第17話 殺人コンピューター First Law
脚本/Sean Crouch
監督/Steve Boyum
【ストーリー】
「コード行数200万、処理能力毎秒8000万、パソコン9億8500万台、人工
知能1」
ダニエル・ロバートソン博士は厳重なセキュリティを施された施設内
に入ると人工知能ベイリーに対して挨拶を交わす。ダニエルはパスワード
を入力して環境設定を変更しようとすると、突然セキュリティプロトコル
発動だとベイリーは警鐘を鳴らして室内から出られなくして室内にガス
をまき散らしてダニエルは死亡する。
ラリーとアミタとチャーリーは、色々とバスケットボールで15年勝てない
カリフォルニア理科大のバスケ部に勝利させる為に数学で色々と試す。
技術があるチャーリーはオーバーハンドシュート、アミタは”おばちゃん”
シュートを使う中、アミタのシュート成功率の方が高かった。
ストリーリング監督は彼女をスカウトするかとジョークを語るが、
“おばちゃん”シュートに関しては20年も前に本が出ているのに誰も
採用している人は居なかった。ラリーは地球が太陽の周りを回っていると
受け入れられるのに200年はかかったんだと告げ、そのウチ浸透する
可能性を語る。しかし確率はよくともみっともないというというのが
監督の意見だった。見た目よりも確率の高さだとして、シュートを
コントロールしやすく投げるスピード、ボールの角度も確率的には20%
以上だという。どう戦うかではなく勝つか負けるかだと。
そんな中チャーリーの携帯に電話。アミタに対して最先端のパソコンを
見たくないかとして誘う。
現場ではコルビーが説明する。
被害者はダニエル・ロバートソン(34歳)。4年前から彼はペンタゴンの
機密プロジェクトに従事。外傷はなくセキュリティ発動で死後に
セキュリティは解除されているという。ドアは両側からロックされて
いるという。
そんな中ジェーン・カレランがやってくるとチャーリーに挨拶する。
カレランって国防研究局?ペンタゴンの?と尋ねる。このスーパーコン
ピューターは何をするものなのかと問うと、「ベイリープロジェクト
人工知能」だとし、スチール・ケーブ社が世界初の思考能力を持つ
シリコン生命体を作っているのだという。パソコン発明以来みんなが
挑んでいることだというチャーリー。カレランは完成まで一歩だった
とし、研究費は国の予算で施設は政府の持ち物なので、FBIに捜査を
依頼したという。ラマヌジャン博士も来てくれて助かったという。
これは軍の人工知能プロジェクトだったのかと問うと、そうだとし素晴
らしい未来だという。戦車、ミサイル、飛行機が自分で考える為に
兵士がもう犠牲になることはないという。しかし期待の星のロバート
ソンが亡くなってしまったとし、9600万ドルと4年の歳月を費やされた
プロジェクトが止まるという。彼の死でプロジェクトは頓挫するのか
と問う。コンピュータが殺したのかも知れないというカレラン。
コルビーはコンピュータが殺したなんて本気じゃないよなと語る。
リズは検視の結果死因は心臓が止まったこと。しかし彼は健康診断で
問題がなかったという。感電死でもさせられたのか?というコルビー。
しかし密室だというリズ。コルビーはオレが言ったのではなくチャーリー
がそういったのだという。チャーリーはベイリーはハイテクであり
ダニエルは完全に近づいていたという。ベイリーに思考能力がある可能
性は否定出来ないと。しかしコルビーは怨恨の線を探らないといけない
という。マシンではなく人間の容疑者だと。コンピュータを殺人に利用
したのかも知れないと。
カレランは絶対に自殺ではないと語る。ドンは他殺ならまずは金絡みを
疑うがベイリーが金を狙うものなのか。財務記録を見せて欲しいという
ドンだが、ペンタゴンは財務方面は関係無いと考えているという。
カレランはところで、弟さんの未来の研究や論文がこの5年間かなり
停滞していることを告げ、やるべき仕事があるのではないかとドンに
語る。数学者の全盛期は短いのだとしそれを無駄遣いさせるのはもったい
ないという。
■概要
・ペンタゴンの国防研究局発注の元、スーパーコンピューターを使って
「人工知能ベイリープロジェクト」を開発していたスチールケーブ社
のダニエル・ロバートソンが密室の中で亡くなる。世界初の思考能力を
持つシリコン生命体を作っていたことも有って意思を持ったベイリーが
暴走して彼を殺害したのかどうかが問われていく。ペンタゴンはこれが
完成すれば犠牲者は居なくなるとして9600万ドルと4年の歳月をかけて
完成に近づけていたが・・
■感想
うーん、ドラマがどんどん面白くなくなっていく・・と毎回書いている
気がする(笑)
コンピュータが本当に暴走したのかどうかという事だけど、時に
人が作ったものに人が殺されるという皮肉はドラマや映画などでは
題材にされるけど、今回の件を見ると明らかに専門的分野であり、
それを知るものだけしか解析出来ないところがあって人為的なものが
その事件に加わっている事が伺える。少なくともこれらのことを理解
している人物に限定されるものが有るので、犯人捜しに於いても限られ
たものが出て来てしまう。
結局一番の人を傷つけるものは人間の感情的なものであり、制御出来ない
のはコンピュータではなく人間の感情だったという皮肉さを含んでいた。
こういう設定だともう少し世界観を煮詰めないとどうにも安っぽい
だけのシナリオになる。ペンタゴンだなんだと言われても
正直セキュリティも厳重そうじゃないし情報もだだ漏れしていた感じ
がするしね。
チャーリーという数学者の天才を自分のエゴでFBI捜査官に縛り止めて
置くことが正しいことなのか。ドンによるエゴによってチャーリーの
才能を潰していないかどうかということも、今回無尽蔵な金の使い方
で出来るカレランの登場によって感じさせるところも有った。
しかしバスケットボールの件もなんだか中途半端な感じ。
ラリーとカレランの関係も中途半端な感じだったな。
今回のロバートソン夫婦の流れとか人工知能のコンピュータと対比し
たいところも有ったのかな。
結局クレアに貢いでいたことに憤りを感じた妻のジェシーの仕業って
感じだったけど、ジェシーの方が美人なので、どうもアシスタントを
愛人にして貢いでいたというのは少々考えづらい。
・ジェシー役のLiane Balabanは「コバート・アフェア」でナターシャ
役を演じている。
■捜査に於ける数学の先生たち
・チューリングテスト
殺されたロバートソンが制作していたAIのベイリーが知能を持っている
か測定しようとした時に計算機科学の父・チューリングのことを引き
合いに出してベイリーに質問する。それによって人に匹敵する程の思考
能力を備えているのかどうか。
・認知発現理論
チャーリーが取り組んでいた論文の一つ。ペンタゴンのカレランから
チャーリーはFBIの捜査に加わっていて本業が疎かになっているとし
彼が提唱しているこの理論も未完のままだとされていた。
・スターウォーズ計画
ラリーが提唱した宇宙望遠鏡のアイデアをカレランに持ち込んだ結果、
勝手にスターウォーズ計画に利用されていたという。
・シュートの最適曲線、スピンダイナミクス
チャーリーが通う大学・カリフォルニア理科大のバスケ部はこの15年間
勝利していない。アランはその事を嘆いてチャーリーやラリー、アミタ
に数学でなんとかしてくれないかと語り、この理論を使うことで
上達してきたと語る。
・コネクショニズム / サイバネティックス
神経科学がベースで、脳をモデルにしているもの。
義手や義足などを神経回路ベースで動かそうとする際に利用される
もので、インプラント技術によって怪我して麻痺した手足に装着させる
ものを自宅では開発していた。
・エキスパートシステム/再帰サーチの一種
ロバートソンは自宅ではコクネショニズムを利用した人間工学的なもの
を開発していたが、会社ではコンピュータを使った進化学人工知能の
開発を行っているという正反対のものだと指摘。
人工知能のコードをこのシステムで調べると、なんと実はロバートソン
が開発していたのは人工知能とは名ばかりで、自分で考えるのではなく
単にその場に必要な答えを用意するようなシステムを作っていたことが
判明する。
■その他
今回のベイリープロジェクトに対して、1945年の日本侵攻のことが
引き合いに出された。通常兵器ならば400万人のアメリカ兵が失われる
と予想されていた。日本の民間人も1千万人の犠牲が出る。
もし仮にオッペンハイマーに過保護なものがいたとしたら1500万人もの
人命が余計に失われていた。
君が1953年マッカーシー上院議員の隣に座っていたらオッペンハイマーを
公職から追放しただろう。彼が8年前に救ったその同じアメリカ軍を
裏切ったという理由で・・。
ラリーとカレランが交わした会話だった。
原爆を落とさないと戦争は本当に止まなかったのかというのは謎だけど、
少なくとも日本人にとってはあまり良い気分のしない科学者として
記憶に刻まれてしまった。
■使用された曲
・The Geeks Were Right by The Faint
■出演者
ドン・エップス (Rob Morrow) FBI捜査官
チャーリー・エプッス (David Krumholtz) 数学者
アラン・エップス (Judd Hirsch) 父
デビッド・シンクレア (Alimi Ballard) FBI捜査官
ラリー・フラインハート (Peter MacNicol) 物理学者
アミタ・ラマヌジャン (Navi Rawat) 学生
コルビー・グレンジャー (Dylan Bruno) FBI捜査官
ニッキー・ベタンコート (Sophina Brown) FBI捜査官
リズ・ワーナー (Aya Sumika) FBI捜査官
ジェーン・カレラン (Nancy Travis) ペンタゴン/国防研究局
ジェシー・ロバートソン (Liane Balaban) エリックの妻、
アンドリュー・ギボンズ (Barrett Foa) 雇われハッカー
Dr.ジョセフ(ジョー)・バスキン (Adam Godley) スチール・ケーブ社
クレア・ウェルズ (Jillian Armenante) ダニエルのアシスタント
ハリー・ストリーリング (Tom Wright) カリフォルニア理科大・バスケ監督
— (Saul Huezo) Marine
— (Tymberlee Hill) Junior Agent
— (Albert Owens) 弁護士
— (Sarah Desage) フライトアテンダント
ダニエル・ロバートソン (Brian Avers) スチール・ケーブ社、34歳