ナンバーズ 天才数学者の事件ファイル Numb3rs シーズン5 第11話 脱獄犯 Arrow of Time

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第11話 脱獄犯 Arrow of Time

脚本/Ken Sanzel
監督/Ken Sanzel

【ストーリー】

「身長175cm、体重71kg、年齢19歳、懲役250年。」

「エントロピー・・・ランダムの指標、無秩序のパラメーター、不可
逆的な状態にまで拡散したエネルギー。一見混沌や衰退のようにしか
思えないものも実は差を埋めようとするシステムの作用で平衡状態
を求めている。言葉には表現できないことを数字や物理学が説明して
くれる。孤立したシステムで発生する変化をハッキリと見せてくれる
のだ。エントロピーと物差しだ。物事の進行を測り一つの物語の始まり
と終わりを指し示す。時間の流れる向きを一つに決定する。これが
エントロピー。互いは関連のないパーツが進化するシステムの中で
結合していく。すなわちエントロピーとは時計の針でもある。二度と
戻せない。」
チャーリーはアミタとソファーで寝そべりながらエントロピーの話を
する。時間の失念のことねという。
その頃ドンは教会にいく、詠唱を聴いていた。
一方脱獄囚の一人は”FBI捜査官連続殺人犯を射殺”というドンの記事
を読んでいた。

デビッドとリズはそんな脱獄囚のことを追いかけていく。
まるで矢印のように囚人の荷物が投げ捨てられていてロサンゼルスに
向かっているのは明らかだった。
現場近くでデヒッドはジョー・シボドーに合流する。
3人の囚人が逃げたこと。外には車が用意して有りタイヤから見て古い
型の車だという。しかし彼らは既に検問の外へと逃げ去っているという。
脱獄に使われた乃はデンタルフロスをつなぎ合わせたものだという。
そんな中ジョーのことを保安官が”アグリー”と呼ぶ。
デビッドはリズに対してここにはジョーが3人居るとして、ビッグ・ジョー
リトル・ジョー、そしてアグリー・ジョーだという。彼よりビッグ
なの?というリズ。

デビッドはニッキーから逃亡犯はバック・ウィンターズ。
そしてグレイ・マクロフリン。彼はドラッグの密輸などの犯罪で度々
捕まっているという。コルビーは零細自営業の95%は初年度赤字だと
いうと、ニッキーはグレイのことをイケメンねと語る。そして三人目
はレイフ・ランスキー。コロンビア系ギャングとかジャマイカ、ロシア
などに手を貸していたとし、分かっているだけで6人を殺しているとい
うコルビー。捜査保留になっているのは4件だと。ドンはいつもの脱獄事件
と同じように捜査をするんだと語る。いつもならお礼参りを心配すると
いう。バックは17歳の時、教師のクリスタルと恋仲になり元々厳しい
父親だったが益々恋仲になっているのを知り息子を折檻し、父親を
殺して逃げたのだというデビッド。2人は強盗しまくり国中を逃げて
ラスベガスで結婚したという。彼らはドラッグ製造工場を吹っ飛ばした
こと。バックを逮捕したらクリスタルはメーガンを拉致したのだと
いう。ドンがぶち切れてバックの取調中に何かが有り、バックは自供
し病院へ行き、メーガンは保護されたという。クリスタルは手榴弾を
積んだ車で突っ込んできたのでドンが発砲して射殺したとのことだった。
この仕事をしていると自分の意外な一面を知るという。嫌な自分を
見たのだろうというニッキーとコルビー。彼はドンを恨んでいるのか。
コルビーはランスキーを追うのでニッキーは”イケメン”のグレイの
追跡を頼むと語る。

チャーリーはアミタたちに前に複素多項式の新しいアイデアをウィザー
ズに盗られたことが有ったという。1人じゃなくチームが果たしている
こと。アミタはリーマン予測を進言したのは確か土木工事の専門家だ
ったこと。ラリーは集団でアイデアを生み出す今の風潮は科学や芸術
の歴史に反するというが、大勢の仕事が一つの流れを生み出した例は
多いというアミタは、ピサロ、モネ、ドガ、ウェッジウッド、ワット、
ダーウィンを引き合いに出す。するとチャーリーはオッペンハンマー、
フォン・ノイマン、ウィルソン、ウェイス・コブフ、新儒学のことを
引き合いに出す。僕たちもシンクタンクを作ろうというチャーリー。
月に一度アイデアを持ち合って話遭うのだという。化学はオオサキ先生、
工学方面からのインプットはガラスキ先生、お父さんも都市計画ひと筋
35年のベテランだぞとし学生としてのフレッシュの視点も持っている
という。しかしチャーリーは父は辞めようと語る。

ニッキーはグレイには女が居るとしてディアン・ドレイク。1年半で
12回面会していること。自宅を監視させているという。職場は港の
倉庫でフォークリフトを動かしているという。2人は刑務所の文通サイト
で知り合った人物。イケメンなんて言うんじゃなかったというニッキー。
グレイの協力者に遭いに行こうと語る。
デビッドとリズは二人で理科大に行きチャーリーたちにデンタルフロス
の件で話をしにいく。長さ9m、市販のフロスは18から135mまで。
ロープの密度から考えると全部で5500mから5800mくらいだというチャー
リー。ラリーは標準的な5m巻き商品で集めると127個は必要だという。
ブンタルフロスがロープだったのかとすると、武器にもなるというリズ。
チャーリーはそこでシンプレックス・アルゴリズムを使うのはどうか
と提案する。

■概要

・3人の囚人が脱獄する。脱獄したのはバック・ウィンターズ、
グレイ・マクロフリン、レイフ・ランスキー。
・その中の一人、バックは過去にドンによって恋人が射殺されたこと
も有り、明らかに脱獄の目的はドンへの復讐ではないかとされていた。
・肝心のドンは相変わらず過去の事件、事件捜査に対して迷走し、
その答えを巡って宗教に求める。

■感想

S3-1、S3-2のオープニングを飾った女教師と生徒の逃避行・派手な事件
は、現代に於ける「ボニー&クライド」みたいな事件だった。蜂の巣に
はされなかったけど、女教師だったクリスタルはシーズン3でドンに
よって殺害され、未成年のバックは懲役250年ということで、愛するも
のも失い、この先一生刑務所での生活ということで、夢も希望も有った
ものではない。ただ全ては自分の責任だけどね。

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三人の囚人達がそれぞれ向かう先は一体何処なのか。

ドンが完全にグロッキー状態で捜査に加わっていないけど、これで良い
のか?
ドンがかつてのラリー状態。ラリーは性格上ある程度許されるところ
が有ったけど、ドンの場合命に関わることに関係しているし、部下の
ことにも責任が有るのだから、なんとかしないとね。

今回は「時間の矢」とか「エントロピー」に於ける不可逆性を唱えて
過去には戻せない、過去は変えられないが、未来は変えられることを
語っていた姿が有った。

■捜査に於ける数学の先生たち

・シンプレックス・アルゴリズム

囚人達がデンタルフロスで道具を作っていた。その過程での様々なリスク
要因とか材料入手、制作時間などを計算し、その結果作業期間とか
行き先が分かるみたいなことを語っていたけど、本当に分かるのか?

リズは「フロス数学」と語ったことでみんなが微笑んでいた。

デビッドは脱獄囚達は頭がいいわけではないので、こんなことを出来る
訳がないとして誰かが背後にいると考えていたようだ。

・シンクタンク

チャーリーが自分のアイデアだった複素多項式をウィザーズらに盗られ
たということで、彼らがチームであることから自分たちもアイデアを
持ち合って話し合いをすべきではないかということになる。
ラリーは集団での研究はあまり推奨していなかった。
チャーリーは父親をその輪に入れることに難色を示す。
いつも家でも学校でも顔を合わせているからだとしているけど、実際に
は7歳の時に父親の数学的能力を超えていたことが頭に引っかかっている
様子。息子にとって父親は何でも教える存在だとしていたけど、
チャーリーは既に7歳から能力が超越していたのね。

ただ私も最近高校生の教科書を見ても当時の計算式とかまるで覚えて
いないことが多いな。学友が今でも毎年センター試験の問題を解いて
いる人が居るけど、よく覚えているなと思う。一人は進学塾で働いて
いるのでそういうのは得意だとは思うんだけどね。

・源符号化定理

アミタは男性同士の会話って情報源符号化定理の限界に挑戦って感じ
だと語る姿が有った。
過去の件でラリーがメーガンの拉致のことを思い出したことがそんな
に理解できないことかな。

デンタルフロスなど刑務所では手近なもので道具を作ると言うことで
「ロビンソンクルーソー」みたいだとしていた人も居れば、アミタは
「ギリガン君SOS」(Gilligan’s Island)に出てくる教授もそんな感じ
だったと語っていた。

・双曲線余弦関数のテイラー展開

7歳の時にチャーリーが父親に双曲線余弦関数のテイラー展開で剰余を
推定する方法補一緒に考えてと頼んだが、父親が答えられない質問だ
ったので、チャーリーとしては「一線を越えた」と思ったらしい。

子供はいつかは父親を越えていくものだけど、大抵は力でそれを誇示
するのが男って感じだけど、チャーリーの場合は頭脳なんだね。しかも
7歳。そりゃどの父親でもへこむでしょ。

・ビタビアルゴリズム

バックの次の動きを突き止めようとしてチャーリーがそれを用いていた。
ラリーによると最初はチャーリーもビタビアルゴリズムをバカにして
いたとするが、その計算の結果、予想とは違うことが判明したみたい。

・マクスウェルの悪魔

思考実験の一つ。
隣り合わせのドアに悪魔が立っていて、平衡状態。
悪魔はドアを選ぶ度に自分が選んだ分子を通す。一方の部屋を暖めて
一方を冷やす。熱力学の第2法則と矛盾するという。悪魔はドアを開け
閉めするだけではなく永久機関の存在を可能にしてしまうという。僕らが
現実だと思っていることが全てひっくり返されると。

愛していたのに裏切らせて彼女を殺したと思っているバックのことを
操ったとされるドンに向けられたものなのかな。

■その他

・ドンを立ち直らせる為に・・

回りが気を使っているところは分かるけど、丸腰でバックの元に行く
姿とか見ると、彼の心理を見抜いていたのか、それともバックだけで
なくドン自身にもバックと同じような思考が存在していたのではない
かという感じもする。しかしドンの場合、仲間が付いているということ
で決して死なせはしないと語るデビッドが心強かった。

・ニッキーとコルビー

地味にこの二人やり合っているね。
ニッキーが囚人を格好良いと言ったことからコルビーがからかうこと
を見越して、グレイの彼女のデイアナに押さえつけられた際に
ニッキーは携帯で写真を撮ってコルビーが自分に恥をかかせたらそれを
流出させるとばかりの態度を取っていた。

・人が持つ心配・不安・恐怖

無理にドンが平気な顔をしているとしてロビンは心配している姿が有った。

アランもドンに対して気になるのは態度だとして、自分の身を守れる
だろうが、まるで人ごとみたいにこの件をみて居ると指摘されていた。
愛する息子が心配だとしていたけど、ドンの心配は「アイツを殺す事
になるのが怖い」と語る。

前回のエピソードではドンはチャーリーの事が怖いとしていた。
論理的に今の状況を説かれると勝てる自信がないんだろうけどね。

ラリーはロビンにもドンと同じ気分を味わったことを語っていた。
「宇宙論に於ける時間の矢は膨張の向きを示している。いつか宇宙が
収縮に転じたら・・」(ラリー)
「否応なく過去に向き合わざるを得なくなるの?」(ロビン)
「時間は同じ方向に流れる。宇宙は前向きなんだ」(ラリー)

・ラビが語るナタハ・ラハ

手の中にあるもの。自分でコントロール出来るもののこと。
今のドンはコントロール出来ない状態。
それを聞いたチャーリーは

「ボクを遠ざければコントロール出来るのか
と問い、知覚的に言うと相関関係が増大しない限り、記憶も増大しない。
時間の矢は過去から未来にしか流れない。今日何をしても明日何をして
も撃った弾は戻らない。2年後を考え後悔しない行動を・・」

アドバイスしていた。

■使用された曲

・Rifles by Black Rebel Motorcycle Club
・Cantus in Memory of Benjamin Britten
Composed by Arvo Part

■出演者

ドン・エップス (Rob Morrow) FBI捜査官
チャーリー・エプッス (David Krumholtz) 数学者
アラン・エップス (Judd Hirsch) 父
デビッド・シンクレア (Alimi Ballard) FBI捜査官
ラリー・フラインハート (Peter MacNicol) 物理学者
アミタ・ラマヌジャン (Navi Rawat) 学生
コルビー・グレンジャー (Dylan Bruno) FBI捜査官

ニッキー・ベタンコート (Sophina Brown) FBI捜査官
リズ・ワーナー (Aya Sumika) FBI捜査官
ロビン・ブルックス (Michelle Nolden) 連邦検事 AUSA

バック・ウィンターズ (David Gallagher) 脱獄囚
ジョー・シボドー (Gary Basaraba) 3人居るジョーの一人
グレイ・マクロフリン (Paul Hipp) 脱獄囚
ディアン・ドレイク (Rusty Schwimmer) 港の倉庫勤務、グレイの彼女
ティム・ピンチョン (Andre Royo) 脱獄囚に手を貸した
トビー (Jamie Starr)
レイフ・ランスキー (Adam Dunnells) 脱獄囚
— (Quinn Sullivan) Second Marshal
— (Michael Li-Paz) Rabbi
— (Diana M. Kim) FBI捜査官

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