第21話 更生への道 On Fire
脚本/Rene Balcer、Diana Son
監督/Frank Prinzi
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【ストーリー】
マーガレットに電話が鳴るが私ではないと否定する。
プール牧師はマーガレットに対して青年会の昨年の予算の提出
を求める。ジャスティンが散じに来るとし、新リーダーに窮状
を伝えないといけないという。聖ジェラルド教会にも新風が
吹くという。プールはマーガレットに新しいバッグを買ったのか
と問うと、娘がくれたもので本物ではないという。プールは
あなたもたまには贅沢をと語る。
ディーキンスの元にIAB捜査官たちがやってくる。
君に頼まれたとしてバーディン警部が証言したこと。
しかしディーキンスは何かの勘違いだろうとして、私はマルティ
ネスのことはろくに知らない捜査官だという。しかしローガン
の銃撃事件で味方した警察官であること。それは知っている
が何故私が彼を推す必要があるのかと問うと、口止めではない
かとし、君がバーディンにメールした内容も残っていると言われる。
プールの元にジャスティンがやってくる。
マーガレットは遅刻してやってくると銀行が混雑していたこと
を語る。
一方ディーキンスに対してIABはマルティネスは破格の昇進だ
とし新米にアイスを与えて忠誠心を買ったのかと問われる。
ディーキンスはそんなことをして何の徳が有るのかとすると
ローガンは無実だという。それもマルティネスのお陰だと。
ローガンは雑種犬だと忠告したハズだと。
マーガレットは牧師が送ると言うが、今日は主人が迎えにくる
ので待っていると語る。
そんな中アルバマール通りの教会で火災が発生。しかも一件だけ
でなく複数の教会で出火しているとして消防士たちは連絡を
取り合う。アベニューJで一件、グレンウッドとトロイの教会
からも通報。そんな中聖ジェラルド教会にやってきた消防士
たちの前にマーガレットが火に包まれて出てくる。
聖ジェラルド教会の現場検証を行う。
火元は全部で4カ所で前2カ所、後ろ2カ所だという。大量の
ガソリンが巻かれたものなのか。第一着火場所は特に激しく
燃えた跡が有った。しかし何故秘書が焼死したのかと問うと、
夫が迎えにくるとして教会に留まっていた様だという。他の
教会も出火はしたが被害者はいないことを知るエイムズ。
ゴーレンは現場に金の刺繍の衣服を燃えている事を知る。
これは教会の祭服だった。後方の着火場所まで5mもあることを
考えると一人で発火させようとすれば自分も火に包まれるという。
犯人は2人いるであろうことを推察。一時間で5つの教会を
放火したとなれば余程の動機が有るのではないかというエイムズ。
共通性も犯行声明もなかった。教会の放火は南部では聞くが
ニューヨークでは珍しいという。攻撃も無差別に行われている
こと。黒人・白人・ハーテル・公教会・メソジストetc..と
ディーキンス。一人ならば復讐、二人ならばスリルだというゴーレン。
4件は中に侵入して油漬けの布切れに火をつけていること。最後の
一件は火災ビンを投げているという。
全部がブルックリンで起きていることだった。その場所を選んだ
理由を調べろというディーキンスは、明日は私はずっと内部調査
課(IAB)だという。誰がまな板の上になるのか?というエイムズ
に対して、私だというディーキンス。ローガンの証人のマルティ
ネスが路上ドラッグ特捜班に抜擢されたが、IABは不利な証言の報酬
だと思っている様だと。特捜班のトップ宛に私が出したという
メールがあるそうだが、誰かの悪ふざけだろうと語る。
教会のトップや支援者に集まってもらう。
最近変わったことと言えば、新公会堂の開所で先月新聞に掲載され
たことくらいだという。エイムズは政治的・社会的な対立は
ないのかと問う。例えばゲイとか中絶問題で問題は無いかと
問うと、教会間でも対立しているという。聖ジェラルドの牧師の
プールは昨年中絶賛成のデモをしていたという。ガルシア神父の
会衆は反対側のバリケードにいたとのこと。公会堂の改築の他に
改築やリフォームをしていないかというゴーレン。キッチンや
屋根の配管工事をしたという。その時の領収書を提出して欲しい
と語る。工事関係者が犯人なのか。
プール牧師は教区の信者に対して、評議員会の指針が定まるまで
我々は聖ルルカ教会の礼拝に参加しろということになったと
報告する。しかしシャスティンは突然立ち上がると我々は子供
ではないので自分達の教会は自分達で修理をしようという。
自分は今すぐ10万ドルの小切手を切るとし、更に今後三年間で
40万ドルを出すという。みんなも出来る限りの献金をして欲しい
と訴える。自分の育った教会を守るべきだと。そんな主張に対して
周りは賛辞を述べるが、ジャスティンの弟のグレンは不審な視線
を投げかけていた。
ゴーレンとエイムズは工事業者を調べる。
そこにディーキンスが帰宅するが、不機嫌そうにしていることを
知る。ゴーレンはエイムズに路上ドラッグ特捜班に知人は居ないか
と問うと、所属する人物リストを見ないと分からないという。
そこでゴーレンがリストを差し出すと、リサ・パノッティは私の
父親の教え子だという。
そんなエイムズに電話が鳴り、また3軒の教会がボヤが出たとの
ことだった。
4月26日(水)・クレモント教会
現場に駆けつけると、ガラスと布切れが落ちていたので火炎瓶に
よる犯行だろうとのこと。これは5件目と同じだという。
なんだか犯行が適当になっていること。最初の4件は用意周到
だが、残りは思い付きの犯行だというゴーレン。カモフラージュ
なのかというエイムズに対して、2人の動機が違うのかも知れない
とゴーレンは語る。
ゴーレンは火炎瓶による犯行と他の4件を計画したのは別人だと
語る。地図と聖ジェラルド教会の犯行現場の写真を見ると、
燃え方には規則性・象徴的意味合いが有った。
ディーキンスに報告する中、聖ジェラルド教会には何か特別な
意味合いがあることを語る。何よりも祭服を焼かれているのも
その一つだと語る。
4月27日(木)・聖ジェラルド教会
5月1日(月)・ジャスティン&ノリーン・リードの家
5月2日(火)・テリー&レジーナ・リードの家(ジャスティンの実家)
5月4日(木)・グレン・リード&チャーリー・タイラーの家
5月5日(金)・警邏管区長のオフィス
5月8日(月)・シンシン刑務所
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ブルックリンの教会が次々と放火犯によって火災に見舞われる。
現場の状況から最低でも2人で犯行を起こしていることが分かり、
捜査していくウチに、その犯人の性格性も別のものがあることが
分かる。聖ジェラルド教会だけは死傷者を出したことと、綿密
な計画で犯行を犯していることから、この教会の過去に何か有る
のではとして疑いを持っていく。性的虐待を疑うが35年以上
勤めていた被害者のマーガレットは一途な信者だったという。
ゴーレンたちは室内にパソコンがないことに気が付くと、プール
牧師は彼女は相当な保守的な人で未だにタイプライターを使って
いたという。そのタイプライターがないことを聞いてどういうこと
なのか尋ねると、プール牧師はマーガレットが亡くなる日、地下室
にいた事を告げ、当日心配そうな顔をして気もそぞろだった事を語
る。ゴーレンたちはタイプライターの印字が相当摩耗している
ことに気が付く。牧師もそのタイプで印字するとRがPに見えたと
語る。
いよいよクリミナルインテンドのシーズン5も最終話が近づく。
既にこのドラマもシーズン10を最後に終了しているドラマなので
あれだけど、ディーキンスはシーズン5を以て降板。クリミナル
インテンドにして全111話にて警部としての役目を終える。
お飾りだ存在感がないとか散々言われた彼だけど、正義感は
揺るぎないものが有り、部下を庇う寛容さも有り、良い上司
だった。
シーズン5から2チーム制で描かれているのでローガンサイド、
ゴーレンサイドという言い方で描かれることが多いけど、
同じ部署に居てもこの両者が同じフレームに写ることもなければ
ネタとしてもあんまり互いの流れの中で口に出されることは
なかった。しかし今回は前回のローガンの潜入捜査官の発砲事件
(正当的なもの)によって、その責任をディーキンスに押しつけよ
うとする人物が内部にいるということで、そんな言葉が話題として
登ってきたし、今回の放火事件に於けるドラマを見ると、チャーリー
に全ての罪をぬすりつけようとしている流れと同期する形で存在
していて、教会(神)も親子関係も警察組織もみんなグチャグチャの
混沌の状況に陥っている感が強いエピソードだった。
教会を燃やしたり攻撃したりすることは、正直無宗教な私が見ても
罰当たりの度が過ぎて考えられないことのように思う。アメリカ
人が時々誤爆させているイスラム教のモスクなんかも信者から
すれば本当に罰当たりで許せないものが有るのだろうね。
自分は幼稚園こそカトリック系幼稚園に通ったのだけど、日本では
基本的に宗派の問題を言われてもまるで区別が付かない。
ドラマを見ても色んな教区の色んな教会が火災にあうので、
色々とその教区のリーダーが集まるのだけど、教区を担当するもの
たちも牧師とか神父に該当する英語の単語からしても様々な
宗派が混在していることが分かり、それぞれにReverend、Father
、minister、Pastorと呼び名が違ってクレジットされている。
ゴーレンがよくこういう呼び名一つにに拘っていたことがあるので
記憶しているのだけど、相変わらず宗教が絡む事件が多いな。
そんな宗派の中でも色々と対立していることが冒頭でさらりと
語られていたけど、カトリック教徒と言えば中絶は許さないみたい
な流れが有る中で、今回事件が発生した聖ジェラルド教会では
中絶容認の立場を取っているということで、ある意味今回の
ドラマの事件の顛末を暗喩している部分も有ったのかと思う。
そして何よりも最近のクリミナルインテンドはずっと親子問題
をテーマとして取り上げている。
色んなパターンとして取り上げているけど、今回はジャスティンの
継母・レジーナと息子・ジャスティンとの間に近親相姦から生まれ
た子を弟・グリンとして育てており、ジャスティンは自分の子
だとは知らずに、グレンのことを腹違いの弟としてバカにして
育てている姿が有る。
しかしいざ蓋を開けてみると、父親は自分で有り、これまでの人生
の中で、神をも背く行動を起こした結果、次々と放火と殺人が
発生してしまうということで、まさに地獄図の光景が絵がかれた。
最近どうもDlifeでドラマを見ていると「地獄」というワードが
使われることが多く、恐らくこの一週間の中で地獄というワード
が使われたドラマは6つ7つあった。日本語ではなかなか地獄という
言葉は使わないので、意外と斬新に映る。
教会では分かち合うとか施しなどが原則として存在していると
思うけど、ドラマでそんな教会を支える先鋒に発つものは、自ら
の虚栄心を満足させるが為に教会の活動に参加しているところが
有り、周りの人たちを傷つける人たちが多いこと。
プライドの高さとか、若かりし頃の反動の問題なんかも有るのかも
知れないけど、継母がジャスティンの現在の妻・ノリーンと
対峙している姿が有ったり、そんな継母に対して妻との関係を
見せつけるようにして関係を持っているジャスティンの行動には
相当異常なものがあり、教会に通っている信者の歪んだ家庭の
事情として描かれている。
人の命よりも家族の名誉を守ることが大事だということで、
“面汚し”となっている弟のグレンを助ける為にその親友のチャー
リーを殺害する。チャーリーが元々放火魔で危ないヤツだという
ことを除いても、自らが神の様な行動を取っているジャスティン
という男性の異常さ加減が描かれたし、何よりも幼い頃に母親を
失ってしまったことが大きいのだろうね。
継母は馴染まない息子を手懐ける為に色仕掛けで迫った結果だ
った。その行為に対して、ディーキンスがまた「グローブで済む
だろ」みたいな言葉が笑えた。
取調室に於けるトリックも興味深く、本性をさらけ出す為に、
エイムズはリード夫人を呼びだすが、意図的にノリーンとレジーナ
を競わせて本音を探る為に同席させたこと。
また最後にクローズさせるのは取調室ではなく、実際に犯行が
行われた教会での現場だった。
満期産ではなく早産として生んだ結果、呼吸窮迫症候群の子として
グリンが生まれてしまったこと。
教会の秘書のマーガレットが殺害されてしまったけれど、
こういう事情は話すべきかどうか迷うね。
結果として、RとPの文字のタイプの違いが、グリンに対して自尊心
を傷つける言葉として伝わっていることもまた、なんとも言えない
負の連鎖の導き感が有ったな。
で、ディーキンスの件。
不正の告発も出来るし、ディーキンスの正当性を主張することも
可能だけど、シンシン刑務所に収監されているアデアとの会話
を通して、それら正当性を通して見たところで身内に泥を塗る
程に警察の士気が上がるのかとして、君自身がそんなに聖人なの
かを問われて、結局自ら身を引いて、今回の一件は身の潔白を
証明することなく幕引きするようだ。
「理不尽だ」というゴーレンに対して、ディーキンスは
「彼は英雄で居たがるが、私は味方で居たい。良き部下たちの為に」
と語り身を引いた。問題はこういう止め方をすると年金が出なくなる
ことかも。
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ロバート・ゴーレン (Vincent D’Onofrio) 天才刑事
アレクサンドラ・エイムズ (Kathryn Erbe) ゴーレンの右腕
ジェームズ・ディーキンス (Jamey Sheridan) 警部
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エリザベス・ロジャース (Leslie Hendrix) 検視局
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プール (Glynnis O’Connor) 聖ジェラルド教会・牧師 Reverend
フランク・アデア (Michael Rispoli) ディーキンスをハメた元警察官
シャロン・ウィンガート (Angela Pietropinto) 警邏管区長のオフィス
— (Stevie Ray Dallimore)
マーガレット・コロ (Beth Fowler) 聖ジェラルド教会秘書
チャーリー・タイラー (Jeremy Webb) クリンの友人・清掃会社
スティーブ・ヤロー (Robert C. Kirk)
ヴィック・ブランジーノ (Stewart J. Zully) ディーキンスを疑う刑事
ドン・フィガーロ (Jack Walker) “フィグ”
ジェームズ・ハムリン (Anslem Richardson)
マイケル・ガルシア (Thom Rivera) 神父 Father
ポール・エリソン (Frank Girardeau) 聖職者 minister
ジョスリン・フリーマン (Patricia R. Field) 牧師 Pastor
— (John Joseph Gallagher) Building Manager
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マルティネス (Diego Lopez) 捜査官、ローガンを庇った?
ナシール・ハディム (J. Paul Nicholas)
— (Paula Rittie) Crime Scene Investigator (CSI)