第9話 伝説の非売品 Graphic
脚本/Cheryl Heuton
Nicolas Falacci
監督/John Behring
【ストーリー】
「26ページ、コマ数183、非売品1冊、偽物14冊」
コミックマーケットが開催されていた。マニアたちが集う中、
スクラーグラフィクスのブースでマイケル・スクラーが世界で最も
レアなコミック本”ウルトラワールド”を出展することが告げられる。
スクラーは長きにわたって行方不明だった一点しかない貴重なコミック
本だとして、大事そうにスーツケースを持ちボディガードを連れて
それをみんなの為に展示する。現存する最高のコレクションがついに
手に入ったとするが、そんな中、タイミング悪く二人組の覆面を
した強盗が武器を持ってやってくると、みんなに床に這いつくばれと
語る。コミックを盗むと、警備員の一人と客の女性の一人に発砲する
と逃走する。
チャーリーは授業をしていた。
ゲーム理論を気軽な人間関係に応用できるか。役立つものは中心で
成り立つ情報である事を告げ、「対称情報」について説明する。
これが国、企業、恋人、友人など相互関係を支えている基礎だという。
来週はジョンフォンノイマンとオスカー・モルゲンシンテルンが
書いたゲーム理論と経済行動の講義をすることを語る。
そんなチャーリーの元にヴァニティフェアの記者、ピーター・ラングが
やってくる。あなたの記事を書いているとしゲーム理論をよく取り上げ
るのかと問うと、応用数学ですからというチャーリー。学生が集まった
のは本が売れたお陰だという。友達や家族にもあなたの話を聞きたい
事を語る。チャーリーの著書「人気者の公式」はベストセラー候補
で、今やカリスマ友情カウンセラーと思われていること。著名自身の
対人関係に焦点を当てて書きたいのだという。
デビッドはドンに対して民間警備のクリストファー・ジェンセンが
殺害されたと語る。高校のアメフトコーチで金の為にバイトをして
いたとのこと。子供は4人いて一人は来年大学生だという。
集まった客の一人も怪我をしたこと。漫画を盗む為にそんなことを
したのかとドンは信じられない感じだった。デビッドはスクラーは世界
有数のコレクターで価値のあるコミックが盗まれたのだという。
ウルトラワールドのアッシュカンだという。アッシュカンとは出版社
が見本や校正などの為に一部しか作らない非売品で、見たらゴミ箱に
捨てられるようなものだという。盗まれた作品は1962年のロス・ムーア
が書いた傑作の漫画。デビッドに対して詳しいなと語ると、彼は9歳
の頃からコミックを集めて今では何千冊も持っているという。
そこにセス・マーロウがやってくるとFBIにもコミックオタクがいるの
かと語る。デビッドはセスのファンで彼の作品”ナノパンク”の初版本
を今でも持っている事を語る。コミック作家でコミックの歴史研究家
だという。スクラーを知っているかと問うと、彼はコミック業界に
とって最悪な存在だという。若い頃前途有望な作家として出発したが
もうからないからといってあれこれキャラクターを作ってテレビ局や
オモチャ会社に売りさばいて巨万の富を得たのだという。金の亡者だ
ということ。盗まれたコミックの価値はどのくらいだったのかと
尋ねると200万ドルだというが、あくまで本物ならば・・と語る。
ただし本物なら作者のものだと。
スクラーに話を聞く。
彼は作者であるロス・ムーアにリスペクトはなく老いぼれで数十年前
に書いて売れたものだと語る。ウルトラワールドのアッシュカンに
ついて尋ねると、彼が売ったか無くしたかは知らないが買ったのは
私だという。価値が上がったからと言って所有権を主張されても
困るという。入手経路について尋ねると、ニューヨーク州シラキュース
のガレージセールで見つけたもので箱に300冊のコミック本と一緒に
入っていたという。ロスが”近いうち”死んだ直後に最高価格になったら
売るという。コミックはビジネスであり、普段は非公開の場所に入れて
金庫に鍵を掛けて保管しているが出展したのか偽物だという噂が
あったからだという。今思えば辞めておけば良かったと語る。
メーガンはデビッドと共にコミケを回る。
まるでおこちゃまママみたいだという。デビッドはコミックはこの国に
大きな文化的影響を与えたものだという。リキテンスタインもウォーホル
もその影響を受けたという。メーガンはヒュー・ジャックマンの
映画「ウルヴァリン」はコスプレが可愛かったと語る。
セスはデビッドの元にやってくると、ウルトラワールドが闇ルートで
5万ドルで売れたという噂が入って来たという。
3人がケンカしているとして人がやってくる。みんなウルトラワールド
を買ったとして原本を持っているとのことだった。一点物なのにと
デビッド。死人まで出てるのに盗品を買うなんて取り憑かれてるという
ミーガン。盗まれた3時間後に入手したというものからメールがみんな
に渡っているとのこと。取引にはキャッシュのみで5千ドルから4万ドル
の値段でバイバイされ、売り手は6時間かけて違う公共の場で買い手と
逢っているという。販売相手は20代半ばの白人、デビッドは全て古い
紙を使った同じ本だという。スクラーが元々鑑定させていないので
本物でも知りようがないとのこと。
ミーガンは心理プロファイルで、売った男は些細な抵抗に怒って
反応していることから攻撃性障害の可能性があり、過去暴行歴が
あるハズだという。ドンは売った場所をチャーリーに知らせて分析
してもらえと語る。
■概要
・コミックマーケットで展示された200万ドル相当の貴重なコミック
のウルトラワードのアッシュカルという非売品の見本作品が強盗に
よって盗まれる。
・それを持っていたのはコレクターであり作家でもあるマイルズ・スク
ラーだが、コミック界でマニア的カリスマ性を持ち、盗まれた
原本の作者・ロス・ムーアの事は単なる老いぼれで、死んだら作品の
価値が上がるとして投資対象としてしか見て居なかった。
・漫画「ナノパンク」の作家でコミック歴史研究家のセス・マーロウ
はそんなスクラーの商業主義的行動に憤り感を覚える。
・盗まれた原本は200万ドルの価値があったが、すぐに贋作が出回り
14人のものがそれぞれ高額で買いとったとして名乗りを上げる。
■感想
作家のロス・ムーア役を演じているのが「Back to the Future」の
ドク役のChristopher Lloydだった。随分と老けたなと思ったけど、
バックトゥ・・の時ももう結構年だったか。
またコミックの歴史研究家としてムーアを崇拝している作家の
セス役のBen Feldmanは、「私は ラブ・リーガル」の守護天使・
フレッド役を演じている。
数学者・物理学者オタクたちの世界とコミックの世界の人たちの
間に共通点はあるのかどうか。
チャーリーたちもある意味では、なかなか周りに理解されない人種の
人だけど、コミックの世界も子供たちのものという印象が高い為か、
軽視される傾向に有る。
しかしカルチャーとしてそれなりに大きな市場が有り、認知されている
現実があることは確か。
■捜査
使用された紙が古いことから50年代などの紙を扱っている印刷所を
探る。
「ドクター・ストレンジ」のTシャツを着た人物がコミック書店で
高額の本を買ってマネーロンダリングをしていること。
「ドクター・ストレンジ」と聞いてデビッドが「ホフゴスの古き主に
かけて~」と語ってミーガンをシラーっとさせたところが凄い(笑)
更にその店で注文をしていたことから、ヴォーンが疑われる。
ただヴォーンはあくまで犯人の一人。
保護観察官によるとヴォーンには刑務所でゴードン・ギャリティという
用心棒との出会いがあり、その彼はセスのファンで、刑務所からファン
レターを送っていたことが分かる。(1年前ハイデザート州刑務所より)
繋がりは発見されたが、全ては「直感」で証拠が無いとしてドンたち
からチャーリーは否定されていたけど、今回のチャーリーはやたらと
“したり顔”していたのが憎たらしい(笑)
「数学をやる前からエプス収束を直感していた。アインシュタインだっ
て証明する何十年も前に相対論を直感していた」と語る。
■捜査
■キャラクターの変化
・ドンがグロッキー
今回のドンはリズと別れた直後なので捜査に身が入らない状況だった。
ドンに対してコルビーとかデビッドがどう声を掛けて良いのか分からず
終盤食事に誘われて困っている光景も有った。
殆どがコルビーやデビッド、メーガン任せで自ら現場に行く事は
少なかった。最後に凶悪犯のゴードンを捕まえる時にドンは不覚を
取って殺されそうになったけど、今回の影の主役であるコミック大好き
なデビッドが空を飛んで助けに来た(笑)
・チャーリーの本の影響
チャーリーがゲーム理論を使った人間関係の本「人気者の公式」が
ベストセラー候補だということを受けて、チャーリー本人の人物像
に迫る記者・ラングの姿が有る。ラングは当初当たり障りのない話
をしてきたけれど、結局チャーリーのことを金儲け主義だと言い始め
る始末。
ラングはチャーリーに友達がいないことを責めて、しかも今居る友達
と言えるラリーはチャーリーの元教師で、アミタは元教え子であること
に違和感を唱えていた。13歳に大学に入った為に、みんなと普通に
付き合うには普通の大人になるまで待たねばならなかったこと。
ラリーによるとチャーリーはベンジャミン・フランクリンの
格言通りに生きて居るとし「みんなに優しく大勢と交流し少数と親しめ」
いうこと。
最後に兄のドンががかつては関係が上手く行かなかったが今では
一番の親友であることを語り、それが採用されていた感じだったね。
・デビッドのコミックオタクブリが発揮
コミック好きの人って何百冊とかコミックを持っている人が多いよね。
友達の中にも漫画喫茶開けるだろくらいに本を持っている人がいた
けど、結婚を機会に売ったみたいだ。
そのデビッドはコミック本を既に何千冊も持っているという。
今回色々と説明する役目としてはデビッドが使われた感じだったね。
ラリーも「コミックが流行したりのは30年代から40年代で第二次世界大戦
の時代の人々が未来に怯えていた時代に花が開いた」
とし、「善が勝ち正義が力を握るコミックのヒーローがそんな希望を具現化
していた。」と語る。
・コルビーの悩み
メーガンに相談していた。
武器犯罪科のカレン・シルバーに声を掛けようとしていたコルビーだが
メーガンによると彼女は既に結婚していること。アイダホにいることは
彼女は楽に出来たけど今はまるでダメだというコルビーにメーガンは
面白い女性を知っていることを語る。
コルビーは女性が紹介する友達など大抵巨体でネコ17匹を飼っている
ような人物だろうとしていた。メーガンによると20ドル賭けても良い
として絶対に気に入る事を語っていた。
最後にメーガンはコルビーに女性を紹介する。
名前はシモーヌ・ヴァレー。護身用クラスで知り合った人物で、
フランス人で訛りがあること。文学の学位を持っていた大学では有名
な体操選手だったこと。現在シルク・ドゥ・ソレイユのスタッフだ
とすると、あっさりと20ドルを払って逢いに行っていた。
メーガンはコルビーの好みを知って居るのね。まぁプロファイラー
なのでその辺はお手の物でしょうか。
■チャーリー先生とアミタ先生
・対称情報
チャーリーがゲーム理論を通した人間関係を説明する際に、人間関係
を構成するのにもっとも重要なものが相互の関係を支える基礎となる
対称情報だと語る。
・フラクタル次元/フラクタル推定法
ニセものの作者かどうかを調べる為に、マンデルブロが使ったフラク
タル次元を基にインクの縁のギザギザを測定すれば本物かどうかが
分かるという。手の動きの早さによって、インクと紙の接触面の時間
により、インクのシミの広がり方に違いが出ること。
・ジャンプ入札
オークションに於いて、ライバルを諦めさせる為に急に高値をつけた
人を疑うべき事を語っていた。
■使用された曲
・
■出演者
ドン・エップス (Rob Morrow) FBI捜査官
チャーリー・エプッス (David Krumholtz) 数学者
アラン・エップス (Judd Hirsch) 父
デビッド・シンクレア (Alimi Ballard) FBI捜査官
ラリー・フラインハート (Peter MacNicol) 物理学者
アミタ・ラマヌジャン (Navi Rawat) 学生
メーガン・リーブス (Diane Farr) FBI捜査官
コルビー・グレンジャー (Dylan Bruno) FBI捜査官
セス・マーロウ (Ben Feldman) 漫画家、コミック歴史研究
マイルズ・スクラー (Wil Wheaton) 漫画家、コミック収集
ピーター・ラング (Joe Morton) “ヴアニティフェア”誌記者
ロス・ムーア (Christopher Lloyd) “ウルトラワールド”の作者
マーク・ヴォーン (Bruce Turk) 犯罪者の一人
ゴードン・ギャリティ (Jason Paul Field) 犯罪者の一人
Mrs.ギャリティ (Mary Gillis) ゴードンの母、施設入り
— (Therese McLaughlin) Parole Officer
— (Albert Malafronte) オークショナー
— (David Bardeen) Portly Collector
— (Lysander Abadia) Skinny Collector
— (Paul Lindquist) Geeky Guy
— (Ramona DuBarry) Bidder
— (Scott MacArthur) Bidder Wearing Glasses
シモーネ・ヴァレー (Jenni Cardone) 護身用クラス、シルク・ドゥ・ソレイユ
— (Brittani Noel) Vampirella