第18話 セックスと嘘と結婚 Molly, You in Danger, Girl
脚本/Chris Van Dusen 監督/Tom Verica
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【前回までのあらすじ】
モリーはテレビに出ているオズボーンの姿を見て、あの人が
ウェンディを脅していたと語る。サイラスはオリヴィアがデー
トだと知ると誰とデートなのかと問う。言っても知らない人
で私自身もよく知らない人だという。ジェームズはサイラスか
らの告白でディファイアンスの投票箱で不正投票したせいで
ホワイトハウスを略奪したことを聞く。ローワンはジェイクと
接触すると、オズボーンは警察には自殺に見える様工作した
事を語る。みんなオズボーンが内通者だと思っていると語る。
【ストーリー】
フィッツ大統領はマスコミの前で、前CIA長官・グレイデン・
オズボーンが敵国に機密情報を漏洩していたことを語り、
内通者だった事を語る。私自身が任命し、信頼していた人物が
密かに国を裏切り国の破滅を狙う活動に関係していたとして、
それを報告するのは忸怩たる思いだと語る。それでも彼らの
企みは失敗に終わったと語る。
クインとハックは毎月第三水曜日には大掃除するのだとして
オリヴィアの部屋に不審なものがないかを調べる。
ハックたちが来る直前にジェイクは盗聴器などを片付けて
おき、ハックたちが調べ終わった後にまたオリヴィア邸に侵入
して盗撮機材を仕掛けていく。ハックはオリヴィアに問題が
ないと報告する。
オリヴィアたちの事務所に居たデビッドとモリーに対して、
オズボーンが死んだことを受けて、例のUSBを狙う人がいなくな
ったので君らも大丈夫だと語り、普通の生活に戻っても大丈夫
だと語る。
サイラスはメリーとフィッツを呼びだすと、正午までに以前から
決まっていたインタビューを受けるかどうかを決めて欲しいと
語る。夫婦揃ってのインタビュー。しかも「アメリカのベビー」
誕生後初、そして「フィッツ狙撃事件」後初の主要局による
インタビューだとし、とても重要なことだと語る。メリーは
インタビュワーはオプラ・ウィンフリーではないのかと問うと、
それが良いならばすぐに条件を提示するというサイラス。
大統領選再選への立候補表明に関して6週間を切っている状態
なのでこのインタビューに全てがかかっているのだという。
フィッツもメリーも受けると語る。求められているのは、幸せ
な夫婦像であり、暖かく強い絆と愛で結ばれた夫婦だという。
国民が見たいのは現実ではないと。これじゃまるで映画「バージ
ニアウルフなんかこわくない」だとすると、人が見たいのは
おとぎ話だと語る。フィッツは20年間仮面夫婦をしてきたので
大丈夫だという。メリーもあなたとジェームズみたいにいかない
とと語る。
しかし肝心のジェームズとサイラスは別居状態だった。
ジェームズは来るのであれば連絡しノックして入って欲しい
という。ホテル暮らしになって22日目、自分の家のドアをノック
することなんてゴメンだというサイラス。私は夫と暮らしたい
し、ウチにも戻りたいと語る。ジェームズはダメだと告げると
貴方の顔を見ていると何を聞いても嘘を付いているとしか見えない
のだとし、時間が欲しいと語る。まるで政治家夫婦じゃないかと
して、時間はもう何日も与えただろうとし、後どのくらいの
時間が必要なのかと告げる。
アビーは、内通者の件が終わったので”アルバトロス”のファイル
を保管庫に入れることをハリソンに語る。
そんな中クインが入り口で誰かと言い争うことが聞こえる。
スーザン・オズボーンがオリヴィアの前に現れると、私は
グレイデンの妻・スーザンだと告げ、政府は夫がこの国を裏切ったと
言っているがあの人たちが言っていることは嘘だと語る。
私は決して悲しみから妄想に走ったのではないとし、あの人は
自殺ではなく殺されたのだという。遺書の宛先はスーザンへと
書かれているが、スーザンなんてこれまで呼ばれたことはなく
“スージー”か”ハニー”だという。30年間で一度もスーザンと
呼ばれたことはないので誰から無理矢理書かされたのだと。
オリヴィアとスーザンが話合う中、ドアの外でアビーやハリソン
は会話していた。アビーは本当に違っていたらどうするのかと
問うが、ハリソンはそれはないとし、オズボーンは黒だという。
それにオリヴィアはこんな依頼は受けないと語る。しかし次の
瞬間オリヴィアはこの依頼を受けるとドアを開けて語る。
全ての証拠を一から調べ直すこと。関係者から話を聞いて自殺だ
と確信出来るまで調べるという。人が死んでいるので曖昧には
出来ないこと。
クインとハックは遺体を検死解剖したノアを尋ねる。
自殺に使用した銃と一致。銃の血痕は遺体と一致しているという。
発射残渣はどの指だったのかと問うと、引き金を引いた指で
教科書通りの自殺だというノア。ハックは不審な点はないと
するが、クインは寧ろ完璧すぎるという。自殺の状況証拠が
揃いすぎていると逆に違和感があると。アルバトロスはウェンディ
の件でも偽装していること。オリヴィアは、オズボーンはCIA長官
なので24時間仕事漬けであり、警護担当のリックに話を聞こう
と語る。
リックの元に行きオズボーンが殺されたと思うか?彼が国家
機密を漏らしたと思うか?と問うが何れも答えられる立場では
ないとして返答を避ける。主人は愛国者だったでしょ?というスー
ザン。オリヴィアはCIAへの忠誠を一旦置いて事実を話してと訴える。
愛国者だったのかどうか。本当の彼を知るならば、妻や娘の為に
も彼の名誉を守って欲しいと語る。するとリックは愛国者だった
ことは間違いがないが、ギャンブルの問題を抱えていたのだという。
ポニー競馬が好きだったという。それを聞いてクリーニング店
のものはノミ屋だったと推察する。しかし借金で機密を売ったのか
とハリソン。オリヴィアはこうなるとモリーの証言が怪しい
として、オズボーンがウェンディを脅した際に何を言ったのか
改めてモリーから聞いて欲しいと語る。これはモリーに始まりモリー
に終わるものだと告げる。
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フィッツ政権に於いて内通者の存在が明らかになり、カシェル
ファルに於けるテロリストにCIA工作員が拉致された事件を
無事に救出することに成功する。フィッツとしては内通者だと
思われるCIA長官・オズボーンへの任命者責任も有ったが、
彼は車中で銃で亡くなり発見される。
一つの脅威が取り除かれたことで、その事を全面的に国民に
向けてアピールする。もうすぐ大統領選に於ける再選のことも
有って、マスコミや国民たちに対して、希望や未来を与える為
に久しぶりに大手報道局のインタビューを夫婦揃ってアピール
することでフィッツ政権の健在ぶりを誇示しようとする。
そんな状況の中、オリヴィアの事務所にはオズボーンの妻・スー
ザンが依頼人としてやってくる。夫のグレイデンは、自殺では
なく他殺されたものだとして捜査して欲しいと頼む。彼は
遺書を残していたが、夫は私の事をスーザンと呼んだ事は
ないとのこと。人が死んでいることなので、オリヴィアとしては
徹底的に洗い直して、自殺だと断定出来るまで調査しようと
語る。
それぞれに犯した過去の事象・決断が重たくついて回ってくる様
な話でしたね。過去からは決して逃れることは出来ないこと。
前回はホリスのエピソードも解決したし、人生を壊したデビッドは
完全にチームオリヴィアみたいに振る舞いを見せているので、
ディファイアンスの件はある程度吹っ切れるものが有ったのかな
とも思ったけど、その傷跡は当然ながらくすぶり続けていて、平静
を装ってはいるけど、何か問題が発生すれば、かならずその度に
言及されてしまうというもの。
それぞれの葛藤点がとても面白く、エピソードとしては混み合って
いるのだけど、テーマが共通しているので実に上手い作りになって
いる。
正直ものがバカを見る世界になっているのが実に切ないドラマだ。
オズボーンは愛国者だったし、ジェームズ、アビー、デビッド、
そしてフィッツはこのドラマの中では正直者の代表のような
人物だったのに、どんどん汚染された空気の中にいて、自分も
似たような病に冒されていく姿が有る。
日本語のサブタイトルからすると映画「セックスと嘘とビデオテープ」
をモジっているのかなとも思ったけど、原語のサブタイトルを
見ると「Molly, You in Danger, Girl」。
嘘とか芝居、結婚に於けるそれぞれの考え方の違いなんかも面白く
ぶつかり有っているし、恐らくどの主張にも一理あるようなところ
が有って、それぞれが主張する度に毎回頷かされるものが有る。
政策や人間関係が上手く回っている時にはそう感じることも無いの
だろうけど、何かの岐路に立たされ、何かを決断しようとした時、
問題を抱えている人にとっては、そのことが思い出されてしまう。
フィッツとしても、今の自分が何処に向かおうとしているのか、
迷走することに至る根っこを探していく。
人が変わってしまったことに対して、自分に責任が有るのではないか
と考える人は、よく出来た人だと思う。大抵は自分が変わった
ことは他人の責任にしたがるハズで、この辺はジェームズとサイラス
の葛藤の中で気が付かされるものだった。
問題はサイラス自身にあるのではなく、その様な決断をしてしまった
ジェームズ自身に問題が有り、そんな自分が受け入れられないところに
有る様子。勿論その人と出会っていなければそういう選択肢は
無かったのかも知れないけど、それを否定するのはちょっぴり現実
的ではない。
一方仮面夫婦であることは否定出来ないグラント家だけど、問題の
根っこは既に出会いから仕組まれたものとして運命づけられていた
ところに有るのではないかと考えるフィッツ。
フィッツは自分の家系は成金であり、対するメリーは本物の上流階級
でありメイフラワー号に遡るような家系/血統証付きのサラブレット
だとしていたけど、大抵家柄とか能力の違いの劣等感を抱く者に
とっては、とかく権力にしがみつきたくなるもの。フィッツは
当初そのような人物ではなかったけれど、前回メリーからは
否定していた父親と同じような人物になっていることを指摘され、
インタビューの件を通して平気で嘘を付いている自分がいること
に対して違和感を抱えていた。
しかしメリーが「結婚」とは何かということに対してもの凄く現実的な
ことを語り、この人こそ強い意思を持っている人なんだなと改めて
感じさせる。「何の偽りもなしに一生を共にすることを望んでいる
のは幻想よ・・・それこそ偽りだ」という。
多かれ少なかれそういう一面があるにせよ、大統領ともなると、
その偽りが強大なものとして存在しているところが有るので、
一緒くたには語れないところはありそうだけどね。
アビーとデビッドの件もちょっぴり切ない者があり、「これが私の
仕事だ」として一蹴出来れば良いのだけど、そうも割り切れないもの
が有り、愛情と憎しみの間で複雑に揺れ動く状況を描いているね。
●●
さて今回はなんと言っても内通者の存在再びということで、
チームオリヴィアは本当の内通者が探っていく。
・グレイデンが残した遺書での妻への言葉。
・自殺の状況証拠が完璧すぎることへの違和感。
・グレイデンの警護担当者の証言
・モリーの失踪と共に口座に振り込まれた大金。
取りあえずモリーを掴まえようとして、ハリソンは司法省から
搭乗者名簿を確保しようとするが、デビッドは国土安保省の知人
に頼んで搭乗拒否をしてもらおうという。デビッドの存在価値が
ここに来て急に上がったワンシーンだったし(ヘルメットのグラディ
エーター)、クインがハックから色々と学んでいることと共に、
デビッドもまたこの事務所で色々と活動を共にしていることで、
色々と学んでいくべき流れが有るのかなという気がする。
口座の情報からバド・ジョンソンという名が使われていた。
その名で貸倉庫が借りられていること。
ハックとクインの流れに於いて、あれだけ用心深いハックが
あっさりとやられてしまうところなど、この案件が容易ではない
ことを感じさせるし、政府関係に関わっているオリヴィアに
とって何れこういう危機は訪れるのだろうなということは自らも
感じて居たハズ。その割にみんな意外とセキュリティにしても
行動にしても安易なところがあるな。そろそろみんな銃でも
携行した方が良いのではないかという気がするね。
監視カメラ映像を見破ったクインの洞察力。
それ以前にもジークという警備の男性の行動を見ていて、上手い
こと指摘していた。ハックはクインに対して車に残って怪しい人物
が居ないか監視する様言っていたけど、その怪しい人物は3人の
風俗嬢だったってヤツですね。
オリヴィアとジェイクの関係もまた微妙だな。
ジェイクがフィッツによって依頼されて監視していたこととは
別の流れが有ること。ジェイクが監視していることは確かに
気味の悪い行動だったけど、オリヴィアの部屋に潜入する殺し屋
の存在がオリヴィア邸に仕掛けられている映像の中に見て取れる
ところだった。
状況が変われば相手のことが信用出来ない世界であることは
分かるとしても、フィッツが病室にやってきて動けないオリヴィア
に対して「やぁ」と語る一言は、かつて互いに信頼感を寄せていた
頃の言葉とは違うし、フィッツが銃弾に倒れてオリヴィアに生存
確認の電話をした時にも「やぁ」と言葉をかけていたけど、
フィッツとは逆の立場になり、この一件ではみんな似たようにして
傷ついていることが描かれているね。
それにしてもハックは大丈夫なのかな。
気が付くと一連の案件に”アルバトロス”という名称が付いているの
だけど、いつから付いたものだったのだっけか。
●使用された曲
・Scandal End Theme
Composed by Chad Fischer
・Low Rider by War
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オリヴィア・ポープ (Kerry Washington) フィクサー、”リヴィー”
ハリソン・ライト (Columbus Short) 弁護士
アビー・ウェラン (Darby Stanchfield) 調査担当
リンジー・ドワイヤー/クイン・パーキンス (Katie Lowes) 弁護士
ハック (Guillermo Diaz) 技術担当・元CIA
サイラス・ビーン (Jeff Perry) 大統領補佐官
フィッツジェラルド・グラント(Tony Goldwyn) 大統領
ディヴィッド・ローゼン (Joshua Malina) 連邦検事補 -> 弁護士へ
メリー・グラント (Bellamy Young) 大統領夫人、ジェリー、カレンの母
ジェイコブ”ジェイク”・バラード (Scott Foley) 統合参謀本部大佐
ジェームズ・ノバク (Dan Bucatinsky) サイラスのパートナー
チャーリー (George Newbern) 暗殺者
スーザン・オズボーン (Mary Page Keller) グレイデンの妻、娘一人
モリー・アッカーマン (Mageina Tovah) ウェンディ殺害目撃者
ノア・エリオット (Steven W. Bailey) 検視官
ジーク (Billy Malone) メリディアン貸倉庫
ローレン・ウェルマン (Sharmila Devar) 大統領の秘書
リック・ストラウス (Marcuis Harris) オズボーンの警護官
ローワン・ポープ (Joe Morton) ジェイクと精通
ローズ・カーペンター (Kristin Lindquist) BNC社のインタビュワ
— (Durant Fowler) TSA Official
— (Eric Emmanuel) Med Tech Carl
エラ () ジェームズの養子
フォスター () FBI長官