第6話 取り返せない過ち A Sin to Err
脚本/Lindsey Allen
監督/Stephen Williams
【これまでのあらすじ】
シェルドンに対して誰にやられたのかと問う。リヴァイアサンとは誰か?
と問うとソ連の秘密組織だと言われている。最近同盟国と戦う為に武器
を買いあさっているらしいと。口紅「甘美の夢」(睡眠剤入り)をドッティ
はカーターの部屋から盗み出す。デューガンたちとベラルーシの施設
に閉じ込められていたイフチェンコを助ける。彼はリヴァイアサンとの
戦いを手伝うとし自分に出来ることは何でもやるという。
トンプソンはスーザとカーターに嫌がらせのために更衣室でカーター
の着替えの場所にスーザを送る。すると彼女の後ろ姿の中、肩口に
銃創2つを目にする。
【ストーリー】
— 1944年ソ連 —
4人の男が覆面を被せられてフョードルの元につれて来られる。
彼は心からおめでとうと言わせてもらうとし、諸君は全員リヴァイアサン
のメンバーだという。大義のために命を捧げられるという。それが
如何に素晴らしいか分かると。辞退したいものはいるのかと問うとパー
シャは、妻が居て娘が4人も居るのでフョードルに辞退したいと語る。
ドッティに対して解放してやれというと、彼女はそのまま喉を切り裂く。
— 現在・ニューヨーク —
イフチェンコはその時に知ったとして怪物は存在するのだという。
中でも一番恐ろしいのがリヴァイアサンだという。ドゥーリーは
リヴァイアサンはただの作り話かと思っていたが、いつから有る組織な
のかと問う。第一次世界大戦後、あれ以来スターリンの目標はソ連を
世界一の大国にすること。その為に敵は勿論同盟国より優れた武器が
必要になるという。リヴァイアサンは順調に成果を出していること。
機械兵器、生物兵器・・あの女の子は人間兵器なのかと問うカーター。
細かい事は分からないというイフチェンコ。ベラルーシには訓練施設の
ようなものがあったとしベッドには手錠が付いていたという。少女に何を
教えていたのか・・暗殺なのか?とするが、トンプソンはそれなら男
を育てりゃいいのにと語る。イフチェンコは女性の方が油断を誘い
安いとし警戒されずに近づけるからだろうと。彼女たちはアメリカに
送り込まれているのかと問うカーター。
そんなカーターに対してドゥーリーは呼び出すと、ベラルーシでの働きは
認めるがこれはオレのヤマだとしリヴァイアサンについての情報を引き
出している時にどうでも良い子供の話はするなという。しかしカーター
はああいう女の子がクルゼミンスキーを殺したんだという。クルゼミン
スキーを撃った銃はコロービンTK・ソ連製。小型のもので男性よりも
女性向きの銃だというカーター。そんなのこじつけだろうとするが、
それなら何故スタークが巻き込まれたかの説明が付くのだという。
彼は無類の女好きであり発明品を盗まれたのは熟練の女性工作員に
操られたと考えるのが合点がいくという。スタークがリヴァイアサンと
グルだったとまだ思うのかと問うカーター。ドゥーリーはそれなら
好きに捜査してみろと語る。
L&L。
アンジーは演技練習をしていた。「振り返ってみるとここでの生活は
その日暮らしも同然よ。哀れな物だったわ。私はあなたに芸当を見せる
為だけに生きていた。あなたがそうさせていた。あなたとパパと私に大変
な罪を犯した。あなたのせい、私の人生に意味がないのは・・」。
それを聞いていた客・エスターはブラボーと告げる。
カーターも来ていた。アンジーはミリアムに頼んで作ってもらった新しい
鍵だとしてカーターに渡す。カーターもアンジーの演技を褒めるがプロ
デューサーには史上最悪だと言われたことを語る。注目は友達が来てから
ねというと、一度のオークションでめげないよう告げるが、アンジーは
7度目だという。アンジーはこの1年大丈夫と言い聞かせてきたが、やっぱ
り私に女優としての才能はないという。来週から父親の命令で秘書学校
に行くという。カーターは今夜帰ってから話そうと告げる。
ジャーヴィスがカーターの元にやってくる。電話を頂いて喜んでいる
というジャーヴィス。これでチームの復活ですねというが、チームを
組んだ覚えはないというカーター。お互いに目指すところは今も同じだ
というだけだという。あなたの上司が私の所へ来たというジャーヴィス。
SSRの中での風向きが変わったようですねとジャーヴィス。
みんなリヴァイアサンに夢中だとし、でもスタークの容疑は晴れてい
ないという。ドゥーリーは何を言いに来たのかと問うと「フィノーの戦い」
について聞きたいと言ってきたという。あの人には言ってないがスターク
は44年にフィノーに行ったこと。その後金庫を作られたとし思い詰めら
れたようにと語る。ソ連は若い女性工作員を養成しているとし、
スタークの最大の弱点と言えば・・?「女性」と「ラズベリートリュフ」
だというジャーヴィス。女性のリストを頂戴というカーター。スターク
が1年間親しくしていた相手全部だという。ニューヨーク中のインク
が無くなるというと、それなら半年で良いという。まがは西半球から
始めましょうと。
ニューヨークベル社を目にするドッティ。
その向かいのビルにあるセス・ホーニッキー歯科に入っていく。
セスは面接の人なのかと問う。スタッフは週明けまで来ないという。
その方がゆっくりと面接できるという。
スーザは刑務所に行くとシェルドンに遭う。
思い出して欲しい事があるとし、イスに繋がれている時に女性に殴られた
だろう?として写真を見せて欲しいという。3ヶ月で刑務所から出してやる
という。お前はニューヨーク中を爆発出来る爆弾を運ぼうとしていたのだ
とすると、一度しか話はしないというスーザ。カーターの写真を見せると
この女性だというシェルドン。この女にブラニスを探してウチに来たと
し、ブラニスとニトラミンを積んだトラックを奪われたという。彼女は
何者なのか?と問われると、オレも分からないというスーザ。
スタークが利用する宝石店のアルバートに話を聞きに行く。
スタークから特別注文をされているのはこのブレスレットの
“スタークスペシャル”だという。付き合う女性全員に同じブレスレット
を渡しているのかと呆れるカーター。ダイヤとゴールドを使っている
とのこと。リストを見せてというと、こんなに大勢の女性とどう知り合う
のかとカーター。アカデミー賞の授賞式でまとめて会うのだというジャー
ヴィス。リストの大半は女優やモデルや社交界の有名人で、人に見られる
生活をしている人は除外しても良いという。ジンジャー・ロジャースが
殺し屋だと思うのかと。スタークの別荘から送った時に気がついたのだ
とし、この人はとてつもなく暗い目をしていたと。
■感想
リヴァイアサンの正体が少しずつ判明していくと共に、狙いが世界征服の
為の武器を集めていることを知る。先日のベラルーシでの任務で判明した
事と言えば、ソ連は女性工作員を育成しておりアメリカなどに送り込ん
でいるのではないかということ。女性ならば容易に人に近づきやすい為
のもので、女性好きのスタークにとっては容易に懐に近づかせることが
出来たであろうこと。その為カーターはジャーヴィスと再び捜査を開始
して、スタークが半年間に接触したであろう人物の中で怪しい人物を
追っていく。
カーターが女性工作員にたどり着くのが先か、カーターの不審さに
気がつき始めたスーザがカーターを捕まえるのが先か。それとも殺害
指令の出たカーターがドッティに殺されてしまうのが先なのか。
今回は「演技」とか「洗脳」いう名の下で、人を操るものの存在が
大きくクローズアップされた。元々カーター自身は演技していた訳
ではないけど、隠れて二重生活のようなことをしていたので、広義に
取ればその生活自体演技をしていたことになる。
何よりもベラルーシから連れてきた精神科医のイフチェンコは、次々と
SSRの内部のものを洗脳する姿が実に不気味で、その洗脳する姿は
「エージェント・オブ・シールド」に於けるヒドラのホワイトホール
が洗脳していることと同じような感じだったね。
■痕跡
今回はスタークの女性関係を追いかけていくことになる。
あまり異性とばかり関係を持っている人って正直本能を越えて病気
なんじゃないだろうかと思う。しかも何かの印をつけるようにして
女性に自分がプレゼントするものを与えて行くスタークの場合、その
傾向はより強いと感じる。
ジャーヴィスによるとその女性の数は書き切れてない程だとしていた。
スタークが女性と知り合うのはアカデミー賞の授賞式だとしていたし、
カーターはリストを見る中で、女優やモデル、社交界の有名人は
見られる生活をしているので外して良いとしていたけど、時代的に
見て、現実にハリウッド界を襲ったハリウッド・ブラックリスト/赤狩り
のことを思い出させる作りだった。哀しい時代でも有ったのだろうけど、
ハリウッドの中にいた共産党員やそれを疑われたものは、日本の芸能界
同様に干されることも有った。
エリア・カザン監督がアカデミー賞授賞式の名誉賞(1998年)を受けた時に、
名誉賞を受けたにもかかわらず授賞式の会場が異常だったのを思い出す。
まぁ彼が密告・取引したことでハリウッドから追われた人も多かった
ので仕方が無いと言えば仕方が無いのかな。
■痕跡2
このドラマ、追いつけ追い越せとばかりの競争が楽しいもので、
刑事ドラマの展開として、大抵は捜査で踏み込んだものの一歩遅くて
取り逃すが、そこには何か痕跡が残されていて次の捜査への進展へと
繋げていく。
これまでスーザはカーターの痕跡を追いかけてきていたし、
ドゥーリーはリヴァイアサンの動きを追っていた。
そして今回、カーターはベラルーシで育成させていた女性たちの存在
を追いかける。唯一の手がかりはベッドの手錠の跡。
「いざ参らん!」とカーターは気合いが入っていたが、肝心のジャー
ヴィスは何処か嫌な顔をしていた。
女性を追いかけていく度にカーターがスタークとジャーヴィスによって
ダマされたことに対する怒りを代弁するかのようにして女性たちが
次々とジャーヴィスにビンタする姿が有り、相変わらず彼は損な役回り
をさせられていた。
アイダ・エムケの家に行くとジャーヴィスはこれ以上殴られるのは
嫌だとばかりに外で待っていることを口にしていたし、そこで”未来の
マフィア”的少年に出会い金を渡していた。アイダは確かダンサーだ
としていたけど、ドッティも初めてアパートに来た際にはダンサーだ
と語っていたよね。
手錠の跡がベッドに付いていても今の時代なら、「変態的趣味」で
済まされる可能性も有りそうだな。特にスタークほどの人物なら普通の
関係には飽きているだろうし(笑)
■洗脳されるもの
イフチェンコがまさかリヴァイアサンの構成員とは思わなかった。
ドッティがライフルを手に歯科医のオフィスを乗っ取った時には、
余計なことを喋らせないために殺されるのかと思ったけど、実際には
ドッティとイフチェンコは交信していた。
やはりタイプに送られて来たタイミングはドッティの流れと都合が
良すぎたので、カーターの部屋を捜索する為のものだったのだろう
けど、カーターは幾ら世界大戦が終わったとはいえ、当時相当国民の
間でも顔が知られているのでSSRのような影の組織で働くのはちょっと
無理がないかと思う所も有った。
結局顔が知られているのでドッティにも目をつけられていたのだろう
しね。
イフチェンコはドゥーリーのことを洗脳しようとしていた。
指を動かす動作をしながら、「集中するんだ」として何か強いイメージ
を埋め込んでいる。
最近GYAOでやってた「レバレッジ」S3を見たのだけど、このシーズン
からソフィーがこういう心理的に操るような催眠的手法を取り入れている
のでかなり嘘くさいドラマになってしまったところもあるなと思って
いたのだけど、ここでも意外とあっさりとそれぞれのキャラクターの
ウィークポイントを指摘して、その上でしっかりと何らかの思考を埋め
込み操るようにされていた。
ドゥーリーは妻のロレッタとの関係が上手くいっていない様で、
現場ではあれだけ功績をあげているのに、帰宅すると妻には浮気され
無力感に苛まれるところが有る様子。ただ完全に催眠・洗脳される前
にスーザが入って来たので助かった。
しかしヨークは完全に洗脳されてしまった様だ。
ヨークのウィークポイントはトンプソンに比べてまるで評価されない
ところに不満があるようで、確かにトンプソンからはコーヒー係に
させられていた。兄弟の中でも三兄弟の真ん中なので無視される
傾向があるようで・・
ヨークはスタークの物が何処に有るのかを聞かれて、現在は支局長が
居なければ入ることが出来ないとされたことで不要な人物にされて
しまったようだ。
最後に自殺するようにして車に突っ込まされてしまった。
■カーター、ついに捕まる
「手続き791、逮捕前に容疑者を一般市民から隔離する」ということで
ワシントン支局からやってきたエージェント・メスナーやリース
などに囲まれる。裏口を見張っていたトンプソン、そしてスーザの
ことも回避できたかと思われたが、63丁目レキシントン街にある
グリフィスホテルに居たところを結局捕まる。
ただカーターが男勝りの格闘術を備えていることを仲間に実感させられた
という面ではその功績は大きい。ただ彼女が行っていたことの説明を
仲間が信用してくれるのかだね。
■使用された曲
・It’s a Good Day by Peggy Lee
■出演者
ペギー・カーター (Hayley Atwell) SSRエージェント
エドウィン・ジャービス (James D’Arcy) スタークの執事
ジャック・トンプソン (Chad Michael Murray) SSRエージェント
ダニエル・スーザ (Enver Gjokaj) SSRエージェント・松葉杖
ロジャー・ドゥーリー (Shea Whigham) SSR支局長
ハワード・スターク (Dominic Cooper) スタークインダストリーズCEO
アンジー・マルティネリ (Lyndsy Fonseca) “L&L Automat”ウェイトレス
ドロシー・アンダーウッド (Bridget Regan) “ドッティ”、バレエダンサー
ヨーク (Alexander Carroll) エージェント
Dr.イフチェンコ (Ralph Brown) 精神科医
ミリアム・フライ (Meagen Fay) グリフィスホテル管理人
Dr.セス・ホーニッキー (Rick Peters) 歯科医、ベル社の向かいにある
シェルドン・マクフィー (Devin Ratray) 刑務所、カーターにやられた
アルバート (Steven Hack) 宝石店、スタークスペシャルというブレスレット
フョドール (Dimiter D. Marinov) ソ連の指導者
パーシャ (Dave Matos) フョードルに殺される
ジョセフィン (Victoria Profeta) スタークと関係の有った女
テルマ・クロフォード (Yasmine Aker) スタークと関係の有った女
イーディス・オバートン (Krista Marie Yu) スタークと関係の有った女
エスター (Joyce Greenleaf) アンジーの演技を褒める
— (Kellen Michael) Small Boy
— (Mike Massa) SSR Agent
— (Denney Pierce) SSR Agent
アイダ・エムケ
ロレッタ・ドゥーリー
リース
メスナー