て欲しいと頼む。
ソファで寝るなら毛布を綺麗に畳んでちょうだい。
治療の疲れが取れない。(Cathy)
寝たらどうか?
寝てばかりじゃ死んだも同然(Cathy)
辞めろよ。辛いけど生きてるんだから前向きに考えないと。
「スイッチを押せ」
アンバーがやってくる。
ライトの試作品です。残りはガレージにある。
アンバーはキャシーの体調を尋ねる。
大丈夫、あなたは?
もう最高です。本の原稿を読みました。内容が濃くて最高。
お世辞じゃないですよボス。思い出すだけで泣きそう。
ツイートしたわ。さわりだけです。
ポールは試作機を見る。
キャシーは良いわねというと部屋から出ていく。
明日の授業の準備をしようと思ってね。嘘よ。もう寝るわね。
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■感想
講演ツアーの名の元、ジョイはポールを誘いプエルトリコで
関係を持とうとすることを知ったキャシーはそれを阻止する
為に家族全員でプエルトリコに行こうとする。
しかしツアー前にジョイは街道に飛び出し車に轢かれて亡く
なる。
プエルトリコで休日を満喫する中、キャシーにとって良い事
は何もなく、夫のポールから別居することを提案され、
息子のアダムは別居すればポールについていくと言われる。
更に不運なことに医師から電話が鳴り、良くなっていると
思われたガン治験の結果が悪い方向にあることを聞く。
プエルトリコで楽しみにしていたスキューバだがバディの
ハズの兄は美人の女性についていきキャシーは一人で海を
潜る事になる。そこでアンヘルという男性と出会うことに
なるが・・目覚めるとキャシーは救急で運ばれる所だった。
ついにこのドラマシリーズの最終シーズン(4)の視聴。
海外では1時間番組で4話構成として放送されたが、
日本ではこれまでと同じく30分の枠で1時間を2話に分割し
全8話構成として描かれた。
かつてはGYAOなどで無料で放送されていたけど、今は
サブスクやレンタル、DVD販売など色んなところで放送され
ているのでそれぞれの環境にあったところでどうぞ。
また最終シーズンになるとタイトルは
「the big C : hereafter」となっている。
シーズンが始まるにあたり気になっているのは、
キャシーの気持ちとは裏腹に周りにいるものたちが自分から
離れていってしまう現状が有ったこと。
それもやはりガンの事実が発覚して以降、自分のやりたい事
を追求していくにあたり周りとの間に軋轢が生まれてしまった
こともある。これはキャシーに関わらず、ポール、アダム、
ジェシー共に自分の生き方についてそれぞれの道を見出して
いった結果でもあり成長の証でもあるのだろうけどね。
■シーズン3からシーズン4へ
最終話の一話はシーズン3の最終話の流れからどのような
繋がりがあるのか。
シーズン3の最後はプエルトリコでの顛末だった。
プエルトリコのシーンが最終シーズンならばキャシーは
アンヘルの元に行く事によってあの世に召されたと締めくく
ってもおかしくはない。
シーズン4はキャシーが救急車で運ばれるシーンから始まり
彼女はダイビング用ウェットスーツを着ていることからも
海の中で溺れたとみるのが正しい流れなのか。
そしてすぐに5か月後の9月という設定が提示される。
キャシーが住む「アメリカの冷蔵庫」ことミネソタ州・
ミネアポリスの9月は日本では考えられないほど過ごしやすく
平均最高気温は約29℃、平均最低気温は約16℃。
朝晩は寒暖差が有って寒くなるそうなので、日本の10月
中旬くらいの気温だろう。
気温はともかく9月といえばアメリカでは新学期である。
アバブーはポールの助手を首になった後、大学に通うことに
なり大学の寮生活をするようになる。
アダムは神様・お祈り偏重で進行していた流れが一般の
高校生らしくサッカー部に入って学園生活を楽しむようになる。
ポールは今でも生活の柱として講演活動を行う。
アバブーに変わってブロンドの女性アンバーが加わる。
9月に入ってこのドラマで初めて映し出された光景は
遺灰を庭に撒いている光景が有り、如何にもキャシーが亡くな
ったという思わせぶりな演出だが、実際にはマーリーンから
託されていた犬のトーマスが亡くなり、トーマスがマーリーン
の傍にいるという涙を誘うシーンに繋がる。
その二人の姿が見えてしまうキャシーは、天国に足を突っ
込んでいる・・という不吉さがあるのだろうか。
キャシーの場合、腫瘍は脳にあるので幻覚を見ることが
有っても腫瘍が影響したものとして扱う事が出来る為に
益々現実か虚実かの区別がつきづらい。
ただキャシーは4日後に化学療法を行うことになっている。
■特別扱いは嫌だ
キャシーはアダムが母親に反対することの意味を経験
を通して学ぶことになる。
・アダムは16歳の誕生日 Sweet Sixteen が近づいている。
キャシーは特別な歳・年齢だと称して誕生日会をしたいと
申し出るが、寧ろ彼は車の免許を取りたがり、それだけで
十分だと感じる。
キャシーはポールにも協力を求めるが嫌な顔をされて
アダムの意見に同調する。
・「医者が偉そうなのは神みたいに扱うからだ」
とは、かかりつけの医師と会った後にショーンがキャシーに
言ったセリフだ。
人は医者を特別扱いする。
そのセリフに同調したのはキャシーだった。
・アンドレアは理由をつけてキャシーの変わりに掃除を
したり、洗濯物を畳んだりする。
しかしキャシーは家に来るのは大歓迎だが同情してその
ようなことをしないように告げる。
大学生は外へ出かけて友達と楽しむべきよ。
これは高校生の歴史赤点のアダムにかける言葉とは真逆だ。
■気分は?
ドラマの中で明確なワードとして「気分は?」と尋ねる
シーンが多かったので目に付いた。単純に挨拶を交わす
だけでもいいけど、
・ポールがキャシーに尋ねる。「気分は?」
キャシーはガン治療で彼女らしさは奪われている。
髪の毛を短く切ったことはとても綺麗な変化だが、その表情
は明らかに辛そうだ。
「寝てばかりじゃ死んだも同然」
更に頭を悩ませるのはポールが「スイッチを押せ」を未だに
行っていることなのかも知れない。
・キャシーがアンバーに尋ねる。「気分は?」
最高です。
アンバーはポールをボス扱いし、本の原稿に対して最高の出来
だと褒める。その彼の元で働けることに幸せな気持ち。
・Dr.シャーマンがキャシーに尋ねる。「気分は?」
シャーマン医師はかなりキャシーのことを診察室で待たせて
しまった。後々分かるが実はシャーマン医師も大腸がんを
患っている。
下にも言及するがシャーマン医師との会話の中でキャシーは
今後の自分のやるべきことを見つけ出す。
・学校でふら付いて帰宅後ポールがキャシーに尋ねる。「気分は?」
●ショーンとアンドレアの役割
このシーズンでの彼と彼女の役割はどうなるのか。
ショーンは二人乗りの自転車(人力三輪車)を物々交換で手に入れた。
車はあるのに、自転車でキャシーを送り迎えするようだ。
ショーンらしく環境保護家に戻ったのか。
車の排気ガスで空気を汚したくない。
アンドレアは大学の寮に住むけど、美人の女生徒、イケメンの
男子生徒が居る。とても意地悪そうだ。
アンドレアはキャシーらの家を出て寮住まいみたいだけど
大学には居られないようになるのか。
●職場からの圧力
学校長からキャシーに対して体調を崩してからカリキュラムを
無視して歴史の成績が悪くなっていることを指摘される。
キャシーはキャシーなりの授業の形態で歴史を教えて来た
つもりだった。「楽しんではダメなのか?」
「かわいいだけじゃダメなのか?」(<-無関係)
生徒たちに郵送の遺伝子検査をさせた事も問題に出される。
遺伝子・ルーツの追及は歴史の根幹なものだが、アメリカ史と
いうよりも個人史の歴史だよね。
2020年前後はアプリを使って塩基配列の分析・解読して
遺伝子検査をしたり、顔だけで遺伝子の何か調べるのが
流行ったよね。
ただ正直キャシーが教鞭をとっているシーンはこれまでにも
かなり少なかった。高校に行くときには必ずアダムたち
が絡んでくるような内容だった。
■身近に話を出来る人は?
このセリフはキャシーが通うカウンセラーがキャシーに
尋ねた言葉だ。
実はシーズン3ではキャシー以外の人はみんなこの事に悩んで
模索していたのだ。
キャシーがいざそれを聞かれた今回、誰もいないことが分かる。
カウンセラーとは金で結ばれる関係だ。
息子はダメ。
夫は「病は気から」と思ってる。
その相手はやはり奇異な存在ではあるが忌憚のない会話が
出来る兄のショーンなのか。
それとも再び病院通いが始まり同じ病気を患う主治医の
シャーマンなのか。シャーマン側としては医師の立場で
キャシーに対応するのと同じ患者側の立場で彼女に対応
することは全く違う対応になる。
「何故休職しないの?」
「仕事が好きなんだ。気遣いは苦手だ。それでも医療も
研究も大好きなんだ。助けになる気がして私は人の生死の
渦中にいる」
●アンヘルは幻覚の産物?
アンヘルはAngelと書いてアンヘルと読む。
前にも書いたがスペイン語圏での読み方で、ドイツ語なら
アンゲルとなるし英語ならエンジェルとなる。
ゲームでもSNKの対戦型格闘ゲーム「THE KING OF FIGHTERS」
シリーズでも同名キャラクターが出て来る。
腫瘍のせいで見えているのか。
天使が見えるというと海外ドラマ「私はラブ・リーガル」
(Drop Dead Diva、アメリカ)を思い出す。
彼は守護天使であったが・・
冒頭の救命士がアンヘルに見えたし、巨大バーガーを食べ終わっ
たキャシーに拍手していたのもアンヘルに見える。
■その他
現状キャシーは手術で取り切れなかった腫瘍が縮んでいる
●会話
「ずっとダルいのよ。」
「処方箋を出すよ」
「安定剤が全然効かないみたい。むしろ不安になる。
もしかして不安定剤なんじゃない?」
●会話2
「もういいかね? それともまだ質問がある?」
「邪魔して悪いわね。でも私もうすぐ死ぬから」
「だから特別だとでも?」
●会話3
「サッカーは成績をあげてからよ」
「気持ちを考えてやれ。少しは家から出たいだろう」
「あなたの話?」
「息子のことを独断で決めるな」
「ズルい。いずれ独断で決めるでしょ。高校くらい私に任せて」
●大学寮
一人の美人と二人の男性がいる。
女はピアスがなくなったとしてアバブーを疑っているようだ。
何か大ごとにならなければいいけど・・
■使用された曲
・Game Called Life by Leftover Cuties (Main)
■出演者
キャシー・ジェイミソン (Laura Linney) 43歳、妻、高校の教師
ポール・ジェイミソン (Oliver Platt) キャシーの夫
アダム・ジェイミソン (Gabriel Basso) 高校生、15歳
ショーン・トルキー (John Benjamin Hickey) キャシーの兄
アンドレア・ジャクソン (Gabourey Sidibe) 生徒、デブ
アンヘル (Michael Ray Escamilla) 漁師 “Angel”と書いてアンヘル
Dr.アティカス・シャーマン (Alan Alda) がん治療医師
マーリーン (Phyllis Somerville) 亡くなった隣人・犬”トーマス”
(Kathy Najimy) キャシーのセラピスト
コニー・シューラー (Connie Ray) 学校長
アンバー (Liz Holtan) ポールの新しいアシスタント
リディア・ハイ (Samantha Futerman) ウェストヒル高校
ダイナ (Emily Tremaine) Dina 大学生・ズボラ
(Roslyn Ruff) 看護師
ステファニー (Heather Mac Rae)
アマンダ (Elly Noble)
ラルフ (Brandon Tyler Harris) 大学生・喫煙・ニット帽
(Catherine Manett) 大学生・眼鏡
ホリス (Jesse Newman)