※プリティ・リトル・ライアーズのS5-11のネタになったことも有り、
学生時代にこのドラマを見た時に感想を書いていたことも有り
アップしました。ただ当時とはFormatが違うのと、当時のホームページ
では映画のキャプチャー貼りまって著作権侵害してしまっていたので
それを取り除いての掲載なので、ちょっと不自然な感じになっています
が参照までに・・・
見知らぬ乗客
Strangers on a Train
1951年 アメリカ 101分
監督・製作 アルフレッド・ヒッチコック
原作 パトリシア・ハイスミス 編集 ウィリアム・H・ジーグラー
脚本 レイモンド・チャンドラー、チェンチ・オーモンド
撮影 ロバート・バークス
音楽 ディミトリ・ティオムキン
【ストーリー】
タクシーで二人の男が駅に向かっていた。荷物を車から降ろすと、
やがてやってきた列車に二人は乗り込む。
たまたま向かい同士に座り会ったガイ・ヘインズとブルーノ・アン
トニー。ブルーノの方から本を読むガイ
に向かって声をかける。ガイはアマチュアとはいえ、全米を転戦す
るテニス・プレイヤー。ここ最近も新聞に取り上げられ、三面記事
にも女性問題などで取り上げられるほどの有名人だった。そんなガイ
のファンだというブルーノ。ブルーノはタバコの火を借りると、ガイの
持つライターに”A to G”と書かれていたのを
見逃さなかった。Gはガイ(贈られた人)の事、そしてAはアン・
モートンの事だと、ブルーノは言い当ててしまう。彼のファンならば、
三面に載るスキャンダル記事で、彼女の名前くらいは目にしていてもおかしくは
なかった。ガイは既に結婚しているのだが、最近はその妻ミリアム
と別れて上院議員の娘アンと結婚したい
と思っていたのである。するとブルーノはある名案が有るというと
、ガイを自分のコンバートメントで一緒に食事を取ることを求めた。気持ち
が悪いと感じたガイは、その誘いを断るが、ウェイターに聞くと食堂室が
混んでいると言うことで仕方なく付いていくことに。ブルーノは自
分の事情を話し始める。父親が自分の事を憎み、お金持ちの癖にハイヤーを
使わせず、バスで会社出勤をさせようというのだった。時々あまりの腹立た
しさに殺したくなるというブルーノ。完全犯罪について・・・時に
は死んだ方がいいヤツはこの世に居るものだ
というと、ブルーノ考える完全犯罪について一方的に語り始めた。
犯罪捜査の原則として、被害者に関係のある動機を持ったヤツは疑われるが、
偶然出会った者同士が互いに殺したい人物が居るときに、交換して互いの障害物
を殺せば、誰も疑う者など居ないというものであった
。馬鹿げた話しだと、降車する駅が近づ
いた為、ガイは個室から出ていく。しかしその跡には”A to G”と書かれた
ライターを部屋に忘れていってしまうのだった。
ガイがこの駅で降りたのは他でもなく、妻のミリアムと離婚の話し
を煮詰めるため。”ミラーズ・ミュージック・ストア”のレジ係をするミリアムの
元へと直接足を運ぶと、弁護士を入れて話し合う事を求めた。その為の資金を
彼女に手渡すが、彼女はその金を洋服を買うために使うという。以
前は自分の方から離婚を求めていたの
に、ガイがテニスプレイヤーとしての名声を得ると、今度は逆に離
れることを拒むようになったのである。別れ
たい理由には幾つかあったが、彼がテニスの為全米を転戦している
ウチに、ミリアムは男を作ったのである。
更にそれだけでなく、その男との子供を身籠もったのだった。それ
だけの事をしてまでも、離婚に応じようとは
しない彼女の態度に、思わず店の中だと言うことも忘れて大声を張
り上げるのだった。
店のオーナーに止められてなんとか現実に戻るが・・・なんともい
け好かない話しに、彼は握り拳を握った
まま、店から出ていく。そして、アンにこの現状を報告するために
電話を入れると、興奮が覚めやらぬガイは
思わず、電話口にいる彼女に向かって、”首を握りしめて殺してや
りたい”と口走るのだった。
そんな中、ミリアムは再び仕事が終わると、男友達を二人引き連れ
て遊園地へと遊びに行く(右上の写真)。バスに乗る彼らの跡を追い
かける一人の男の存在があった。
それは先日ガイと列車で同席したブルーノだった(右下の写真)。
遊園地で遊んでいる彼らから片時も離れず付いていくブルーノ。
やがてミリアムもその男の存在を知り、怖くなって、二人の男とボート
に乗り、対岸の島へと漕ぎ始める。
ここは恋人達が集う島として有名な場所となっていた。ブルーノも跡を
追うようにボートに乗ると、対岸に着き、ミリアムが一人になった隙を
見て、彼女の首を思いっきり絞めるのだった。
息をしなくなったのが分かると、そそくさと今乗ってきたボートに
乗り、その場を跡にするのだった。そしてその足で向かった先は、ガイが
住む家。そこに帰宅したガイに
接触すると、交換殺人のことを口にするのだった。初めは信じてい
ないガイも、ミリアムのかける割れた眼鏡を見せられると、思わず抜けられ
ない何かに引き込まれたような気がするのだった。
■感想
浮気する妻と早く別れてアンと一緒になりたいガイだが、なかなか離
婚に応じようとはしない妻ミリアム。
そんな中、列車で知り合った全く見も知らない男(ブルーノ側はガイ
が有名なアマチュアのテニスプレイヤーなので新聞等で見かけて知っている)
ブルーノがガイに近づき、妻殺しを仄めかす。それは
自分にも殺したい人物が居るため、交換殺人をしようと言うのだった
。あまりにも軌道を逸した話しにいつの間にか忘れていた話しも、突然相手が
妻を殺したことによって、交換殺人の要求をしてくる
ブルーノ。自分に容疑が掛かる中、果たして自分の無実を証明する事
が出来るのか!?
うーん、少しこの辺の作品は僕はヒッチコックのパワーダウンさを感
じています。犯罪への巻き込まれ方とか、ブルーノが付け狙っている様が実に
上手く描かれているのは確かなんだけど、エンディングへと進むに従い、どうすると
ガイが無実を証明できるのかがイマイチ理解不能でした。そして実際見た後でも、
なんとなくスッキリと行かない結末で、歯切れが悪いのです。
(右の写真、妻と別れて一緒になりたいと思っているガイとアン。)
面白いことに主人公の設定としては同監督の『ダイヤルMを廻せ!』
(’54 原題Dial M for Murder)に似ています。
アマチュアのテニスプレイヤーとして名を馳せていることや、それに
纏わる離婚話。今回は逆に離婚を求めるのが妻では無く主人公のガイだけど、
悪者として描かれているのはやっぱり女性(妻)ですよね。
この映画の一つのポイントは犯行の”動機”について事。幾つか面白
い要素としては、付け狙う家族の
家庭が気に病んでいるような関係であることと、殺害された妻とソッ
クリな恋人の妹がいる所。何らかの発展/事件を解決する際に決め手となる
人物になるのかと思って楽しみにしていたのですが、あまり
関わり合わなかったのが残念です。でもブルーノがちょっとマザコン
っぽい所は『サイコ』(’60 原題 Psycho)を感じさせて良かったです。
ちょっと今とは警察の捜査の内容が違うので今この映画を見ると不利
に感じるのが、科学捜査が発達
していない頃の殺人事件っていうのがモロモロに見えるので、その辺
を見ると少し滑稽です。ブルーノが
ミリアムを殺害したときなんて、幾ら暗い所とは言え、近くに二人の
ボーイフレンドが居たし、島の周りに
はカップルたちも大勢。しかも突然首を絞めて殺害したのなら指紋と
か、衣服の繊維や争った足跡なんかで、幾らなんでもあの遊園地にいた
のはガイではなく、ミリアムという事がバレバレなんですよね。
この映画では必ずしもこの犯行自体が主眼ではないのですが、最後は
この現場での事が結果的に浮かび上がってくるので、そうなるとこの
穴だらけの展開には少々ガッカリします。
ガイが現場に居なくても、そこで出てくるのがガイが殺害を頼んでブ
ルーノに妻を殺させたとした線が
挙がると思うのですが、それならば、何故最後にライターを現場に落
としにいったのか・・・よく分かりま
せんでした。駅前ではライターを落としたブルーノの姿が多数人に見
られているし、あのライターには彼
の指紋もベタベタ。どうも科学捜査が発達していない時代だとは思う
のだけど、それを割り切って見るには少し難しかったです。
ラストのメリーゴーランドの映像は確かに凄いですね(^^; あの
場面には笑い/監督のユーモアが
沢山詰まっています。高速回転する回転木馬でその実状を見守る母親
とは別に、子供は大はしゃぎ。
そしてその子供が、もつれ合うガイとブルーノの間で、ブルーノの事
をポカポカと殴ったり、また床でも
つれ合う二人の事を木馬がゲシゲシと踏みつけます(笑) ジャッキ
ー・チェンの『木人拳』で、少林寺の
修行の一つの木人にゲシゲシやられる場面を思い出してしまいました
。そしてその木馬を見ると、何処か
二人を笑いあしらっているかのように歯をむきだしにしているという
、実に面白いシーンでした。
今回のヒッチコックは、開始10分くらいのところでガイが列車から
降りるときに、その列車から楽器を
下ろそうとしている姿で出演しているので、難易度的には低かったで
すね(^^;
■出演者
ファーリー・グレンジャー(ガイ・ヘインズ/テニス) 妻が浮気し
て居るため別れてアンと結婚したいが・・・
ロバート・ウォーカー (ブルーノ・アントニー) 富豪の
息子。父親との確執。ガイを列車の中で見かける。
ルース・ローマン (アン・モートン) ガイの恋人。彼の事を
信用しているのだが・・
キャシー・ロジャース (ミリアム・ジョイス・ヘインズ)
救いようのないガイの妻。二人の男と遊んでいる時殺される。
パトリシア・ヒッチコック (バーバラ・ヘインズ)アンの妹。眼鏡
をかけるとミリアムとソックリ。
レオ・G・キャロル(モートン上院議員)アンの父親。
マリオン・ローン (母アントニー)絵が趣味なブルーノの母。しか
し心ここにあらずといった感じ。
ジョナサン・ヘール (父アントニー)ブルーノとの確執。
ジョン・ブラウン (コリンズ大学教授) ガイのアリバイを証言で
きる唯一の証人。
ローランド・モリス(ミリアムのボーイフレンド)ミリアムと遊園地
で遊ぶ。
トミー・ファーレル(トム/ミリアムのボーイフレンド) ミリアム
と遊園地で遊ぶ。
ディック・ウェッセル (ビル)ガイの知り合い。メトカフ駅前
でガイの荷物を預かる。
エドワード・クラーク (ハーグレーブス)
ハワード・セント・ジョン (ターリー署長)
エドワード・ハーン (キャンベル警部)
ロバート・ギスト (レズリー・ヘネシー/尾行刑事)
John Doucette (ハモンド/尾行刑事)
チャールズ・メレディス (ドナヒュー判事) モートンが開くパ
ーティーでブルーノと会話する。
ノーマ・ヴァーデン (カニンガム夫人) 上記のパーティ
ーでブルーノに首を絞められる。
ローラ・トレッドウェル (アンダーソン夫人) 上記の状況でカ
ニンガムの隣に座る夫人。
Odette Mytril (ダービー夫人) モートン家の
親友。テニス場でブルーノが近づく。
Louis Lettieri (メリーゴーランド少年) ラ
ストの緊迫した場面で登場。
Harry Hines (メリーゴーランドの下へ) 同上。
ジョエル・アレン (ジョニー/警察官) ラストの遊園地で張り込
み。
ロイ・エンジェル (ヘンドリック?/警察官) 同上。
(フレッド・レイノルズ/テニス選手)最後の場面でガイと試合
をしている人。
(フォレスト・ヒルズ)
アルフレッド・ヒッチコック(列車の客)最初の開始10分。汽車か
ら楽器を降ろそうとしている人。