第6話 アントレ Entree
脚本/Kai Wu
監督/Michael Rymer
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【前回までのあらすじ】
これはチェサピークの切り裂き魔ではないというジャック。
彼は深入りさせないと言ったが君を制御できていないとして
レクターはウィルに語る。ジャックから遠ざけようとしている
のかというウィル。考えると恐怖を感じて眠れなくなるという。
ウィルには夢遊病の症状が出始める。ジャックの妻・ベラは
肺がんであることを告げる。みるのが辛くなっているとして
ウィルはジャックにもう役に立てないかもしれないと語ると、
勝手にしろという。それでも3人捕まえただろうとジャック。
ラウンズに対してジャックはグレアムの記事を乗せなければ逮捕
しないことを語る。
【ストーリー】
刑務所内で男・ギデオンが倒れる。看守たちは最後の警告だと
してたたないと拘束するという。しかしギデオンは床に倒れて
動かなかった為に急いで看守たちは病院へと連れて行く。
州立ボルティモア精神障害犯罪者病院。
ジャックとウィルは、チェサピークの切り裂き魔が拘留中だった
とし、ラウンズの為に確認しにきたのかと問う。しかしジャック
は俺のためだという。ここは落ち着かないとして拘束されそうだ
というウィル。
そこにはチルトン博士がいて、ウィルのことはアラーナ博士から
聞いているという。ウィルのことを見下すように博士呼ばわりし
博士じゃないとするとFBI捜査官でもないのかという。ジャックは
アカデミーの教官だという。現場をみたいとすると、チルトンは
手つかずのままにしてあるという。ジャックはなぜ看護師と凶悪犯
を二人きりにしたのかと問うと、拘束して2年ギデオンは態度も
よくセラピーにも協力的で、上からの指示もあり、彼の周辺の
警備をゆるめたことを語り、今回の件は私も責任を感じていると
いうチルトン。やつの正体に気づけずに看護師を死なせてしまった
こと。ウィルは現場を見せてほしいとすると、チルトンは話は
聞いているとし、精神医学界でも話題の人だという。
性格障害と神経症が生んだ有能なプロファイラーであること。
分析すべきだとすると、君のような症例はきわめて少ないのだと
いう。
ギデオンは隠し持っていたフォークを使って手錠を外したこと。
現在は独房に入っているという。
臓器を取る手口がチェサピークの切り裂き魔と一致するとのこと。
残忍な犯行というだけで別人だというジャック。そんな中、ジャック
はウィルはチルトン博士には前回の殺人鬼の際に捜査協力を
依頼したのだという。切り裂き魔が捕まらないのはここにいた
からだというチルトン。
ウィルは犯人になりきってその世界観に入る。
手錠を外して、看護師の目をつぶし、そして逃げようとする彼女を
突き刺したこと。
切り裂き魔の犯行は二年ぶりで、ギデオンは二年前から収監されている
のだという。
(回想)
ジャックはミリアム・ラス捜査官をオフィスに呼ぶ。
緊張しているのではなく好奇心に震えていることを語るラス。
ジャックは君は成績上位10%なんだろうと問うと5%だという。
入学時に手紙をくれただろうとすると、読んでくれていたのかと
問う。退学者が多いので返事は書かないのだというジャック。手紙
では俺の下で凶悪犯を捕まえたいと書かれていたが、チェサピークの
切り裂き魔の捜査に加わりたいということなのかと問う。注目の的
の事件で6日間に2人を殺害。被害者はまだ出るはずだという。
君からみてどうかと問われるとラスは社会病質者/ソシオパスだという
兆候は確かにあると語る。後悔や罪悪感がなく、それ以外の特徴は
なく法を犯すこともないので逮捕するのが難しいこと。ジャック
はそれを聞くと俺の下で捜査に参加するよう告げる。しかしラス
はなぜ私なのかと問うと、法医学に詳しく、警察に6年も在籍した
こと。心理学の学位と犯罪学の博士号を取っていること。俺の部下に
無能なやつは要らないという。この事件に専念するよう語る。
ギデオンへの手紙は多いというチルトンはまるでやつの秘書になった
みたいだという。気になる手紙は有ったのかと問うと、殆どは
研究者からの面会の依頼だという。孤独な女性からのファンレター
も有るという。ギデオンは感謝祭で妻と親類を惨殺した男。好み
や考え方は人それぞれで妻の殺害は衝動的だが、切り裂き魔の犯行は
緻密だというウィル。だがようやく捕まえたのだという。
アラーナは比較のためにウィルとは別々で面会したいことを語る。
前にも話したんだろうとすると、裁判所で犯罪心理学誌に彼の記事を
書いたということで呼ばれたという。やつは君をよく知っている
とし心も開いてるという。彼の診察は2回したこと。2年前の収容時
だという。
アラーナはギデオンに会う。
ギデオンは彼女に会えてうれしいと語り大勢の人と会ったが君は
特別だという。現行犯逮捕なのに何を話せというのかと問われると、
問題はあなたが本当に切り裂き魔なのかということだという。
検査をするのかとすると、ミネソタ他面人格目録ならば受けたと
いうと、ロールシャッハテストはどうか?という。絵を見せるならば
私の性器に血圧計をつけろとし、より性格に観測できるという。
看護師を殺して何を期待したのかと問うと、彼女の死を望んだこと。
任務完了だとすると、死体に遺体を傷つけたわよねと語り、切り裂き魔
は生きている間にそれを行うのだという。自分が切り裂き魔だと
証明する気はないというギデオン。それが目的かとすると、誰かが望ん
だのだろうというウィル。
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州立ボルティモア精神障害犯罪者病院で看護師が囚人の一人・ギデ
オンによって殺害される。その殺害の手口からして”チェサピークの
切り裂き魔”はギデオンではないかとする可能性が出てくる為に、
何とかしてその確証をつかもうとしてジャックはウィルとアラーナ
を同行させて確認していく。確かに殺しの手口は類似するものが有り
世間にも公表されていない殺され方をしていることや、殺人鬼の犯行
が2年前に止まり、その時期からギデオンが収監されていることを
考えると、彼が”チェサピークの切り裂き魔”の可能性は多分に存在
していた。ジャックは妻・ベラの肺がんの件だけでなく、自分の部下
として捜査に参加させていたミリアム・ラスが切り裂き魔の被害に
合い失踪していることに責任を感じていた。そんな彼の元には度々
ミニアムの声のする電話が鳴っていたことから、益々ジャックの心
を乱していく。
うーん、レクター博士が起こした事件って結局どれがどれなのか自分
の中で分からなくなってしまった。個人的に一話の中で語っていた
連続殺人犯がレクターの事件だと思っていたので、それを中心に
して見ているのだけど、この”チェサピークの切り裂き魔”の事件
というのはまた別の話だったのか。”チェサピークの切り裂き魔”という
単語自体、前回だか前々回の話の中で初めてジャックの口から出て
きた名称だけど、唐突に何の話をしているのかなと思っていた。
とりあえず”チェサピークの切り裂き魔”事件はレクターに
よる仕業で間違いないようだ。
今回の事件は、当時ジャックを助けて捜査をしていたチルトン
博士が囚人相手に洗脳実験を行った結果、模倣犯とされたギデオンが
行ったものだという感じの顛末だった。
ギデオンに洗脳したというのも、チルトンにとっては”チェサピークの
切り裂き魔”とギデオンがもっとも近い犯人像だと思ったからこそ
行っていたのかな。チルトンの態度が冒頭でウィルとの会話の中から
もめちゃくちゃ嫌なやつだったし、看護師を一人で囚人の治療の
対応に当たらせたのは私の責任だとしていたけど、100%あんたのせい
だろうとは思わずには居られず、こんな杜撰な精神障害犯罪者病院
ってあるのだろうか。女性一人のシーンが多く、後に言及するミリアム
も結局一人で捜査しているところを殺されている訳で、ミリアムの
場合は、ジャックのアイデアで令状なしで医療記録を調べる為に
使わされた感じだけど、どうも毎回不自然なところが目につく。
以前にも言及したけど、レクターとウィルが捜査していく過程で
ホッブズを射殺するシーンなども、どちらも捜査官としての資格を
持っていないのに何で二人で捜査しているのか気になった。
人格は職業の選択にも影響するとし、異常者が好む職業として、
CEO、弁護士、聖職者・・5位は外科医、6位はジャーナリスト、
7位は捜査関係者だということで、ギデオンの犯行を模倣犯の仕業
ではなく、本物の犯人の仕業だということをラウンズ記者を使って
流布しようとした際に、そこにいる人物が全員そのランキングに
該当する人物だった為に、異常者同士協力しましょうと語る辺り
の流れがおもしろかった。
レクター程の人物でも感情的になることがあるんだなって感じで、
偽物の”チェサピークの切り裂き魔”が出たと聞いた途端に、
行動を起こしていたけど、レクターを揺さぶる為には潔癖症だという
彼の性格を逆手に取っていくことでミスが発覚していきそうだ。
そして今回はなんと言ってもジャックに罪悪感を背負わすことになる
ミリアム・ラス捜査官の登場が初めて有った。まだ見習いの捜査官で
ウィルと動揺に講義を受けている段階だったけど、優秀な成績だという
理由でジャックの独断で捜査に加えた結果、殺されるハメになった。
今回は初めてレクターがミリアムを殺す瞬間が描かれたし、遺体は
なかったけれど、腕と携帯だけが、今回発見されたということで、
残りは食材になってしまったのか。そしてその食材の今回のテーマは
舌だったようで、それを食べたアラーナとチルトンはご愁傷様
って感じ。「舌を食べるのって初めてなのよ」ってな感じのアラーナ
でしたが、人の舌かもしれないよと思わず小一時間。
ミリアム役を演じていた彼女は「ホワイトカラー」のシーズン3
でFBIの芸術捜査班で活躍していた メリッサ・マシューズ役を演じて
いる。
それにしても鑑識チームは、思いっきりIT捜査も任されているのね。
カッツなんかが検視以外に携帯の電波を調べようとしていたり
すると違和感があるな。まぁ「BONES」も一つの施設内でいろいろと
捜査はするけど、大抵専門の人が担当するよな。
■使用された曲
・Hannibal Theme by Brian Reitzell
・Ballade No. 1 in G Minor, Op. 23 by Mads Mikkelsen
■被害者
・オルムステッド
ウィル・グレアム (Hugh Dancy) 犯罪プロファイラー
Dr.ハンニバル・レクター (Mads Mikkelsen) 天才法医学精神科医
Dr.アラーナ・ブルーム (Caroline Dhavernas) 元心理学教授のFBIコンサルタント
ビバリー・カッツ (Hettienne Park) FBI行動科学課の一人でジャックの部下
ジャック・クロフォード (Laurence Fishburne) FBI行動科学課のヘッド
ジミー・プライス (Scott Thompson) 鑑識
プライアン・ゼラー (Aaron Abrams) 鑑識
Dr.エイベル・ギデオン (Eddie Izzard) 外科医、犯罪者
Dr.フレデリック・チルトン (Raul Esparza) 精神科医
ミリアム・ラス (Anna Chlumsky) 新人FBI捜査官、成績上位5%
フレディ・ラウンズ (Lara Jean Chorostecki) 記者
— (Mark Waters) 病院の守衛
— (Darrin Brown) 患者
— (Earl-Antham Chrysostom) 患者
シール (Ana Shepherd) 看護師