第2話 親心 Episode #6.2
監督/Minkie Spiro 脚本/Julian Fellowes
【これまでのあらすじ】
時代の変化の件でダウントンも変わろうとしていた。
病院の統合を巡りヴァイオレットとイザベルは対立。ギリンガム
卿との秘密旅行で脅迫を受けたメアリー。更には伯爵も脅迫され
るが、ロバートは当主らしく上手く処理する。使用人たちの間
では悲しみにくれるアンナとベイツの元にグリーンの殺人事件は
解決しアンナの無実は確定する。カーソンとの結婚を悩んで
いたヒューズは改めプロポーズを受け入れる。
【ストーリー】
郵便の自転車がタウントンにやってくる。
食事の席でロバートはトムからの知らせをみんなに聞かせる。
彼は新しく売り場を任されたと。ローズの手紙は何て書いてある
のかとメアリーに尋ねると、全ては順調でニューヨークは天国、
夏は別荘で過ごすそうだという。そしてローズはオメデタかも
知れないという。8月に戻れるかどうかは状況次第と書かれている
というメアリーに対してイーディスは相変わらず想像力が逞しい
ことを告げる。ロバートはヴァイオレットに呼び出されて居るが
コーラには内緒にしろと言われているという。メアリーは母も
理事でしょというと、血が流れる前になんとか収めたいのだと
いう。カーソンはフィンチが領地管理人に逢いたいとして来て
いることを告げる。メアリーは10分後に行くので書斎に通して
という。ロバートは11時には出かけないといけないのでメアリー
一人に任せることになるのでメアリーが対処してくれという。
ロバートはカーソンに結婚式の準備は順調か?というと、トラビス
牧師と式の日取りは決めたが後は披露宴を何処でやるか考えて
いるという。ウチでやってというと、ロバートは使用人の食堂を
華やかに飾ろうという。カーソンはまだ検討中なのでと言葉を
濁す。メアリーはロバートに使用人の食堂で祝う気なのかとし、
今は急いでいるから後でゆっくり話しましょうという。
パットナムはサンドイッチに使うなら瓶詰めのワースラディッシュ
を使おうという。手抜きだがサンドイッチなら問題ないと。モー
ルズリーはパットナムに重曹を貸してとやってくる。そんな
モールズリーはデイジーに対してメイソンの様子を尋ねる。
私のせいで家も仕事も失ってしまったという。私が暴走したせいで
事態を悪くしたというと、モールズリーはそれは違うと語る。
ヒューズは注文票は書けたのかとすると、モールズリーは村に
用事があるので私が持っていくよと語る。農場の方はヒューズが
持っていくというと、カーソンは私も付き合うよと。12時には戻
れるのだろうと。
メアリーはフィンチに逢う。
お嬢様に相談するのは気が引けることだというと話は家畜品評会
の件だという。品評会ならばクリスマス前に終わったのではない
かと言うと追加でやることになったという。それで出品願いなのか
とするとトムの後任はと尋ねられる。驚くかも知れないが私が
後任だというメアリー。これからは父と一緒に私が領地の運営に
携わるという。ウチの豚は他でも評判が高いとし、養豚家と相談
するという。州の品評会と違って小規模な催しなのでこの機会に
伯爵家の底力を見せつけてという。
ヒューズは使用人の食堂で披露宴なんて・・と。カーソンは君は
どうしたいのか。正直屋敷意外の場所でやりたいとし、寛いだ
雰囲気で・・という。伯爵家主宰じゃそうは行かないこと。
正体しないのか?というカーソンにするわよという。あなたは
メアリー様に晴れ姿を見てもらいたいのでしょと。お嬢様は私には
特別だという。結婚する日くらいは使用人で居たくないという
ヒューズ。いけないことなのか?という彼女は丁重にお断りして
と言われる。
病院の理事会。
ロバートは随分と改まった手紙だなという。クラークソン医師は
王立ヨークシャー病院が我々の後援者に統合を認めろと言ってい
るという。ヴァイオレットは姑息なやり方だとするがイザベルは
理にかなっているという。病院の統合の利点は資金繰りが今より
も効率的になること。しかしクラークソンはそれによって国から
援助が出る訳では無いという。そしてウチは大病院の付属病院に
されてこの村に住む患者を治療出来なくなるというヴァイオレッ
ト。これからの体制によるわというイザベル。大事な患者を何人
救えるかだろうとロバート。今は救えないと言っているのかという
クラークソン。そうではないと否定するロバート。イザベルは
どうして今日はコーラが来ていないのかと問うと、ヴァイオレッ
トは必要無いという。院長の私、相談員のあなた、クラークソン
先生、そして病院に土地と資金を提供しているロバートの4人が
居れば済む話でしょと。そうは思わないとしてコーラに伝えて
というイザベル。”ヴァイオレットが理事会を私物化しそうだ”と。
アンナはアンディにここにも慣れたかと問うと、気に入っている
とし楽しいですと。休みの日に領地を散策していること。次は湖畔
の森へ言ってみようかと思っているというと、トーマスは付き合
うよという。しかしアンディはそれを断り一人で歩くのが好き
なんだという。
トーマスはカーソンに対して解雇通知はいつ出るのか?と問う。
当然道に放ったらかしにはしないという。私は職探しを始める
べきかと問うとそれも悪くないというカーソン。バクスターは
放り出されないわよと語る。しかしトーマスは首になるのも時間
の問題だと。
モールズリーは学校のドーズ校長の元を尋ねる。
一方イーディスは編集者のスキナーと電話で話す。しかしイーデ
ィスは興奮しているスキナーに怒鳴っても仕方が無いとし、私も
楽しい雑誌が作りたいのだという。どうして怒るのかとして、
私は提案しただけなのだと。しかしそれは命令だというスキナー。
明日直接会って話しましょうとしそれまでに冷静になってという
が・・・
■感想
ドラマの舞台は初回に提示されたように1925年。
14年後にはまた第二次世界大戦が待っている状況が有るし、
4年後の1929年には世界大恐慌が起きるという背景がある。
アメリカに渡ったローズとかトムからの手紙に於いて順調だと
する流れが有るが、4年後にはアメリカウォール街に於ける
Black Thursdayを中心にして世界中で市場が混乱していく。
折角労働意識が向上している中で、なんか怖いことが押し寄せて
いるようで何とも言えない閉塞感が有り、このドラマの中で
働いている使用人たちはそれを感じているのかどうか。
しかしリストラ的流れは存在していて、その恐怖の先鋒に立つの
が嫌われ者のトーマス。
折角トーマスも改心して良い人になりかけていたのに、なんだか
こうなってくると気の毒でしかない。
特に先手を打って面接に行った時には、もう当時のような使用人
の構図はなく、下僕から執事まで全てをこなすようなオールマイ
ティでユーティリティさを求められる役割の職員を必要とされ、
更には結婚をしていないトーマスのことを怪しい視線で見られて
いた。
取りあえず当面はイザベルとヴァイオレットが対立している
村の病院を王立ヨークシャー病院に合併すべきかどうかの
選択に迫られている。
■それぞれのキャラクター
・長女・メアリー
今回のメアリーは・・・何か問題が有ったっけ?
フィンチという家畜表票会の人物とロバート抜きにして会う事に
なる。品評会にダウントンの領地からも豚の出品を求められて
メアリーは了承する。
アンナの表情が無罪が決まった後でも暗いことに気がついた所
は流石。そこでアンナはメアリーに相談すると、心労だろう
としていたが、ロンドンで診てもらおうとし、自分が費用を出す
ことを語る。
・次女・イーディス
今回のイーディスは忙しかった。
ロンドンでは出版社の経営を引き継いだもののスキナーとは意見
が分かれてしまう。男尊女卑の時代なので女性の下で働きたくな
いというところが一番のネックなのか。それともイーディスは
経営についても編集についても何も知らないのに要求だけは一人
前だと思われているのか。
またダウントンに戻ると家畜の品評会に於いてマリゴールドが
少し目を離した隙にいなくなってしまう。
マージーが大人だらけの品評会につまらなそうにしているという
ことで連れ出した格好だった。
それも分かるけど、マージーは自分の子供が多くいるのに
預かっていた子にも自分の子と同じだけ愛情を注いでいてある
意味では立派。ある意味ではちょっと怖い(笑)
そしてマイケルの部屋をどうするのかで再びロザムンドと会話
すると、イーディスが使うという。しかし一人暮らしは経験が
ないというと、長く続けるのは危険だとし一人に慣れすぎると
された。
■カーソンとヒューズ
二人の結婚がシーズン最後のエピなのかなと思ったけど、それに
してはもうかなり話が進行しているので前半部のメインとして
扱われるのかな。
カーソンとしてはダウントンで披露宴をしたいのは当然のこと。
この城での執事の仕事は彼に取って人生そのものだし、メアリー
お嬢さんにカーソンは晴れ姿を見せたいところも有るのだろう。
カーソンだけのエゴを突出させればまさに披露宴はダウントン
以外には考えられないだろうね。
逆にヒューズは伯爵家主導ではなく、寧ろメイド長として指導的
立場の彼女は自分たちの手で祝いたいと感じている様子。
伯爵にはお世話になっているのだろうけど、堅苦しい席にはしたく
ないハズ。そこで学校に飾り付けをしてそこでの披露宴を望む。
今までダウントンで相談役を引き受けてきたヒューズとしては
関わりに疲れているところはあるのかな。
ロバートが披露宴はダウントンの屋敷の使用人部屋でやれば
良いとするとメアリーは呆れる。
「使用人の部屋なんて以ての外。広間だろうと何処でも好きに
使って当然のことだと。」(Mary)
「私は使用人部屋で良いんです」(Carson)
「良いんだカーソン、レディー・メアリーに逆らおうなんて
無理な話。お互いにな」(Rob)
段々とメアリーがコーラになり、そしてヴァイオレットになって
いく(笑)
■病院の統合問題
統合に反対しているのはヴァイオレットとクラークソン。
統合に賛成しているのはイザベルとマートン卿とコーラ。
そしてロバートはヴァイオレットとコーラに挟まれて辛い立場。
イザベルとマートン卿は郵便局でたまたま出会う。
その際に病院について会話していた。
伯爵家などはいざとなればロンドンに行って診察すれば良いが
村人はそうはいかないこと。それならばいっそ村に最新の医療
機器や医師としての知識を呼び込む方が大事なのではないかと
考えている。
イザベルはマートンにもあなただっていざとなればロンドンに
行くでしょとしていたけれど、使用人でメアリーの従者の
アンナもまたロンドンに行きメアリーが不妊治療で世話になった
医師のライダーに見てもらうことになる。
・アンナの病気
何度も妊娠しても流産してしまうというアンナ。
メアリーに相談してライダーに診てもらうと、症状から診て
頸管無力症だという。子宮口がゆるんでしまい胎児が3、4ヶ月に
なると支えられなくなるというもの。
珍しいものではなく20年前から行われているという頸管縫縮術
という方法で子宮頸管を縫うという。成功例は多いとし妊娠
一ヶ月で手術の跡にゆっくり休めるように、医師が直接アンナ
の元に出向いて処置するという。
これって子宮口を縫って子供が出られなくするみたいな感じ
なの?
昔の妊娠は命がけだとされるけど、シビルが妊娠・出産の時に
亡くなっているのでなんとなく怖い。
■再就職の問題
メイソンの件でどうなるのかなと思っていた。
イーディスがロザムンドと共にロンドンに居た際に料理人の問題
を話していたのでデイジーがそこに行き、メイソンと一緒に住ん
でいくのかなと思っていた。
まさか忘れかけていたドリュー夫妻が問題を起こし、夫人が
マリゴールドを連れ去ったことで代々この土地を守ってきた
ドリュー自身が身を引くとは思わなかった。ドリューが心配ない
として大見得切っていたところもあるんだろうけどね。
ただドリューは養豚業にも手慣れていたところが有るし、今更
メイソンがドリューの変わりが出来たりするのだろうか?
・デイジー
最近再びデイジーが強い女として台頭し始めた。
何よりも今回はコーラに噛みつこうとしているのだから命知らず
だ。
またデイジーに対してモールズリーは試験を受けるべき事を告げ、
過去の問題を校長からもらってきたので試しに解いてみたらどう
かと提案する。学歴を経てメイソンを支えていけば良いとする流れ
がある。
・トーマス
ダウントンで副執事の座についていてもリポンの屋敷での面接
ではあまり効果がない。執事補佐とはどんなことなのかと問う
姿が有り、ムーアからは色々と質問されていた。
そんなトーマスに対して沈み行く船にはアンディも近寄らない
ようにしているのか、アンディが休みの時には湖畔に散歩に行く
とする際にはトーマスが声を掛けるし、暖炉の上の時計を巻く
という作業の際にはトーマスは過去に自分がやっていたので
指導することをいうがアンディからはひとりで出来るとして
突っぱねられてしまう。
■その他
「私はコーラに警告しただけ」(Isobel)
「彼女を扇動するなんてよくないわ」(Violet)
「彼女を服従させるのだってよくない」(Isobel)
「知りたいのは事実だけよ」 (Cora)
「誰の事実?」(Violet)
「私の事実が正しいわ」(Violet)
「村の病院としての誇りを捨てるの?」(Violet)
「私はクラークソンは最後まで戦う。」(Violet)
「大事なのは村にとって何が一番かだ」(Clarkson)
「意見が合ったわね」 (Cora)
「私も行くわ。悔しがる時間をあげないと」(Isobel)
■使用された曲
・Downton Abbey The Suite
Written by John Lunn
Performed by Chamber Orchestra Of London
■出演者
ロバート・クローリー (Hugh Bonneville) グランサム伯爵
イーディス・クローリー (Laura Carmichael) 次女
メアリー・クローリー (Michelle Dockery) 長女
コーラ・クローリー (Elizabeth McGovern) 伯爵夫人
バイオレット・クローリー (Maggie Smith) ロバートの母
イザベル・クローリー (Penelope Wilton) マシューの母
チャールズ・カーソン (Jim Carter) 執事
ジョン・ベイツ (Brendan Coyle) 従者
アンナ・スミス・ベイツ (Joanne Froggatt) メイド長
デイジー・メイソン (Sophie McShera) 料理人
トーマス・バロウ (Rob James-Collier) 副執事
エルシー・メイ・カーソン(ヒューズ) (Phyllis Logan) メイド長
ベリル・パットモア (Lesley Nicol) 料理長
ジョセフ・モールズリー (Kevin Doyle) 無職->下僕
フィリス・バクスター (Raquel Cassidy) コーラの侍女
ジョージ・クローリー (Oliver Zac Barker) メアリーの息子
マリゴールド (Eva & Karina Samms) イーディスとグレッグソンの娘
アンディ (Michael Fox) 下僕
Dr.クラークソン (David Robb) 町医者
Mr.フィンチ (Martin Walsh) 農場の品評会の件
Mr.ドーズ (Patrick Brennan) 校長先生
LOAD マートン (Douglas Reith) 貴族
ティム・ドリュー (Andrew Scarborough) ユーツリー農場・養豚業
マージー・ドリュー (Emma Lowndes) ティムの夫人
Lady ロザムンド・ペインズウィック (Samantha Bond) ロバートの妹
Mr.スキナー (Paul Putner) 出版社編集者
— (Devon Black) Receptionist
Mr.グローバー (Trevor Cooper) リポンのロスリー邸・ムーア
Dr.ライダー (Richard Teverson) ロンドンの医者
— (Andrew Caley) 判事
Mr.メイソン (Paul Copley) デイジーの義理の父
— (David Ellis) Local Farmer