第11話 ブラック・レイン Black Rain
脚本/Tiffany Greshler、Javier Grillo-Marxuach
監督/Jeremiah S. Chechik
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【前回までのあらすじ】
使用されていないレーダー基地で捕らわれていたグンナルは
僕を解放してと求める。イヌイットを襲う兵士たちを倒した
ダニエルはアナナとバリエセロスに対して急いで逃げる様
告げる。チャンスを待てば未来は開けるという少佐の言葉に
説得される。グンナルは永遠の命は死の経験の一万回に等しい
事を語る。アランはジュリアに対してグンナルが語っていた
不老不死の人間のことを本気で信じるのか?と問うが、ジュリア
は理屈では考えられないことが多すぎて分からないという。
ハタケはサラは腫瘍であり長くはない事を語る。アランは
ハタケならば救えるのかと問うと、ジュリアが救うと語る。
そんなジュリアはレーダー基地で廃棄したハズのナルヴィクの
AとBのクスリを密かに持ち帰っていた。
そんな中、ピーターはベクターたちが集めた黒い血を飲んで
生き返る。
【ストーリー】
11日目。
施設内を食料を探して回るカトウ博士。食べ物を探す中、
何故か通路の先には電子レンジが稼働し、中にはネズミが入って
いた。そんなカトウが近づいた途端にベクターによって連れ去ら
れる。ネズミは解凍中で間もなく破裂してしまう。
ハタケはサットン宛にメールされてきたメッセージを監視
していた。「極秘回収計画、開始まで6時間」と書かれていた。
ハタケはすぐに爆弾を用意する。
ジュリアはサラのベッド近くのソファーで寝ている中アランが
やってくる。サラの腫瘍に対してジュリアは腰椎穿刺を行い
ジュリアの脳脊髄液をサラに移植したのである。体の回復の
為に暫く休むよう指示する。サラの様子はどうか?と問うと、
MRIの画像診断の結果腫瘍は小さくなっていると語る。効果
が有ったのかというが、ジュリアはあまり嬉しそうな顔を見せ
なかった。彼女はこの選択が正しかったのかどうか。
迷うヒマもない所で選択を強いられたので仕方がないと語る。
ジュリアが変身した理由は科学では説明出来ないが、人を救える
のかも知れないという。サラは私の遺伝子を調べていたこと。
私の細胞がウイルス撲滅の鍵になるだろうとし、みんなを助けよう
と語る。問題はイラリアの襲撃が時間の問題であることだった。
臨時の研究所を設置するというアラン。
デュシャンはアランに対して深刻な問題だとしてやってくる。
仲間が次々と消えているというのである。
その間ハタケは着々と要所要所に爆弾を設置して回っていた。
ベクターが居る地下室にも爆弾を設置していた。
デュシャンによるとカトウ博士は食料を探しに行ったが、
一人で行くなという制止を振り切り行ってしまった結果居なくな
ったという。アランは電子レンジの中に誰かがネズミを入れて
いるのを見てベクターの仕業だろうと語る。ここ2日間ベクター
からの襲撃はなかったが、これは罠でありこちらの食糧不足と
絶望感を巧に利用しているのだという。ウイルスには複雑な思考
はないハズではないかとするが、ベクターは進化ウイルス学上
の新たな一歩なのではないかというアラン。敵は進化したウイルス
であり、宿主と変化させて何らかの原因で死ぬまで活動を続ける
のだという。そして独自の有機体を作ったこと。アイルスの共同体
だという。敵は益々危険な存在になると語る。
今、ベクターは一人ずつ襲っているが間もなく大規模で組織的
な襲撃があるはずだとアランは語る。襲う人物は他にも居ると
しそれはイラリアだというハタケ。サットン宛のメールを見たが
完全武装した傭兵部隊が100人は来るという。6時間が限度であり、
部隊は一斉攻撃をし、ウイルスを探し全ての痕跡を消し去って
いくという。しかしウイルスは無い筈では無いかとし、レーダー
基地で廃棄処分したというアラン。ヤツには人間の命など
価値はないのだという。寿命のあるものには理解しがたいことだ
ろうとハタケは語る。
ダニエルは非感染者は現在20名、そして整備士は5人だという。
銃や弾が不足していること。20人をサンルームに集めて警備を
つけようというアラン。ダクトを封鎖して出入口を一カ所に
すべきだという。組織化したベクターに対抗するにはこうするし
かないと語る。イラリアの件はどうするかと問われると、
ハタケは研究所の主要箇所に爆弾を設置した事を語る。氷河の爆破
用のものだという。そうなった場合、CDCのスタッフや感染してい
ない人はどうなるのかと問うと、一カ所に集めるがベクターは
諦めるしかないという。我々は何処に行くのかと問うと、ハタケは
研究所の地下にはシェルターが有って地震対策の補強がされている
のであそこならば安全だろうという。そのことを初めて聞いた
ダニエルはハタケに対して不信感を益々強める。
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施設での問題が発生し、CDCが施設に派遣されてから11日が経過
する。取りあえずレーダー基地から北極圏外へと救難信号を
送る中、施設内ではベクターが不穏な動きを見せていた。
更にハタケはサットンの携帯を監視していたところ、イラリアから
は極秘の回収計画まで6時間とのメールが届く。
アランはベクターも含めて助けたいと考える中、ベクターが
次々と非感染者をさらっていく為に、サンルームに集結させて
警備を集中して守ろうとする。そんな状況の中、ジュリアは
二本鎖RNAの指示を取り込むことで、自分の全細胞が汎用型のフック
に変わっている事を知り、侵入者は免疫系によって撃退される
ことを掴んで行く。そんなフックを形成する遺伝子配列を抽出
出来れば、ベクターに感染したものたちを治療出来る可能性が
有るとしてアランに語る。
遺伝子レベルでウイルスと戦っている研究者の構図を見ると、
現在内部(ベクター)と外部(イラリア)から施設に対する攻撃が起きて
いる辺りの流れと大なり小なり、不思議な戦いの構図となって
いて、人間界での戦いはまるで遺伝子レベルでウイルスと戦って
いるそれと同期しているかのようだ。
研究者らしくミクロな世界で戦っているウチは良いのだけど、
流石に銃器を持って傭兵100人と戦おうとしている姿はあまりに
滑稽な姿として写り、時間稼ぎと称して足止めの為に彼ら4人が
外に出たシーンなど、まさに愚の骨頂みたいな感じに見える。
一応今回施設の全体像が見えた格好で、非感染者は20人+整備士5人
+ベクターの構図が有り、今回は一気にその20人を排除したこと
でよりドラマはスリム化された感じもする。
人間とベクターの戦いが有り、頭の良い研究者たちは、ベクターが
仕掛けた罠に一つ、また一つとハマっていく辺りもまた滑稽で
有る。人間扱いしていないベクターの方が頭脳戦に於いて優位に
立つようでは流石に解決するものもしないのだろうね。
展開は相当雑なものが有り、上述した傭兵100人と戦おうとして
外に出た後、室内に戻ったシーンなどワープしたような印象しか
ないし、ベクター/ウイルスを殲滅・回復させる為に上手く治療薬
を開発したけれど、それを投与する流れなどは、ちょっと無理が
有って、適当過ぎるにも程があるって感じが有った。
前回、ジュリアがナルヴィクのAとBを持ち帰ったことに関して
不信感も有ったけど、結果的にはアランの指示通りに動かずに
良かったという感じ。サンルームに生存者を匿おうと言ったのは
アランだった気がするし、この人のやることは全て裏目に出て
いるみたいな感じがするな。
レベルXの更に地下に有った部屋は、なんとシェルターだと判明
する。ジュリアの母が家族の形を求めていたということで、
ハタケとしては我が家を与えたいと考えていたのだという。
しかしハタケがこれまで行った行動はジュリアを呼び戻す為に
起こしたことで、これだけのリスクを冒してまで行うべきものが
有ったのかどうか。そんな行動を起こしているハタケが、
「親は完璧ではない過ちを犯すもの。だから子供は学ぶべきだ」
と語る中、「凄く納得です」とダニエルが野太い声で語るシーン
が妙に滑稽だった。
ハタケが何故子供たちをさらっていたのかが相変わらず、
明かされていないところもまた今後の興味となった。
そんなダニエルが武器を作っていた。アーカと呼ばれるもので
インドネシア語で「彫像」を意味するものだという。なんで
わざわざインドネシア語がここで披露されるのか意味不明だった
けど、ウイルスの研究施設で、廃材を利用して武器を作っていた
みたいな設定は何か違うような感じもする。まぁダニエルが警備
主任だったので、武器の研究をしていたのかも知れないけどね。
ベクターはなんとかジュリアとサラの共同制作によるクスリで
正常化されることに成功した。
サラは頭痛を訴えていたが、ジュリアと同様に目が変色して、
どうやら同じ種族に変わってしまったらしい。コンタクトが
有れば頭痛は治るのか。
イラリアの傭兵としてやってきたのは僅か3名のまだ若い人物たち
だった。サイス、テア、ブレイクというもの。サイスはプロの
殺し屋だとしていたけど、果たして彼らを出し抜けるのかな。
格好良くアナナとかバリエセロスが登場すれば良いのだろう
けどね。
■検索用キーワード
・Raining in My Heart by Buddy Holly
・Swingville Sashay by Muff & Rezz
・レベルB 細菌学研究室
・レベルD 血液学研究室
・レベルE 神経学研究室
・レベルG 寒冷療法の研究
・レベルR 隔離室
・レベルX ウイルス貯蔵庫
・ナルヴィクB 感染者はベクター化する
Dr.アラン・ファラガット (Billy Campbell) CDC研究主幹
Dr.ジュリア・ウォーカー (Kyra Zagorsky) CDC研究主幹
Dr.サラ・ジョーダン (Jordan Hayes) CDC研究員
Dr.ピーター・ファラガット (Neil Napier) 北極バイオシステムズ研究者
Dr.ヒロシ・ハタケ (Hiroyuki Sanada) 北極バイオシステムズ研究所所長
セルジオ・バリエセロス (Mark Ghanime) 国防総省・特別捜査官・少佐
ダニエル・エアロフ (Meegwun Fairbrother) 警備主任
トゥルーク (Meegwun Fairbrother)
ミクサ (Meegwun Fairbrother)
サイス (Robert Naylor) イラリアの殺し屋
テア (Helen Koya) イラリアの殺し屋
ブレイク (Alexandra Ordolis) イラリアの殺し屋
Dr.フィリップ・デュシャン (Patrick Baby) 生きている研究員
— (France Raymond) 女性ベクター
Dr.カトウ (Ruth Chiang) ベクターに襲われる