※大昔に書いたものなのでフォーマットの違いから見づらいかもしれません。
すみません。「Helix 黒い遺伝子」で、この映画のことを取り上げたりで
アップしてみました。
ザ・フライ The Fly
1986年アメリカ
監督・脚本 デビッド・クローネンバーグ 製作総指揮 メル・ブルック
ス 原作 ジョルジュ・ランジュラン
製作 スチュアート・コーンフェルド 脚本 チャールズ・エドワード・ポーグ
出演 ジェフ・ゴールドブラム、ジーナ・デイビス、ジェイ・ブーシェル
、デビッド・クローネンバーグ
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この研究は世界と人間の生活を一変させるモノだ・・・バルトーク財団か
ら資金援助を受け、研究に打ち込むのはセス・ブランドル。彼は研究が一
段落すると、研究者たちが集まるパーティに出席していた。
そこでパーティクル誌に雇われている記者のベロニカ・ロニーを見つける
とセスは話しかけた。自分の研究を彼女に見せてあげるというのである。
その為に彼女を自宅に招待するのだった。家へと向かうがセスは
乗り物には弱く、少しの距離でも車酔いした。
寂れた所にある彼の家。どこかの倉庫を研究所兼自宅にしている感じの部
屋には、ピアノやソファーが置かれていた。その中に同じ形をした不思議
な造物を見つける。”テレポット”と呼ばれる個室のようなもの。
すると彼はその機能を紹介するために、ロニーが身につけているものを貸
してくれるよう頼んだ。すると彼女は突然、自分が着ているストッキング
を脱ぎだしセスに手渡す。すると、彼はそれをテレポットの中の一つに
置き、中央にあるコンピュータを操作する。暫くするとポッドは閃光を放
ち、ストッキングは目の前から消えてしまうのだった。これは何かの手品
なのか・・・不思議に思っていると、別の所にある同型のテレポットの扉
を彼が開ける。すると、消えたはずのストッキングがその中にあるのだっ
た。しかしロニーには、何が起こったのかを初めは理解できなかった。説
明を受け、朧気ながらそれが意味する事をようやく受け止める。すると
突然押し寄せてきた好奇心/興味に思わず興奮するのであった。手にはバ
ッグから取り出した録音機を持ちだし、彼女はセスに幾つか説明する。幾
つか質問に答えたところで録音している事実を知り、このことを公表する
事は遠慮するよう話すのだった。しかし、彼女は記者としてのチャンスだ
った。そのことを聞き分けるはずもなく、急いで上司のスタシスの元にテ
ープを持っていくと、それを聞かせるのだった。
しかしスタシスの反応は、ただの子供だましにしか聞こえなかった。単な
る手品に化かされただけだと、
聞く耳を持たず、彼女のネタを突っぱねる。するとそこに彼女を追いかけ
てきたセスの姿があるのだった。
セスはロニーにチーズバーガーを食べに誘うと、レストランで今の心境を
正直に話した。研究者は孤独、時と
して誰かに話したくなる、しかし今公表されるのは困るというのだった。
更にセスは、現時点ではまだまだ
研究は未完成であり、転送できるのは無生物に限るというのだった。そこ
で、セスは彼女に一つの提案を
する。公表する代わりに、それは雑誌ではなく、背景を調べ経過を詳細に
綴った本を出版して欲しいという
のだった。
研究室に戻ると試しにヒヒの転送を試みる。ロニーはその状況を刻一刻と
ビデオカメラに収めるのだった。
コンピューターに必要データを入力し、転送する。するとヒヒは転送され
たかと思うと、突然転送先のポッド
の中で多量の血を流して亡くなっているのだった。転送の際、ヒヒの内側
と外側が逆になってしまったという。
コンピューターに生命というものを教え込まないと転送は出来ないという
のだった。落ち込むセス・・そんな姿
を見て、ロニーは同情とは違う何かを感じていた。二人の距離は急接近す
る。その晩彼女は、セスの家に
泊まることに・・・。
翌日、ステーキ肉の転送の実験を行う。転送し終わった肉とを食べ比べし
てみると、転送した肉は、とても
食べられそうにない不気味な味がするのだった。コンピュータが解読する
課程で何かが抜けてしまったと、
まだまだ研究不足は否めなかった。しかし限りなく完成に近づいていた。
ロニーは一人で買い物に出るため外出する。すると、その様子を昔の恋人
であり、現在上司のスタシスに
見張られていた。彼女はこのネタだけは、どうしても掴むというと彼の元
から離れるのだった。
再び研究室ではヒヒを使った実験が行われようとしていた。今回は完璧に
データを入力した結果、転送実験
にも見事成功する。彼は例えようもない喜びの祝杯をロニーと共に祝おう
とする。しかしその時、セスの家の
郵便物に彼女が勤めるパティクル誌の新刊が有ることに気が付く。表紙を
見ると、セスの転送実験に関する
記事が書かれていた。それを見ると、彼女は横取りされたと激怒し、再び
スタシスの元へと行くのだった。
取り残されたセスは、共に祝う相手も居なく一人で酒を飲む。すると、目
の前にある転送装置で、自分を転送
してみようという考えが浮かぶのだった。データを入力し、テレポッドに
入る。そして一瞬の閃光の後、無事
転送に成功するのだった。
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研究者としての探求心と孤独感が入り交じる中、実験が成功したばかりの
転送装置に自ら実験台として転送してみる。転送された後の彼には、一皮
むけたような強靱的な体力を手にしている事が分かる。しかし、それには
決定的な欠点があったのだった。1958年「蠅男の恐怖」(The Fly)のリメイク作品。
うーん、この手の映画を見ると思い出すのがやはりロジャー・コーマン監督の作品です。
人間の目から見える視界をちょっと変えたことで、何処か神秘的な感じの
する「X線の眼を持つ男」をはじめ、人間が全く別の生物に変わっていく
という「スズメバチ女」など数々の面白いネタを映画化している監督です
。特にスズメバチ女は、この映画同様にスズメバチのエキス/遺伝子を体
内に注入する
事により異常をきたしはじめて、ついには人間がスズメバチに変化してい
くという大胆な映画(笑)なのですが、「ザ・フライ」でもトラブルによ
り、人間が次第に蠅に犯されていくという展開は、この映画にソックリで
す。
この映画、昔見たのですが、どんな内容だかすっかり忘れていました。
どこかの場面で耳が取れたとか、口から酸を吐いて誰かの体の一部を溶か
したような・・
映画は物質転送装置を取り上げたものです。
主人公が幼少の頃から乗り物に弱かった・・という設定にした事。三輪車
に乗っても乗り物酔いに会うと
いった主人公ですが、一瞬のうちに人間が移動できれば、そんな悩みなど
うち消されるといった思いから研究に打ち込む・・なんか自分の欠点を科
学で補おうとしているというのは動機としてはなかなか真実みがあるんじ
ゃないでしょうか。
肝心の物質転送装置の概念ですが、同じ様な転送ポッドが複数個あり、送
信側と受信側の間にものすごいコンピュータを介して、その機械が物質構
造を解析して受信側に同じ物質を作る事で転送するというものです。この
理論なら、同じ様なクローンがいくつでも作れそうですね・・そればかり
か、異質物が混ざってもコンピュータが記憶している限り、いつでも戻れ
るような気が・・(^^;
86年当時のコンピュータ事情から、コンピュータ自体が妙に安っぽいも
のを使っていて涙ものなのですが、それでも主人公が人間から蠅に移り変
わって行くときの特殊効果はなかなかグロテスクであり今見ても結構凄い
です。
しかし醜くなっていく課程でも主人公とその恋人は離れることなく、互い
の距離を保ち続けているというのはある意味微笑ましい事かも知れません
が、二人の関係というのが、互いに信頼感を持って結びつけておくには、
出会いも立場も違うので少々違和感を感じます。なんといっても目の前に
居るのはもうグログロとしてとても近寄りがたい怪物なんです。そんな要
因を振り払って、愛を貫くというには少々厳しい気がしました。
続編に繋がる展開・・ロニーが主人公セスの子供を宿した事で、どこかそ
んな信頼感が生まれて来たのでしょうか。
更に違和感を感じるのが、ロニーとロニー元恋人であるスタシスの関係。
完璧に悪者なら最後は主人公を応援したいところだけど、最後はセスの方
に罪悪感が漂っていましたよね。スタシスはホントに
嫌なヤツなんだけど、彼は彼なりにロニーを助けるためにあれこれと行動
しているのですから、そんな彼を倒した所で何処か喜べない展開に陥って
いると思います。
原盤の「蠅男の恐怖」は見たことが無いので、今度レンタルで探してみた
いと思います。
ジェフ・ゴールドブラム(セス・ブランドル)
ジーナ・デイビス(ベロニカ・ロニー)
ジョン・ゲッツ(スタシス)