第14話 メタモルフォーゼ Metamorphosis
脚本/Adam Glass、Danny Pino 監督/ Chris Fisher
【ストーリー】
1971年10月15日、セントメアリーズ遊園地。
ジョーンズ・ブラザーズ・サーカスが開かれエディは宣伝していた。
小人のビッギーは司会進行役をしてナイフの女王ゼルダに大きな拍手
を求める。アメリカンサーカスの発祥の地であるフィラデルフィア
の皆さんなサーカスの華・バタフライガールのミア・ロマノフの演技
を見せるという。演目はメタモルフォーゼだと。ドラムロールが
鳴った後彼女はロープでシルクを釣ってそこから出て来て演技する
というものだが、中に入っていたミアはそのまま落下すると首の骨を
折って死亡する。
2010年。
リリーはスティルマンに呼ばれる。署内のリリーを見る視線は明らかに
異常だった。話を聞くとモー・キッチナーが夕べロックスボローのバー
の外で撃たれたこと。車の中で後頭部から一発撃たれたのだという。
リリーに対して夕べは何をしていたのかと問うと自宅にいて報告書を
書いていたという。それを証明する出来る人は居るのかと問う。
捜査は誰がやるのかというリリーに対してドーティが州警察に託した
という。お前に逢いたいそうだというスティルマン。
スコッティはリリーに対して大丈夫かと問うボスには資料を届けに
行った時に家にリリーは居たと話して置いたという。ロドリゲス事件、
2006年の事件だという。モーが殺されたのは街の反対側で、居た訳が
ないというスコッティ。
捜査依頼の人が来ているという。
イザベル・デルーカに遭うリリーとスコッティ。昔の事件の情報
なのかと問うと、ミア・ロマノフ、ジョーンズ・ブラザーズ・サーカス
の曲芸師だったが、71年に事故死で片付けられているという。天井から
ツルされたシルクの繭から飛び出す芸をしていたもので、出て来た瞬間
変だと思ったという。母がサーカスでの占い師だったこと。私も霊能者
だという。霊感で犯人を教えて下さいよというスコッティだが、
それは無理だという。都合がいいなというスコッティ。
先日死亡事件現場写真展が有り、ミアの写真も有っていたが、他の人は
身を守ろうとしたがミアは違うとし、頭から落ちているのだという。
手も落ちる前からダランとしていると。最初から死んでいたのではない
か。それを事故死に見せかけたのか。ミアはサーカスで育ったのでネコ
みたいに身軽だったという。絶対に何か有ったと感じると。
そんなイザベルは立ち去ろうとする際、スコッティに対して「お母さん
は大丈夫。でもあなたは何とも言えない」と語っていく。
ヴェラとミラーとスティルマンはミアの当時の捜査資料を見る。
ミア・ロマノフ(18歳)、1971年にセントメアリーズ遊園地で事故死。
シルクの布で飛ぶ芸をしていた際のことだった。供述が殆ど取れていない
ことに気がつく。スコッティは色んな事情で聞かれたくないことでも
有ったのだろうと。客の供述ではお辞儀の時には普通だったというミラー。
舞台裏で何か有ったのだろうというスコッティ。陰謀の臭いがプンプン
だなとヴェラ。拡大した写真では鼻と口の周りに血みたいな影がある
という。転落時に頸骨と頭蓋骨が折れたが手のひらと手首は擦り傷だけ
だというミラー。大抵は本能的に手でかばうはずだと。他の団員を洗おう
というスティルマン。犯罪歴はみんな何かしらあるという。
ミアはピエロのクレオことシェルドン・バージェスの養女だったが供述
が残っていないというヴェラ。今、ポイントブリーズに住んでいると
いうミラー。
リリーとスコッティは、クレオが働く、クレオのピエロハウスにいく。
ミアについて聞きたいというと、今更なのか?と。新しいネタを披露し
ようとして亡くなったとし、人生最悪の夜だったという。何故事情聴取
に応じなかったのかと問うスコッティに対して、あの夜はやりきれなく
て飲んでいたという。シルクが切れていた訳では無くタイミングが悪か
ったのだろうと。繭を吊すのは誰がしていたのかと問うと団員も手伝って
いたが、セッティングは本人がやっていたという。頑固なオヤジに似て
ロマノフ家は5代に渡る曲芸師一家だったこと。団員の中でも王族みたい
なもの。ミアもその血を引いていたという。地面よりも空中にいるのが
活き活きしていた。旅から旅の暮らしなのに何故養女にしたのか?と
問うと名付け親として両親に頼まれたのだという。でもみんなで育てた
とし、ジョーンズ・ブラザーズ・サーカスは家族だったと語る。舞台裏
に居たのは誰かと問うとミアの前にはナイフの女王、ゼルダ・パネイ
の演技だったこと。ゼルダが花形のウチは良かったが・・
— 1971年 —
クレオは今夜の客入りは一体何だという。ウィリアムズポートは毎回
大入りだったのに・・犬と馬だけではもう受けないというビッギー。
ナイフがトリのサーカスなんて・・とケンカするとミアはそれを止める。
私が空中芸をやろうかという。私はロマノフだとし、このままだと
子供でも分かるが潰れるんでしょと。絶対に上手くいくという。。事故
って落ちるわよというゼルダ。
— 2010年 —
空中芸でゼルダはトップから降りる気がなかったようねというリリー。
ミラーとヴェラはゼルダから話を聞きに行く。
2枚目刑事さんの為なら話しても良いとしてヴェラに色目を使う。
6時にショウがあるので急いで欲しいとし、年寄り向けの安いレストラン
だが私がエドサリヴァンショーに出てたことも覚えて入れている人たち
だという。ミアとの関係を尋ねると可愛がっていたとし妹も同然だった
という。家族にもナイフを投げるのかと問うと、レディだってたまには
カッとなるという。4度の離婚のウチ3回はそれが原因だった。おろかな
ジェラシーよねと語ると、あんたがスターの座を守ったのではないか
というミラー。プライドは高いがバカではないとし、ミアの芸が上手く
行かねば、お終いだったのだという。
■感想
今回は何と言ってもスコッティ役のDanny Pinoが脚本を共同で
担当しているエピソード。
今回もまたシーズン7としては少し変形した殺害動機が存在していた。
同じ環境にいるものの間で、才能やチャンスに恵まれて羽ばたいていく
ものを見守ることに耐えられず嫉妬した者が足を引っ張ること
ことで殺害すると思って見て居たので自然と容疑者は、このサーカスを
実質取り仕切っていたビッギーとか養父にしたクレオことシェルドン・
バージェスだと思った。ナイフの女王のゼルダにもその可能性は
有ったかな。途中でシェルドンが18歳のお年頃になる美しいミアと
同じトレーラーハウスで寝ているとしていた際には、男女の関係が
あるのかと思ったし、それを嫌ってこの世界から逃げようとした
彼女が殺された可能性というのも考えられた。
しかし意外にもこのサーカスの実態というものが不透明であり、
まさに今回のシナリオを表現するかのようにして、大きいものが
小さいものの影に隠れてこのサーカス団を動かしているというのも
面白いサプライズが有った。
元々サーカスというと人気だったのは、普通の人とは違うところを
持ち合わせるフリークの存在だった。映画「エレファント・マン」
なんかはその典型的な例だけど、身長が人よりも異常に高かったり
低かったり、奇形だったり障害者だったりを見て楽しむ人が多かった
が、当然近年になってそれは差別の対象となり、色々と禁止やタブーと
なることが多くなった。
■押しつけられるテーマ
ミアが表現していた曲芸は、繭に見立てたシルクの中から蝶が羽ばたい
ていく様子を描いたもので、彼女自身の身の上に被せた感じテーマと
なっていて、その心情が綴られていた。それはもちろん行き詰まった
人生を送る人には該当する部分が多いけど、リリーやスコッティ他、
殺人課で働いている人たちの誰にでも該当する部分が有る。
また今回はやたらとサーカス団の者達が「家族」ということを協調して
いたので、そういう時に限って家族は名ばかりで、必ずしも信用出来る
ものではないことを示唆することはよくある。
どうも家族との関係にしても、人生を前に進むと示唆することに関して
も、殺人課の面々に示唆している部分が多いなと思って見てしまう
ところが有るね。
■きっかけは一枚の写真だった
過去の出来事とはいえ、事件捜査が始まり、1971年の時を進めたのが
死亡現場の写真展での1枚の写真がきっかけというもの。
死体の現場など飾るなんて趣味が悪い展示会だって気がするのだけど、
人間って何処か見たくないものを見てしまいたくなるところが有るよ
うで、ネットなんかでもそういうものが必ず出回るよね。
1971年ということでドラマでは39年前の事件を扱った格好だけど、
当時のサーカス団が今なおそのままの形で存在しているとは思えないし
どういう生活をして暮らしているのかというのは相変わらず興味の的
だった。
特にサーカス団はフリークスばかりでなく、前科持ちの危険なものも
集まっていたというので、確実に生きていないだろう人物も多いと
思っていただけに全員が生きていたというのは意外だったかも。
■最後は「Major Crimes」ばりの取調室での攻防
容疑者とされた2人が最後は同時に取調室に呼び出されて真相を
聞き出すことになった。そんなに上手い小細工を使ったという訳でも
ないけど、それでも画面が切り替わって巨人・レスターと小人のビッギー
のどちらが犯人なのか最後まで分からない作りが上手く出来ていた。
ビッギーは経営しているのは投資会社はJBリケッツだと嘘をついて
いたし、レスターは自らを脳性巨人症と偽り、現実逃避の形で
静かなる復讐の格好で経営しては金を儲けていたというのが驚きだった。
■身内ネタ
・リリー
キッチナーが殺された先週のラスト。
本当に殺されたのかと思っていただけに疑心暗鬼の状態だったし、
何よりもリリーに嫌疑がかかり、疑われてしまうという状況だったので
どうなるかと思った。S6の最後でリリーを橋から車で落とした
キッチナーが犯人であることは確かだけど、もう一人彼によって被害に
有った遺族のハンクが犯人だった。
復讐したが気が晴れることはなかったという。
s6-22
https://dramatimez.sakura.ne.jp/blog/?p=3063
・スコッティ
リリーにキッチナーの件で内務監査が入った時には、スコッティが
アリバイの偽証して「相棒」を助ける格好に・・。
ただこの一連の偽証の流れをスティルマンは見て居たし、その視線
は正直不信感に繋がっていたようにも感じる。
スコッティはハンクがキッチナーを殺したことに肯定的な意見を
出していた。
「市民を守るのが仕事なのに・・」(リリー)
「それは罪のない人だよ」(スコッティ)
「ハンクみたいな人がもっといても良い」(スコッティ)
最後にフードを被っていたスコッティは自ら復讐の為に走るのだろうか?
霊能者がまたスコッティの事情を見抜いているような発言をしていたね。
・ヴェラ
今回はリリーとスコッティの私生活しか垣間見られなかったけど、
リリーはヴェラとバーで飲んだ際に寝てしまっていたようなことを
口にしていた。
そんな彼の口から、今回のサーカス団が死者が出ても興行を続けな
ければいけないとして際には「The show must go on」かとして、
語っているところは、まさに殺人課にいるとその言葉が身に染みる
ところではないのかと。
ジェフリーズは出なかったけど小説を書いているのか。
■使用された曲
・Light My Fire by The Doors
・People Are Strange by The Doors
■出演者
リリー・ラッシュ (Kathryn Morris) 殺人課の刑事
スコッティ・ヴァレンズ (Danny Pino) 殺人課
ジョン・スティルマン (John Finn) リリーの上司
ニック・ヴェラ (Jeremy Ratchford) リリーの同僚刑事
ウィル・ジェフリーズ (Thom Barry) リリーの同僚刑事
キャット・ミラー (Tracie Thoms) 麻薬課刑事 s3#8から
ラミーロ・ヴァレンズ (Ismael ‘East’ Carlo) スコッティの父
ローザ・ヴァレンズ (Terri Hoyos) スコッティの母
モー・キッチナー (Daniel Baldwin) リリーと対立
ハンク・バトラー (Joe Penny) モーを殺害、ケイトの父
— (Joyce Lee) State Detective / リリーを取り調べ
— (Michael Raynor) State Detective / リリーを取り調べ
— (Keith Saltojanes) Clown
— (Chris Sanders) Clown
— (Hugo Garcia) Clown
— (Denise Vasquez) 弁護士
— (Madeleine Falk) Ball Walker
— (Michael Hennessey) Spikey Hair Clown
— (Jackie Zane) Carnival Act
2010年
ナサニエル・ジョーンズ (Michael J. Anderson) ‘Biggie’
シェルドン・バージェス (Dakin Matthews) ‘クレオ’
イサベル・デルーカ (Shiva Rose) 捜査して欲しいと言いに来た霊能者
レスター・スミス (Carel Struycken) ‘ガルガンチュア’、経営者
ゼルダ・パナイ (Peggy McCay) 老人相手のパフォーマンス
エディ・アームストロング (Matt O’Toole)
1971年
エディ・アームストロング (Joshua DesRoches) リブを任される裏方
レスター・スミス (Roger W. Morrissey) ‘Gargantuan’
ナサニエル・ジョーンズ (Mark Povinelli) ‘ビッギー’
シェルドン・バージェス (Matthew Walker) ‘クレオ’
ゼルダ・パネイ (Justina Vail) ナイフの女王
イサベル・デルーカ (Alicia Herranz) ミアの曲芸を観客席で見る
ミア・ロマノフ (Sharni Vinson) 曲芸師、18歳
— (Christopher Weir) Heat Merchant