女王ヴィクトリア2 愛に生きる Victoria 第9話 聖夜の贈りもの(前編) Comfort and Joy

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第9話 聖夜の贈りもの(前編) Comfort and Joy

脚本/Daisy Goodwin
監督/Jim Loach

【STORY】

暴漢による銃撃からピールをかばったドラモンドが命を
落とす。政権維持が無理と判断したピールは首相を辞任
する。宮殿ではヴィッキーが高熱を出し危険な状態に・・
以前からレーゼンに不満を抱いていたアルバートは、
俺かレーゼンかどちらかが出て行くとしてヴィクトリア
に選択を迫りレーゼンに別れを告げる。

◆西アフリカ・ダホメー王国

私が人民をどうしようと自由だというのはダホメー王国
の国王ゲゾ(Derek Ezenagu)。私の人民を買う白人は幾ら
でもいるという。イギリスから派遣されているフォーブス
大佐(Ben Lamb)は、私の仕える白人の女王も強力な君主
だとし怒らせるのは賢明ではないと語る。ゲゾはそれなら
その子を連れて帰れとし協力な君主からの贈り物として
な・・と。

◆バッキンガム宮殿

ヴィクトリアはピアノを弾く。
アルバートはそこにやってくると静かに耳を傾けていた。
全然練習をしないのに上手だねという彼に小さい時に散々
弾いたからねと彼女。一人っ子にとっては沈黙を破る術
だったというヴィクトリア。アルバートは選曲はちょっと
難が有るとしもっと季節感が欲しいという。
「Christmas Carol」を頼むというと大好きな時期が来た
というアルバート。
「柊と蔦は共に茂り、森の中で頂く柊の冠」
と歌うヴィクトリア。

◆イギリス・ハンプシャー州

西アフリカ・ダホメー王国から大佐が連れて来た黒人の
子・サラ(Zaris-Angel Hator)にピアノを教えるフォーブ
ス夫人(Catherine Steadman)。ここまで馴染んでくれる
とはと喜び、この家もまた子供がいるようになってすっ
かり明るくなったという夫人。

◆バッキンガム宮殿

アルバートはクリスマスの宮殿内の装飾を指示する。
特にクリスマスツリーの位置、プレゼント置き場は重要。
真ん中には一番大きなツリーをぶら下げるという。設置
は伝統にならいクリスマスイヴに行うという。
「もみの木もみの木、不変の緑」と口ずさむアルバート。
ヴィクトリアにツリーを飾るきっかけって知って居るか
を尋ねる。その場に居たペンジにも同様の質問を投げかけ
る。

「神学者のマルティンルターが夜の森で冬の星が梢の
合間にキラキラ輝いているのを見て思いついた。家の中に
木を1本しつらえてロウソクで飾り付けよう。子供たちが
それを見上げてキリスト誕生を知らせる・・ベツレヘムの
星に思いを巡らすことが出来るように・・」と。今年は
ウチの子たちもそれを経験するとアルバート。こんなに
良い父親がいて子供たちも幸せねとヴィクトリア。

◆使用人部屋

ペンジはクリスマスを外国流に祝うことに不満だと
フランカテリたちに告げる。部屋に何本もツリーを入れる
なんてクリスチャンらしくないと。
従僕がペンジに手紙を運んで来る。
俺が子供の頃は枝飾りと祝い酒だけだったとペンジ。
フランカテリは一番大事なのを忘れているというと、
スケレットはクリスマスプディングか?と問う。フラン
カテリはそれを否定すると宿り木だという。

そんな中ペンジの元に届いた手紙にはノーザン鉄道と
いう会社間株式を買う申請が通ったという。この分だと
これが宮殿での最後のクリスマスだというペンジ。来年は
自分の屋敷でゆっくりガチョウの丸焼きを食べてるだろう
と。鉄道貴族になるのか?とフランカテリ。時代の波だと
し資本が線路と共に全国に広がり貴せんの区別なく反映
をもたらしている。現状が満足ならば良いが俺は逆転を
狙っているというペンジ。しがない使い走りから始まり
晩年には紳士階級の仲間入りだというペンジ。

バクルー公爵夫人はロシア皇帝から木箱6箱分のチョウ
ザメ、フランスのルイ・フィリップ国王からは陛下がウー
城を訪問された階の水彩画の連作。両シチリア王国の
国王夫妻からまマデイラを。フォーブス大佐からはダホ
メーのゲゾ国王から贈り物を預かってきたという手紙だ
という。ヴィクトリアは象の赤ちゃんだろうとして宮殿
に運ばせるように伝えてと語る。

■Impression

クリスマスの日が近づく中、宮殿でも伝統に則って
クリスマスを祝おうとする。特にクリスマス番長として
乗り出すのはドイツ系のアルバート殿下。

クリスマスツリー選びにプレゼント選び・・

夫婦それぞれの幼少期の思い出に違いが有り、どうにも
ちぐはぐなクリスマスを迎えることになる。

やはり自分抜きで話が進んでいくのをアルバートは快く
思っていないらしく、その辺の不満が夫婦間で吐露された。
そしてヴィクトリアの中でも自分の幼少期のことをよく
知って居るレーゼンが一番の家族であり母親以上の存在
なのにそれを失ったことで「クリスマス」=「家族」と
いう構図がむなしいものであることを感じている。

皮肉なものだけど、7月4日はアメリカの独立記念日であり
このドラマの放送したのは7月7日だけど意外とタイムリー
なネタではある。イギリスを始めとして世界各国がアメ
リカに入植・植民地にしてその統治から逃れたのを記念
したものである。

今回取り分け目立ったのは「資本主義」と「奴隷貿易」
に対する言及でしょうか。

下克上の如く使用人長のペンジが一攫千金を狙う所は
「ダウントン・アビー / Downton Abbey」のトーマス・
バローを感じさせるね。ペンジも意地悪な人だけど・・
確かヴィクトリアが辞任したピールを「未来」と称して
採用・支持したのは鉄道に目を付けていたからだったよな。

またヴィクトリアは妊娠しておりこのシーズンだけで
4人目の妊娠をしている。

史実では
・ヴィッキー(1840年生まれ)
・バーティ(1841年生まれ)
・アリス(1843年生まれ)、
・アルフレッド(1844年生まれ) <--妊娠中 となっているので現在43年から44年になろうとしている ところか。9人も子供を授かることになるのでもの凄い 大所帯になりそうだね。 サラというアフリカの奴隷の子が一時的にやってきたけど かなり不透明なものとして存在していきそうだ。

■時代の変化

今回は比較的歌が多かったな。演出家はそういう趣味なの
かも知れない。ヴィクトリア、アルバートが共に美声を
発していたしオペラ鑑賞にも行っていた。

オペラ鑑賞はまさに貴族にとっては出会いや色んな色恋
沙汰に於ける探り合い、また色んな意味で力の誇示が
行われたりして、一部では情報戦のような様相を呈してい
る。

またちょっと驚いたのは髪の毛を垂らした格好でいること
にいかがわしさを感じる時代
だったということ。ヴィクトリアの
オカンのケント公妃はそう言っていたよね。

・恋愛、パートナー、役割

エルンストは実に難しい立場に追い込まれた。
感染症にかかっている状況の中、レオポルドイチオシの
ゲルトルート公女がやってくる。欧州をドイツ帝国にした
いと考えるレオポルドは各国の王室に自分の血筋を残して
いる格好だ。ウィレミーナは諦めただろうがハリエット
との関係に於いては難しい状況となっている。

オペラ鑑賞にいけとレオポルドから言われるも寝ている
エルンストの部屋に水銀の粉が落ちているのを知って
「哀れな兄上に似てしまったようだ」
と語る。
この状況で結婚とか妊娠よりも本人の命の方が危険では
ないのか?

哀れだとされるのはウィレミーナも同じだ。バクルー公爵夫人
はアルフレッドとの結婚を勧めるが、彼が同性愛者だという
ことを知って居る。ただオペラ鑑賞で涙しているアルフレッド
にハンカチを渡して良い感じの関係にはなっていたね。

■政治

贈り物とするにはアレなんだけど、フレデリック・
フォーブス大佐が連れてきたサラ。元々は奴隷となり
そうになっていた人物で大佐は連れて帰る手前、
ダホメ王国の国王ゲゾからの贈り物として連れてきた。

この奴隷に関しては突如舞い込んで来たスケレットの
流れにも精通している。
突然サミュエル・ハーカーなる人物がスケレットの叔父
に居る事が分かりアメリカで事業をして大儲けしていた
という。弁護士・フリッチから「19日の正午に事務所に
来て欲しい」との手紙が届き、そこで発覚した。
ただし儲けたのは奴隷貿易によるもので、資産は人間で
ある。売りに出せばアメリカ5万ドル/イギリス1万ポンド。
奴隷市場は年4回で人間20人を抱えている。

■その他

・鉄道株

ペンジが購入していた。
「リーズ・サークス鉄道」。線路はペナイン山脈を貫いて
伸びているとしていたが、ブロディーはサークスが何処か
知らないという。鉄道開設で注目の土地だとするが本当
に存在するのか。ヨークシャー地方にサークスはある
みたいだけど・・

・雪が降るクリスマス

みんなで森の池にスケートに行っていた。
サラはアフリカ/(現在のナイジェリア?)の出身なので
雪は見た事が無いのだろう。

ようやくクレジットでもヴィッキーだけでなくバーティ
とかアリスの役名も出て来た。

・カンバーランド/ハノーバー国王

ヴィクトリアの叔父さん。ヴィクトリアの誕生石はエメ
ラルド(生年月日は1819年5月24日)だとしていた。

カンバーランド伯父さんはヴィクトリアが身につけていた
高価なネックレスを狙ってやってくる。
ヴィクトリアは自分が母親から譲り受けたものだとして
いたが遺言(ヴィクトリアの祖母が書いた)には
「私の私有財産は男子の相続人に引き継がせる」
とある。
ただ反論として
「実際に持っている方に九分の勝ち目がある」
とヴィクトリアは語っていた。

その事を相談するとアルバートは正しければ返した方が
良いと語る。

幼い頃のヴィクトリアがどういう扱いを受けてきたのか
知らないアルバートの軽率な発言。しかしアルバートの
事情をヴィクトリアが考えて居るかどうかということも
分からないからね。

そんなヴィクトリアを慰めたのはサラだった。

サラはやはりフォーブス家で育てられることになるのか
なぁ。

■Used songs

・The Holly and the Ivy by Jenna Coleman
・Jamaica
From John Playford’s The English Dancing Master, 4th edition 1670
・Cuckolds All A Row
From John Playford’s ‘The English Dancing Master’, First Edition (1651)
・Portsmouth
From John Playford’s ‘The English Dancing Master’, Eleventh Edition (1701)
・O Tannenbaum by Tom Hughes
・Silent Night
Music by Franz Xaver Gruber
English Lyrics by John Freeman Young
Hummed by Nell Hudson

■Cast

アレクサンドリーナ・ヴィクトリア (Jenna Coleman) ハノーバー朝の第6代女王
アルバート王 (Tom Hughes) レオポルトの息子、弟
ルイーゼ・レーゼン (Daniela Holtz) 家庭教師から
ケント公妃 (Catherine Flemming) ヴィクトリアの母、ドイツ人
LADY エマ・ポートマン (Anna Wilson-Jones) 顔が広い夫人・女官
ハリエット (Margaret Clunie) サザーランド公爵夫人、ホイッグ党
ウェリントン公爵 (Peter Bowles) トーリー党員、ハノーバーの王様

コーネリアス・ペンジ (Adrian Schiller) 王宮の使用人長
バクルー公爵夫人 (Diana Rigg) 女官長
ウィレミーナ・コーク (Bebe Cave) バクルーの姪
スケレット(ナンシー) (Nell Hudson) 王宮の衣装係長
ブロディー (Tommy Knight) 王宮の使用人
Lord アルフレッド・パジェット (Jordan Waller) 馬車でヴィクトリアに
コーブルグ大公公爵(エルンスト) (David Oakes) アルバートの兄

レオポルド王 (Alex Jennings) ベルギーの王様、ヴィクトリアの叔父
サラ (Zaris-Angel Hator) エグバド族の子、奴隷として売られそうだった
ゲゾ王 (Derek Ezenagu) ダホメー王国・国王
(Leon Stewart) 通訳
フレデリック・フォーブス大佐 (Ben Lamb) イギリス海軍大佐
Mrs.フォーブス (Catherine Steadman) 大佐の妻、サラ
ゲルトルート公女 (Nina Pavlovic) メクレンブルク=シュトレーリッツ
ヴィッキー王女 (Hallie Woodhall) 娘、ヴィクトリア&アルバート
アリス王女 (Bessie-Rose Bell) 娘、ヴィクトリア&アルバート
バーティ(Mac Jackson) 息子、ヴィクトリア&アルバート
ウィンターハルター (Oliver Walker) 絵描き
(Grant Gillespie) 宝石商
フリッチ (Andy de la Tour) リンカーンズ・インの弁護士
ハノーバーの王 (Peter Firth) “カンバーランド叔父さん”
シンデレラ (Fiona Finsbury) イタリアンオペラ
王子 (Sebastian Maclaine) イタリアンオペラ
フェリックス・メンデルソーン (Michael Baral)
(Antony Barlow) 紳士
(Anne Bryson) 邪悪なまま姉妹

イライザ・スケレット (Samantha Colley) スケレットの子を育てる、秘密を知る
クリアリー (Tilly Steele) 衣装係助手
フランカテリ (Ferdinand Kingsley) 厨房係

サミュエル・ハーカー スケレットの叔父

イオス 犬 / ドイツより
アイラ 犬 / ヴィクトリアの愛犬

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