第9話 怒りの陪審員 The Fury in the Jury
脚本/Sanford Golden
Karen Wyscarver
監督/Dwight H. Little
【ストーリー】
元サッカー選手のピーター・キッドマンの裁判の5日目。
ピーターは妻のシャーリーン殺しの罪で起訴され、ブレナンは
陪審員の一人として裁判所に行っていた。
デイジーはホッジンズたちがテレビを見て居るとブレナンに
怒られますよという。しかしアンジェラは彼女は陪審員として
裁判所に行っているので大丈夫だという。ホッジンズは遺体の
身元は突き止めたとし事故死だったのでやることもないと語る。
もうすぐブレナンが有罪にいるだろうと。
しかし難しいかもしれないというのはカムとデイジーだった。
被告のピーターは遺体の傍にいてナイフは被告の物だという
ホッジンズ。しかし法医学的証拠は一つもないというカム。
ブレナンは事実しか見ない人だという。アンジェラは浮気が
バレて浮気を切り出されて殺したんだという。それは証拠には
ならないというデイジー。検察は動かぬ証拠が有ると言っている
のだというホッジンズ。それならブレナンは有罪に投票するわね
というカム。しかし何でも思うがまま手にしてきたアスリートで
殺人からも逃れられるだろうと。ブレナンが許さないというアンジ
ェラ。そんな中カムの携帯が鳴り遺体が運ばれてくるという。
法廷。
ピーターの妹・アリソンが証言台に立つと、兄は殺していないと
し、シャーリーンを愛していたという。検事のブラックモアは、
あなたはピーターとシャーリーンが夕食に出かけた際に二人が
言い争っているとしてシャーリーがレストランから出て行ったことを
証言しているという。言い争いをしていただけだという。
ザンド弁護士も検察に異議を唱えて判じのブルース・コーエンも異議
を認める。兄はすぐに警察に電話したし、私と親友のフランクにも
電話したという。犯人ならばそんな行動を取るかと問う。
訪れた際に兄はシャーリーを抱いて泣いていたという。ピーターは
シャーリーの血にまみれていたのでしょと問うと、はいかいいえで
答えてくださいと語る検事。ピーターがシャーリーンを愛していたの
は知っているという。
休憩時間、ブレナンはブースに対してラボに寄りたいことを語る。
デイジーが代理をしているんだろうとし、殺人の裁判の気分転換
に別の遺体を見るなんて止せという。オレがマッサージをしてやる
というが、ブレナンは夕食までには帰るという。
ピーターは有罪なのかと問うブースに話せないという。ブースは
殺人も悪いがサッカーなんてアメリカ的じゃないと語る。
ジェファソニアンのラボ。
ブレナンもやってくる中、運ばれて来た遺体はずぶ濡れの遺体だった。
海岸に打ち上げられた遺体。
骨に付着しているのは合成ポリマーだというホッジンズ。デイジーは
ジョギングウェアなのかと問うと、黒い靴を履いてジェギングは
しないだろうというカム。顔が殆どないというデイジー。
ホッジンズはブレナンに対して裁判は有罪なのかと問うと、話せない
のは知っているでしょという。有罪ならば一回瞬きしてくれれば良い
という。ブレナンは下顎骨と上顎骨の眉間の部分が所々欠損している
ので復顔は無理だという。そんな中カムがやってくるとブレナンに
対してデイジーが法医学としてやっているのだからこないて良いのに
と告げる。ブレナンは長管骨の長さと真性肋骨端の状態からして
30代半ばの男性だという。頭蓋骨前面に鈍的外傷があるというデイジー。
波で遺体がぶつかったのか。右の第7肋骨に銃で撃たれた骨折がある
というブレナン。腐敗と硬直から死亡推定時刻は32時間から36時間
だという。
ホッジンズはトロコフォア幼生の状態を見ても遺体はその頃に水に
入っているという。肺組織と喉頭蓋の状態を見れば溺死か死亡後に
水の中に投げ込まれたか分かるというカム。殴られて撃たれて
おぼれたのかもというブレナン。
ブレナンに電話が鳴ると、すぐに法廷に来るよう判事から話が有る
という。
法廷では陪審員たちが集まっていた。ベニントン、マックイーン、
ミラー、ホープなどは急に呼び出されたことに文句を言っていた。
陪審員が危険にさらされているのか。ブレナンは裁判所には私たち
を守る義務があると語る。牧師のホープは神が私たちを守ってくれる
というと、ブレナンは否定し、アポロンやサンタが守ってくれない
ようにあなたが崇拝している擬人化した架空の存在は守ってくれない
という。祈りよりも357マグナムの方が頼りになるという。
ジミー執行官はブルース・コーエン判事が来たことを語る。
悪い知らせがあるとして評決が下るまでは陪審員を隔離するという。
ブレナンはみんなに何か出たか意外な証人が出たかマスコミが発見
した何かが事件に影響を与えているのだろうとのこと。
ニュースでもそのことが報道される。
ピーターの裁判で判事が陪審員を隔離したこと。誰かが陪審員を
脅しているのかも知れないが、匿名の情報筋によると弁護側に有力
な証人のクリストファー・バーンズが検察側に寝返って証言する
ことになっていたようだという。バーンズとピーターは何らかの件
で仲違いしたのだろうというアンジェラ。
■今回の事件と流れ
・ブレナンはサッカー選手・ピーター・キッドマンの妻・シャーリーン
が殺害された事件の陪審員となる。
・ラボでは海岸に打ち上げられた謎の男性の遺体の捜査を行う。
・ブレナン不在のラボでの法人類学としてのリーダーはデイジーと
いうことで何時にも増して気合いの入る彼女。
・アンジェラは遺体の復顔が出来ないことを受けて、資産が奪われ続け
ているカムの資産を使うものの正体を突き止めていく。
■感想
法廷サイドのエピソードとラボサイドのエピソードが一見分離して
いるかと思わせるが実は繋がっているという奇妙な感じのエピソード。
裁判に影響を与えるものなので情報の扱いに関しては、慎重を期する
ものがあるけれど、口外することは法的にも認められていないという
ことも有り、互いに伝達に関していつも以上に不都合なものが有った。
ただでさえブレナン自が他人とのコミュニケーションが苦手で、
彼女の真意が伝わらないことが多いからね。
そういう意味ではブレナンとブースが互いに会話の中でちょっとした
探り合いになったり、ホッジンズとブレナンとの間で、答えられない
のを知りつつイエスならば目配せしてくれみたいな形でコミュニケー
ションを図ろうとする所などちょっぴり笑えるところだった。
ラボで判明した遺体は、病院の記録から、証言者のバーンズだと判明。
その事をブレナンに伝えれば、その後の結果も変わっていたというもの。
その為にブレナンはそれを知った時には罪悪感を感じてしまうもの
があり、目の色を変えて調査していた印象だった。
法廷サイドのブレナンは如何にも仕切り屋さんで、判事の説示をも
覆すほどに理論的に語り、冒頭では全員一致で有罪だと意思表明して
いた流れを最後の頃には2名を除いて無罪に導くほどに説得力のある
説明をしていた。ただブレナンも有罪だと思うが、検察が
証明すべきことを証明出来ていない事を告げ、実証主義者の彼女らしい
発言だけど、彼女も冒頭では「犯人だと思うけど・・」と前振りはして
いたよね。この辺はちょっと意外にも思える。
「合理的な疑いの余地はなく、ピーターは犯人と立証出来たかよ」
また陪審員の中に牧師を一人紛れ込ませる辺りは如何にもブレナンと
思想や価値観の違いを競わせるためばかりに仕込まれた感じがしてくる
ところ。
FBIのブースは陪審員になったことがなく、陪審員選任のところで
常に落とされるとしていたけれど、ブレナンは有名な人だし、検察
としては自分の説明だけでは決定的な証拠に至っていないことで
ブレナンが有罪を出すとは思わないとは感じなかったのかな。
しかし法廷でのブレナンは話を聞いていたのかどうか分からないけど、
骨の骨格を描いているなど不謹慎そのもの(笑)
更に今回のエピソードでは、カムの資産が使われている件での進展が
有り、そのエピソードも交えると、テーマは自然と「友情と裏切り、
恩義と正義」が浮かび上がってくる。
裁判の被告のサッカー選手もバーンズや妹のアリソンとの関係に於いて
は、そんな駆け引きが行われて、裏切って検察に話そうとしていた
バーンズは殺されて、アリソンも危うく殺しに利用されそうになった。
しかしバーンズが証言するとして殺されてから36時間程度だとしていた
けど、そんな時間であそこまで遺体って腐るものなんですかね。
アメリカの陪審員制度はよく分からないけど、結審するまで缶詰にされ
るのかなと思っていたけど、こういう長期間に渡る裁判の場合には
帰宅したり途中で裁判所を抜けても良いものなのか。
カムにとしてもブレナンにしてもストレスの解消方法が、
「悩みを忘れたければ腐りかけの死体を触る所だ」
としていたけれど、ラボの仕事が本当に好きなんだろうね。
一事不再理の原則はアメリカでも同様だ。
妻殺しに関しては無罪になってしまい、再度法廷に持ち出すことが
出来ない中で、バーンズ殺しでは有罪に導くことが出来るという流れ。
デイジーは余程リーダーになりたい願望があるのか、ブレナンに
あこがれるあまりにそんな行動を起こしていたのか分からないけど、
役職を得た途端にちょっびり偉そうにしている姿が有った。
その反面で自信のないところをカムに見透かされていたところを見ると
虚勢を張っていたのかな。
今回の判事はコーエンさん。
ブレナンがウンチクを語った際に「君が安ホテルに入れられるのを
嬉しく思う」としていたけれど、過去にも一度出ている判事さん。
S1-7で死刑執行前の被疑者を助ける為に墓を掘る許可を得る為に、
夜にこの判事の家に行ってやりとりするシーンが有り、当時の判事
は部屋着で裸に近い状態でのやりとりが有った。その時の恨みか
どうかは分からないけどね。
あと、ペラントに盗まれたホッジンズの金って結局戻って来たん
ですかね?
■使用された曲
・Monument by Fossil Collective
■出演者
テンペランス・ブレナン (Emily Deschanel) “ボーンズ”、法人類学者
シーリー・ブース (David Boreanaz) FBI捜査官
アンジェラ・モンテネグロ (Michaela Conlin) 骨格から似顔絵
ジャック・ホッジンズ (T.J. Thyne) 知識が豊富、実家が金持ち
カミール・サローヤン (Tamara Taylor) スミソニアン責任者、”カム”
ランス・スイーツ (John Francis Daley) FBIの心理学博士
デイジー・ウィック (Carla Gallo) インターン
マーティン・ザンド (Ben Lawson) ピーターの弁護士
アリソン・キッドマン (Margo Harshman) ピーターの妹
ピーター・キッドマン (Brandon Quinn) 元サッカー選手、容疑者
ジェシカ・ミラー (Jazz Raycole) 陪審員2
ペギ・ブラックモアー (Sara Mornell) 検察官
ブルース・コーエン (Michael Rothhaar) 判事
エド・バロー (Chad Addison) 漁船、麻薬密輸の運び人
ロバート・シーガー (Dan Lothian) 陪審員??
— (Derick Alexander) Marshal
マイク・ノートン (Ray Auxias) 陪審員1、ロン毛
バート・ホーグ (Robert Alan Beuth) 陪審員8、牧師
ベン・マンスフィールド (Christopher Goodman) 裁判所任命の会計士
— (Maria Jordan) FBI捜査官
メレディス・マックイーン (Kiva Jump) 陪審員4、子供を寝かしつける
フランク・フィニージオ (Frederick Lawrence) ピーターのボディガード
— (Carol Mansell) 陪審員5 お婆さん
ドン・ベニントン (Steve Mize) 陪審員9、車の販売人
ヘザー・カープ (Karly Rothenberg) 陪審員10、主婦、テレビが見たい
シャーリーン・キッドマン (Ana Franchesca Rousseau) 被害の妻
ウィル・フエンテ (Tony Sancho) 陪審員7、アメリカの司法制度は機能してる
クリストファー・バーンズ (James T. Schlegel) 検察側証人・被害者
マーシャル・ジミー (Dan Wells) 法廷執行官
クレーブンス (Jonathan Craig Williams) 捜査官
— (Shane Schoeppner) Reporter on TV
ヘイリー・ケント (Bonnie Root) カムのルームメイト、泥棒