第6話 クラシックカー The Dealer
脚本/Greg Plageman 監督/Chris Fisher
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1981年9月27日。
スティードモータースでは、クライスラー系の車の販売をして
いた。中古車と新車。ドナは電話番をしていたが、この日は少し
遅れてくる。
急いでオスカー、ブルース、サニル、フランクらが働く職場へ。
この店の販売主任はミッキーだった。
ミッキーは月末の正念場だとして、セールスマンを全員集めて
在庫一掃するくらいに販売するよう告げる。最も車を販売した
人物には1500ドルのボーナス。最下位はクビだという。
先ずは客を車に乗せ、車の臭いをかがせ運転をさせ、ステアリング
の感触を味わわせたら、後は買わせるだけだという。しかし
セールスマンたちは燃費も値段も日本車には勝てないとし、
そんな状態で売れる訳がないと語る。みんな最近は軽自動車を
求めているとのこと。しかしミッキーは売れないのは車のせいで
はなくセールスの腕のせいだとし、燃費を気にしていたらウチ
には来ないという。来るのはアメリカ車を求め、金を出す用意
があるからだという。車はイメージの道具だと告げ、乗っている
車に客は若さや強くも見せるのだという。ドナにそのことを聞か
せてやれというミッキー。ドナは彼氏が軽に乗っていたら
17歳でバージンを捨てることも無かったと語る。
サニルに対して要らないとは言わせるなとすると、自分はこの
車に乗っていたから結婚出来たと言えば良いという。妻に相談
すると言われたらそれでも男かと強気で押せば良いのだと語る。
中に入れた客を手ぶらで帰らせるな、車を売ってこいと語る。
ドナはミッキーに対して話がしたいと語る。今週、前借りを
させて欲しいということなのかと問う。
そんなドナは頭を殴られ死亡する。
2008年。
スティルマンは車の解体工場へと署員を呼びだす。
クラシックカーマニアがパーツを探しに来てトランクの中で見つ
けた女性の遺体だという。頭を鈍器で殴られたこと。恐らく
タイヤレンチだろうこと。73年型エルドラドのトランクに押し込め
られていた。スコッティはテールライトが人気の車体だった
ことを語る。被害者はドナ・ダミーゴ(22歳)。81年に失踪している
事を告げ、母親が失踪届を出しているという。73年にもう車両登録
制度が有ったのかとして驚くリリー。しかしプレートは無くなって
いた。死体を捨てるには良い場所だと。
そんな中遺体と共に入って居たメモが有った。
数字と名前が書いてあるものでボールペンで書かれていた。
レスター400ドル・・借金なのか?消えかかった住所も書かれて
居るようだという。スコッティはエルドラドの持ち主を調べること
を告げ、スティルマンは母親は8年前に他界して肉親は娘のマリサ
だけだという。当時5歳だった子だと。リリーは彼女に逢って来る
と語る。
ヴェラとジェフリーズはスティード・モータースの受付嬢で22歳
シングルの女性が死んだことを語り合う。上司の話では彼女は7時
に退社していること。預けてくれた娘を迎えに行かず、目撃者も
いないという。銀行から400ドルが死亡当日に下ろされていること。
夫も学歴もなく借金を抱え、出世を望めない仕事だったので、
当時はイヤになって逃げたと思われていたというジェフリーズ。
ポーラが娘を預かっていたのだという。
73年の車の持ち主でレスターって人間は居ないという。
スティード・モータースの同僚かも知れないというと、話を聞いて
こようという。しかしヴェラは車のセールスマンは苦手だと語る。
この車を買い換える必要はないだろうとするが、ジェフリーズは
再婚する気が無いのであればなと言われる。
リリーはマリサの元へ。
バーでバーテンダーをしていた。母が出て行ったのは5歳の時だ
という彼女。遺体がエルムウッドで発見されたこと。車のトランク
の中に入れられていた為に帰られなかったのだという。
母は高校でバカ男に妊娠させられて祖母に育てられたという。
しかしそんな祖母も迷惑だという視線だった事を語る。
母のことで何か覚えて居ないかと問うと、金が無くて住む場所も
なかったという。レスターという人物に心当たりは無いかと問う
が知らないという。警察の話では口座は空だと言われたので逃げた
としか思えないという彼女。
ポーラから話を聞くミラー。
マリサを預かっていたという。ドナはハイスクールの親友で、
妊娠は人ごとではなくなるべく手伝おうとしていたという。男関係
で何か知っているかと尋ねると、彼女はデートどころではなく女手
一人育てるのが精一杯だったという。金には困っていたが、借金
することは嫌っていたこと。母親との同居は辛かったはずで相当
キイツ人だったという。元々はポーラがあの車のセールスをして
ドナを紹介したが、紹介した私が先に辞めたという。男女差別が酷い
職場だったとのこと。
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クラシックカーが積み重ね上げられていたスクラップ工場の
車のトランクの中から女性の遺体が発見される。73年型の
キャデラックのエルドラド車。1981年に失踪しているドナ・ダミ
ーゴ(22歳)だとされる中、失踪者届けを出していた母親は既に他界し
当時5歳だった娘のマリサだけが唯一の肉親だった。
当時彼女はスティードモータースの販売店で働いていたが、
職場は男女差別が激しく、ハイスクール時代の友人・ポーラも
同じ店で働いていたが、辞めていたことが分かる。
当時のドナは学歴もなく出世も見込まれない職場故に現実逃避して
逃げたのではないかとされた案件だったが、頭部に外傷があること
から殺害されていたことが分かる。
車の販売店の物語というと、「MAD MEN」とか「ザ・ミドル ~中流
家族のフツーの幸せ」を思い出すな。
80年代の自動車販売というと、日本車製に押されてアメリカ
車の燃費の問題などが最も懸念されていた時代なのか
そんな話がチラっと出てきたけれど、日本の80年代というとバブル
という印象が有るので、アメリカ側から見た自動車業界というのも
興味深いかな。
80年代くらいになると、「MAD MEN」の頃とはまるで違うだろうし、
もう少しアメリカのことなので女性は社会での地位を確立して開放的に
なっているのかとも思ったけれど、車は男性を象徴するアイテムな
ので、男が売るものみたいな閉鎖的なところも有ったのかな。
一番驚いたのは、スクラップ工場なのにまだ81年当時にスクラップ
に出された車が残っていること。相当大きな廃車場だったけど、
そんなに何年も放置されているものなのかな。
販売店の職員が犯人だということは想像に難くないけれど、時代の
変遷に乗り遅れたものが、自分のエゴによって殺害したにもかかわらず
時代や社会のせいにするという如何にもな事件だった。
そこには販売のノウハウを教えたものによって客を奪われたとする
思いだったり、人と人の繋がりから生み出される販売の図式に
絶対の自信を持っていたものが、全否定されるかのようにして、
現在ではその考えが通じないという辺りに、世知辛さというもの
を象徴していた。
しかし殺した男は楽しいかどうかはともかくとしてこの30年を生活
してきている訳で、最も人生を謳歌出来るダミーコ家の命を奪って
狂わせたというところには相当な憤り感を感じる所。
個人ネタとしてはあんまり目立つ者がなかったけど、
親子の関係に於いて不遇な関係を送って来たリリーとしては、
気持ちは分かるとしながらも、リリーとは違って母親からの愛情を
感じる顛末が待ち受けており、短い期間でもリリーの親子関係との
違いが鮮明に描かれた感じがするし、スコッティは相変わらず
クラシックカーに精通していて詳しい姿が有った。
ヴェラは取調室に於いては、相当皮肉った言い回しで相手のことを
追い詰めている姿が有ったし、フランクは警察の取調室は、販売店
のブースと似たようなものだとして、相当当時のセールスに対する
憤り感を露わにしていたようにも感じる。
ヴェラは車のセールスマンは苦手だとしていたけど、前回のエピソー
ドの中で断れずに色々とタッパーを買わされていたりしたものね。
ピアノはドナが所持していた鍵からして、古いトランクルームの中
に入って居たということなのだろうか?
頭金だけ払っていたみたいだけど、買えたのだろう?
■使用された曲
・The Stroke by Billy Squier
・Whip It by Devo
・Another One Bites the Dust by Queen
・Brass In Pocket by The Pretenders
・Who’s Crying Now by Journey
・Burnin’ for You by Blue oyster Cult
■検索用キーワード
・
リリー・ラッシュ (Kathryn Morris) 殺人課の刑事
スコッティ・ヴァレンズ (Danny Pino) 殺人課
ジョン・スティルマン (John Finn) リリーの上司
ニック・ヴェラ (Jeremy Ratchford) リリーの同僚刑事
ウィル・ジェフリーズ (Thom Barry) リリーの同僚刑事
キャット・ミラー (Tracie Thoms) 麻薬課刑事 s3#8から
2008年
マリサ・ダミーコ (Kim Director) ドナの娘、バーテンダー
サニル・ヒンドチャ (Ajay Mehta)
フランク・ウィルソン (James Shanklin)
オスカー・アンダーソン (Richard Portnow)
ブルース・ドネリー (John Callahan)
ポーラ (Sue Giosa) ドナの親友
ミッキー・トンプソン (Kevin Dobson) スティードモータースの社長
フランク (Edward C. Gillow) 葬儀場で働く
— (Michael Patrick Breen) 捜査官
— (Matthew L. Sobel) Used Car Salesman
1981年
ドナ・ダミコ (Frankie Ingrassia) 受付嬢、セールス希望
ブルース・ドネリー (Todd Cahoon) スティードモータース・浮気男
フランク・ウィルソン (Andy Comeau) スティードモータース
ミッキー・トンプソン (Peter Dobson) 販売主任
オスカー・アンダーソン (Arye Gross) スティードモータース
サニル・ヒンドチャ (Ronobir Lahiri) スティードモータース
マリサ・ダミーコ (Natalie Dye) 娘
エステバン (Alejandro Patino) ドナが販売者した客
ポーラ (Melissa Strom) ドナのハイスクールの同級生