第18話 幻 Ghost of My Child
脚本/Liz W. Garcia
監督/Roxann Dawson
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2005年2月12日。
寒い日、アパートで火災が発生する。消防士は必死に消火活動
をする中、プリシラは消防士に対してマックスという赤ちゃん
が室内に取り残されていることを語る。4階のFの部屋だとする
と消防士のマクロイが火の中から赤ちゃんを連れ出すが、既に
焼死している事を語る。
2005年・・・マックスは事故死として処理される。
生まれて8ヶ月のことだった。
ミラーとリリーはリットンハウススクエアで急にわめきだした
という女性の話を聞きに行く。留置場に一時的に入れられてい
る女性・プリシラは、公園の人たちを驚かせたとのこと。
しかし2005年の事件のことで何かを知っていると話しているの
だという。リリーはどうせ嘘だとすると、ミラーはリリーに
対して依存症には厳しいねと語る。母親がそうだったから・・
というリリー。
プリシラの元には既にサッカード捜査官が来ていた。
サッカードもまた時間の無駄だよと語る。彼女はジャンキーだ
とのこと。
ミラーとリリーは取りあえず話を聞く。
殺人事件のことを話してくれというと、2005年に亡くなったと
された息子のマックスをあの公園で見かけたのだという。
リリーはまたドラッグで妄想を見ているのかと呟くが、今は完全
に辞めているのだという。妊娠して90日間のミーティングに出て
辞めたのだという。死んだ子の幻想を見たのではないかとし、
あなたがガスレンジをつけっぱなしにして火災を起こしたので
しょと語る。プリシラはあの日はヒーターが壊れていたこと。
寒かったのでガスレンジの火で暖をとることは多いことを認める。
そしてあの日はタバコを買いにちょっと外に出たと語ると、
リリーはそれは育児放棄殺人だと語る。しかしプリシラはあの日
はガスレンジはつけていないのだと語り、私を信じて欲しい
と訴える。息子は髪の毛が薄茶色で生まれつき右腕にアザがある
のだという。リリーは調べて見るというが、ホントかどうか
分からないと語る。
スティルマンにプリシラの話を報告する。
聞き込みの結果、公園に当日いたのは8歳と10歳の子だったと
いう。ヴェラは検視報告書があるとし、爆発によってベビーベッド
から赤ちゃんは投げ出されて全身を骨折して骨だけだという消火
活動が終わったらベーカー通り252番地は焼け落ちていたこと。母親
は10分ほど出かけたとし、隣にベビーモニタを預けたと言っていた。
プリシラについて調べると2001年、02年、04年、とドラッグで逮捕
され、少年刑務所の代わりにリハビリセンターに入って居るという。
子供の父親は”やり逃げ”だったとのことで、出生証明証にも空欄に
なっているとヴェラ。
リリーは署にやってきたルイを見るとオシャレねと語ると、君の
為だと語る。火事について専門家の意見を聞くと、ガス漏れは
キッチンが出火、ガスレンジをつけっぱなしにする癖が有ること
を語る。しかしワニ皮模様がこっちの部屋で出ているとし、赤ちゃん
部屋からだという。ワニ皮模様は高温で長時間燃えた際に壁に
そのようなワニのような模様が付くもので、爆発の原因はガスだけど
その前から赤ん坊の部屋が燃えていたのだろうと語る。
当日マックスの部屋を踏み込んだマクロイから話を聞くスティル
マンとジェフリーズ。部屋にキャンドルなど火元はなかったか
と尋ねると、なかったという。ちょうど自分も娘が生まれたばかり
だったのでいたたまれない事を語る。
— 2005年 —
消火現場。オライリーとファーガソンはコリンズをサポートしろ
と。
— 現在 —
この子は愛されていたという。マクロイによると割れた窓硝子の
破片が室内に落ちていたという。爆発でガラスが吹き飛べば普通は
外にガラスは飛び散るハズ。これは爆発ではなく部屋に侵入して
火をつけたのだろうと。
スティルマンは当時の資料からアパートのオーナーは火災によって
保険金を92万5千ドルを受け取っているという。オーナーのヴィクター・
マルティネスは他にも高級マンションを3つ所有しているという。
認可局からから送られてきた資料によると、4階の住民がオーナー
に対して条例違反で訴えているという。真冬でヒーターが壊れっ
ぱなしで衛生上よくないというものだった。認可されたら
マンションを取り上げられる可能性があることを考えると、
それを訴えたプリシラに復讐しようとした可能性はあるという。
ヴィクターから話を聞くスコッティとリリー。
老朽化マンションを火災を起こして保険金を手にする事と、
クレームをつけた住民を始末する為に火災は一石二鳥だったので
はないかという。しかしヴィクターは自分は商工会議所の会員
でカトリック教徒であり、赤ちゃんを殺すハズないと否定。
しかし商売人ではないかと問うと、当時あのアパートを買いたい
とする人物が居たのだという。寧ろ問題は生き方の方ではないか
というと、赤ちゃんの為にクスリを止めるなんてそう簡単な
ことではないという。そう都合良くいかないのは引き戻す人がいる
ことだと語る。ヴィクターは当時フランクリンという売人が
プリシラに迫り3日以内にドラッグの金を払えと要求していたこと
を語る。
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2005年に火災で焼死したかと思われた生後8ヶ月のマックスの
母・プリシラは先日リットンハウススクエアの公園で騒ぎ出し
た為に拘留される。話を聞きに行くリリーとミラーは彼女から
息子を公園で見た事を告げられるが、彼女が麻薬の常習者の過去
があることからその信憑性が疑われる。しかし彼女は当日火災
の発生源だとされるガンレンジは使用していないということと
当時の現場写真を改めて検証し、当時消火活動をしていた消防士
から話を聞くと、現場の状況に不自然な点が見られた為に捜査
を開始していく。
シーズンの最終話にしてはチーム殺人課関係の流れが安定着陸
していて、ある意味では久しぶりに安心するような形でシーズン
を終えた感じ。
このシーズンではずっとリリーが憔悴していて、酒を飲むと
言いつつオフィスで起きた銃撃事件の後遺症に思い悩んでいた
ことも有るので、どうなることかと心配するところも有ったけ
ど最後は救われる形での終わり方だったので心地よさが残る
ものが有った。
リハビリセンターに出てきた女性が4歳の子供がいると語った
時点でかなりの確率で”この人犯人です”的オーラを感じて見ていた。
そんな事情も有ってサプライズらしいサプライズもなく、残す
ところは淡々と答えまでの道筋を傍観していた感じもするし、
リリーが依存症だった亡き母親との関係で未だに人生に光を差す
ようなところが見えない中、依存症というキーワードに対して
敏感になる様子を表現は悪いけど興味深く眺めていた。
ドラマでは子供を捨てる母親の心理というものに触れていく
ことでリリーとしては、母親によって捨てられた過去と
向き合う流れに繋がっているのだろう。依存症の親を持つ
ことに子供がどう感じるのか。依存症の母親が子供を本当に
育てることは可能なのかどうかという点でも興味深く、
子供が出来れば母親は強くなるとはいうけれど、まさにそれを
体現するようなエピソードだった。
両親が薬漬けになっている状況で生まれた子ということも
有るので、正常に子供が生まれてくるのか心配するものも
有るし、祖父母が孫にも感心がないとばかりに、早いところ養子
に出すよう提言する辺りがなんとも言えないところ。
誘拐された子供が、事件の真相・解明と共に正規の母親の元に
戻ってくるという内容は多いけど、母親以上に子供の精神的な
面でも心配するものが有る。幸いにしてまだマックス少年は4歳と
いう若さだったことも有るので複雑ではあるけど、順応できると
思うところは唯一救いかも。
子供が心の支えになりドラッグを絶っていたハズの彼女は
子供が居なくてもドラッグを辞めていたという辺りは、
その決意を感じるところだけど、そんな彼女は子供の喪失感を
何で補っていたのだろうか。
金持ちの子供に育ったからと言っても幸せだとは言い切れない
し、逆にプリシラの両親は何故子育てに失敗してしまった
のかも知りたいところ。期待の娘に育たなかったことで、
見限る流れが有ったのか。
誘拐した夫婦も、それなりに地位を持って生活している人物なので
打開策として、養子をもらうことは出来なかったのだろうか。
誘拐だけでなく放火事件を犯していることを考えると、相当な
重罪だと思う。生活基盤はしっかりしているのだから、
もう少し頭を使えればみんなが幸せな道を模索する事は可能だった
だけに、助けるものたちが巡り巡って犯罪者側になるというのは
ちょっと切ない。
■使用された曲
・Far Away By Nickelback
・Modern World by Wolf Parade
■検索用キーワード
・
リリー・ラッシュ (Kathryn Morris) 殺人課の刑事
スコッティ・ヴァレンズ (Danny Pino) 殺人課
ジョン・スティルマン (John Finn) リリーの上司
ニック・ヴェラ (Jeremy Ratchford) リリーの同僚刑事
ウィル・ジェフリーズ (Thom Barry) リリーの同僚刑事
キャット・ミラー (Tracie Thoms) 麻薬課刑事 s3#8から
エディ・サッカード (Bobby Cannavale) 麻薬捜査課
2008年・2005年
プリシラ・チェイピン (Nicholle Tom) ジャンキーのシングル母
ジュリア・チェイピン (Deborah Strang) プリシラの母
ヘイデン・チェイピン (Mark Pinter) プリシラの父
エリス・スミス (Alex Feldman) ジャンキー、プリシラの元恋人
ロイス・ラビンキスキー (Molly Hagan) 妻、マロニースミスリハビリセンター
Dr.トーマス・ラビンスキー (John Prosky) 夫、セントポール病院医師
ヴィクター・マルティネス (Julio Oscar Mechoso) マンションのオーナー
フランクリン・パーマー (Chandler Parker) 麻薬の売人、刑務所
ルイーズ・アマンテ (Doug Spinuzza) 鑑識課捜査官、”ルイ”
ジェームズ・マクロイ (Erik Van Wyck) 消防士
シャンテル・レゴロス (Sufe Bradshaw) 現在のエリスの恋人
— (Teddy Lane Jr.) Fireman
マックス・チェイピン (Ridge Perkett) プリシラの子
マット (Brad Surosky) “Crispy Pollo”店長
— (John Bailey) Football Player
— (Pete Brown) Barista
— (D.M. Atlas) Pedestrian
— (Holly Dunlap) Street Girl