第6話 CIAの男 Add That Little Hopper to Your Stew
脚本/Jason Wilborn
監督/Timothy Busfield
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【前回までのあらすじ】
キャサリンの熱が収まらず、ワイズラー医師に検査を依頼する
パティ。白血病の可能性が有るという。エレンはかつて自分の
部隊のメダルだとしてDDと書かれたメダルをクリスから見せて
もらったことが有った。ハーントンにハイスター社のことを
調べもらうと、ハイスターはCIAの任務に協力していることを
知る。アフガニスタンでの作戦名は”ダストデビル(DD)”。
マルワトはDDの任務を目撃していたことが分かる。彼の証言と
それを裏付ける書類が有れば裁判はあなたの勝ちだという
パティだが、エリクソンはトレントに書類を提出する訳には
いかないのだとして国防総省にも関係が有ることだと語る。
このまま訴訟が続けば軍にも飛び火して君たちは第二のアブ
グレイブの責めを負うことになると語る。ボアマンはバスに
爆弾を設置。ロゼッティ捜査官はバスで爆発物発見の報を受けて
調査すると、マルワトの髪の毛が見つかり、テロの共謀罪で
逮捕される。
【ストーリー】
エレンはアフガニスタンの監禁場所に脚を運ぶ。するとそこには
血を流して倒れて居るものが居た。手にはDDのメダルを持って
いることが分かる。
— 2ヶ月前 —
クリスはアフガニスタンで軟禁状態だった。外に向かって話
かける。「俺は何も要らないの。誰かと話をしたいだけだ」と。
連邦刑務所に収監されるマルワトに対して、二人の看守が彼を
連行していく。アスガリに対してマルワトは俺は何もしていない
とするが話を聞いてはもらえなかった。
エレンはパティたちとマルワトは何処に居るのかとしてロゼッティ
に訴えかけるとブルックリンの連邦拘置所に収容されていると
いう。彼は依頼人だとして逢わせてくれという。パティもまた
彼がアメリカ国民ではなくても適切な手続きを受ける権利がある
事を告げ、弁護士であるエレンとの面会を求める。しかしロゼッティ
は現在当局の取り調べを受けていることを告げ、彼はテロリスト
未遂の容疑者だという。しかし彼はアフガニスタンでアメリカ人
に協力していたのだとするが、犯行現場に居た証拠があるのだと
いう。パティは容疑は一体何なのかと問う。エレンは逮捕の
際の権利の告知はしたのかと問うと、ハーントンは公共の安全に
差し迫ったものが有る場合、告知が必要が無いと語る。弁護士
無しでの取り調べも出来るのだという。しかし24時間も経つのに
権利の告知もされていないと訴えるが、彼は取り調べが終われば
連絡するとだけ言って立ち去る。
エリクソンとエド・オマリーは二人で狩りに出かける。
ウサギを捕った為に、最近妻が死んで以来ウサギのシチューを
食べていないとして作ってみるという。オマリーは君がこの
土地を買ってくれて良かったと告げ、ホームセンターになるのは
不愉快だという。高値をつけてくれたしオヤジが30年代に
買った土地で向こうには古い工場もあるのだという。一財産
作れるとは思わなかったという。
エリクソンの父は冷凍機器の会社を興したこと。ノルウェーから
裸一貫で移民してきてミネソタに住み財を成したが、自分の為に
は一切金を使わない人だったという。勤勉を美徳としていたこと。
父は金銭的利益は我々の勤勉に対する神の恵みだとし、神と
国が父の全てだったという。
オマリーはエリクソンに対してアフガニスタンの戦況はどうなっ
ているのかと尋ねる。私は政府の人間ではないので詳しくは
分からない事を語る。必要な場所に人材を送っているだけだと
語る。オマリーは自分も朝鮮で戦ったという。しかしアフガニスタン
では10年も続いているのに未だにタリバンが暴れて若者が死に続け
ているのは変だという。実はオマリーは孫のことが心配だとし、
軍の訓練を終えて派遣されるのだという。孫は母親に無断で入隊
し、娘は戦地に行かされると心配しているという。安全なところに
派遣されると良いが・・と。
マルワトとか面会を申し立てるというエレンだが、ハーントン
は無理だという。パティもまた彼はもう証人としては使えない
とし、テロリストのレッテルを張られた彼の証言は信用されない
という。CIAを敵に回さない限りはなんとかなるというハーントン。
CIAがマルワトをハメたのかと問うと、ハイスターについて
宣誓証言しようとしている時に逮捕されたのだとし、タイミング
を図ったようにだという。エリクソンでは出来ないとし、CIAの
仕業だと語る。電話もメールも盗聴されている可能性が有るので
考えろという。証人もなく次に何をすれば良いのか。
マルワトは任務の時に見知らぬアメリカ人がいたと言っていた
のでその男がCIAだろうという。彼はNYでそのアメリカ人を見た
と言っていること。人口800万人の都市で1人のCIAを探すのかと
問うハーントン。モスクから尾行されたとしているので付近の
カメラ映像を探して見るというエレン。
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エレンとパティはマルワトの証言からハイスター社がアフガニ
スタンで行っていた任務の書類の提出をさせることによって、
この事件に於ける裁判に活路を見出していくが、いざ書類が
渡される際には、資料の殆どが黒く塗りつぶされており、更に
マルワトの宣誓証言をしようとしていたところで突然テロリスト
の容疑がかけられ正確な情報もないまま彼が拘束されたことを
知り、これはハイスター社だけの問題ではなく、大きな力が
働いていることを知る。CIAが作戦に関わっていることは明らか
で、アフガンでの作戦名も”ダストデビル”だということは判明して
いたが、裏付けるものが未だに見つかっていなかった。
一方でハイスター社側としては軍備縮小の為に国防総省のトレント
プラウズとしては、よりハイスターにかかる要求も大きく、その
要求に答えるだけのキャパが今のハイスター社にあるのか懸念を示す。
エリクソンは土地を買収して新たに訓練施設を計画していること
を告げ、承認が得られれば7日後には工事の着工に取りかかれると
するが・・・
少し最近のドラマにしてはショボイ感じもしていた内容だけど
(低予算なので仕方がない面も有るのか)中盤に来てシーズン4も
盛り上がってきた。
一つの流れが全ての計画を潰すような大事になっている状況の中、
計画通りにはなかなか進まず、色んなところで綱引きが行われてい
て、強引に自分達の流れに引き戻そうとするものたちによって
エレンやパティたちが振り回されている。
しかし当然そういうことを予期しているエレンやパティもそう
易々とは騙されるものでもないし、相手が盗聴器や国家権力を
使って妨害してくる中で、弁護士側としても僅かな光を頼りに
着々と関係性を示していく辺りがなんとも言えない。
よくドラマでは捜査の過程に於いて事件が解決していくことに
パズルのピースがハマるというような表現を使うけど、今回は
看守の男たちが皮肉にもワードパズルをしている姿も有り、
それが完成すると共に、いよいよこれまで完全なる優位性を
保ってきた影の存在であるボアマンの情報にたどり着くところ
など面白い流れだった。
土地取得を巡って、冒頭から狩りをするエリクソンとエド・オマリー
の姿。狩りで獲物を収穫。
“ウサギ”とか”女房”とか”シチュー”とかいうキーワードを見る
限りでは完全に脚本家は映画「危険な情事」でのワンシーンを
意識して作ったものだろうけど、グレン・クローズといえばこの
映画で、マイケル・ダグラス役の愛人役として出演し、他のドラマ
では度々引用される煮沸されるウサギネタを実行したのが彼女で
あることを考えると、実に興味深い流れになっている。二匹捕らえた
としていたので、それがエレンとパティに対する暗喩とも取れる
ものだけど、実際にはどうなっていくのかだよね。
パティら歴戦の弁護士に対して、それを上回るような抜け道を
使い如何にして弁護士とマルワトが接触しないようにするのか
どうかの戦いになっている。こうしてみるとボアマンは短絡
的で馬鹿な工作員という印象も有ったのだけど、ここに来て
やはりそれなりに危機を乗り越えてきた工作員ってところも有る
んだね。未だにインフルエンザにかかっているところは
「ざまぁーみろ」って感じもしたのだけど、淡々と仕事をこなす
姿が有った。移民法違反を使うことで、弁護士と合わずに
強制送還されること。父親と同じくして妻子が現在ボアマンたち
によって握られている。
ここでドラマの中でよく分からないのは、時々登場するイスラム系
の少年がマルワトの息子なのかどうかということと、ボアマンは
ニューヨークにも誰かイスラム系の人物を監禁している姿が有り、
取りあえず一日5度の祈りの時間には監禁場所から解放している
姿が有ること。これはマルワトと妻だったりするのか。それとも
あの任務中に拉致してきたことなのか。
冒頭で2ヶ月後の映像が流れて、エレンがクリスの遺体らしき
人物と接触することになるのだけど、この辺のとらわれの身になっ
ている人物が誰に該当しているのか分かっていない辺りがこの
ドラマの好奇心を擽るところにも繋がって居るね。
また今回はエリクソンが本性を現したこと。
土地取得の話を巡り、オマリーが売らないことを口にした際に
「人の主義は変えられないもの」だとショー弁護士自身も語った
ことだけど、エリクソン自身の主義もまた変えられない事実と
して存在し、力を使って自らの主義を貫くこととなった。
しかしドラマとしては、ショー弁護士は「例の訴訟」が問題と
なっていて誰も土地を売ってくれないとしていたけど、この
訴訟ってエレンが起こしている訴訟とは違うものだよね?
確かエレンたちの訴訟って証人も居ないので申し立ても却下・棄却
されたのではなかったっけか。
オマリーの孫は、日本に人道支援の活動に配備されるハズがいきなり
アルガンダブ渓谷に配備されることになったこと。
「良い経験になるかも。戦争は男を変えて深みを増す。でも自分の
息子は行かせたくない場所」だとして圧力をかけてきた。
一方パティの孫の件でも進展が有り、キャサリンは取りあえず
白血病ではなかった。それと同時にマイケルが登場してくるところ
などなんとも言えないけど、タイミングの良さからすると、
誰かが呼び戻したのかな。まぁ一度キャサリンの姿を遠巻きに
マイケルが高級車の中から見ている姿が有ったので、自分から来た
のかも知れないけど、急速に功績をあげたのはやはりドラッグ絡み
なのかな。それならば親権争いでもパティに有利に働きそうな
気もするけど。
そしてなんといっても久しぶりにエレンの元恋人デビッドの回想
シーンが有った。たまたま居合わせたレストランでプロポーズ
するカップルがいた時に、断れないような状況でプロポーズして
いることに対してちょっぴり怪訝な感じを見せていたけど、
久しぶりのデビッドの姿が懐かしい。現在「ニキータ」を見ている
のでデビッド役のNoah Beanは、「ニキータ」ではライアン役として
ディヴィジョンで指揮を執っているんだよね。
・When I Am Through With You by The VLA
・Wisteria by Alexander McCabe
パティ・ヒューズ (Glenn Close) 弁護士
エレン・パーソンズ (Rose Byrne) 検事
ジェリー・ボウマン (Dylan Baker) ハイスター警備会社
ハワード・T.エリックソン (John Goodman) ハイスター警備会社CEO
クリス・サンチェス (Chris Messina) ハイスターの元兵士、エレンの同級生
アンソニー・カーター (Derek Webster) ハイスター警備
ヴィクター・ハントリー (Tom Noonan) 元捜査官、探偵を依頼
マイケル・ヒューズ (Zachary Booth) パティの息子
キャサリン・ヒューズ (Kiley Liddell) パティの息子・マイケルの娘
キャサリン・ヒューズ (Brooke Liddell)
6歳のエリクソン (Stephen McGahan) 4男
9歳のエリクソン (Drew Beasley) 3男
13歳のエリクソン (Jesse Dean Montana) 次男・ジェイク
16歳のエリクソン (Brandon Thane Wilson) 長男
ビル・ヘンダーソン (Judd Hirsch) 調査員
エド・オマリー (John Cullum) 広大な土地の所有者、孫が派兵
ディーン・ガリクソン (Griffin Dunne) タイムズ紙の記者
ショーン・エヴェレット (Bailey Chase) エレンの恋人、弁護士
ジャック・ショー (David Pittu) エリクソン側弁護士
エンジェル・オウローロ (Adriane Lenox) 看護師、ベビーシッター
ナジーム・マーワット (Usman Ally) ザファーの息子・人質
レザ・アスガリ (Azhar Khan) 看守、イラン系
トレント・プロウス (Jordan Lage) 国防総省
ロバート・オーウェン (Seth Barrish) CIA?
ジョン・ロセッティ (Frank Pando) FBI捜査官
マギー・ホアン (Li Jun Li) パティの秘書
— (Aref Farraj III) Middle Eastern Boy
— (Jimmy Palumbo) Guard
— (Bo Gorman) Trainee
— (Benton Greene) Trainee
デビッド・コナー (Noah Bean) 元エレンの恋人