第16話 場違いな被害者 Risk Assessment
脚本/Duppy Demetrius 監督/Stacey K. Black
【ストーリー】
ベンとジェイソンの二人はゴミ置き場から絨毯(ラグ)を手に
入れて自宅へと運ぶ。かなり高級品だとして、綺麗にすれば
使えるハズだとするが、蒔いてあったラグを解くと中からは
遺体がゴロンと出てくる。また同じ場所に捨てに行こうという
が、もう俺たちのDNAが付いているので犯人だと思われるという。
警察に知らせないといけないと語る。
重犯課がやってくると、サンチェスは二人に対してどうして
殺したのかと問う。ラグが捨ててあって拾ってきただけだと
語る。ブロペンザは一度も運んでいる際に重すぎるとは思わな
かったと問うと呆れた顔をする。今朝友達を空港へ送り帰り
道で渋滞していたので回り道に使った通りに置いて有ったもの
だという。菜園の向かいの歩道に有ったとのこと。今夜はクリ
スマスパーティーがあるのだとするがパーティーは諦めろと
言われる。
現場にはラスティも連れてきていた。チームワークを重視出来る
か命令に従えるかを見る為だという。今のところ不合格だと
いうプロペンザ。作戦に加えてもらう為にには警部補に認めて
もらわなければならないことを語るバズ。立っているだけなんて
退屈すぎるというラスティに対してバズは君は自分のことばかり
で少しは周りの人間にも興味を持ったらどうかという。
ラスティは興味を持っているというが、バズから「プロペンザ
が刑事になった理由は?」「タオが最初に志した職業は?」と
問うと答えられなかった。重犯課に全く興味がない証拠だと
して、君はみんなに”元気?”の一言も聞かないというバズ。
バズには聴くこともないとし、一目で機嫌が悪いと分かるという。
バズは君に失望したんだと語る。
ケンダルは遺体は至近距離から額に一発撃たれたのが死因で、
ラグに入っていたので正確には特定できないが12時間から16時間
前だろうという。拾ったのは車で南に15分のところ。
近くに菜園が有ったというサンチェス。
身元が判明したとし、ロバート・ケラー(25歳)、大学院生だと
いう。2011年にデモに参加して逮捕されているとし、ウォール街
選挙の時のことだという。別件で証人になっているが、事件名は
乗っていないというタオ。
ラスティはチームの一員になる為に何が大事んまか仲間のことを一
人一人よく知るべきだと考えたとして、フリンとプロペンザ
に語る。それで何が聴きたいのかと問われるとラスティはプロ
ペンザに対して警察官になった理由は?と問う。「火が怖いから
で、撃たれる方がずっと良いとし、炎に囲まれたビルの屋上に
行かされることよりもという。人に命令するのも気分が良い」
という。フリンはどうか?と問うと「ガキだった頃、兄と一緒に
いとこのバイクを拝借して乗り回していたら、ニコルズという
刑事が俺たちにダウンタウンの刑務所を見せていつかここに
ぶち込むと言われた」という。「兄はへとも思っていなかった
がオレはぶち込まれるよりもぶち込む方に廻ると考えた」の
だという。そんな中、現場に到着したプロペンザはラスティに
対してオレから絶対離れるなと語る。
男達がラグを拾った場所にいくと、ラグの飾りのタッセルが
落ちていた。ここはかなり物騒な地区だというサイクス。
しかしこの辺の誰かが殺したハズだが誰なのか。
ラスティはそこの家じゃないのかと問うと、プロペンザたちから
何故そう思うのかと問われる。ブレンダの旦那さんが立ってる
からだという。FBIに捜査を邪魔されることになるのか。
FBIのフリッツから話を聞く。フリッツはロス市警がケラーの
指紋を調べていると聞いて飛んで来たのだという。ケラーは
FBIの捜査に関わっていたのかと問うと、フリッツの隣にいた
地元ランパート署のマッケルロイ刑事は、10ヶ月前からFBIと
合同捜査をしていることを語る。盗聴、そして潜入捜査をして
いるとのこと。ケラーは唯一の目撃者だとすると、一時間前に
遺体が発見されたことを語る。何故玄関の前に立っているのか
と問うと、窓の中には猛犬(マックス)が居るのだという。
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■今回の事件
ロサンゼルスでも治安の悪いランパート地区で殺人が発生する。
二人の青年が高級品のラグだとして拾ってきたものの中に遺体
がくるまれていた。被害者は指紋を照合した結果・ロバート・
ケラー(25歳)、大学院生だと判明。2011年にウォール街でのデモ
に参加して逮捕歴が有り、父親のスティーブンは下院議員。
弟は大学3年生のライアン。
ロバートのことを調べているウチに、自分の信託財産でこの
地域に菜園を作ってなんとか貧困から抜け出し、希望を持たせ
る為の活動をしていたことが分かる。
しかしこの界隈はギャングのラウンダースによって牛耳られて
いて、後に逮捕する時に明らかになるが、その数はなんと200人。
ロバートはこの町で殺された15歳の少年・タイラー・ローズ
射殺事件の目撃者でも有り、証人として名乗り出ていることが
分かる。ギャングの報復なのか。
■白人と黒人、人種問題、階級問題
「クローザー」時代からこの問題は切っても切れないところが
あるな。というかアメリカの社会自体がこの問題に常に直面して
いるんだろうけどね。
刑事ドラマで「これが白人の被害者ならば警察は捜査をする」
「これが白人の被害者ならば新聞の一面を飾る事件」という
台詞を何度聞いたことだろうか。
NYPDの重犯課は「スタートレック」に於けるクルーの如く、
様々な人種によって構成されているのでその点は安定飛行して
いるところは有る。トップが黒人のテイラーになったことも
有るし、アジア系、ラテン系、黒人、女性捜査官、年齢など様々。
警察は捜査してくれないとしているけど、これまでNYPDの
懐事情を考えると、捜査に人員を回せないという事情も分かる
のでなんとなく切ないところがあるな。
■2人の子の死と親の対応
ドラマでは二組の被害者とその親の対応が対比的に描かれた。
一方は白人で権力者、一方は黒人で貧困層。
タイラーの死には警察が捜査に来て形だけ白煙灯を出しては、
一日だけ捜査をして引き下げた。
一方ロバートの死に関しては、父親が議員をしていることも有り
ケラー議員自らが重犯課に乗り込んでくるという光景が有った。
警察としての対応を非難するのはどちらも一緒。
特にロバートの場合、目撃証人だったにも関わらず、警察官
からの保護を受けなかったという事情も有る。(本人が拒否)
黒人が黒人を、白人が白人を殺害するのであれば、まだ角が
立たない部分があるのだろうか。
結果として見ると黒人の被害者は黒人を殺害し、白人の被害者は
黒人によって殺されてしまった。これぞスラム街と言わんばかり
の状態で、町全体・ギャングそのものが警察や白人に対して
壁を作ってしまっているという危険なところが有った。
■相手のことを考える
今回のテーマからするとこの言葉が当てはまるのだろう。
白人のロバートは自らの恵まれた境遇を貧しい人たちの為に
尽力するという一面を持っていた。黒人と白人、階級を取り去る
為に行動していた。例え偽善的な行動でもやらないよりもやる
方が良い。ただ彼の場合、強い心さえ持っていれば決して自ら
がやられることはないとするようなちょっとした平和ボケ
していた部分が有るのかも知れない。
ラスティの流れがそんな流れを示唆するようにして、他人に
関心を持たない人の典型のような扱いになってしまった。
今までよくしてくれていたバズがラスティに対して、厳しい
態度を見せていたのでちょっと驚いた。
■それぞれ警察を目指して理由
バズからラスティは自分のことばかり考えていて重犯課の仲間
たちのことに興味を持っていないことを指摘されていた。
そこでラスティとしては、捜査官たち一人一人に「何故警察官に
なったのか」ということを聴いて回ることになる。
・プロペンザ
火が怖いから。撃たれる方がマシ。人に命令するのも気分が良い。
・フリン
兄と昔警察官に捕まりいつか刑務所にぶち込むと言われたことで
奮起したみたいだ。ぶち込まれるよりもぶち込む立場に回ると。
・サンチェス
3歳の時にギャングにオレのネコを殺されたのでいつかそいつら
を逮捕しようとしたのがきっかけ。結局そのギャングたちは
レイプと殺人未遂事件で逮捕されることになったがスッキリした
ことを語っていた。
・サイクス
大学で政治を学んだら政治論争よりも悪党を追う方がずっと
面白いとしていた。元々は軍警察(MP)にいて、カブールなどに
赴任していたとするが、軍での行動と違い刑事は犯罪者を
明確に罰せられるところがあるからだと。
・タオ
最初は親の希望で医者を目指していたが、次第に書類書きと
賠償問題の対応ばかりで、医者たちは自分を守ることしか考え
ていないことに気がつき、その点警察は互いを助け合うこと
が良かったという。
・シャロン
家計を支える為だという。夫のジャックが弁護士になるまで
だと思っていて、ジャックが稼げるようになったら今度は自分
がロースクールに行こうと思っていたという。しかし1人目、
2人目と子供が出来て、ジャックは出て行ったとし、その頃には
弁護士になりたいよりも法律そのものが好きだと気がついた
という。苦しい人を助けるのにやりがいを感じたこと。
・バズ
厳密に言うとバズって警察官ではないのかな。
11歳時に父親と叔父とアイスホッケーを見に行った帰りにATM
で金を下ろしていた際に2人とも強盗に撃ち殺されたのだという。
サンチェスのように自分も警察学校に入って自分で犯人を捕ま
えたいと思ったが、母に何か有ったらと言われ頼れる人が
居ない母の為に映画学校に進んで毎日事件記録の映像を撮って
いるのだという。
■議員の行動にご立腹
早く捜査をしろと要求されてフリッツはあなたの部下ではない
ことを言っていたし、流石のテイラーも怒り心頭だった感じだ
った。しかしシャロンが上手いこと間に入ってガス抜きさせた
感じがするな。
■フリッツ久しぶり
シーズン1の10話を最後に久しぶりの登場。
FBIとの連絡係みたいな形だったけど、このシーズンは証人の
ラスティが居るにもかかわらず検事局に任せてしまったのか
連邦保安官が出てくることが少なくなったね。
現在合同捜査をしていると言っていたけど、正直10ヶ月も捜査
して何の証拠も掴んでいないところは、申し訳ないけど、捜査
していないのと同じじゃないのか。遺族の気持ちも分からない
でもない。
エマ検事補が出てきたけど、私に何の報告もないとして憤怒
するもまるで存在感はなかったな。
■ラスティは早く捜査に参加したい
何故ラスティがそんなにも早くシャロンに署名してもらいたい
のかよく理解出来なかったのだけど、このチームで働いている
捜査官たちの姿を毎度目にしているので自分も捜査官になりたい
という気持ちが芽生えたのだろうか?
それとも先日の精神鑑定書なり調査書の中にラスティの性格分析
が有ったけど、その中にゲイだとか別の問題を抱えていること
が書かれているのかなと思って見て居た。
ラスティのゲイ説ってもう排除しても良い事なのかな。
フリッツが送られてきた脅迫状に関しては調査することを語って
いた。全て手書きで脅迫状は27通。5通はシャロン宛だという
こと。実はラスティの母親からのものだったりはしないのか。
■議員パワー
盗聴、潜入捜査していることをマスコミにバラしたことで
その捜査が無になってしまった。もちろんそのことに関して
議論の余地は多分にある。しかしまた一斉検挙のために1000人
の警察官がかり出されて200人のギャングメンバーを競技場に
集めたとしていたけど、やろうと思えばやられるということを
示すところが有ったね。
■傲慢さ
結局人はそれぞれに傲慢な一面を持っていた。
議員の傲慢さはもちろんのこと、タイラーのことを殺害した
犯人は、白人と協力していることに見せしめの為に殺人を
犯した。タイラーの母はロバートに叶わぬ夢を吹き込んでいる
として自分の教育方針との違いに激怒して殺害していたこと。
■使用された曲
■出演者
シャロン・レイダー (Mary McDonnell) FIDから重犯課へ
ルイス・プロペンザ (G.W. Bailey) ベテラン
アンディ・フリン (Tony Denison) プロペンザの相棒
マイク・タオ (Michael Paul Chan) 分析力
フリオ・サンチェス (Raymond Cruz) ギャング捜査に強い
バズ・ワトソン (Phillip P. Keene) カメラ
エイミー・サイクス (Kearran Giovanni) 特捜班から異動
ラスティ・ベック (Graham Patrick Martin) 母親が失踪中
モラレス (Jonathan Del Arco) 鑑識
ラッセル・テイラー (Robert Gossett) 新本部長
エマ・リオス (Nadine Velazquez) 地方検事補
ケンダル (Ransford Doherty) 鑑識
フリッツ・ハワード (Jon Tenney) FBI捜査官
スティーブン・ケラー (Michael Nouri) 下院議員
ライアン・ケラー (Devon Graye) ロバートの弟、大学3年生
ロバート・ケラー (Scott Bailey) 25歳、大学院生
ジェイダ・ローズ (Michael Hyatt) タイラーの母
ショーン・マッケルロイ (Josh Randall) ランパート署・捜査官
ドナ・ウォーカー (Yaani King) ダリルの母
ダリル・ウォーカー (Jakobe Dempsey) タイラーの従兄弟
ラヴァ・ミラー (Jermel Howard) ラウンダース
ショーティ・ウォレス (Darrell Britt-Gibson) ラウンダース・運転手
T-レイ・ジャクソン (Carlton Byrd) ラウンダース・殺人
ベン・ウェルス (Eugene Shaw) ラグを拾う
ジェーソン・グラント (Jared Hillman) ラグを拾う
タイラー・ローズ () 15歳