第17話 炎 Flashover
脚本/Greg Plageman 監督/Jeannot Szwarc
【ストーリー】
2006年11月18日。
ジョー・ドン・ビリングズリー(J.D)の家が火事になる。
子供たちは父に助けを求めるが、J.D自身も火に包まれて外に逃げる。
一瞬にして火は家を燃やし尽くす。
2010年3月。
刑務所の中庭にいるところ、J.Dは刑務所の男にナイフで刺されて死亡
する。
ヴェラは酔った中車を運転する中で、何で子供を助けに戻らなかった
のかとしてJ.Dのことを取り調べたことを思い出していた。
そんな中車は標識にぶつかってしまう。ヴェラはリリーに電話すると
現在ベルモント近くのコンショホッケン通りにいるがやっちまった
として人を殺したかも知れないと語る。
既に現場には巡査がヴェラの事故車両を調べていた。リリーは書くのを
辞めてくれとし報告はここだけにしてという。私に免じてただの職質と
いうことにしてくれという。あとはやっておくというリリーはすぐに
スコッティに問題発生だと連絡を入れる。
スコッティもリリーに合流するとヴェラは電話に出ないという。車の
中に血は付いているかと問うとエアバックに少しだという。標識に
車をぶつけているが動物の死骸なども轢いた跡はないというスコッティ。
パトロール警官はヴェラはもう居なかったと言って居たとしもみ消した
という。酒を飲んでいたのかと問うと、リリーは留守電はもっと酷い
という。5回電話したが出ないという。スコッティは知り合いの工場で
車は直して置くのでボスには知らせないで置こうという。迷惑はかけ
られないというリリー。状況をハッキリさせないといけないがウィルや
キャットにはどうするかと問う。二人も知りたいだろうとし、ヴェラの
家を見に行ってもらおうと語る。
ここ暫くは確かにヴェラは変だったという。この先にパブがあるので
その帰りかも知れないというスコッティ。
パブのバーテンダーのシュミッティに話を聞く。ヴェラの様子はどうだ
ったのか。彼は3杯異常は飲ませなかったとし、一時間前に帰したという。
ここへはよく来ていたのかと問うと今週は毎晩来てマンハッタンを飲んで
いたという。トラブルは無かったとし、彼が警察官なのは誰もが知って
いるからだという。ただ先週どこかのバカに絡まれていたとし、相手は
普通の白人で中肉中背・30代で凄い剣幕だったという。
— 1週間前 —
トラヴィスはヴェラに対して知らなかったで済むかとし、あんたが話を
聞かないから兄は死んだんだとし、酒ばかり飲みやがってと語る。
— 現在 —
シュミッティは兄貴がどうとか言っていたという。
いつも一人でヴェラは来ていたこと。ここ何日かは古い写真を見ていた
という。暗くて何かの焦げ跡みたいな写真だったと。
ジェフリーズとミラーはヴェラの家へ。
まるでゴミ屋敷だという。ジェフリーズはヴェラの健康診断の結果を
見るとアイツ何の問題もないと言っていたのに・・と。ミラーは結果
を見て爆弾だらけだという。壊れたフォトフレームを見てまだ引きずっ
ていたのかというジェフリーズ。元妻のジュリーと写っているヴェラの
写真だった。別れた妻の写真を見ながら飲むもんじゃないねという
ミラー。そういえばこの前現場写真をヴェラがみて居たことが有った
と思い出す。この頃よく寝ているねと言ったこと。確か放火現場の写真
だったという。
2006年11月、J.D・ビリングズリー。何年も前の資料を何で家に持ち帰っ
ていたのか。火災調査官に聞こうというジェフリーズ。
調査官のクロフォードはビリングズリーのことは覚えているという。
放火殺人犯だという。担当はヴェラだったのかというリリーとミラー。
最近連絡は有ったのかと問う。これはどういう事件だったのかと問う
スコッティ。ケンジントンの一軒家で放火が有り犯人はすぐに逮捕され
たこと。ジョー・ドン・ビリングズリーで夜中に自分の家に火をつけた
のだという。死んだのは彼の二人の息子で週末だけ遊びに来ていたらしい
という。
— 2006年11月19日 —
ヴェラはクロフォードに対して火災現場で会話する。まるで爆発した
みたいだなというと、クロフォードはフラッシュオーバーだという。
可燃性のものが一気に発火したこと。煙とガスの層が天井にたまり
600度近くで部屋が一気に燃えるものだという。父親はソファーで寝て
いたこと。子供部屋にはいけなかったとし、素足でヤケド一つなく
家の外にいたという。出火場所は複数だとし幅木と壁に焦げ跡がある
こと。こういうのは何百と見てるが大抵は保険金目当てだという。
しかしヴェラはここは賃貸だというと、燃焼促進剤はないのか?
と問うと、それがないとここまでは燃えないという。ブタン、プロパン、
ガソリンでも同じで床に燃料を巻いた跡が有るという。ベッドの下なの
かと問うと子供に火を付けて自分は外に出たという。
— 現在 —
子供は3歳と5歳だったこと。ヴェラは離婚調停の最中でショックを受けて
いた所だったこと。容疑者も別れた妻への腹いせで子供を殺すなんて
と憤る。終身刑だったが何故最近調べ直していたのか聞いていないと
いう。裁判所でビリングズリーの弟に遭ったかと問うスコッティ。遭って
はいないというクロフォード。ヴェラから連絡があれば知らせてくれ
と語る。
■感想
今回は4年前の事件だということで、俳優さんが別に用意されている
ような演出はなかった。まだ近視の事件だということで捜査も容易
なところは有るけれど、既に有罪判決が出ていて刑が執行されている
状況の中、殺人課として捜査するには難しい案件だったと思う。
結果としてヴェラが自由に振る舞い事故を起こし、失踪することで、
殺人課としても捜査せざるを得ない状況に陥るけれど、スティルマン
には迷惑はかけられないということでの縛りがある中で、
彼の消息を追う毎にことの真相に迫っていく感じの物語で興味深く
出来ていた。
このドラマの導入部は毎回どのようにして過去の事件を掘り起こして
いくのか難しいところが有るからね。
ヴェラの件はシーズン7に入ってからずっと懸案事項として存在して
いたけれど、病気のことが全ての引き金だと思っていた。
確かにここ数話のヴェラは変だったけど、無実を訴えてきたトラヴィス
は3ヶ月前にヴェラを尋ねて、検事局も公選弁護人も役立たずで、囚人が
偽証したことが全てだとしていた。
事件としてはどうしようもなかった部分は有るけど、ヴェラとしては
火災調査官の言葉を信じるしかないし、検察が司法取引と称して囚人
のリスが子供殺しをジョードンが話しているのを聞いたということで
有罪だという言葉を信じるしかなかったのではないか。
■無知は罪
クロフォード捜査官は30年のキャリアのある火災調査官。
しかしペトロヴィッチ教授によると火災調査官の問題を指摘する。
「何百と現場を経験したとしても、直感や経験は科学的知識の代わりに
はならない。科学を無視している。」
火災調査官が高卒で40時間の研修一度で資格を得られてしまうのが
問題だと指摘する。
被害者のジョードンが借りていた家の大家のイオネスクは、家に問題
が有るにもかかわらず、金をケチった結果、ホルヘという電気知識
の無い人物に修理人に依頼。、彼は溶けたコンセントでも一番の下の
コンセントは使えるとしていた。
検事局は事件を処理する為に安易に容疑者を有罪にする発言を
する囚人を抱え込んでいる。検事局は頭が良い分だけ早く事件を
処理する方法を学んでいるようで、まるで官僚的。
ただ検事局と同様に殺人課もそれだけ人件費は足りないし、捜査に
回せる人間が少ないとは思うんだよね。
ヴェラが担当だけど、”専門家”たちの言葉を信じて捜査しなければ
結局ところそのシステムは機能していないことになるし、全てのこと
をヴェラ一人で処理していかねばならなくなる。
■事件は見る程にヴェラに似た人物
いつもは過去と現在の人物をスタッフは似た人物として揃えてくるの
だろうけど、今回の被害を訴えるビリングズリーはヴェラとは容姿
も似通っていたし、何よりも境遇が似ている。
ヴェラが求めた理想の家庭を別れた妻のジュリーが再現していること
も有って、ヴェラには堪えるところが有っただろうな。
ヴェラの名字を使っているところを見ると、まだジュリー自身には
ニックに対する拘りがあるのかな。
ジュリーはS3-17でも登場しているけれど、この時はまだ離婚して
いなかった。この時点で結婚12年目だとしていた。
http://itawind.web.fc2.com/kaigai/coldcase/coldcase317.htm
この状況の中で、話に耳を貸さなかったヴェラに対して遺族の受け皿
になってしまうところは刑事の辛いところだね。
ただ収監された後、ここまで必死になって無罪を訴えているものを
見れば再捜査しても良い気がする。でもそこにはやはり火災調査官
の結果とか検事局の結果を無視することになり、怒りを買うことは
必死なんだろうけど・・・
■間違いに気づかせてくれる人
今回は何と言ってもスティルマンと”パット”ドーティとの会話も有った。
二人は対立しているものとばかり思っていたけど、ドーティとしては
実はスティルマンに感謝しているという意外性。
息子は警察官が父親だということで悪さをしても見逃してもらえる
とばかりだったけどスティルマンが逮捕したことがきっかけで対立して
いる構図が有ったけど、表面的には怒っているように見えて実際には
更生出来たのはその逮捕のお陰。服役して社会復帰は難しいものだった
けど、それでも今では家庭を持ち孫まで持っているとのこと。
ヴェラの件での処分はスティルマンに託されていた。
そして何よりもスティルマンは、チームであり家族だと思っている
チームが自分のことを気遣う余り、報告せずに勝手に色々と工作して
いることに憤怒していた。リリーがヴェラのことを最もフォローして
いた印象も有り、真っ先にヴェラが電話してきたのもリリーだった。
リリーってスコッティの件でもフォローしていてスティルマンは
その動きに気がついていたよな。
ヴェラの件も処分が気になるけど、リリーはどうなるんでしょうか?
■ヴェラの悲壮感が・・
リリーに電話した時には「人を殺したかも知れない・・」と語っていた
し、ジェフリーズに電話した際には「あんたと一緒に仕事が出来て
楽しかった。良い友達で居てくれてありがとう。50ドル返していない
が・・色々とゴメン」
ヴェラの家の近くで飛び降りが有った時はダメかと思った。
リリーは誰もが出来なかったシートをめくり挙げたけど彼とは違って
いた。
精神科に通い治るまでバッジを返納したのか。それとも刑事を辞めて
しまったのか気になる。
刑事には一度や二度こういうケースは有りそうだけどね。
ただコールドケースの場合、そういうミスやロストは限りなく少ない
のでリハビリには良いところのように思われるが・・・
■使用された曲
・Comfortably Numb by Pink Floyd
・Wish You Were Here by Pink Floyd
・The Thin Ice by Pink Floyd
・Hey You (Live) by Pink Floyd
・Time by Pink Floyd
・Mother by Pink Floyd
・Marooned by Pink Floyd
■出演者
リリー・ラッシュ (Kathryn Morris) 殺人課の刑事
スコッティ・ヴァレンズ (Danny Pino) 殺人課
ジョン・スティルマン (John Finn) リリーの上司
ニック・ヴェラ (Jeremy Ratchford) リリーの同僚刑事
ウィル・ジェフリーズ (Thom Barry) リリーの同僚刑事
キャット・ミラー (Tracie Thoms) 麻薬課刑事 s3#8から
Dr.ゴーラン・ペトロヴィッチ (Elya Baskin) テンプル大教授・化学工業
ジネット・ピーターソン (Lauren Bowles) ジョー・ドンの元妻
シュミッティ (Patrick Gallagher) パブのバーテンダー
— (Treisa Gary) Uniform Cop
ベラ・イオネスク (Boris Lee Krutonog) 物件の管理者
コーディ・ブランチャード (James Madio) ‘Squirrel’
トラヴィス・ビリングスリー (Chris Marrs) ジョー・ドンの弟
レイ・クロフォード (Glenn Morshower) 火災調査官
ジュリー・ヴェラ (Nina Siemaszko) ヴェラの元妻
パトリック・ドーティ (Keith Szarabajka) “パット”、殺人課本部長
ジョー・ドン・ビリングズリー (Myk Watford) 終身刑、殺される、兄
Mrs.ビリングズリー (Debra Leigh) 母
Mr.ビリングズリー (Cletus Young) 父
— (Mark Weiler) Uniform Cop
— (Ryan Tallie) Menacing Inmate
— (David Hill) Suicide Jumper
クリント・ヴェラ () 息子
娘・ヴェラ () 娘