第14話 リスボンの憂い
監督/Inaki Mercero 脚本/Susana Lopez、Carlos Montero
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【前回までのあらすじ】
ダ・シルバのことはヒルガースから忘れた方が良いとされるが
シーラは上手い事、マヌエルの宿泊するホテルにいくと、夕食
会で話していたマカオのシルクのことが頭から離れないとして
取引したいと語る。マヌエルはポルトガルに私を訪ねてこない
かとしてシーラに告げる。生地も見られるし商談もまとまる
かも知れないという。
ポルトガルに着くとシーラにはジョアンという運転手が付く事
になる。マヌエルのオフィスにいくとワイスというドイツ将校
が現れる。シーラはマヌエラの元で働く秘書にベアトリースと
いう人物がいることを知る。両親が亡くなってからポルガルに
来たという彼女。マーカス・ローガンと偶然ポルトガルで再会
する。ここで何をしているのかと問われるが、何もいうことは
出来ず私には近づかないでと語る。それを見たマーカスはあの
シーラは何処に行ったのかと問われる。
【ストーリー】
ジョアンの運転でシーラはリスボンでも有数な綺麗な街道に来て
いた。何故ここに来ようと思ったのかと問われると私の大切
な客が以前ここに住んでいたとし、その人からとても美しい
通りだと聞いたのだという。シーラはかつてベイグベデルが
失脚する前にロザリンダに手紙を届けて欲しいと言われていた
ことが有った。リベルダーデ通り114番地だということで、
シーラはその場所を確認する。
シーラはマヌエルの会社に行くとベアトリースに話しかける。
マヌエルは今日一日戻って来ないことを言われる。シーラは
疲れたので座らせてもらうとして、その間雑談する。
ポルトガルはスペインにはないものが沢山有って羨ましいと
し、色々なものを購入したことを告げる。スペインは全てに
於いて退屈だとすると、誰が支配者か考えればそうなるのも
当然だという。期待してなんかしてもムダだと。女性は家事を
して子供を産んでいれば良いと思っているひとだという。オマケ
に内戦の敗北者を情け容赦なく粛正しているとしてベアトリース
は突然熱く語り出す。ベアトリースはシーラには分からないとし、
別の世界の人だという。しかしシーラは今は金持ちと付き合って
いるが、寒さに凍える人たちを知っているとし、皿を舐める
ように食べ朝暗いウチから立ちっぱなし出働く人たちを知って
いるのだという。ポルトガルの状況はどうなのかと問うとよくない
という。多分サラザール首相の新しい体制はスペイン程抑圧的
ではないが自由がないのは確かだという。私の両親は共和派
でスペインから逃げようとして失敗したという。シーラはそれを
聞いてお気の毒にと語るが、ベアトリースはそれで良かった
のかもという。ポルトガルに来てもきっと失望しただろうと。
ただポルトガルは戦争には介入しないでしょというシーラ。
政治的なことと商売は別で、この時とばかりにドイツのナチ
と契約を交わして商売を広げているポルトガルの実業家も居る
みたいねと語る。それを聞いたベアトリースはシーラに対して
あなたは誰なのかと問う。私は単なる仕立て屋だとし、あなたのよう
に働く女性だという。こんな世の中に不満を感じていることを
告げると、マヌエルはドイツ人と何をしているのかと問う。
ワイスって人が尋ねてきていたが、何を取引しているのは話して
と語る。何も知らないというベアトリースに対して、秘書として
彼を庇うのは当然だし、貴方たちが仕事だけの関係ではないのは
占い師でなくても分かることだという。もう終わったとし私が
いけなかったのだという。シーラはプライベートにタチする気は無い
事を告げ、助けて欲しいと語る。マヌエラとドイツ人のことで
知っていることを話して欲しいという。しかしそんな会話中に
エリーゼがやってくると、サンジュリアン通りのカフェは最悪で
二度といかないと呟いていた。
ベアトリースは立ち去ろうとするシーラにタバコを忘れていると
告げると、聞いた事は誰にも言わないので考えて見てと語る。
マヌエルは帰社すると商談はどうしたのかとエリーザから問われる。
上手く行ったというと、電話は有ったかと尋ねる。ワイスとマーカ
スから電話が有ったと報告するとワイスに電話して私の部屋に
繋ぐよう告げ、マーカスの伝言は捨てろと語る。マヌエルは
ベアトリースが固い表情をしているのを見てもっと笑ってくれと
語る。
シーラはホテルに戻るとドアの下からメモが入って居ること
を知る。そこには「正午10列目の席で・・・サンドミンゴス教会」
と書かれていた。シーラはフロントに電話すると、私の運転手
に午前中は必要ないと伝えて欲しいとし、午後までは必要ないと。
翌日シーラはTAXIで教会に向かおうとするとジョアンが突然
どうして教会にいくのかと問われる。いつでもご用命に
応じるのは私の役割だという。シーラは本当はゆっくりしようと
したが父の命日だということに気が付いたとし、それで教会
に行こうとしたのだという。
教会にいくとベアトリースがいた。
シーラはジョアンと来た事を語るが、彼は私から目を離さない
と語る。ジョアンは良い人だがただ主人に忠実なのだという。
彼は仕事をしているだけだとするが、あまりにシツコイと語る。
シーラは決心してくれたことに感謝すると今日逢ったことは
誰にも言わないという。イギリスの為に働いているのでしょと
問われるシーラ。マヌエルがドイツ人と取引しているのは知って
いるが事務所に顔を出すのはワイスだけなのだという。他にもいる
ハズだが分からないとのこと。でも最近ベイラという地方の実業家
たちと度々逢っていること。内陸部の人たちだという。3日後に
マヌエルの別荘で夕食会が開かれるが出席するのはドイツ人で
ベイラ地方のポルトガル人実業家たちだという。その席で凄く
重要な契約が結ばれるらしいこと。売買する商品が何かは分からない
が莫大な金が動くという。皆夫人同伴なので、マヌエラは
婦人達に気を使って私に花とチョコを贈るよう言われたという。
貴重な情報をありがとうとするシーラは先に教会を後にすることに
なる。
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マヌエラの気を引いたシーラは彼に招待されてポルトガルの
オフィスへと向かう。イギリス諜報員の同行はない状況の中、
ヒルガースやメアリーからはマヌエラが何を企んでいるのかを
突き止めて欲しいことを言われ、シーラはその機会を探る。
しかしシーラの前にはマヌエラの忠誠な部下であるジョアンが
常に彼女の行動を監視していた為に、自由に行動出来る訳では
なかった。シーラはオフィスで働くベアトリースの中に、
共産主義に対する憤りを感じていることを見抜いて話をしながら
協力して欲しいことを告げる。マヌエラが誰と何を商売しよう
としているのかどうか。その過程でベアトリースは、ドイツの
ワイスからマヌエラに対してあるリストが渡された事を知る。
それは自分が懇親にしているイギリス人を始末する為のリスト
だという事を知る。その中にはなんとマーカスの名前も書かれて
いた。
ベアトリース役のNerea Barrosさん。個人的に特にタイプという
訳では無いのだけど、メガネ姿でいる時の彼女はちょっぴり
「アロー / ARROW」に於けるフェリシティみたいで、萌え要素
がある(笑)。
二人の女性が協力して現状を打開しようとして努力している姿が
印象的。女性ならではの魅力を使った流れも健在だけど、
変にエロい描写もなく、変にドロドロしたところもない。
スパイ/諜報員として敵地に侵入した際には、どのように協力者と
接触を図るのかというのも一つの楽しみであり、スリルを感じる
シーンだよね。
ジョアンという運転手は良い人だとして、普段は気の良いオヤジ
というところがあるけど、シーラがなんとかして外に出ようとする
中で、そんなシーラの前に現れる時の彼の影のある感じの表情が
妙に恐ろしくも感じる。主人のための忠誠心は裏切り者だと知った
シーラに刃を向けるのかどうか分からないけどね。
今回はシーラの活躍というよりも、協力者ベアトリースのワンマン
ショウだった。ドア越しで聞き耳を立てる中で見つかりそうに
なったり、オフィスに残って好意がある振りをしてマヌエラから
鍵を盗むだけでなく、その鍵を返すまでが仕事って感じで、
一連の流れはスリリングだった。カバンを忘れていくところが
早い段階からカメラの焦点が当たっていたので、何れ戻ってくる
ことが予想される中での時間的切迫感によって、かなり緊迫感を
与えられた。
シーラのアドリブ性も健在。
ジョアンから色々と詮索される中で父親の命日だということを
口にして教会にいくことに成功した。しかしもう一つの課題である
のが逢ってはいけないとされるロザリンダとの再会である。
かつてロザリンダと交際していたベイグベデルから手紙を託されて
いる訳だから、いずれ何とかして彼女の邸宅を訪ねるのだろうけど
どのようにジョアンの視線を逸らしていくのか。
妻や子供などが多いということや、孫に贈るファティマの聖母の
ネックレスを通して、今週初めて聖体拝領をすることを口にして
いたので、その時がチャンスだったりするのかな。
マイクロフィルムだけでなく必要なものとして通し番号というのが
有るらしいので、フィルムを盗んだだけではダメなんだよね。
中には名前・地図・数量が入って居るとしていたけれど果たして
何が書かれているのか。
それを探る為にもシーラは上手い事自分がヒトラーとツテのある
客がいるようなことを口にして、マヌエルからの信頼を勝ち取った。
夕食会では前回失敗しているし、恐いところもあるね。
そしてベアトリースからの情報の受け渡しに於いて倉庫で話合い
をすることになった。しかしリストを受け取ったり情報をきいた
後に見つかってしまう。こういうシチュエーションで、相手に気が
付かれる確率って相当高く、しかも自分の方から音を立ててしまう
ことは多いけど、それにしてはハデに倉庫の品を倒していたな。
二人が上手い事過去に情事を重ねていたことや、初めてシーラが
ポルトガルに来た日に感じたシーラに対する嫉妬心のような
ベアトリースの姿・態度をそのまんま上手く具現化させた格好だった
けど、なんとか上手い事切り抜けられた様で良かった。
折角ならばスペインのシーラの店で雇ってあげれば良いのにね。
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シーラ・キローガ (Adriana Ugarte) お針子。ドローレスの一人娘
ドーラ (Tessa Doniga) シーラの工房の手伝い
マルティーナ (Valeria Racu) シーラの工房の手伝い
アラン・ヒルガース (Ben Temple) イギリス秘密諜報部
マヌエラ (Elena Irureta) 工房の元女主人
マヌエル・ダ・シルバ (Filipe Duarte) ポルトガルの実業家
マーカス・ローガン (Peter Vives) イギリス新聞記者
ワイス (Craig Stevenson) ドイツの軍人
メアリー (Carolina Meijer) ヒルガースの仲間、イギリス人諜報部連絡員
ベアトリース・オリベイラ (Nerea Barros) マヌエルの秘書
エリーザ (Dalila Carmo) ダシルバ投資会社
マーカス・ローガン (Peter Vives) 監視していた男
サラザール首相
エルザ・ブルックマン
ペトリーノ女男爵
ファティマ
イスマエル・キロス