第20話 生きるための選択 The High in the Low
脚本/Keith Foglesong
監督/Anne Renton
【ストーリー】
囚人が脱獄し森の中を逃げる中、警察と警察犬が捜索のために捜し
回る。オレンジのつなぎを着た囚人はちょうど良い隠れる穴を見つけ
やり過ごそうとするが、中には白骨遺体が見つかり、驚いて投降する。
ブースとブレナンは射撃訓練場に着ていた。
得意の射撃にブースはご満悦。ブレナンは訓練の後はいつも疲れて
腕が鈍るのに・・と語る。腕立てや懸垂、毎日走っているとし、
能力試験はこれでバッチリだという。精神面を測る試験の準備は
しているのかと問うと手順は分かっているし、毎年上位19%に入って
いるので大丈夫だろうことを語る。しかしブレナンは上位10%よりよい成績
を修めたいでしょと問うと、批判的思考力を磨くゲームやアプリがある
ので試してみてはどうかという。しかしブースはオレには直感が
あるから大丈夫だとすると、ブレナンは相変わらず頑固だと語る。
オレは頑固ではなく柔軟だという。
そんな中グレートフォール国立公園で遺体が発見されたという知らせ
が入る。私が運転していくわというブレナンにブースは運転はいつも
オレだろうとするが、”柔軟”なんでしょと言われる。
現場に到着すると、やっぱりブースは頑固だとしてそんなのでは損を
すると語る。道中ずっと道が違うと言うことばかり言い続けていた
という。助言してやっただけだろうというブース。
遺体は大きな倒木の下にあり、その木を切って遺体を出す。
すると遺体はまだ腐敗した状態だった。ブレナンたちは嬉しそうな
顔をするとブースは君たちこういうのを見て吐きそうになったことはない
のかと問う。オムレツみたいに折りたたまれているという。
大量の虫がいる中ホッジンズは、ボクトウガ、カンポノタス・ペンシル
バニカス(黒オオアリ)が居るが、殆どは遺体ではなく木の幹に生息して
いた虫だという。近い道路まで3km先なので遺棄されたものではない
だろうというブース。ブレナンは状態はかなり悪い事を告げ骨は穴
だらけだと語る。菌類の状態から見て死亡は1年内だというホッジンズ。
胞子をラボに持ち帰れば死亡時期を割り出すことは出来るという。
骨はシロアリに食べられているというブレナン。シロアリは窒素を求め
骨を食べるのだというホッジンズ。梨状口の下縁から白人、腹側弧
があるから被害者は女性だというブレナン。虫がうじゃうじゃだとする
と死の臭いに何千匹も寄ってきたのだという。
ブースはズボンに何か入って来たとして騒ぐと、多分センブリだよ
というホッジンズ。
ラボに遺体を運ぶ。
遺体は虫も一緒に連れてきた為に透明ケースに入れられていた。
カムは虫の多さに驚きこのままたど遺体がよく見えないという。
ホッジンズはまずは服を除去してから虫を除去することを語る。
カムは髪の毛と頭皮組織からDNAを採取して検索するという。
アンジェラは該当者がいると良いとして、虫が顔面を食べ漁っている
ので復顔は難しいという。アイペルギルスの胞子とスタキボトリス
チャータラムのコロニーから判断して、遺棄されたのは4ヶ月前だ
という。
するとそこにウェンデルがやってくる。
ガンの化学治療をしている為に彼の頭髪は無かった。
化学の香りは良いというウェンデルにみんな歓迎する。ガンって
セクシーに見えるようになるのねというアンジェラにブレナンは
ユーイング肉腫の死亡率は80%だとしてセクシーなんかではないと語る。
仕事を復帰して大丈夫なのかというカムに対して、化学治療に
比べてここは天国だと語る。
ウェンデルは中手指節関節に僅かなびらん性病変が認められること
を語る。複数のコツ修復された胸椎の椎体骨折も見られるというブレナン。
全身性エリテマトーデス・・・ボクと同じ難病ですねというウェンデル。
カムはエリテマトーデスは激痛と臓器不全を起こす疾患だとし、これは
安楽死なのかも知れないという。決して安楽死をウェンデルに向けて
話した事ではないと過剰に反応する。末節骨が虫に引きずられて逃げる
と語ると、ホッジンズはすぐに虫を取り除くと語る。
ブースとスイーツ。
ブースはスイーツが精神名を測る試験の作成に関わっているのだろう
と尋ねる。どんな質問を用意しているのかと尋ねるが教えられない
という。明後日だが準備はしているのかと問うと、オレは常に上位
10%だという。それよりも事件の写真をみてくれとして遺体遺棄現場の
写真を見せる。誰かが遺体を古い木の幹に隠したのか。それとも安楽死
なのかと問うと、スイーツはこれは被害者に対する敬意も気遣いもない
という。証拠は雨で流されていること。スイーツは衝動的なものだろう
とし、それでなければ遺体は埋めているハズだという。DNAでは該当者は
出ないと語る。
カムはアンジェラのオフィスにいく。
この部屋は2ヶ月前まで管理人のクローゼットになっていたという。
カップルの逢い引き部屋になっていたというカム。アンジェラは
ジェファソニアンに新しく導入された3Dホログラフィック・エミュレー
ション出力機(通称テオ)を見せる。頭蓋骨の輪郭をキャプチャーする
というと、カムは3Dメガネとポップコーンが食べたくなるという。
両目の眼球を入れて筋肉を足し、皮膚、髪の毛を入れていくとこれが
被害者の顔だという。凄いというカムは良い投資だという。
失踪者リストと照合すると、アビー・ブリッグス(28歳)、4ヶ月前に
姉のマロリーが失踪届を出しているとのことだった。
■今回の事件と流れ
・脱獄した囚人が逃げ込んだ先で発見したグレートフォールド国立公園
で腐乱した遺体が発見される。
・白人で女性・・びらん性の病変、複数の骨修復の跡。それを見ると
被害者は全身性エリテマトーデスという難病にかかっていたことが分かる。
・アンジェラは新しく導入した3Dホログラフィックエミュレーション
出力機のテオを使って復顔すると、被害者はアビー・ブリッグス(28歳)
で4ヶ月前から姉が失踪届を出している事が分かる。ホッジンズが割り出
した死亡時期と符合していた。
■感想
今回のインターンはウェンデルくんだった。
S9-13でブース役のDavid Boreanazが監督した回のエピソードの中で
ユーイング肉芽腫が発覚して以来の登場ということで、登場の仕方が
また化学治療で丸坊主になった姿が有り、ちょっぴり笑えない状況
だった。アンジェラは悪気はなかったのだろうけど、ガン患者セクシー
説を唱えた瞬間、ジョークの利かないブレナンにとっては即時
否定されていた。
今回は法律が万人に該当するかどうかということが取り上げられる話
で、ブースの「頑固さ」というのは、連邦捜査官としての立場と称して
法を代表するものの一つの確固たる正義の立場で描かれたけれど、
「柔軟さ」ということを通して、そんな法律にも例外があるという事を
示したいものが有ったようにも思われる。
ドラマとしては、ウェンデルを眺める視線の中に、「友達・家族」
「才能」「仕事上の規定」と言ったものが入り交じり、それぞれの立場
で対応が分かれるというものが有った。
■ブレナン&ブース
・能力試験
ブースが今回は毎年恒例の能力試験の日が近づくということで、それ
にまつわるネタがメインとして描かれた。
ブレナンの私こそが法人類学者として一番という主張もウザイけど、
ブースの捜査官としてスナイパーとしての一番的主張も時として五月蠅く
感じる時が有る。年齢を考えればそんな主張も少しずつ裏付けるのが
難しくなりつつあるけれど、批判的思考力のテストに関してブレナンに
指摘されて、思わず心配して勉強する辺りはブースの愛嬌のなせる
ところなのか。勉強はしていないとしつつも陰で努力するタイプなのか
な。冒頭の射撃訓練の際にも普段ならばトレーニング後は疲れて腕が
鈍っていることを指摘されていたよね。
そして今回は事件を通して第一容疑者として登場する秀才だと思っている
大学生で小説家の男性が出てきたことで、勘違い野郎たちのオンパレード
で、かなり鼻につくシーンも見られた。
・医療大麻
また医療大麻を巡って、法律では認められていないが州法などでは
認められている現状に対して、連邦捜査官として法に忠誠を誓う
カムとかブースが、どうしても認められないところに難しさをはらんで
いるところが有った。
■みんな正直だ
ウェンデルくんはウソを付くことが出来ずに医療大麻を使っている
ことをホッジンズに話した後、ブレナンに語り、そしてカムに語る。
ブレナンは寛容で自分も同じ立場ならば使用することを語ると同時に
「私達は科学者よ、無知によって生まれた噂なんか左右されたりしない
事を願う」
として、大麻を使った状況下での捜査も問題ないという感じで対応
していた。こういう時の学者としてぶれない信念を持つブレナンの
主張が頼もしくも有り、彼女のお墨付きが有れば・・って感じに写る
ところが良いところだけど、今回は責任者のカムがそれを認めなかった。
「ここは連邦機関よ。連邦法ではマリファナの使用は違法とされている
の。あなたの触る全ての証拠を疑われる。犯人逮捕でも無罪になって
しまう。マリファナを使用している限りはここで働かせられない。」
その決断をもってホッジンズがカムにムスっとしているところがまた
心情を表していて良かったな。ホッジンズってアンジェラと昔恋人
関係に有ったウェンデルにも寛容だしね。
・ジェファソニアンとフルヘルスウエルネスセンター
今回の被害者も医療大麻を使いながら職場で働く立場の人だった。
そこで働いている医者は、合法であり、違法な事をすれば患者が苦しむ
としてかなり気を使っていたところが有った。
被害者は自分で栽培していたテトラヒドロカナビノールの含有率4%で
精神活性作用は殆ど無いこと。そして薬効成分であるカナビジオール
(CBD)の値の高いマリファナを育てて患者に無料で配っていたことが
判明する。
そんなことを知ってから知らずか、ホント今回の犯人の身勝手さに
は呆れるところが有ったね。
■事件・犯行現場を探る
被害者は亡くなる3ヶ月前にカードでキャンプ用具を買っていることから
色々と疑問が浮かび上がってきた。
また骨からデンドロクトヌス・フロンタリスというキクイムシの一種が
付着していたことで、現場周りはホワイトオークの木ばかりの場所に
この虫がいるのは変だと主張するホッジンズ。
衛星写真から見て黄色っぽい葉のあるバージニアマツの林を探すという
辺りはちょっと胡散臭すぎた。しかも更に特定する為に、花粉のキルシ
ウムウルガレ、アメリカオニアザミが咲く水辺が近くにあるハズだと
いうことで写真だけであっさりと目星を付けていくところが神がかり
過ぎていた。
■新マシーン導入
アンジェラトロンは単なるOSの名前なのかな。
アンジェラは今回3Dホログラフィック・エミュレーション出力機(通称
テオ)を披露していた。ただこういうホログラフって前から出力させる
機械が有ったよな(笑)
なんだか凄いピラミッドパワーのようなディスプレイに映し出されて
いた感じだけど、復顔出来ないと言っていたのにコンピュータだから
出来たということなのか。
■色んな州法
・バージニア州ではハロウィーンにお菓子をお強請りするのは禁止
・婚前交渉は違反
・公然での飲酒は禁止 (これは州法ではなく法律か)
■使用された曲
・SABOTAGE by Amy Stroup
■出演者
テンペランス・ブレナン (Emily Deschanel) “ボーンズ”、法人類学者
シーリー・ブース (David Boreanaz) FBI捜査官
アンジェラ・モンテネグロ (Michaela Conlin) 骨格から似顔絵
ジャック・ホッジンズ (T.J. Thyne) 知識が豊富、実家が金持ち
カミール・サローヤン (Tamara Taylor) スミソニアン責任者、”カム”
ランス・スイーツ (John Francis Daley) FBIの心理学博士
シェンデル・ブレイ (Michael Grant Terry) インターン、ガン患者
アダム・カプト (P.J. Boudousque) フルトン大学・小説家
Dr.リチャード・バーク (Larry Sullivan) アビーの雇い主
カール・コリンズ (Roshawn Franklin) フルヘルスウエルネスセンター
マロリー・ブリッグス (Elizabeth Ann Bennett) アビーの姉、失踪届
アビー・ブリッグス (Katy Stoll) 28歳、難病、全身性エリテマトーデス
— (Darryl Reeves) Convict
— (Christopher Clausi) Lab Tech
— (Maria Jordan) FBI Agent
— (Charlie Roy) DC Police Officer