第13話 ドンの直感 Black Swan
脚本/Ken Sanzel
監督/John Behring
【ストーリー】
「銃15丁、目的地10カ所、家2軒、ブラックスワン1羽」
ドンらFBIの捜査チームは施錠された工場にSWATチームと共に
タイミングを見計らい侵入する。そこは麻薬工場。ドンは部下達
に工場を閉鎖することを命じる。
その頃チャーリー、アミタ、ラリーは教育実習生たちのセミナー
プログラムを行う。教育で大事なものは何を知っているかではなく
どうやって知ろうとするかだというチャーリー。ラリーも学生を
啓蒙して知的独立心を養う手助けはするが、その道を知るのは
君たち自身だと語る。アミタはだから計画が大切であり、毎日での
授業でも同様だという。特に初めは自信を無くすことだってある
かも知れない事。君たちをバックアップしサポートする為のセミナー
であることを告げる。教育でも科学と同じように”直感”が役に
立つこともある。学生の話を聞いて真意を理解してあげないといけない
というアミタ。直感は理性的な心が呟くもの。口下手な一言だったり
するというラリー。良い教師、良い指導者の証としては自分を信じて
いること。自分を信じているからこそ人からも信頼されるとし、正しさ
も大切だという。何か質問はないかと問うが、誰一人として手をあげる
ものはなかった。チャーリーたちは教育助手が12人もいて質問は一つ
も無しだなんて不気味だと語る。
一方ドンたちはデビッドから11人全員を拘束したとの連絡が入る。
しかしドンは外でSWAT隊員と会話している赤いネルシャツの男性を
見てコルビーに捕まえる様指示する。
男・ミーチャムは逃走するが、なんとか挟み込んで捕まえる。
彼のバンには銃に手錠にダクトテープなどが入っていた。
デビッドはドンに対してどうして分かったのかと問うと直感みたいな
ものだという。メタンフェタミンの密造所のすぐ脇でバンの後ろ
には誘拐犯御用達の品々が入っていたこと。目的が何でも仲間が居そう
だというドン。デビッドは氷山の一角ではないかと語る。
ミーチャムはFBIのオフィスに連行し事情聴取する。
コルビーとデビッドは、ダクトテープ、プラスチックの手錠/ケーブル
の結束バンドを何故持っているのかと問うと、普通に工具店で買った
だけだという。防音用のシートも買ったのかと問うとダクトテープは
それを止める為に買ったのだという。3丁の拳銃は何かと問うと
合法的な所持だという。密造所に来た理由はというコルビー
に何のことか分からないとし、道に迷ったのでフリーウェイはどちら
か尋ねただけだという。何で逃げたのかと問うと、連邦最高裁判決は
走っただけでは警察は調べることは認めたがそれだけで逮捕は認めて
いないと主張する。しかしデビッドは我々は警察ではなくFBIであり
ルールも違い扱いも変わると語る。上手く振る舞いSWATは誤魔化したが
オレの相棒が呼び止めた時バンの中を調べられると思いビビッて逃げた
のだろうという。見せたくないのはこれだろうと告げる。お前にとって
やばいことが見つかれば釈放処か司法取引の可能性も消えると語る。
終わりだというコルビー。
メーガンは彼はアイザック・ミーチャム。
5ヶ月前にモンタナ州ヘレナからこっちへ移動しその時免許を切り替
えたという。犯罪歴はなく、15丁のライフルや拳銃を購入した記録
があるという。ウチ3丁は我々が見つけたこと。メタンフェタミンの密造所
を襲うならかなりの量の武器と仲間が必要だというメーガン。
仲間は何処に居るのか。ロス市警がアパートを調べたが銃は見つからず
管理人は2、3週間ヤツを見て居ないという。隠れ家があるのか。情報部
によると「ザ・ニュー・アメリカ・フロント」と呼ばれるモンタナ州
に拠点を持つ組織に動きがあり、そいつらは銃規制に反対、
増税反対、反政府だというデビッド。リーダーは国税庁の爆破を計画して
去年逮捕されたとのこと。仲間はちりぢりになり残党が新たなテロを計画し
ているのか。しかしまだいずれも推測だという。正当な手続きをゆがめ
とる必要なら構わないがというが・・
■概要
・メタンフェタミンの密造所の摘発に大々的に動いたFBIのチーム。
しかしその陰で不審な男を見つけてドンは捕まえる様命じる。
男・アイザック・ミーチャムはバンに乗っていたが、トランクには
手錠用の結束バンド、ダクトテープ、拳銃3丁、防音材などが
入っていた。密造所を襲撃しようとしていたものなのか。
取り調べを行うが一向に口を割ろうとはしなかった。彼の経歴を
調べるが特に犯罪歴はないが、情報部によると彼が住んでいた
モンタナ州を拠点とする「ザ・ニュー・アメリカ・フロント」という
組織の動きが活発で、連邦政府に反発心を抱き、白人至上主義者たち
の集まりである事を知る。
・仲間が居るはずだと感じさせる要素として彼は過去15丁のライフル
銃や拳銃を購入していたが、それが何処にも無かったことも有った。
・仲間はまだ逮捕されたことを知らないハズであり、車の中に入って
いた簡易GPS装置には最近10地点の居場所に行ったことを示す形跡が
有る為に、最後に訪れた場所に彼のバンを置いておいて彼らの仲間
が来るか見張りをしようということになる。
■感想
前回からの流れからすると、アミタとラリーの例の研究の件は
どうなるのだろうか。今回は全くその話がないような形でドラマが
進んだ気がするぞ(笑)
特にドンの行動や態度がこれまでと違って不自然だと思うところは
無いのだけど、みんなが変わったというのでやっぱり変わっている
のかな。
メーガンとドンのちょっとした意見の食い違いに於いても、捜査上
はよくあることなんじゃないだろうか。
ドンがいきなりテロ容疑でミーチャムを押さえようとしたこと。
あくまでミーチャムはまだ違法なことをしていない”怪しい状況”
の中で国家権力を利用するようなやり方に嫌悪感も有るのか。
ドンとメーガンに挟まれるデビッドがやりづらそうで、対案を色々と
出してバランサーとしての役割を果たしていた。
メーガンがドンの捜査についていけない状況の中で、変わりものの
ラリーが別の視点から、メーガンにアドバイスをくれるというのは
ありがたいものが有る気がするけど、
「君は優秀で資格も申し分ない女性。君なら何処に行こうと引く手あ
まただ」
「仕事を辞めろと?」
「この仕事をする理由に疑問を感じていたり理由そのものず無くなって
いるなら、今君に必要なことは新しい理由を探すか、仕事を辞めるか
だよ」
ラリーらしい意見と言えば意見だけど、メーガンに辞められたら
職場が男臭くなりすぎて困る(笑)
とはいえこのドラマ、もう10年近く前のドラマなのでネタばれして
も良いかなと思うけど、メーガンはこのシーズンで降板している
からね。
■捜査
事件自体はそう難しく無い案件だった気がする。
あのタイミングで踏み込むならもっと前に踏み込んでも良さそうだ
った気がするけどね。あんまり最近捜査と数学がかみ合っていない
印象も有るな。
テーマからすると、まだ見ぬものを信用出来ずに警戒心を露わにする
余り、新たな犯罪を生み出してしまうというちょっぴり切ない感じの
ものが有ったのかな。
ただ疑うべきだけの素因とか要素というのは多分に有ったと思うので
そうなってしまうのも仕方がない。
コルビーとデビッドが見張りするシーンが有ったけど、会話すること
が無くなり同じことを語り合うという不毛な流れが有り、二人の間
にはそんなに薄っぺらい関係だったのかと思わせるところも有ったぞ。
でもいざ任務で忍者のように盗聴器を仕掛けに行く際には、二人の
コンビ性を感じさせたかな。
■チャーリー先生
・ディリクレ分割
GPSでは10カ所いったことを示すことだけが分かり、そこから仲間の
居場所・隠れ家や何処かを襲撃するか分からないのかということで、
コルビーがチャーリーの元に地図をもって現れた。
フロイド-ワーシャル法を応用出来ないかとしていたけど、この場合
各地点に行った順番が分かっているので重なり合うディリクレ分割
を時系列的に分析するのが良い事を語る。
それぞれの地点から怪しそうな場所を枝葉のようにして見つけ出す
みたいな感じだったな。
・ブラック・スワン
ヨーロッパ人はずっと白鳥は白い物だと思っていたがオーストラリア
を発見されると黒い白鳥がいることが分かる。
ドラマではみんな彼らが「ザ・ニュー・アメリカ・フロント」だと
して見て居るけど実は思い込みなのではないかとされていた。
ブラック・スワンに関しては、ナシム・ニコラス・タレブの言葉が
引用され、最近著書の中で彼は「予想を超えて起こる出来事をブラック
・スワンという言葉を使って定義している」
テロだと断定しているドンに対してチャーリーは
「何か考える時にもっともらしさではなくそれがもたらす害を重視
しろ」とタレブは言っていることを助言した。
■結論
このドラマ、結局SARされたことが問題で今回の容疑者を怒らせた
のかな。「疑惑行為の報告書」のことで、問題がありそうな人を
そのように調査して報告されたことで、彼らの中には何らかの不利益
を生じることが有ったのか。元々「ザ・ニュー・アメリカ・フロント」
のメンバーだったのかはよく分からなかった。
まぁ今のアメリカでは過剰に人を疑うことになるのも仕方がない
部分が有るのだろうけどね。
■その他
・アミタの両親
先日アミタの両親が彼女に会いに来るということでチャーリーは
行こうとしていたけど結局キャンセルになっていたのね。
アミタの両親って何をしている人なのかなと思ったら、
インドで国家財産の顧問をしていること。世界で二番目に人口の多い
国の財政問題に取り組んでいるのだから仕方がないというチャーリー。
チャーリーはずっと家に居て家族と会える環境にあるのとインドに
いるアミタの両親との間には距離的にも精神的にも開きがあるが、
繋がりが感じられないという彼女に対して、「関係は繋がっているし
両親は来るよ」と励ます。
今回はチャーリーがやたらと慰め役に徹していたね。
・ディリクレ分割の形を見て・・
その画面を見ると昔よくやったアーケードゲームを思い出すと語って
いたのはデビッド。「ミサイル・コマンド」だとしていたけど、理科大
の地下のパブには古いゲーム機が色々と有り「アステロイド」
「スペースインベーター」があるとしていたチャーリー。
デビッドが通っていたコーネル大には「フロッガー」が有ったという。
自分はその時代の人ではないけど、全部オリジナルのアーケード筐体
で遊んだことが有るゲームだ。
アステロイドが一番好きかな。アステロイドを進化させた感じの
「タイムパイロット」ってゲームも楽しい。
・知識が有れば会話も弾む
コルビーとデビッドって話題切れになっていたけど、デビッドと
チャーリーってビートルズネタで盛り上がっていたり、上で書いた様に
ゲームのことで盛り上がったり・・
でもコルビーも最初はチャーリーたちの会話に入れなかったけど、
1台だった車が三台に増えたことを語る際に、これまでの計算では
1台の元で行ったから変わるのではないかとした際にチャーリーからは
「天才数学者コルビー・グレンジャー」
とフルネームで呼ばれて居た(笑)
■使用された曲
・Yoo-Hoo by Imperial Teen
・Unstoppable by Keaton Simons
■出演者
ドン・エップス (Rob Morrow) FBI捜査官
チャーリー・エプッス (David Krumholtz) 数学者
アラン・エップス (Judd Hirsch) 父
デビッド・シンクレア (Alimi Ballard) FBI捜査官
ラリー・フラインハート (Peter MacNicol) 物理学者
アミタ・ラマヌジャン (Navi Rawat) 学生
メーガン・リーブス (Diane Farr) FBI捜査官
コルビー・グレンジャー (Dylan Bruno) FBI捜査官
アイザック・ミーチャム (Jacob Fishel) “イジー”、冒頭で捕まる
ジョシュア・クイグリー (James Harvey Ward) 最後まで抵抗
バーナード・ライケン (Steve Gibbons) 組織メンバー
ダグラス (Mike Peebler)
ドリュー (Dante Dahabreh)
— (Harrison Held) Meth Lab Worker