第4話 執事代行 Episode #6.4
監督/Philip John 脚本/Julian Fellowes
【これまでのあらすじ】
ダウントンは病院の統合問題を巡り揺れていた。そんな折り、
メアリーはアンナが妊娠しているのを知る。
ブランカスター城で出会ったバーティーと再会するイーディス。
領地管理人の彼とロンドンのイーディスの出版社近くの店で
会う約束をしたが仕事のトラブルを抱えたイーディスは約束の
場に行けなくなる。しかしそれを知ったバーティーは一緒に
仕事をして困難を乗り切る。職探しをするトーマスは再度使用人
の面接を受けるが主人とは主義が合わず・・。結婚式を挙げた
カーソンとヒューズは幸せの最中、トムが突然シビーと共に
アメリカから帰国する。
【ストーリー】
ロバートはトムに向こうで揉めたのかと問うが上手く行っていた
事を告げる。しかしアメリカは勝手が違うし何よりもシビーを
みんなと引き離したことに罪悪感が有った事を語る。メアリーは
何を言うのかとしながらも、寂しかったので嬉しいことを語る。
ロバートはビックリしたが披露宴は盛り上がったとトムに告げる。
シビーは疲れて寝ているが嬉しそうだという。
イーディスはメアリーに対してこれからどうするのかと問う。
領地の管理人(トム)が戻ったのだから・・と。ケンカならトム
が落ち着いてからにしたらどうかというロバート。トムはケンカ
は必要無いとし誰にも迷惑はかけたくないという。メアリーは
事務所で近況を教えると語る。
ロバートはバローにカーソンからの連絡はと問うと無事に付いた
とする電話が有ったという。新婚旅行先がスカーバラだなんてと
メアリー。本人の希望だという。
イーディスはロザムンド叔母さんが明日の夕食に来ると言って
いることを語る。用件は?と問うと特に言っていないが、統合の
戦いに参加したいのではないかという。ロバートはコーラとイザ
ベルの味方だなと。ヴァイオレットに付くわけないしとメアリー。
パットモアはバクスターにウィリス巡査部長から電話が有り後で
会いに来ると言っていたという。アンディは警察が彼女に用が
あるのか?と問う。アンナは私たちじゃなくて?というとベイツは
面白い冗談だという。しかしバローはバクスターには笑えない
ことだとし、誰が警察と話したのかと問う。パットモアは私が
電話を受けたとすると、次からは勝手に話さず俺に代われという。
俺が執事だとすると、カーソンが帰るまでの代理だろと。
コーラの寝室にバクスターは手紙を渡す。
いつ届いたのかというと今朝大奥様の屋敷から届いたという。
明日の夕食にレディー・シャクルトンを招待したいそうだと。
ヴァイオレットは援軍を呼んで争う気だという。イザベラや
ロザムンド、私とと。気が重いわとコーラ。
メアリーはトムに正直に話して欲しいと告げた上で、領地管理人に
戻りたいのかと問う。そうだねというが彼は領地運営以外に挑戦
したいことがあるという。アメリカで変わったとし今も伝統主義
者じゃないが資本主義に感銘を受けたという。一生懸命働けば
一代で成功出来るのだという。メアリーはイギリスでは違うと
するが、近い将来この国も変わるよと。トムに仕事も人生も
好きに選んで欲しいと告げるが、女性選びの目は必要よとメア
リー。
私たちじゃなく自分の為に生きて欲しいという。君はプロポーズ
を断って後悔していないのかと問うと、いいえというメアリー。
ウィリスがバクスターの元にやってくる。
ベイツ夫妻の件は片付いたので今日はその用件ではないという。
パットモアが立ち会おうとするが、立ち会いはモールズリーに
頼んでいるという。ウィリスは単刀直入に聞くがピーター・コイル
を知っているでしょ?と。彼に窃盗容疑がかかっているという。
同じ家で働く女性も容疑者で、殆どの証拠は彼女が不利な状態だ
という。コイルは無罪を主張していて記録を見たら過去にも何度
か犯罪に関わっていて、毎回実行犯の女性だけが決まって起訴さ
れているという。あなたも彼と働いていたこと。あなたが宝石を
盗んだ日、彼は仕事を辞めていること。盗まれた品は見つからない
ままで我々はコイルの手に渡ったと見ているという。その辺りを
法廷で証言して欲しいという。この先彼に利用される女性を
救いたいのだという。考えて見て欲しいと。
モールズリーはコイルって人は凄い色男だったのだろうねと
語ると、悪魔のような男よと。警察に協力するべきだという
モールズリー。しかしバクスターは簡単に言わないでと憤怒する。
「悪が栄えるのは善人が何もしないからだ」とモールズリーは
語る。
コーラはロバートにシャクルトンは喜んでくると言っている
とし甥御さんも連れて来ると。たまたまヨークシャーに来ていて
一晩泊まるらしいのと。招待したのか?というと、ロバートは
ヴァイオレットを怒らせたくないという。母は百戦錬磨の策士だ。
泣き落としも脅しも自在に使いこなすというロバート。
甥御さんのことは?知らないという。
トムがやってくるとコブ夫人が引っ越しするので空いた家をカー
ソン夫妻の新居にしてはどうかという。
コーラはユーツリー農場の件、別の小作人に任せたら?と語る。
しかしトムはメアリーの言う通り自営農業ににすべきだという。
ロバートは家は人に貸してなと。コーラが更に言及しようとした
為にこれからフェアクロー農場に行かないといけないとしトムも
行くかと語る。トムが戻って嬉しいかというコーラに対して
予想以上になというロバート。
■感想
カーソン夫婦が新婚旅行故にバローがその間に執事を行うこと
になる。執事として使用人の間の中では立場上力を誇示すること
の出来る中で、果たしてどんな行動を取っていくのか。
元々存在していた権力と爵位という構図の中でも今回キーワード
として聞こえてくるのが「仕事」と「教育」そして「女性」だっ
た。女性の社会進出というのはある意味近代化ということを象徴
しているのだろうか。
自分らしい生き方を模索する中で、それぞれにどのような道に
進む事がベストなのか。自由があるようで意外に選択肢の少ない
貴族のものたちは、規模の縮小に伴い更なる制約と改革が求め
られる中で、どのような道を歩んでいくのか。
トムがダウントンに戻って来たことでより内容としても複雑に
なってきそうな感じもする。トムはアメリカナイズドされたのか
ちょっと恰幅が・・スーツ姿がパンパンだったような気が(笑)
二つの対象的な流れとしてはロバートの胃痛とアンナの腹痛には
それを象徴するような感じがしてくるし、村の病院に対する考え
方の中にはロバートの病気の問題が関わって初めて改革への
道への決断へと繋がっていくのかなと思っていたけど、この
タイミングは意外と早く訪れたかな。
そして何と言っても詐欺師のピーター・コイルは数々の女性を
犠牲にして泥棒・詐欺稼業を行っているけれど、このドラマの
女性陣に近づく男たちがどれも怪しく写ってくる。最終的に
メアリーとかイーディス辺りがダマされそうになる中で、トーマス
辺りが今回執事として学んだことを発揮して助けたりするオチが
待っているんじゃないだろうかと考えているんだけどどうなるの
かな。
何よりも今回は変化するものと変化しないものの両面としても
興味深いものが有った。
変化の象徴としてはシビルが力添えをしていたあのハーディング
夫人がなんとここのメイドとして働いていたグエンだったこと。
変化しないもの、しなくても良いのではないかということの象徴
としてはカーソン夫人の名前を巡る攻防。みんながみんな
「ヒュー・・あっカーソン夫人」を連呼していたけれど、今まで
通りヒューズさんで良いということになり安堵のため息が漏れた。
そして何よりも変化の歴史に伴い動かぬものの象徴として、
シビルの思い出とかメイソンが家を持った為にここに身を埋める
ことが出来るということで安堵感を得ることになる。
文明が進化していく中でもダウントンが心の拠り所となって、
ここに居たものたちの帰るべき道となってくれたらそれはそれで
良い事だよね。
■それぞれのキャラクター
・長女・メアリー
今回のメアリーはダウントンの領地管理人のトムが戻ったことで
その身をトムに委ねることになりそうだったけど、トムは領地管理
に興味を示しつつも自分のスキルを発揮出来そうな自動車関係の
仕事に心が動いている感じ。
そんな時に現れたのがレディー・シャクルトンの甥のヘンリー。
ヴァイオレットはその家柄を気にしていたけど、シュールズベリー
という伯爵家の家系。ただし後継者になるには40人程死ななければ
ならないようなことを言っていた。
ヘンリーの仕事はレーシングカーレース。
やたらと大きな社交場がロンドンにあるみたいだし、どうすると
そんな景気の良い金回りの仕方をしているんだろうか。
メアリーに近づくヘンリーに恋愛の意図があるのかは謎だけど、
メアリーとしてはまた恋愛ゲームに興じて行きそうな感じ。
そんなアンナの件では随分とお腹が大きくなり新しいメイドが
自宅からの通いなので、ベッドメーキングの仕事はアンナとヒュ
ーズが行っているという。
そんな中でベイツが来た時にメアリーが彼に荷物を馬車まで運ぶ
ように指示した流れはなかなか興味深かったかな。
またシャクルトンがディナーに来た流れでは、病院の統合問題で
話し合う中で、メアリーはヘンリーに対して
「説明は省くわ、よくある村のもめ事よ」
とさらりと立ち回る姿が笑える。
教育問題について話し会う際にメアリーは
「女が習うのはフランス語と偏見とダンスだけ」と。
シビルの件では、バローが結果的にシビルの貴重な思い出を
話すきっかけを作ってくれたことに感謝を示すと共に、シビルが
当時からそんなにも献身的に周りのことを見ていたことで
メアリー自身も
「反省させられたわ。自分はなんて小さい人間ななんだろうと
思い知った」
と気がつく。
そしていよいよアンナが今回腹痛を訴えた。
それを知ったメアリーは深夜にも関わらずヨークシャーを経由
してロンドン行きの列車に乗ってライダー医師の元を尋ねる。
・次女・イーディス
イーディスは久しぶりに自分の立場の方が優位に立ったのか、
メアリーに対して仕事はどうするのかとして冒頭では牽制する
姿が有る。元々トムが領地を受け継ぐハズだったからね。
イーディスは立場的にはロザムンドと似ていることも有って
気が合う感じだね。勿論イーディスの娘マリゴールドの秘密を
知っている人でも有るし色々と世話した人でもあるし互いに
ロンドンに家も持っているし共通点が多い。
ロザムンドを迎えに行く際にはイーディスが車の運転をしていた
のがちょっと衝撃的に写った。
イーディスが運転中に事故に合わないか心配するところが有った
な。
ロザムンドは現在ロンドン郊外にあるヒルクロフトという場所で
貧しくも賢い女性が高等教育を受けられる学校での理事をして
いること。面白そうだというイーディスのことを理事に推薦した
いと告げる。
今回のイーディスはかなり田舎のヤボったさが取れてとても可愛
らしい感じだった。
メアリーがヘンリーとイギリスのカークラブの社交場で会う時に
自分の格好が野暮ったいか心配していたけど(ロザムンドの服を
借りていた)、二人共貴族の娘という感じのオーラが有った。
ディナーの席でヴァイオレット、コーラ、イザベル、ロザムンド
そして今回はヴァイオレットの援軍となるべくしてやってきた
シャクルトン夫人が来る中でヴァイオレットの姿を見たトムは
「相変わらずお元気だ」(Tom)
「あと20歳若ければ”暴君”と呼ばれて居た」(Edith)
イザベルがヴァイオレットよりも正論を語るのに対してヴァイオ
レットは
「あなたは何も分かっていない」(Vio)
「イザベルにも発言の権利はある」(Edith)
「私を言い負かす権利は無いわ」(Vio)
「新しい体制になりヴァイオレットが理事を解任させられないか
心配している」
そしてグエンの件では
「2年も勤めていた人と話しもしないなんて私たち酷い一家だ」
と語る姿が有った。
■病院の統合問題
今回は形勢不利なヴァイオレットがわざわざ村とは関係のない
レディー・シャクルトンを呼んで後押しさせる。
「今回の役目は統合はダメとコーラへの説得では?」(Vio)
「少し違う。私たちが権利を失うことは村にとって不利益に
しかならない」
「どうして?医療は進歩している」(Vio)
「ヨークシャーが実権を握れば村は利益を無視される」
体制派側に対してヴァイオレットの発言は今回も不利で止められ
ない流れにも思える。
ただ最後にヴァイオレットも反論し
「長年体制派側のやり方を見て来た。彼らの論理は決まって
“経費を下げ能率を上げろ”。その結果がどうなるか。
体制側が人々を支配するようになって個人が声を上げられなく
なるの。そのような事態を阻止したいのよ」(Vio)
「伯爵夫人の権力を使って?」(Ros)
「貴族の名家には責任というものがある。自由や特権を守らなく
ては。マグナカルタをジョン王に認めさせたように。」(Vio)
「そんな崇高な思いで敗退していたとはね」(Isa)
「今は1215年じゃないわ。貴族の名家の力も衰える一方よ」
「我々が戦わずして体制に屈したら子孫が悲しむわ」(Vio)
・アンナ
先日の話じゃないけど金持ちならロンドンに行ける。
村に最先端の病院が有ればそうならずに助かる人も居る。
アンナの案件はまさにそれを体現した感じだね。
■強盗犯ピーター・コイル
屋敷で働く女性を使って金を盗ませ、殆どの証拠をその女性に
擦り付けては逃げている。
共犯者にされた女性は2名は娼婦になり、1名は死亡している。
ウィリス巡査部長はその犯人を追いかけており、その過去には
バクスターも被害者であり加害者としての関わりが有った。
そのせいで刑務所に入れられていたことは、トーマスが彼女を
操っていた時に脅しのネタとして利用していたけど、コーラ
には全て話していたわね。
法廷で証言することによってバクスターはどんなことになるのか。
屋敷で働けなくなりそうで怖いけど・・
そして先週の流れではないけど、そんな人物がヴァイオレットの
執事のスプラットの親類であり、彼を匿っていると知った際には
どうなってしまうのか・・
■その他
・ヨーロッパでは自動車レースが盛んに!?
1925年が舞台だけど、この頃から自動車レースが開催されている。
メアリーも言っていたけど、まだこの時代のイギリスはそう資本社会
が浸透している訳では無いので、車の技術力もまだ周辺の大国に
比べると劣っていたのかな。
・発言集
「いいかバロー、カーソンは寛大な男だ。だからみんながついて
来るんだ。いつか役に立つ、その時が訪れたら・・」(Rob)
「辞める時ですよね」(Tomas)
「そんな風に拷問したってジャガイモは口を割らないよ」(Pat)
「証言しないと後悔するぞ」(Mols)
「友達の影に隠れず自分で反論なさったら?」(Ros)
「自分でもさっぱの分からなくなった。何のためか。何のために
ここにいるのか」(Tomas)
「誰にも分からないわ。みんな必死で生きて居るだけ」(Bax)
「あんたには友達がいる。みんなに好かれている。事実だ、
羨ましい」(Tomas)
「貴方は立派よ、人の評価を気にしない。私は恥をさらすのが
怖くてたまらないの。」(Bax)
「あんたは自分が思っているよりも強い。それに俺を誤解して
いる。人の評価は気になる」(Tomas)
「自分の敵は自分ね」(Bax)
■使用された曲
・Downton Abbey The Suite
Written by John Lunn
Performed by Chamber Orchestra Of London
■出演者
ロバート・クローリー (Hugh Bonneville) グランサム伯爵
イーディス・クローリー (Laura Carmichael) 次女
メアリー・クローリー (Michelle Dockery) 長女
コーラ・クローリー (Elizabeth McGovern) 伯爵夫人
バイオレット・クローリー (Maggie Smith) ロバートの母
イザベル・クローリー (Penelope Wilton) マシューの母
トム・ブランソン (Allen Leech) シビルの夫、シビーの父
チャールズ・カーソン (Jim Carter) 執事
ジョン・ベイツ (Brendan Coyle) 従者
アンナ・スミス・ベイツ (Joanne Froggatt) メイド長
デイジー・メイソン (Sophie McShera) 料理人
トーマス・バロウ (Rob James-Collier) 副執事
エルシー・メイ・カーソン(ヒューズ) (Phyllis Logan) メイド長
ベリル・パットモア (Lesley Nicol) 料理長
ジョセフ・モールズリー (Kevin Doyle) 無職->下僕
フィリス・バクスター (Raquel Cassidy) コーラの侍女
ジョージ・クローリー (Oliver Zac Barker) メアリーの息子
マリゴールド (Eva & Karina Samms) イーディスとグレッグソンの娘
シビー・クローリー・ブランソン () シビルとトムの娘
アンディ (Michael Fox) 下僕
ヘンリー・タルボット (Matthew Goode) シャクルトンの甥
ウィリス (Howard Ward) 巡査部長
LADY シャックルトン (Harriet Walter) ヘンリーの叔母
LADY ロザムンド・ペインズウィック (Samantha Bond) ロバートの妹
グウェン・ハーディング (Rose Leslie) 元ダウントンのS1でのメイド、
ジョン・ハーディング (Philip Battley) ヒルクロフト学校財務担当
Dr.ライダー (Richard Teverson) ロンドン・産婦人科医
Mr.メイソン (Paul Copley) デイジーの義理の父
ピーター・コイル
コブ夫人