第7話 二つの恋模様 Episode #5.7
監督/Philip John 脚本/Julian Fellowes
【これまでのストーリー】
イーディスは婚約者のグレッグソンの訃報が届く。悲痛な思い
で娘に会いに行くが・・ギリンガム卿のプロポーズを断り前に
進もうとするメアリー。家族から孤立していくイーディス。
使用人たちの間ではベイツの無実を信じるアンナはその証拠と
なる切符を探す。バクスターは追いつめられたトーマスに手を
さしのべる。トーマスの中で変化が起きてくる。伯爵一家は馬の
障害レースに出かける最中にイーディスは屋敷を出て行く。
そしてマリゴールドと暮らす決心をする。
【ストーリー】
ダウントンの駅でロザムンドはヴァイオレットが迎えに来ている
ことに驚く。なんて珍しいことなのか。ヴァイオレットは彼女
に対してこのままダウントンに向かうのだとし夕食の着替えは
私の家で行ってという。イーディスはいつ居なくなったのかと
問うロザムンドに対してレース場にいる間に出て行ったことを
語る。洗いざらいコーラに話すしかないというヴァイオレット。
しかしイーディスと約束を破ることになるというロザムンド。
イーディスに何か起きてからコーラが全ての事実を知ったら
私たちを許さないという。母親には知る権利があるのだという。
ロバートにも話すのかと問うと男には何の権利もないわと
ヴァイオレット。
カーソンはロザムンドが向かってきている事を告げる。
ヒューズは今夜の夕食会はイーディス無しでどうするのかと問う。
理由も告げずに中止にする訳にはいかないというカーソン。
とんでもない夜になりそうねと。
コーラはまだイーディスの行方について何も分からないのかと
問うと、トムは駅長の話ではロンドン行きの切符を購入した
という。ギリンガム卿は我々のような部外者が居てはお邪魔では
ないかという。失礼しようかとメイベルやブレイクに話すと
メアリーはどうしてなのかと問う。ディッキー・マートン卿
やシンダビー家の人も来るのよと。ローズは夕食会を中止にする
のか?としてみんなガッカリするわと語る。中止には出来ないという
イーディスは出かけたことにするという。メアリーは何でそんな
に大騒ぎするのかとし留守にしているだけでしょと。
ブレイクは三人で散歩でもしないかというとメイベルはトニー
(ギリンガム卿)が案内係ねと語る。ヴァイオレットは私も外に
出たいのでこちらはコーラに案内してもらおうかいう。その発言
にロバートは今更案内が必要ですか?という。ヴァイオレットは
外の空気が吸いたいのよと。
コーラは了承するが、そんな状況の中トーマスがやってきて奥様
に客が来ているという。ユーツリー農場のドリュー夫人がどう
しても会いたいと言っていると。コーラは部屋に通してと語る。
ロバートはヴァイオレットに私と散歩しますかというが、彼女は
何で私が散歩などするのかと態度を一変する。
3人で散歩する。
メイベルはそろそろ戻ろうという。ブレイクはトニーたちに分か
らないとし、君たちはお似合いだという。メアリーよりメイベル
といる方が楽だろうと。どう考えても変だと。メアリーは君と別れ
たがり、メイベルは君にぞっこんだという。グリンガム卿は分かっ
ているがメアリーとは別れられないのだという。今となって責任
があると。メアリー自身が別れを望んでいるだろうというと、望ん
でいないんだという。あれは本心ではないというギリンガム卿は
その証拠に僕の気を引こうとしてあんな風に髪型まで変えたのだ
という。彼女はあらゆる男の気を引きたいんだよというブレイク。
納得出来ないというギリンガム卿。君が認めれば丸く収まるのに
・・とブレイクはため息。
アンナはベイツに手紙は誰からなのかと問う。
ブルックさんからでソルフォードに引っ越しするので今の家の
賃貸契約は更新しないとしていること。ベイツは次の入居者を
探さないと。文句はダメだとしお義母様の残して下さった家は
貴重な財産だというアンナ。彼が出て行ったら二人で休みをもら
って家の中の様子を見に行きましょうという。
そんな中ベイツに対してアンナはどうして笑うのかと問うと、
「君は僕が困っている時いつも前向きだからだ」という。
コーラはヴァイオレットとロザムンドに対して二人共このことを
知っていたのかと。ロザムンドは赤ちゃんにも会ったそうねと
とし私の孫なのに何故隠していたのかという。イーディスに口止め
されていたのだという。スイスに行ったのはお産の為だったのねと。
他にどうしようも出来なかったのだという。堕ろすわけにも行かず
あの子の考えだという。結局出来なかったと。お義母さんは何処
まで知っていたのかと問うと、詳しくは知らないがスイスに行った
理由は知っていたこと。子供は養子に出したとばかり思ったと
いう。そういう約束だったと。母親の私に何の相談もなく決めた
のかとすると酷いという。ロザムンドに対してその子の顔を見ても
私の問題とは考えなかったのかと問う。なるべく騒ぎにならない
ようにと思ったのよと。イーディスはどうして家出したのかと問う
と、グレッグソンの訃報が引き金で華クビしてたが堪えたのでしょ
うというヴァイオレット。ロザムンドはイーディスは夫人とも
揉めたのだという。彼女には子供を預けられないとしたこと。
そこで私たちは外国の学校に入れるのが一番だと考えたという。
イーディスと子供を引き離そうとしたなんて酷いというコーラ。
ロバートにも話すのかというヴァイオレット。私たちに勝手に
話す権利はないという。イーディスを見つけてあの子がどうしたい
のかを聞かないといけないという。
メアリーに対してヒューズは声を掛ける。
ロンドンでのローズの舞踏会の時にお嬢様に切符を渡したことを
覚えていますかと。往復の切符でベイツのコートのポケットに有
ったものだという。メアリーは覚えているというと、あの切符を
お持ちではないかという。あれはグリーンさんが死んだ日にベイツ
がロンドンに居ないのを証明するものだという。ヨークで切符を
購入したが汽車に乗らなかったので切符は未使用だったのだという。
無実の証拠だったのか・・でもメアリーは燃やしたわと語る。
そんな会話をバクスターが聞いていた。
アティカス・・・そしてシンタビー卿がやってくる。ローズは
彼に遭うと大喜びする中、現在ここでは大騒ぎになっていること
があるとして後で騒動を教えるという。
パットモアとデイジーは食事を作る中、モールズリーはデイジー
に対して今夜一緒にサッカリーの小説を読まないかという。
しかしカーソンがやってきてマートン卿も到着したとして料理は
大丈夫かと声を掛ける。パットナムはデイジーに対してどうも
浮かない顔をしているねというと勉強する意欲でも失ったのかと
問う。そうかも・・というと最近新聞を読んでいるかと問うデイ
ジー。マクドナルド政権は今危機的状況であり初めての労働党政権
にみんなは期待していたが一年も持たないかも知れないという。
結局庶民は権力に支配されるだけで私たちには存在の価値も自由
もないのだという。パットナムは大げさだとするが、デイジーは
勉強して自分を高めたからってどうなるというのかという。
■感想
いよよいシーズン5も終わりに近づいてきました。
一番懸念すべき問題はイーディスの状況と心理状態なのかな。
秘密にしていたことのツケはここに来て色々とガタガタと問題点
として浮上しているし、何よりも特権・優越・貴族意識の強い
ものたちのプライドの高すぎて、一般人との間で隔絶するように
して寄せ付けない雰囲気を持っている。
ロシア難民と称してかつてのロシアの貴族たちの末路を覗かせる
当たりは、今後の彼らのイギリス社会に於ける特権階級問題に
投げかけるものが多いし、ピンチの時には誰も助けることなく
見捨てられてしまうかも知れないことを警告している感じがする。
ここにきてそんな階級意識だけでなく民族間の問題と宗教観の
問題も浮上してきた感じで、なんだか複雑そうだね。
それにしても今後キーポイントとされるからなのか、今回は
やたらと「駅」が抽出された感じ。
また投資の問題や労働党政権のことも大きく取り上げられ、
第二の人生を意識するものたちが増えているところが目立つ所。
そして権利を主張する世の中になりつつある中で、男性の権利
ばかりがこれまで主張されすぎたけど、いざ家庭の問題では
男性が蚊帳の外に置かれているところが何とも言えない。
■それぞれのキャラクター
・イーディス
グレッグソンを失った事で出版社を相続。
ロンドンにマリゴールドと共に渡ってしまった。
しかし今回懸念すべきはコーラがイーディスの出産の事実を
知らなかったところ。もう少し何処かで気づいてあげるべき
だったのではないかなと思うけど、話さずにいたヴァイオレット
とロザムンドにその非を向けていた。
何よりもヴァイオレットは今回色んなアンテナが鋭く反応し、
一番懸念していたのはイーディスの件が自分たちが話すよりも
早く別人の口からコーラの耳に入ることを懸念していたこと。
そしてその後の展開でもメアリーとヴァイオレットが珍しく
会話していてヴァイオレットはイザベルの件で心の内を語って
いたけど、夕食会の件でメアリーがこのイザベルとマートン卿
の結婚に関して、貴族意識の高い子供たちが許すはずはないと
思っていたであろうことも言葉の中から見て取れる。
イーディスはコーラたちからの案で、養子という形で育てる
ことにする。イーディスはアメリカに渡りデトロイトやシカゴ
辺りで自分の知らない土地で新しい人生を過ごそうと考えて
いたけれど、出版社のことも有るし、やはりイーディスは
イギリスで暮らしたいと考えている。
「ぼんやりアメリカに行こうかと考えている」(Edith)
「バカ言わないで」(Rosamund)
「何がバカなの、私の故郷よ」(Cora)
ただイーディスの行動は少なからずトムに影響を与えたのかな。
・メアリー
イーディスに対するメアリーの冷たさたるや、まるで隔世遺伝
してコーラの遺伝子ではなくヴァイオレットの影響を受けたかの
ようだ。そんなヴァイオレットは年を取り丸くなりつつあるの
に、メアリーの思いやりのなさが目に余る。
「思いやりの欠如は過剰な涙と同じくらい品が無いわ」(vio)
メアリーの冷たさを象徴しているのが、あのベイツの切符の件
で燃やしてしまったとする一言でも感じるところがある。
勿論意図してやったことではないんだけど。
自分が主役でないと気が済まない彼女は、ギリンガム卿とは
別れたいとしながらも、やはりギリンガム卿が語る様にメアリー
には何処かつなぎ止めておきたいとする保険的立場でギリンガム
卿を縛りづけていたところがあるのかな。
別れた女を惜しいと思わせたいなんて思い上がりも程ほどにって
感じがするんだよね。
男性はそういうところ気がつかないことも多いのだから、ハッキ
リ言わないといけないところは有るよね。
ギリンガム卿が何故そんなに別れたくないのかなと思っていた
のだけど、メアリーがまだ気が有ると感じていたようで、ハッキリ
と別れたいことを言ったらそのまま受け止めてくれた。
ギリンガム卿は想像していたような悪い人間では無かった。
・ブランソン
今回のトムはこのダウントンから出て行くべきかどうかで悩んで
いた。ロバートの人柄の良さも感じているし、ここの人たちは
貴族としてのしきたりは否定的見解を持っているけど、人その
ものに関してはトムは好きでいるようだ。
トムがシビーと池で遊んでいる光景がまた可愛らしい。
シビーに話しかけるが彼女は「何で?何で?」と常に疑問を
投げかけてくる。
トムはマートン卿の息子の無礼な発言を見て思わず
「とっとと出て行けこのゲス野郎!」(Tom)
(Why don’t you just get out, you bastard)
「今聞こえたのは外国語?」(Vio)
(And suddenly we’ve slipped into a foreign tongue)
■その他の問題・気になること
・アイシスのガン
最近元気がないと思ったらガンだった。
アイシスも見た目若いけど、実際には年齢を重ねていたりする
ところもあるんだろうな。
アイシスに対してロバートの愛情は相当なものだな。
イーディスに少しでもその愛情を向けてくれ(笑)
でもそんなアイシスの悲しみのせいでイーディスが養子を受ける
流れはコーラ任せになり、認めてくれそうな感じ。
・ヴァイオレットの本音
今回珍しくメアリーがヴァイオレットの家を訪ねていたよね。
メアリーはヴァイオレットが寂しがっているのはイザベルが
マートン卿と結婚することで立場的に上になることを心配して
いるのかと思っていたけど、実際にはイザベルとヴァイオレット
は価値観が違えど気が合う友達で、話し相手が居なくなることを
寂しく思っていたようだ。
これを見てメアリーも改心してくれ。
最近のメアリー嬢を見ても何処か嫌悪感しか出てこないけど、
それでもトムが居なくなればこの家を今後継いでいかねばならない
立場だからね。性格がきつくてもプライドを常に高く持っていない
といけないのかな。
・グリーン殺害事件
今回は殆どそれについては進展はなかった。
ただベイツとアンナは仲直り。避難の件でも理由は話さなかった
がメアリーのものだと語っていた。
バクスターが証言したことに後悔していたけれど、そんなに悪い
ことは話していなかったよな。
バクスターは言えない複雑な事情があるとするがベイツたちは
冷たい視線を投げかける。ただモールズリーが言うようにベイツ
に事情を話しても彼なら罪のことは理解してくれそうだし恥には
ならない気がする。
・男性陣が蚊帳の外に
男性は繊細ではないとでも言いたげな展開が至るところで感じた。
とこにヴァイオレットのロバートに対する扱いはその象徴の一つ
だったし、スプラットの件でも同様だった。
ただモールズリーにしてもスプラットにしても意外と繊細な心を
持っていて気を使って他人に配慮を持つ人は多いよね。
女心が分かるとは言わないけど、モールズリーとパットナムが
デイジーの為に上手く元気づける為に根回ししたり、バクスター
が落ち込んでいるのを知り、そして彼女がモールズリーとちょっ
ぴり良い感じだということを知って一緒にメイソン家に行ってき
たらどうかと語る。
・親は頑固?子供が頑固?
結婚を意識する展開が多いドラマだけど、ローズの件では
マクレア家は父は寛容的で母親は何を話しても反対すると語る
姿が有る。
アティカスは逆に母親はローズを気に入るが、父親は宗教観の
違いを気にして反対的立場。
マートン卿に関しては子供たちのラリーとティムが酷いこと
を投げかける。
ただイザベルは寛容的で
「母親のことを愛しているの、代わりが来るのは許せないのよ」
・グランサム伯爵は頑固なのか?
今回のマートン卿の息子たちが出てくると、逆にロバートたち
が進歩的だというのが分かる。
「運転手を婿にしたり、今度はユダヤ人を迎えようとしている」
トムを怒らせるとは大したもんですよ。
ラリー・グレイとはS3-1でも争う姿が有る。
https://dramatimez.sakura.ne.jp/blog/?p=1445
ただ初めて知ったけどコーラの父方もユダヤ系なんだね。
この家系は本当に色んな民族が集まっているな。
コーラはアメリカ人でも有るし、ブランソンはアイルランド系
だしね。
・ブレイクは貿易でポーランドへ
長くて一年いくとしていたけど、果たしてメアリーはどうする
のかな。月曜日に船で出発するとのこと。
・スプラット
「仕事だからあらゆる屈辱にも耐えた。でももう我慢出来ません
限界です。ヤメさせてもらいます」
「彼らしいわ、老いを嘆く美女のように繊細ね」(Vio)
先週のヴィオレットが言ったように
スプラットは支配者なのね(笑)
■使用された曲
・Downton Abbey – The Suite by The Chamber Orchestra of London
■出演者
ロバート・クローリー (Hugh Bonneville) グランサム伯爵
イーディス・クローリー (Laura Carmichael) 次女
メアリー・クローリー (Michelle Dockery) 長女
コーラ・クローリー (Elizabeth McGovern) 伯爵夫人
バイオレット・クローリー (Maggie Smith) ロバートの母
イザベル・クローリー (Penelope Wilton) マシューの母
チャールズ・カーソン (Jim Carter) 執事
ジョン・ベイツ (Brendan Coyle) 従者
アンナ・スミス・ベイツ (Joanne Froggatt) メイド長
デイジー・メイソン (Sophie McShera) 料理人
トーマス・バロウ (Rob James-Collier) 副執事
エルシー・メイ・カーソン(ヒューズ) (Phyllis Logan) メイド長
ベリル・パットモア (Lesley Nicol) 料理長
ジョセフ・モールズリー (Kevin Doyle) 無職->下僕
トム・ブランソン (Allen Leech) シビルの元夫
フィリス・バクスター (Raquel Cassidy) コーラの侍女
ジョージ・クロウリー (Oliver Zac Barker) メアリーの息子
シービー・ブランソン (Fifi Hart) トムの娘
マリゴールド
アンソニー・ギリンガム卿 (Tom Cullen) “トニー”、メアリーの幼馴染
LADY ローズ・マクレア (Lily James) 18歳、スーザンの娘
LADY ロザムンド・ペインズウィック (Samantha Bond)
メイベル・レーン・フォックス (Catherine Steadman) チャールズの元婚約者
アティカス・オルドリッジ (Matt Barber) ユダヤ人、ロンドンの銀行
LADY シンダビー (Penny Downie) アティカスの母
LOAD シンダビー (James Faulkner) アティカスの父
LOAD ディッキー・マートン卿 (Douglas Reith) イザベルと結婚
— (Devon Black) Receptionist
セプティマス・スプラット (Jeremy Swift) バイオレットの執事
— (Holly Augustine) ウェイトレス
ティム・ドリュー (Andrew Scarborough) 代々伯爵家の土地を借地
Mr.メイソン (Paul Copley) デイジーの親代わり
ティム・グレイ (Ed Cooper Clarke) マートンの息子
ラリー・グレイ (Charlie Anson) マートンの息子
— (Alister Austin) Station Guard
— (David G. Robinson) Uniformed Padre