第10話 ライバルの対立 Frienemies
脚本／Cheryl Heuton
Nicolas Falacci
監督／Steve Boyum
【ストーリー】
「強盗51件、クローン携帯9個、ライバル2人、深海流集合1」
南西チャーター高校。
パソコン室に忍び込んでパソコンを盗む若者たちがいた。しかし
待ち伏せされていて捕まってしまう。しかし警察ではないなというと、
悪党にバツを与えているという。
デビッドとドンは現場にやってくる。
ドンはこの案件は市警で十分だろうというが、先に来て調べていた
ニッキーはただの押し入り強盗ならばねと語る。でも自警団が関わって
いてややこしいのだという。自警団バンガード(Vanguard)と壁には描か
れていた。
2ヶ月で5件目だという。状況も被害者もよく似通っていること。5人
で未成年者16歳から19歳、白人、ヒスパニック、黒人で有り、彼らは
ギャングじゃないという。所持品はピッキングの道具とバールにケーブル
カッターだという。バッグには学校のパソコンが入っていたという。
警察へのクリスマスプレゼントかというデビッド。自警団が待ち伏せ
して捕まえたが、その自警団は手製の閃光手榴弾まで使っていたという。
バンガードのことはデータベースにはないとしこの携帯だけが床に落ち
ていたというニッキー。ここの生徒のものかも知れないと。
技術班のマットはMINとESNが消されているという。
コルビーはそれは何のことかと問うと携帯の製造ナンバーのことだという。
番号は簡単に消せるが製造ナンバーを消すのは不可能だという。
デビッドは容疑者に対して数学が得意かと問うと盗まれたものの値段
を足してみろとし、重窃盗罪になると分かるハズだという。しかし
犯人の少年は保護観察だろうとし初犯だしと語る。ケチなチンピラで
頭が切れそうには見えないのにパソコンの在処やアラームの解除方法
をちゃんと知っていたのは誰の指示なのか。2人の少年に対して1人は
話しそうだったので2人切りで話そうかというが、どうなっても知らな
いぞと語ると、もう一人の少年はやはり黙ってしまう。誰かを怖がって
いるというコルビー。ニッキーはそろそろ親と弁護士が来たので時間切れ
だと語る。
アミタとチャーリーは、携帯の件ではコールド・ブートアタック、
またはコールドゴーストアタック、アイスマン・マックを使えば良いと
いう。アミタは普通はメモリーチップを取り出すと中のデータも同時
に消えてしまうがただしその前に凍らせるとデータを読み取れるのだ
という。いずれ消えるが何分かは生きているというアミタ。これを携帯
会社のデータと照合すれば持ち主が分かるとしてデータを取り出す。
携帯の持ち主はバイラン・ツァオだった。
FBI捜査官のニッキーとデビッドを中心としたものがバイランの経営
するクリーニング店へ。店主の男がバイランかに思われたが、バイラン
は祖母だとして彼女の名前を呼ぶ。奥からバイランが現れると携帯
電話をいじっていたが、携帯は決して盗まれているものではなかった。
彼女は肌身離さず持っているとしメール中毒だという。ニッキーは
携帯の番号をコピーしたのだろうと語る。
再び事件が発生する。
コルビーはトラックを襲って荷台の電気製品を持って行こうとした
らしいこと。若者グループだとしてドンに報告する。自警団の一人が
ショットガンで胸2発撃たれたとし、返り討ちだというコルビー。
壁には「バンガード5、俺たち1」と書かれていた。抗争のようだと。
被害者は顔認識ソフトからピーター・ハサウェイ(22歳)。
ミッションヒルズ大の大学院生だという。専攻はシステム工学だという
デビッド。両親はバンガードも自警団についても聞いた事がないとの
こと。死人が増える前に仲間を特定しなければ・・というデビッド。
学生や教授を当たってボスやアジトを突き止めるのだというドン。ニッ
キーはドンに対して学校に押し入った子はみな同じ地区に住んでいると
し、アトウォータービレッジ・・別名トゥーナービルだと語る。
ビッグ・トゥーナーと言えば、殺人を初め数十件の容疑がある人物だが
未だに逮捕出来ていないこと。目撃者、証人はみんな死亡しているから
だという。コイツが軍隊式の一味を率いて街全体を牛耳っているという
ニッキー。24時間警察に警戒させるという。自分と同じ車に乗っていた
部下を殺したって話だという。未成年なら捕まってもすぐに出てくると
知っていること。彼らがピーターを殺したのだろうと。
アミタはラリーにDDI(Digital Data Interpreter)という装置を使えば
クローン携帯が作れることを語る。人通りの多い場所に行って飛び交っ
ている通信の電波を拾えば通行人の携帯番号と製造ナンバーをキャッチ
して記録できるのだというチャーリー。装置の追跡は無理だとしシグナル
が弱いからだというアミタ。
コルビーはお手上げということなのかと問うと、チャーリーはバンガード
側には高額の知識があること。強盗団一味の通信をモニターしていたの
かも知れないという。その方法が分かれば次の事件の場所が突き止めら
れるというアミタ。ラリーは深海流集合の専門家が今、たまたま客員
教授としてこの大学に来ているという。マーシャル・ペンフィールドか?
というアミタ。宿敵だという。コルビーはつまり学問上のケンカ相手
なのかと。チャーリーのことをエプシー(Eppsy)と呼ぶのだというと、
アミタはそれでも前に捜査を助けてくれたことがあるという。
■概要
・南西チャーター高校のパソコンルームに未成年の5人の若者集団が
忍び込んでパソコンを盗もうとするが、待ち伏せしていたものたちに
よって捕まえられる。
・単なる押し込み強盗で、市警が逮捕したのかに思われたが、彼らを
逮捕したのはバンガードと呼ばれる自警団の集団だった。
・彼らを調べるウチに盗みの実行犯には大したスキルがないが、
彼らを操るものには相当なスキルがあると思われ、携帯の製造ナンバー
も分からないようになっていたり、侵入の際の防犯ベルも解除されて
いた。
・捕まえた側も閃光手榴弾などを使い、両者は対立している関係である
ことが分かっていく。
・この手の犯人を特定して行くには、深海流集合の専門家のマーシャル
ペンフィールドの協力が最適だが、チャーリーとは敵対しているライバル
でも有り乗り気ではなかった。
■感想
うーん、面白かったようなつまらなかったような・・・
ここの所、なんだか自分の中では微妙なエピが続いているな。
シーズン6で終わったのも分かる気がする。
一番面白かったのはチャーリーの髪型が突然変わってしまったという
ことかも(笑)。もっさりした印象しか無かったのに急にビシッと
短くしてしまったのは何故なんだ。
今回は明らかにライバル関係にあるものたちの戦いを描いたもので、
それぞれライバルがいるからこそスキルを高め有っている訳だけど、
必ずしもそのスキルが良い方向にばかり傾く訳では無いこと。
自警団バンガードとビック・トゥーナーと呼ばれるギャングの一団の
対立の構図が有れば、理科大の中でもチャーリーには、マーシャル
という深海流集合の専門家/客員教授との対立の構図が有り、それら
を戦わせつつ、嫌な口を叩いたり牽制し合うのは相手のことを怖がって
いるという心理的なものが含まれていることが描かれた。
怖がっていると言えば、ドンもまたチャーリーのことを怖がっている。
ドンは論理的思考で物事を考える為に、今のドンのように礼拝堂に
通い宗教に頼っていることに対して、説明の付かない自分の気持ちの
中のことに対してごちゃごちゃと言われたくない思いが有ってチャーリー
には話せずにいたという流れが有った。
・マーシャル役のColin Hanks
「ナンバーズ」の中でもs2-7で一度登場している。
Colin Hanksを見ると、NCISが始まった頃のマクギーに似ているんだ
よなぁ。
http://itawind.web.fc2.com/kaigai/numbers/numbers207.htm
■捜査に於ける数学の先生たち
・深海流集合
今回のそもそもの疑問は事件が起きること、強盗団が襲う場所を自警団
がどう知ったのかということに有った。
上位集合の中に部分集合があるかも知れない・・
深海流集合では目には見えない集合をあぶり出せるとして、「人混みの
群衆」を例に出して説明する。一定のパターンで動くが特定のエリア
で発生した小さな事象が全体の流れを変えることも有るとし、それを
通信ネットワークに置き換えて、目に見えないネットワークの動きに
発生した異常から見えていない要素に関する情報を導き出せるとしていた。
・ヴィジュネル暗号
アルファベットの最初の13文字を13の記号に当てはめるというもの。
現場の落書きはその暗号で、アミタが解析するとそこには
「www.vgdataentry.com」と出て来た。バンガードのサイトで過去に
強盗を邪魔した場所。予定時刻も書いて有り、一番下には今日の日付
(2008-12-5)でダウンタウンの電気製品倉庫を襲うと書かれていた。
バンガードをおびき出す作戦。残念ながらFBIが監視していたが、
オリバーとマリオという人物しか捕まらなかった。
・局地的セル・マトリックス
深海流集合の一つで、トゥーナーは携帯のマトリクスをデータマイニ
ングして動きを探っている。その下位集合をバンガードが探っている
の導関数を求めれば良いという。しかしそれには時間がかかりすぎる
ということで却下になった。
・フォン・ノイマンの3人の撃ち合い
撃てるのは1発だけで3人のガンマンがいる。
アレックスは3発中1発を当てられる確率の腕。
チャーリーは3発中2発を当てられる確率の腕。
コルビーは3発中3発を当てられる確率の腕を持つ。
撃てる順番はアレックス、チャーリー、コルビーで、アレックスは最初
に誰を狙うのかとした際には、命中確率の良いコルビーを誰もが狙う
と思われがちだが、アレックスはチャーリーを狙ってハズして、自分より
確率の高いチャーリーにコルビーを撃たせるというもの。
これは典型的なゲーム理論のシナリオ。
お互いに通信のスキルをよく知っているのでこっちの情報を紛れ込ませ
て操ることで、見事両者を呼び出し、FBIがこの対決に結論をつけた。
・休戦しよう
チャーリーはアレックスに休戦を申し出る。
しかし信用しない彼はゲーム戦略かと問うが、チャーリーはそれなら
第4レベルの利他的戦略を採ることを語り、納得させていた。
■結局なんだったんだろう?
トゥーナーは武闘派だけど、頭がいいようだ。
対抗している自警団のバンガードのクレイトンも頭がいい。
ただこういう頭脳派集団の対決だと考えると、トゥーナーが怖い人と
いうイメージが一気に冷めるところがあるし。
両者の間で追う者とそれをまた追う者の間で対峙することになったけど、
みんな実力やスキルを無駄に使っている。
バンガードのコードは宇宙物理学プロジェクトで使われて居るもの
とそっくりだとしていたのでもう少しラリーがヒントを出していった
り、知り合いか何かかと思ったんだけどね。
■その他
・ラリーの発言
チャーリーとマーシャルがくだらないところで争っている為に、
ラリーが一言。
この成果をもたらしたのはエプスメソッドでも、ペンフィールドアプ
ローチでもなく、ラマヌジャンスキャンだ。
・ラビ・ヘシェルの名言
「宗教哲学が果たすべき第一の役割は宗教が堪えとなるような問いを
見つけることだ」。
ドンの礼拝堂の件でチャーリーはラリーがアランからではなくドン
本人から聞いていたことにショックを受けていた。
・デビッドとコルビー
「恐るべき殺人者に素手で立ち向かう勇敢な数学者コンビ」(デビッド)
「この恨みは必ず晴らす」(コルビー)
無謀にもチャーリーとアレックスが現在進行形の強盗現場に立ち入った
際に皮肉られて言われた言葉。
・チャック
ドンがチャーリーを呼ぶ愛称のようだけど、今までドンが彼をチャック
なんて呼んだのを聞いた事がない。
■使用された曲
・The Lost Art of Keeping a Secret by Queens of the Stone Age
■出演者
ドン・エップス (Rob Morrow) FBI捜査官
チャーリー・エプッス (David Krumholtz) 数学者
アラン・エップス (Judd Hirsch) 父
デビッド・シンクレア (Alimi Ballard) FBI捜査官
ラリー・フラインハート (Peter MacNicol) 物理学者
アミタ・ラマヌジャン (Navi Rawat) 学生
コルビー・グレンジャー (Dylan Bruno) FBI捜査官
ニッキー・ベタンコート (Sophina Brown) FBI捜査官
マーシャル・ペンフィールド (Colin Hanks) 深海流集合の教授
オリバー・マヨ (Adam Wylie) 倉庫で逮捕。
ロバート・サントス (Joaquin Perez-Campbell) ピーターのルームメイト
— (Ryun Yu) 若い中国人
ビック”ベクター”・トゥーナー (Tony Curran) 容疑者
マット・リー (Matthew Yang King) FBI捜査官・技術班
クレイトン・キャズウェル (Jeremy Glazer) 講師、コンピュータ工学専攻
バイラン・ツァオ (Takayo Fischer) クリーニング店の祖母
マリオ (Josh Blaylock) 倉庫で逮捕。気が弱そう
— (Jessie T. Usher) Robber
— (Ulysses Cuadra) Robber
— (Adrian Kali Turner) 少年
ティナ (Chesare Hardy) ロリの友人
— (Spencer Andrews) Computer Store Robber
— (Garret Gerlich) 泥棒
— (Jamon Holmes) Vigilante
— (Anthony Ledesma) 運転手
ピーター・ハサウェイ () 被害者、22歳、ミッションヒルズ大、”バーズ”
ロリ・サンチェス () シティカレッジ、レイプ殺人の被害者
メイソン・スペルマン () 被害者、19歳、西キャニオン大