第10話 したたかな誘拐 Weeping Willow
脚本/Warren Leight、Stephanie Sengupta
監督/Tom DiCillo
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【ストーリー】
ウィローとホールデンは二人の私生活をウェブカメラで撮影
して公開していた。昨日はただの大喧嘩の映像を見せただけ
であれは遊びよという。確かに彼は私を傷つけたが、カタログ
以外の本を読めというし、ホールデンは相変わらず刑事もの
の本ばかりを読んでいるのだとパソコンの前で視聴者たちに
語る。染みだらけの古本・・邪魔してあげるとして、音楽を
流して踊るウィロー。二人は楽しそうに踊り出す。
最近は家の中ばかりだとして何で出かけないのかとホールデン
に語るウィロー。そんな中二人組の強盗が入って来て二人を
誘拐する。
そんなウェブ映像の動画をローガンとロス、ウィーラーは
見ていた。ネット公開誘拐事件にしいとして、通報が合った
もの。「泣き虫ウィロー17」という彼女のVログは人気で甥っ子
も夢中だというウィーラー。Vログとは?と尋ねると、ビデオ
ブログのことだという。彼女のVログのアクセス数は一日約
50万。ビジネス戦略で仕組んだ芝居ではないかというロス。
イタズラだとしてウィーラーは”カット”だと叫んでいたことを
語る。しかし犯人は辞めていないし二日前のことで、3千件以上
もNYPDに問い合わせの電話が来ているのだという。彼らは犯罪だ
と。本当ならば救出しないといけないがウソならばさらし者だ
という。もし誘拐ならば次は身代金の要求があるハズ。
サイトの管理人に連絡を取れば良いというウィーラーだが、
プロキシ経由で個人特定が出来ないというウィプル。10代の
ブロガーが何を警戒する?と問うと高性能カメラに最新の編集
機能だろうという。彼女は本当の自分を隠しているようだとい
うウィップル。そんな中映像を見ていたローガンは窓の外を
拡大して欲しいと頼む。赤と黄色のレンガが並んでいる建物。
一番街にある建物だという。
ロスは急げと告げると初動捜査が肝心だという。本物ならば
ねというウィーラー。
一番街で聞き込みして回るがみんなネット上の彼女しか知らな
かった。管理会社に居住者の情報があるというウィーラー。
でも違法な同居やまた貸しも多いこと。7千も部屋があるので
全ては回れないというウィーラーに対して、それならば店を
当たろうというローガン。
電気店の店員・ボブにネット中継用に使う機材を写真の女性が
購入したか尋ねる。ウィローだということをボブも知っていた
が、彼女は来ていないという。男性の方はどうかと写真を見せる
と彼には売ったという。ホールデンという存在感の無い男の方だ
と。キャッシュで支払ったが、学生割引を使おうとしたという。
ただ有効期限が切れた学生証を出したとし、フィルムアカデミー
の生徒だという。
ニューヨークフィルムアカデミーへ。
近頃の学生の作品は深みもテーマも物語もないという教授。
“泣き虫ウィロー”の作品もそうだという。照明も編集も低級で
展開に一貫性も感じられないという。ホールデンのことを知って
いるか尋ねる、ここの生徒は事件と無関係だと語るが、教授は
彼はもう生徒ではないという。元生徒だったのかと問うと一学期
だけ一年半前に辞めたという。才能もないのにジェームズ・
キャメロン気取りで、傲慢で学ぶ姿勢も無かったという。
名前は?と問うとD.H(ホールデン)・フォスターだという。
出身は何処なのかと問うと確かどこか遠くの僻地だったこと。
エルマイラとか言っていたという。ローガンのこの件は内密に
して欲しいと語ると、教授も彼に脚光を浴びせる気はないと
いう。そんな中ウィーラーは電話をうける。ローガンは身代金
要求でも有ったのかと問うと微妙だという。
署に戻って犯人が要求した動画を見る。
すると犯人はウィローにセリフを読めとして脅していた。
私もホールデンも今はケガしていないが頼みがあるという。
ウィロー解散のサイトにアクセスして映画のダウンロードを
1回1ドル99セントでして2人を解放して欲しいという。48時間以内
に10万回達成させろとし、さもなくれば永遠にお別れだという。
身代金の要求はお決まりの展開だがやり方が変わっていると。身代金
を赤の他人に要求していること。それもダウンロード代金でだと。
10万人から1ドル99セント。きっと達成するわねというウィーラー。
彼女は怯えていたというローガン。いつも演技していたとし、
あれも芝居だというウィーラー。信用するのかと問うと分からない
というローガン。遺体や血痕や犯罪現場が有れば良いのだが、
ネット上では判断が付かないという。ネット決済代行会社に確認を
取るべきだというウィーラーだが、プライバシー保護や表現の自由
を理由に拒んでいるという。検事局を動かすには本物の犯罪だ
と証明しないといけないという。ホールデンは実家の連絡先はないが
エルハイラ高校2004年卒業だという。ロスは現地で聞き込みして
来いと告げ、私は記者会見だと語る。
記者会見にロスと上司のブラッドショウが臨む。
2人の身元は確認中で何か情報が有れば専門ダイヤルに連絡して
欲しいと。ネット口座の凍結はと問われ協議中だという。
これは狂言なのかと問われ、分からないが全力で人命の保護と
詐欺犯罪の阻止に努めているという。市民は犯人に屈することなく
要求は無視して欲しいという。本物の誘拐ならば2人は殺されます
がそれでもか?と問われ、ロスは沈黙するがブラッドショウは誰
にも実害が及ばないように平和的解決を目指すという。
エルマイラ高校。
フォスターは軍人の家庭で2004年在籍していたという。ミステリアス
な雰囲気を持っていたとのこと。女性は好むが男性は嫌うタイプ。
ウィローのことはと尋ねると、この子は2004年に在籍していた子に
似ているが、とてもシャイで2週間で辞めたという。当時していた
分厚いメガネがないけど彼女だろうという。中退したのもずっと
在宅教育で馴染めなかったのだという。現在はどうしているのかと
問うと両親の農場に閉じこもっているハズだという。
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ウィローとホールデンのカップルは、私生活をウェブカメラで
ストリーミング放送/ビデオブログとして垂れ流して一日50万回
の再生を誇る人気サイトだった。しかしそんな状況の中、突然
2人の強盗によってライブ中にウィローもホールデンも誘拐され
てしまう。警察には問い合わせが続き、マスコミもこれが事件
か演出かで騒動を起こす中、警察としても証拠がない為になかなか
捜査に踏み切れずにいた。しかしその後ウィローが再びライブ
カメラの前に現れ、自分を助ける為には「ウィロー解放サイト」
にアクセスして、この映画を1ドル99セントで48時間以内にダウン
ロード10万回を達成させろとする声明を強制されて読み上げる。
ウィーラーはどうみても演技だとするが、取りあえず映像から
彼らの情報を知る為に身元・身分などを突き止め、そして彼らが
住んでいた場所などを突き止めていくことにする。果たしてこれ
は演出なのか、本当の誘拐なのか。
アメリカではリアリティショウが大人気なので、こういう発想
のウェブストーリーにものめり込むものが有るのだろうし、日本と
違ってウェブでの犯罪方法も多種多様化しているところがあるな
と思わせるものがある。
こういう作品を見ると、かつて一世を風靡した映画「ブレア・
ウィッチ・プロジェクト」なんかを思い出させるけれど、インター
ネットというのは素人にチャンスを与える場で有り、最近は
容易に映像を撮影することが出来る為に、自分のアイデアを
公開する場というのも容易になったのかなと思う。こういう発想
が生まれるのもやはりアメリカならではって感じがするし、
日本でもそれなりに頑張っては居るのだけど、どうもマイナーの
域を出ない。寧ろネットというと情報公開されてしまうことへの
懸念の方が大きいけれど、匿名性を活かした容疑者とそれを
証そうとする刑事たちの対決の構図はなかなか面白いものが
有った。
「CSI:科学捜査班」に於いて、かつてメンバーたちがネット上
に流通している遺体の写真などを見てフェイクかどうかの
判定を冗談交じりでやっていたことが有ったけど、科学捜査が
メインのドラマとは違うので、その辺は「LAW & ORDER」の場合
ちょっとドン臭いところは有ったのかな。
昨日見た「LAW & ORDER SVU」のS5-22でも、言論の自由と安楽死・
尊厳死の問題なんかが取り上げられて、悩み相談と称して殺害方法
を知らせたり、、死ぬ現場に立ち会い窒息死するまで見守ろうと
していたり、死ぬことに至るインスリンを手渡したブログ運営者に
対して、その罪の是非を問う物語だったけれど、12人の陪審員中
10名は無罪の評決を出して結局評決不能で無罪となってしまった。
その後ドラマでは別の証拠から罪に問わせる逃げ道が用意出来た
のである程度は納得出来たのだけど、こういう内容を見ていると
本当に言論の自由などが適用されるのかという感じにも思える。
一人は仮にもニューヨークフィルムアカデミーに通ったことのある
人物で、一人は高校時代の彼の同級生で、まるで目立たない子
だった。
少女が抱えていた問題は、両親のエゴによって田舎町で過ごして
いたことが発端で、その反発心から彼女は注目を浴びる為に
今回の一連の件に荷担したものだった。一方の男性側は、親が
軍人の家庭からなのか、潜在的な残虐性と刑事・推理小説好きで
映画を撮影したい意図が元々有ったのだろうけど、
アイデアはありがちなものとはいえ、結局アカデミー時代の撮影監督
のシナリオをパクって構成したもので、シナリオを主導している
ハズだったけれど、金が絡んで来ては、ネットで集めた俳優
志望の人物によって主導権を握られそうになるということで、なか
なか想像するのは難しかった。ただ耳を切られて以降もシナリオ
を継続しているとか、相当キレている人物としか思えないところも
有って、こんな人物が野放しにされることは恐いところが有るし、
そもそも犯罪や騒動が金になってしまうアメリカのショウビズ
世界の闇の部分を照らし出した格好で、これだけの騒動を起こした
にも関わらず逮捕されないという辺りは、クレイジーさしか感じ
ないところも有った。
女性は女性の演技を見抜いていたのか、ウィーラーは終始演技
だとして疑っている姿が有った。誘拐される時の監視映像とか
住んでいた環境とか見て、演出なのか真実なのかを見極めていく
ことになるけれど、切られて送られて来た耳を見るだけで
普通は事件性のあるものだとする流れは有りそうだけどね。
しかしオンラインで製作プロダクションを作ってネットで役者を
募集していた形跡が有ったり、口座を開設した人物が特定出来たり
して、徐々に演出であることが判明する。
一時期本気ではないかと疑った際には、犯人に呼びかける為に
ウィーラーが広告塔のような形でネットの中で呼びかけをする
シーンを撮影したりするところは面白かったし、ウィローの友人
だとする女性から話を聞きに言った際に、ローガンが赤ちゃんを
持たされて戸惑う所など遊び心も有って面白く出来ていた。
最後は本当のことを自供させる為にモルグで色々と仕掛けたけれど、
結局あんまり効果的だったのか分からない案件になってしまった。
・ウィロー役のMichelle Trachtenberg
「ゴシップガール」でも異常者ジョージーナ・スパークスを
演じていたよな。「Buffy the Vampire Slayer」でも後半で
彼女はドーン役で出演しているのだけど、後半部を見たことが
ないので、どんな役だったのか・・
本家の「LAW & ORDER」にも出演していて、ニューヨークTシャツ
を着ている可愛い子供役だった。
・Prisoner by Adam Crossley
ロバート・ゴーレン (Vincent D’Onofrio) 天才刑事、”ボビー”
アレクサンドラ・エイムズ (Kathryn Erbe) ゴーレンの右腕
ダニー・ロス (Eric Bogosian) 警部
エリザベス・ロジャース (Leslie Hendrix) 検視局
マイク・ローガン (Chris Noth) 刑事
ミーガン・ウィーラー (Julianne Nicholson) 刑事、ローガンの相棒
— (Steven Zirnkilton) Opening Announcer (voice)
リサ・ウィロー・タイラー (Michelle Trachtenberg) Vログ
D.ホールデン・フォスター (Michael Godere) ウィローの恋人
— (Cinque Lee) ホールデンが彼の脚本を盗んだ?
レジー・ラックマン (Pedro Pascal) 犯人役の一人、フィルムのタトゥー
ブラッドショウ (Neal Jones) 捜査官チーフ
— (Wallace Shawn) Film Professor
本人出演 (Larry King) テレビ
イラ・ウィップル (Gary Patent) 捜査官、カメラ分析
スージー・ウォラー (Julie McNiven) リサの幼なじみ
ロリ (Aya Cash) レジーの恋人
トッド (Trevor Oswalt) 犯人役の一人、空砲で死亡
フランク・タイラー (Chet Carlin) リサの父
ジャン・タイラー (Kate Weiman) リサの母
ボブ (Clifford Endo Gulibert) 近所の電気屋
ロサリー・パルマー (Nance Williamson) エルマイヤ高校の教師
Mr.ロア (Brian Slaten) レジーの弁護士
ドーン・コンドール (Patricia Stark)
マイルズ (John Wu)
— (Tracey Conyer Lee) リポーター
— (Paul Juhn) リポーター
— (James Ball) リポーター
— (Sherman Alpert) Man in Park
— (Peter Conboy) Computer Tech
ターシャ (Jessica Williams)