May 6, 2007
第9話 ドレス Boy Crazy
脚本/Joanna Lovinger 監督/Holly Dale
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1963年9月16日。
グロリアは転校生のサム(サマンサ)を見て、ジェイニーと相談
する。二人はメモをサムの机に乗せる。
その手紙をレッドが奪い取りその場で読む。そこには”あんた
童貞でしょ”と書かれていた。ドムは辞めろとして止めるが、
レッドはコイツは女だぞとしてサムの服を破いて見せる。
見た目は男性だったが・・
そのサムは赤いドレスに身を包んだまま遺体として発見される。
サマンサ・ランドール・・・自殺として処理される。
2007年。
スコッティはボスに呼びだされたとしてリリーに語る。
リリーは1963年にFDR公園の湖畔に揚がった溺死体の件で情報
提供者が来ているのだと語る。当時16歳の女の子が橋から800m
の所で打ち上げられたものだった。あの場所は自殺の名所だろ
うというスコッティだが・・
リリーとヴェラは情報提供者だというモーリスと面会し話を聞く。
彼は元々酒浸りのどうしようもない人物だったが、今年は飲んで
いないと告げ、断酒会では秘密はよくないとされたので話に
来たのだという。みんなサマンサが当時橋から飛び降りたとして
いたが、あの現場にオレはいたが飛び降りではないと語る。
車が走る音が聞こえた後、水音がしたのだという。そして橋から
下を見たら女の子が流れていったのだという。
リリーは当時の検視記録を見ると確かに肺に水はないとし、溺死
じゃないという。ヴェラは投げ捨てられたのかと告げる。
スコッティはスティルマンの元へ。
内務監査のゴードンたちからスコッティの処分が決まったと
して30日の停職勧告だという。スコッティは自宅待機していれ
ば良いのかと問うが、スティルマンはあくまで勧告だとして、
今は仕事に専念するよう告げる。後のことはオレがなんとか
するというスティルマン。
ミラーとジェフリーズは当時の資料を見る中で、サムを見て
男性なのか女性なのかと語り合う。ミラーは私も昔はおてんば
だったので腕相撲をすれば男兄弟に勝っていたという。
しかし普段のサムは男性の格好をしていたのに殺された夜だけは
ドレスを着ていたのは何故なのかということになる。
サムは転校生で、グレースフェリー高校に入って二ヶ月目の事
だという。自殺だとされたのは、過去のサムの問題行動に有った
ようだとし、2、3週間ごとに家出をしたり泥酔状態で3度補導
されたしているとのこと。当時は同姓愛は病気とされていた
とし、犯人は教育のつもりで服を着替えさせたのではないかという。
死因は何なのか。コメカミには赤い斑が有ったが、それが
打撲なのかヤケドなのかとリリーは問いかける。
ジェフリーズはサムの肉親であるアーチー・ランドールの元に
いき話を聞く。アーチーは幼少期に母親を亡くしたので私一人
で育てた事を告げ、まるで息子だったという。幼少期には
秘密基地を作ったりどろんこ遊びをしていたとのこと。
しかし12歳頃から教師たちにも口答えをするようになったり
無断欠席をするようになっていた。ケンカし高校を2、3校も退学
になっていた。引っ越しも2度したというアーチーは破産寸前
だったと語る。女性と一緒にいるのを見た事はあるのかと問うと
そっちの気はなかったようだという。危害を与えそうな人に
心当たりはないかと尋ねると、いつも世間に一人で突っ張って
いたが友達は居なかったと語る。
— 昔 —
校長室にサムと父・アーチーが呼びだされる。
サムは校長に対してレッドが悪いのに何故オレが呼びだされるの
かと訴える。校長は服装が問題だと告げる。レッドみたいなヤツの
為に女性の格好をしろというのかとして反発する。レナード
看護師は、お母さんと服を買いに行ったことはないのかと問う
とアーチーはスカートなどは家に山ほどあるが着ないのだという。
校長はサムみたいな生徒は将来問題を起こすと告げ、人格障害や
アルコール依存症になると語る。専門の病院がある事を告げると、
サムは自分らしくいるのは罪なのかと問う。君らしい君という
のは一体何なのか?と問う。サムは校長が勝手に技術の授業専攻を
家庭科の授業に変更していることに文句を言うが・・・
校長室の外にいたドムはサムに対してホームルーム以来学園祭
の女王候補になっていると語る。
— 現在 —
当時は誰も味方してくれなかったとし、みんなで虐めたのだという
アーチー。私もかばってやれなかったとし、娘は話をしてくれなくな
ったという。娘には一時的なことだとし、いつか笑い話になる
日が来ると話した事を告げるが・・・
ドムの元にリリーとスコッティは尋ねる。
ステンドグラスのアーティストをしている彼に当時のことを尋ねる。
サムのことを告げると懐かしい名前だと告げる。63年の11月に殺され
た事を告げ、何か知っているのではないかと問う。あなたに
薦められたドレスを着て亡くなっていたのだという。ドムは当時
悪を気取って居たがただのクソ餓鬼だったと告げる。16歳で
家宅侵入、不法侵入で捕まっていた。しかしオレは殺していない
と告げ、サムが亡くなった日、オレは家に居てオヤジが母親を
殴らないか見張っていたのだという。二人ともはみ出しもの同士で
仲良くしていたという。男たちがドラッグレースをしていること
を知り、サムもそこにやってきた事を語る。
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1963年11月にFDR公園で亡くなった女性・サマンサ(サム)の遺体
に関して、警察当局は自殺だとして処理していたが、情報提供者
からの通報で、橋の上から飛び降りたとされる案件は、実は何者
かが車で遺体を流したというものだった。事実関係の裏取りのため
に調査する中、溺死だとされた遺体は肺の中に水が入っていない
ことやコメカミの残された謎の赤い斑点から本当の死因を見つけて
いく。
60年代の世界が描かれた今回のエピソード。
そろそろ会社でのリタイアが視野に入る世代ということも有って
今回はなんとチーム”殺人課”でのスティルマンも30日間の停職
期間を通して改めて人生を見直す期間に入ったのかなとも思わせる
ような流れも存在した。
後身のものの為に身を盾にして犠牲になるスティルマンの姿。
もっとも年齢の近いジェフリーズにだけ心情を吐露するという
ところがなんとも言えないけど、私物を手にしてオフィスを眺める
スティルマンとチームの面々の光景を見ると、こんな家族的な
職場環境から離れることなんて出来ないようにも思う。
生粋の刑事魂を持っている人だろうし、降格処分を受けてでも
守りたい彼の”居場所”がここには有るって感じのものだった。
今回のドラマの中でもそんな”盾”となるべき理解者が居れば
こういう結末にはならなかったのだろうね。
署員たちの私生活ネタは今回殆どなく、60年代の世界観を通して
現代の価値感と当時の感覚を見比べてみるのが楽しくも有り、
切なさを感じるエピソードだった。
60年代の世界観と高校を舞台にした流れを見るとジョージ・
ルーカス監督の映画「アメリカン・グラフィティ」を彷彿とさせる
内容だ。
ドラッグレースに興じる姿。ルーカスの映画でドラッグレースの
中で粋がっていたボブ・ファルファ演じるデビュー当時のハリソン・
フォードを彷彿とさせるものが有り、何時の時代も力を持つ物
に取り巻きは付いているし、クラスからはみ出すものの光景が
存在する。今回の被害者のクラスでの特異的な状況を見る限りでは
誰でも若さ故に粋がった行動が人を殺める行動となる可能性は有った
し、自殺してもおかしくはない時代性と環境は整っていた気がする。
なんと今回の主人公は性同一性障害者を扱ったものだった。
コメカミが赤くなっていたのは、電気ショック療法によるもの。
双極性障害や統合失調症の患者に対してロボトミー手術を行うなんて
光景はS3-5「人形」の中でも見ることが出来たけど、病院で起きた
ことが問題として浮上していたり、愛するものを置き去りにする
という意味では似たような流れが有ったように思う。
主人公のサムの行動を見ると、自分が悪いことをしている訳
ではないのに、責められてしまう彼女の姿を見れば、グレてしまう
のも分からない訳では無いけど、これだけ不条理なことをされても
実直さというのを貫く姿が有り、理解されないことの辛さというもの
を感じる。
人は理解の及ばないものに対して不気味に感じて排除しようとする流れ
というのは、今の時代で有っても変わりないもの。それだけに知識
というのは必要なのだろうね。
作りものの女性像ということで、今回は当時レッドの彼女として
粋がっているジェイニーと対立する構図が有った。
彼女は女性力を上げる為に着飾っている訳だけど、それが自分を
偽るサムと同等のものなのかというと違うのだろうけど、比較する
意味では興味深い流れが有った。
人はどの辺から将来を見据えた行動を取るのか分からないけど、
高校時代の経験が現代の自分の行動に影響を与えているということ
を通して、当時のサムの姿が及ぼした影響力をみると、決して
無駄な人生ではなかったという感じで人々の心の中に自然と息づいて
いるところが有るのだろうね。
高校時代のジェイニー役を演じていたのが、Elisabeth Harnois。
「CSI:科学捜査班」で、モーガン・ブロディ役としてシーズン12
からレギュラー出演している彼女。
サムとジェイニーが女同士でケンカしている光景をニヤニヤしな
がら見ているレッドの姿を見ると、趣味が悪いなという感じだったな。
殺人事件に於ける殺害方法にはメッセージ性が高いと言われるけど、
ドレスを着ていたことは勿論のこと、亡くなっていた場所自体に
意味があるというもので、なんとも切ない流れが有った。
■使用された曲
・He’s a Rebel by The Crystals
・Runaround Sue by Dion DiMucci
・Walk Like A Man by Frankie Valli & The Four Seasons
・Big Girls Don’t Cry by Frankie Valli & The Four Seasons
・You’ve Really Got A Hold On Me by The Miracles
・The End of the World by Skeeter Davis
・Everybody Loves Me But You by Brenda Lee
リリー・ラッシュ (Kathryn Morris) 殺人課の刑事
スコッティ・ヴァレンズ (Danny Pino) 殺人課
ジョン・スティルマン (John Finn) リリーの上司
ニック・ヴェラ (Jeremy Ratchford) リリーの同僚刑事
ウィル・ジェフリーズ (Thom Barry) リリーの同僚刑事
キャット・ミラー (Tracie Thoms) 麻薬課刑事 s3#8から
2007年
ポリー・レナード (Lelia Goldoni) 看護師
レッド・バックリー (Wings Hauser)
アリ・ゴードン (Mark Rolston) 内務監査局
モーリス・ハバーショウ (Jack Donner) 目撃者、断酒会
ジェイニー・デイビス (Leigh Rose) 大学の教授
ドム・バーロン (David Selby) ステンドグラス店
アーチー・ランドール (Michael Constantine) トランプ仲間と・・
1963年
サマンサ・ランドール (Linsey Godfrey) “サム”、性同一性障害
ジェイニー・デイビス (Elisabeth Harnois) 高校生、レッドの彼女
レッド・バックリー (John Patrick Jordan) 高校生、ボス
ドム・バーロン (Jonathan Keltz) 高校生、アウトロー
アーチー・ランドール (Michael Oberlander) サマンサの父
— (Jim Abele) School Principal / グレースフェリー高校・校長
ポリー・レナード (Mina Badie) 看護師
Dr.ラッセル・キーンズ (Jim Jansen) ブルック・ビュー更正施設、85年ガンで死
— (Lane Compton) Bully
アンディ (Neil Ironfield) 7歳
ルイーズ (Elvy Yost) 施設の子
フェリシア () 施設の子
メリッサ・ラウアー () レッドが体育館で・・
グロリア () 高校生