第11話 魔法使いの孤独 The Sorcerer’s Shadow
脚本/Julian Jones
監督/Ashley Way
【ストーリー】
一人の青年がキャメロットを目指して歩いていると、強盗の二人組
のノラー(Nollar)とティンドア(Tindr)が現れる。名前は何かと
問われ青年はギリだと語る。袋の中身は何だと問われ何でもないとい
うが中身を開けられてしまう。何処へ行くのかと問われるとギリは
キャメロットに行き闘技大会に出るんだと語る。ノラーは小僧に
勝てる大会ではないというとギリが背負っていた剣を奪い取る。返せ
として突っかかるが、お前を思っての忠告だとして剣を盗む。
それでも突っかかってくるギリに戦い方を教えてやるというと殴られて
しまう。ギリは指に魔法の指輪を付ける。
マーリンはアーサーに大会闘技大会は誰が考えた大会なのかと尋ねる。
誰でも参加出来る上に賞金は金貨100枚だという。どんな人が集まるや
らと。10年に一度の闘技大会は王国の伝統だというアーサー。
武器の使用は?と尋ねるとアーサーは何でもありの大会だという。騎士
道精神は?と問うがこの大会では無視しても良いとし、この大会にルール
はないという。アーサーは心配などしなくても良いとマーリンに言う
が・・
ギリはキャメロットにやってくると、酒場のThe Rising Sunの主人
エヴォリックに対して部屋を借りたいという。見物客は泊まらせられ
ない決まりだというと、大会に出るんだというギリは出場資格証を
見せる。相部屋だとして鍵をくれるが先払いするんだと言われる。
ギリは部屋にいくとそこで指輪をハメるのだった。
マーリンは大会で使用する武具の手入れをしていると、先ほどの強盗
の二人組がやってくる。王子じゃないのかとしてマーリンに語ると
従者だと語る。するとオレのブーツを磨けとして強要してくる。
仕方なく布を探しているとノラーは突然鞭を取り出すとマーリンに
対してそれを振るう。そこにギリがやってくると、お前も出ること
にしたのかというノラーたち。鞭を置いて失せろというと、ギリは
魔法を使って剣を取り彼の鞭を吹き飛ばす。マーリンはギリに対して
助かったというと、気にしないで良いという彼は先ほど揉めた連中だ
という。イジメは許さないという。アーサーはしつこくマーリンを
呼ぶ声が聞こえた為に向かう。マーリンはギリに握手すると出て行く
が、彼が持っていた指輪には気がついていた。
夕食。
モルガーナはウーサーに対して何度優勝をしたのかと問うと3回だ
という。アーサーに対して偉大な父上ねと語る。今も覚えているという
モルガーナは優勝した姿は格好良かったという。しかしもう見られない
のねというと引退したのでしょと告げる。まだ戦えるとしてモルガーナ
はウーサーの戦闘欲をたきつける。アーサーは王に対して怪我されては
困るとし、陛下の仕事があるのだと語る。戦うなというのかと問われる
と、モルガーナも無理はしないでとわざとらしく止めたフリをする。
一人で見物するなんて寂しいと。しかし陛下が戦えば民も喜ぶでしょう
と語る。しかしアーサーの言う通り陛下には仕事が有るというモルガー
ナ。
大会の日。
マーリンはアーサーに対して調子はどうかと尋ねる。マーリンは前大会
では初日だけで死者が3人出たそうですよと語る。2日目は・・と語る
とアーサーはまずは初日に集中だと語ると、マーリンに対して少しは
黙って居ろと語る。
モルガーナが大会の挨拶をする。ウーサー王が居ないことにすぐに
気がつくアーサーたち。この大会は誰もが参加を許されていること。
前回優勝した陛下もだという。その陛下も大会に出るというと民は
歓声をあげる。この大会にルールはないので最後まで残れば優勝だと
語る。開会を宣言するモルガーナ。
アーサーは王の初戦を見て心配するが、無事に倒して民衆は喜ぶ。
アーサーも戦うが初戦はあっさりしたものだった。強盗のノラーも
参加し、倒れて負けは確定したかと思われたが隠し持っていたナイフ
を使って相手の太ももを刺すとそのまま剣で斬りつけて殺してしまう。
ギリも戦うが力負けしそうな所を魔法の補助を利用して勝利する。
それをみて居たガイアスは信じられないと語る。
二人は戦った後のギリに対して傷跡を治療するとして接近するが、大丈
夫だという。マーリンは彼は魔法使いだというと、ガイアスも彼の
指には珍しい指輪をしていたという。太古の魔法の印が入った指輪
で魔力を操る者もいるという。ボクと同類なのかというマーリン。
あの指輪を扱えるだけの能力はあるようだと。人前で使うなんて勇敢
だというマーリン。しかし陛下にばれたら死刑だぞというガイアス。
ギリは武具を返しにくる中、傷跡を魔法の指輪を使って治癒していた
ところ、衛兵に見つかり捕まりそうになる。その際指輪を落として逃げ
る。
■感想
またしても闘技大会。相変わらずマーリンはネタが無いというか、
ちょっと設定を変えただけでエピソードを入れ替えた感じしかして
こない話が多いな。
モルガーナが地味にウーサーを刺激させて王を闘技大会に出場させ、
そこで戦死してくれたら・・とでも思ったのか、アーサーとの対決で
相打ちになることでも望んだのか。とにかくモルガーナの地味に失脚の
為の攻勢に出ているところが笑える。
アーサーも散々ウーサーやモルガーナに煽られて、ここでウーサーを
倒しでもすれば名を挙げてまさに名実共に国を治めるようになっても
おかしくないのに、結局武勲を譲ってしまった。
■最近多いパターンの一つ
魔法使いをウーサーたちの前から追い出したり逃がしたりする流れ。
前回はグウェンが魔法使いに仕立てられてマーリンが彼女の代わりに
魔法使いの犯人として身代わりになり、城から逃げるという役割だ
ったが、その前にはガイアスの数十年前の婚約者のアリスが魔法使い
だと知られてそれを逃がす流れだった。
ウーサーはまさに王としての資質があるのか謎だけど、目の前に
モルガーナという魔法使いが居るのに、盲目になって、自らの身内に
は魔法を使って治療させたりしているのに、排除させるという流れが
多い事。
今回のギリという青年は太古の魔法の印の指輪を持っていたけど、
その指輪を使わないと魔力は使えないタイプの魔法使いだったのか?
指輪の魔力によって自らの可能性を感じ、自我を失っていく様という
のは面白く表現されている。
しかしマーリンもその指輪を一度は拾ったのだから、返さなければ
良かったのに・・
■それぞれの孤独を語る
何らかの理由で自分自身を出せないでいる人が、その不満の心情が
吐露されるという流れ。
今回の主人公になったりギリは魔法使いでウーサーの魔女狩りのせい
で魔法使いを封印している。それ故に父親さえも失い、少なからず
ウーサーには恨みを抱いている。
これはマーリンも同じで、初めて関係者以外にマーリンが自分が
魔法使いであるということを知らしめた流れが有った。
自分が魔法使いで仲間であることを示さないとギリという男性が
「オレの気持ちは分からない」という排他的思考を受け入れてもらえ
なかったからだけど、下手をすればマーリンが窮地に陥ることにも
繋がる危険な行為ではある。
そして何よりもアーサーもまた自分自身を出せないで居る人物の一人。
ウーサーという王がいる為に、王の威厳を立てる必要があり、民の
前では王のことを立てなければならない。
わざと闘技大会では負けたけど、ウーサーは剣裁きなどを見てアーサー
がわざと負けたことを認めていたようだ。
■騎士道も有れば魔法使いとしての精神も有る
前回のエピソード辺りで騎士道なんかに言及され、今回の戦いの前にも
騎士道云々という話があった。
マーリンは同じ魔法使いとして、ギリに対して魔法使いとは何なのか。
そして魔法使いが果たすべき重要なことを説くことで最終的には
その精神が彼にも伝わった。しかしウーサーとの戦いの後でのことなの
で下手をすればウーサーと差し違えることも考えられて危険な流れでも
遭った。
前々回のガイアスがアリスを売ることが出来なかったように、マーリン
もギリのことを魔法使いであるとは王や王子たちには話す事が出来ずに
居る。
どうすることが良いのかをドラゴンに相談するシーンが有るけど、
ドラゴンからは幾らドラゴン使いでも無節操に呼び出すなと叱られた。
結局呼んでも助言は得られなかったし、自分で解決することになった
んだけどね。
・ギリ役のHarry Melling
映画「ハリー・ポッター」シリーズのダドリー・ダーズリー。
ちょっとルーニー顔しているというか、目元が「ダウントン・アビー」
のデイジー役のSophie McSheraに似ている感じ。
■ウーサー、財政を潤す
金貨100枚の大会。誰が出資者かは知らないけどウーサーが過去3度大会
で優勝し今回も優勝して金貨を得た。これが完全にキャメロットの
財源に組み込まれているな。国王が賞金を出しているとしたら、
ただ金貨を回収しただけって感じだ。
■使用された曲
・
■出演者
マーリン (Colin Morgan) 生まれながらに魔法の力を授かる
アーサー (Bradley James) ウーサー王の息子。武術の能力
ガイアス (Richard Wilson) 思慮深く賢い宮廷医師
ドラゴン (声) (John Hurt)
ウーサー・ペンドラゴン (Anthony Head) キャメロットの王
モルガーナ (Katie McGrath) ウーサー王が後見人となり王女
グウェン (Angel Coulby) モルガーナの世話係。
ギリ (Harry Melling) 魔法使い
ノラー (Ian Burfield) 強盗、大会に出る
ティンドア (Paul McNeilly) 強盗、ノラーの仲間、ハゲの方
エヴォリック (Calum MacPherson) The Rising Sunの主人