第12話 弁護人の思惑 Blackout
脚本/
監督/
【ストーリー】
●法廷
陪審員の前でホッブス検事は陪審員の前で、冒頭陳述の締めくく
りに10ヶ月前(2015年1月22日)の殺人事件当夜被告人が犯行を自供
した際の供述書を読む。
「その日は3年目の結婚記念日だった。ディナーに行こうと思い
リサは娘・ミアを彼女は母・ビバリー・ロウ (Alyson Reed)に
預けた。俺は早い時間から飲み始めよっはらった。リサは俺を
怒鳴り始めた。理由は覚えてないがオレはリサをはたいた。リサ
は家を出て行こうとした。オレが押すとリサはウチの2階の手すり
から1階に落ちてしまい頭を床に酷く打ち付けた。すぐに救急車
を呼ぶべきだったがどうしてか自分もよく分からない。オレは
バーへ出かけた。何処のバーかは覚えていない。リサが倒れて
いたまま気づかず帰宅後すぐにソファーで眠り込んでしまった」。
被告人は最初の自供を取り下げた後、この供述を翻した。
「妻が殺害された夜のことについて一切覚えていない。記憶が
そっくり抜け落ちている」。
私はその記憶を取り戻せますというホッブス。
グローブ判事(Ron Marasco)はレイダーに弁護側の冒頭陳述の
ことを聞く。すると傍聴席にいたシャロンは一瞬立ち上がるが
被告側弁護士のジャック・レイダー(Tom Berenger)は陪審員席に
ついて語る。リサ・ソングが殺害された事件は悲劇としか言え
ないこと。依頼人が犯した過ちは決して褒められたものではない。
大人として、男として、そして父親としての資質を披露出来なか
った。更に不甲斐ないことに酒に酔って記憶を失い警察にその
穴埋めまでさせた。我々は警察を責める気は無い。ソングは
ヒーローじゃない。だからあの日妻子の期待に添うことが出来な
かった。肉体の物理的法則を変えることも出来なかった。自分
自身の分子構造の限界を超えることは出来なかった。ソングは
普通の人間だと。弁護側はこの裁判で皆さんに科学的な動かぬ
証拠を提示し、ソングさんの無実を証明します。慈悲を請うつ
もりも、赦しを請うつもりもなく、欲しいのは「正義」ですと。
ホッブスはシャロンに対して審理直前にジャックが判事に言った。
「やっと依頼人の無罪を示す証拠が見つかった」と。だけど証拠
開示手続きは間に合わないと言われたが、何を企んでいるのか
と尋ねる。シャロンはハッタリだと思うけど、ソングは自分で
供述書を書いたのか?と問う。勿論だとホッブス。警察が現場に
駆けつけた時に、彼は血だらけであり意図的か分からないが過失
致死を申し出たらジャックは断ってきて、法廷で会おうと言った
という。
ジャックに対して検事に被告人の無実を裏付ける証拠は?と問
うとすぐに渡せるとし今夜君に届けるよとして、覚え立ての
フランス語を語り去って行く。早く片付きそうだと。
●NYPDオフィス
ケン・ソングと警察のオペレーターとのやりとりを改めて聞く。
(録音)「妻がケガしている。妻を早く助けてくれ。。」
プロベンザは酔っているのではないか?というとホッブスは
朝6時42分の時点で血中アルコール濃度0.12だったこと。
(録音)「何が起きたか話して下さい」「リサが床の上に倒れて
死んでいるみたいだ」。
家の住所とオペレーターからの助言だけがやりとりされ、その後
担当した刑事のベルはソングがバーで酒を飲んでいた
という発言の裏を取ろうとしていたというシャロン。ソングは
店の名前を覚えていないこと。ベル刑事が探していたが捜査開始
の6日後に脳卒中で倒れたという。
プロペンザはいつもの事だろうとして「旦那に決まっている」だ
と。立派な自供も取っているのだろうと。現場は今はどうなって
いるのか?というシャロン。ケン・ソングの両親が所有していると。
弁護士が元夫で私情を絡めてこの事件を再捜査したがっていると
思われたら不本意だというシャロン。プロベンザはバズに
現場で捜査しようという。ベル刑事が見逃した物があるかも知れ
ないこと。ジャックの手柄を阻止出来るなら何でもやろうという
プロベンザ。ダミー人形にも登場願おうと。
●ケンとリサの邸宅
サンチェスが二階からリサ墜落を再現する為にダミー人形を落と
す。下にいたものたちは気をつけろと言うと、今更ながら彼は
落としますよと語る。写真写りの良い家族だと。
モラレスはこの一連の写真を見ても言える?として妻の遺体写真
を見せる。フリンに大丈夫か?と容体を気にする。
この女性よく覚えているというモラレスはベル刑事との最後の仕事
だったのだと。リサは落ちる前平手打ちを喰らいその後頭蓋骨と
頬骨のヒビ、上腕のアザに頬のアザは死の直前のもの。死因は鈍器
損傷による頭蓋血腫。頭から世から落ちたのが原因。ただし即死
ではないこと。活動量計をつけていたので正確な事件列が
分かるという。
・午後7:32脈拍が上昇(ケンカの始まりだ)
・午後7:48を最後に下向きに転じて弱くなり、3時間後息絶えた
という。
サイクスは夫はあそこのソファーの上で熟睡していた。フリンは
靴下にはリサの血がベッタリだった。夫が記念日を自己流で祝い
たいとしたのは間違いだったと。このスーツケースは事件の夜も
あそこに有ったのか?とプロベンザ。被害者は暴力夫から逃げる
為に逃げだそうとしていたのでは?とサンチェス。ブラウスに
靴のかかとらしきものが写っているが識別は不能だという。
仰向けに倒れ手すりにぶかり回転して顔から落ちたのだという
サンチェス。
■事件
妻(リサ)殺しの罪に問われている夫のケン・ソングの裁判が行われ
る。冒頭陳述が述べられて自供し供述書にも自ら妻の殺害を
認めているケンが犯人だと検察側・ホッブスは揺らぎない事実と
して、彼の記憶が無い部分を我々が取り戻せると主張する。
絶対的に不利な状況に有る被告側弁護人のジャック・レイダーは
突然陪審員の前で”肉体の物理的法則を変えることは出来ない”、
“自分自身の分子構造の限界を超えることは出来ない”と意味不明
なことを延べ初めて、みんなに科学的に動かぬ証拠を提示して
無実を証明すると語る。結審が近づく中での突然の弁護側の発言に
虚を突かれる。一体彼は何を考えているのか。
すると彼はリサが殺害された当時にケンがバーで酒を飲んでいる
映像を手に入れていて、二つの場所に人は同時には居られないとい
うことを遠巻きに語っていたことが判明する。
■感想
これまでの形とは違ってなかなか面白かった。
個人的には早い段階で妹の犯行だろうなと思って見て居た。
容疑者だとされたケン役のTim Chiou。目を細めて見るとサッ
カー選手の香川真司さんに見えてくる(笑)
レイダーの元夫のジャックが再登場。
彼は依存症患者だったけど、ギャンブルだっけ?アルコールだっけ?
現場100篇という言葉があるように、現場に行って初めて知ること
は沢山有る。相手に面を付き合わせて話をしないと分からない
事実(雰囲気やリアクション)もあるし、そういう意味ではラスティ
に刑事捜査のようなノウハウをフリンが上手く示唆したところは
良かった。。
しかしダミー人形を使ったやりとりはなかなか上手く行かず・・
完全に「BONES」のホッジンズ博士の実験シリーズとか「CSI」
シリーズの実験となっているな。最近では「NCIS」でも
こういうシーンが多い。
そしてジャックがまた弁護士として実にセコイやり方で「正義」
を求める過程で金を儲けをしようと欲をかいたことで、逆に
手痛い目に有ってしまうという構図が存在する。
昔はジャックとプロベンザは良い関係だったのに、今では最悪の
状況になっているな。
そのプロベンザはフリンに対してもの凄く敏感な反応を示してい
るし、シャロンに対する気配りも忘れていない。
フリンには24時間の看護が必要だという事を受けて、シャロンや
ラスティが居ない間にはプロベンザの彼女のバトリスが付くこと
になった。
■事件捜査
何と言ってもリサが殺害された事件は10ヶ月前のことだ。
何処まで証拠が残っているのか気になる。
しかし映像は何時までも過去の事実を映し出す証拠にもなって
いて、ジャックが提示したアリバイを示すVTRは殺害時に酒を
飲んでいる光景だった。
飲んでいたバーは何処なのか。
写っている動画の中の少ない情報から探り当てて行かねばならな
い。こういうの一つとっても面白い要素。洞察力も求められる。
フリンはポスターに「ストームス対レイナ戦を中継」すると書か
れている為にライセンス登録しているだろうし、カードゲーム
している光景にバズはクイズゲームだという。
ステージ上ではマイクを持ってカラオケする人もいる。
それらの情報を基に検索すると、ウエストLA「バタースイーツ」
という店名が浮かび上がる。
・2015年1月22日に「バタースイーツ」にいたもの
・バーテンダーのジェイク(Jon-Michael Ecker)によると
男(ケン)のことは知らないが女性のことならば覚えているという。
彼女たちはUCLAの学院性でよく連んでいること。
テーブルの上に牛の飾りの付いた大きなグラスが乗っている。
それはバター爆弾と呼ばれる誕生日の子へのサービスでドリンク代
を無料だとのこと。
※UCLAといえば先日のエピでラスティが転入しようとしていた
感じだったけどどうなるんだろうね。
・タオが教務課に連絡を取り1月22日生まれの生徒を調べると
エインズリー・リード(Alisha Wainwright)という心理学の修士
課程を受講中のこと。
エインズリーによるとその日は誕生日だったとしモーガンという
友人が動画を送ってくれたというもの。1週間後にいったらその男
がチラシをくれたこと。チラシを受け取った1月末にメールして
いるという。
またケンという男性は連れの女性と居てその女性が怒って出て
行った後には今度は友達のアリソンに言い寄ってきたこと。
連れの女性について尋ねるとリサの写真を見るがブルネット
だったという。
■中盤
事件当日にケンは謎のブルネットの女性といた。
その女性は明らかにメアリーだった。
散々ケンと揉めつつも実はリサの妹のメアリーと一年間程度
関係を持っていた事を知る。
サイクスとサンチェスが取り調べに当たり、殺された当日に
ケンと一緒にいたこと。更にはケンとの関係が性的なものにも
及ぶのではないかとしていた。
ここで共犯説も出るがメアリーは弁護士を要求したので
バンクス(John Prosky)がやってくる。
メアリーは色々と嘘をついていた。
ホッブスは事件に於いて、裁判に影響を及ぼす可能性が出て来た
為に取り調べは、プロベンザと交代し、いよいよ御大が取り調べ
室に入る。プロベンザが入って来ただけでも結構相手にプレッ
シャーをかけられたように思う。
・二人の関係が思っている以上の間柄であるならば問題はメアリー
とケンが共謀していたのではないかということ。
・また可能性としては誰かを雇って殺させた可能性もある。
・メアリーの知る事実、当日の行動
確かにバーに行ったことは認めた。
しかしリサとケンと別れて欲しかったという。7時半の少し前
にリサの家の前についたが、彼女はケンが結婚記念日の為に
来ると思い外で待っていた。車を降りて玄関の方へいくと足が
すくんだという。リサに全てを打ち明けようとしたら赤ちゃん
の鳴き声がきえたという。
■結末
結果からすると犯人は母親のビバリーだった。
ビバリーはケンが家庭を壊したとしていたけれど、彼は暴力癖
が有ったのだろうか?
生活は豪華な感じだったし、結婚してまだそう経過している
訳でも無いし、何故DVに発展してしまったのだろうか。
ただ赤ちゃんがいたというメアリーの証言は犯人を断定するのに
十分に役に立つものだった。
元々6時半に母親の元に赤ちゃんを預けたとしていたものだったが
それが嘘だったこと。そして何よりもリサのブラウスに足の
かかとの跡がついていたこと。誰かが蹴飛ばしたことは明らかで
冒頭でのダミー人形ではサイクスが蹴り飛ばして見事命中させて
いたけれど、母親が別れようとしない娘から孫と荷物を持ち去ろ
うとしていた。それを止める過程で蹴り飛ばしてしまい落ちて
しまう格好だった。
「娘が落ちてしまったのは事故。しかし娘を置き去りにした
その行為は事故や偶然ではない。娘さんは3時間その後も生きて
いた。」
■その他
・ラスティ、いよいよスライダーと体面。
ラスティは自分の境遇を伝えて親に捨てられ現在では収監中の
身であることも語った。ラスティはスライダーに対して予め
弁護士に面会の約束、インタビューの事を弁護士に質問した
ものを書いて渡していた。
「この社会はいつだってオレが勝てない仕組みだ」
国民としての権利を知らないと損することが多い。
弁護士に伝えたことが何故スライダーに伝わっていないのか。
質問書を紙に書いたところ、なんと彼は文字が読めないことが
判明する。
・悪い事は出来ないジャック
こういう弁護士が居るから益々アメリカの弁護士の悪徳性が
浮かび上がる。自分はアメリカの弁護士というと金儲けの為に
汚い事しかしないという印象しかない。
ジャックは金儲けの為に証拠のVTRの存在をひた隠しにして
サプライズを用意した。本来ならばケンがリサに結婚記念日の
サプライズを用意すべきだろうに・・
ジャックの計算は外れて、意図的に証拠を隠したことで解雇
され、そして賠償訴訟をされるようだ。
・よく分からないが・・
結局赤ちゃんのミアはケンとメアリーとの間の子なのか。
それとも本当にリサとの間の子なのか。
家族でリサだけがブルネットだったけど、父親の髪の毛がブル
ネット系だったのかな。赤ちゃんが成長することでどの髪の毛
になるかで分かった来るものなのか?
・僅かだが仕返し
「あなたが私たちと同じくらい自分の仕事に情熱を注げば
こういったことはならなかった」。
そう初めにジャックが市警や検察に語ったけれど、最後にシャ
ロンがジャックに返した言葉。
しかしジャックは立ち去る前にフリンが重傷で首の頸動脈に血栓
が有り手術の必要性があることが告げられていた。
■使用されている曲
・Major Crimes End Credits Theme
Written by James S. Levine
■出演者
シャロン・レイダー …… FIDから重犯課へ
ルイス・プロペンザ …… ベテラン
アンディ・フリン …… プロペンザの相棒
マイク・タオ …… 分析力
フリオ・サンチェス …… ギャング捜査に強い
バズ・ワトソン …… カメラ
エイミー・サイクス …… 特捜班から異動
ラスティ・ベック …… 母親が失踪中
Dr.フェルナンド・モラレス …… 鑑識
ラッセル・テイラー …… 副本部長
ケンダル …… 検視官
アンドレア・ホッブス …… 地方検事
グローブ …… 判事
ジャクソン・レイダー …… 弁護士
グレッグ・スライダー・ラゼニック …… マリアナ殺害犯?
ビバリー・ロウ …… メアリーとリサの母
メアリー・ロウ …… リサの妹
Mr.バンクス …… メアリーの弁護士
ジェイク …… “バタースイーツ”、バーテンダー
ケン・ソング …… 被告人、夫
エインズリー・リード …… UCLA学生、誕生日
リサ・ソング …… ケンの妻
ミア・ソング …… ケンとリサの娘
ベル刑事 …… 担当刑事、脳梗塞