第3話 別れのワルツ Warp and Weft
脚本/Daisy Goodwin
監督/Geoffrey Sax
【STORY】
数学者レディ・ラブレスに嫉妬心を抱いたヴィクトリアは
二人目を妊娠したことをアルバートに伝えそびれる。
ヴィクトリアはアルバートに彼女に遭っているのは数学の
為だけじゃないと気づかないのかと問う。メルバーン卿の
助言に支えられてヴィクトリアはラブレスと直接話、
彼女も「仕事」「子育て」の両立に悩む女性であることを
知る。素直な気持ちを伝え合ったヴィクトリアとアルバート
はより愛を深め合っていく。
◆バッキンガム宮殿
ピール首相とドラモンドたちの前に少年・ジョーン
ズ(Tommy Rodger)が連れて来られる。ピールはクーム
(Gavin Marshall)が頭を調べているのを受けて説明を
求める。ここに凹みがあり因果性を理解する場所だという。
自分の行動がどんな結果を招くのか分かって居ないのかも
知れないという。どうやって宮殿に入ったのか?という
ドラモンドに対してジョーンズはそれを言ったら二度と
宮殿に入れなくなるという。
・アルバートとヴィクトリア
薬剤師の使いっ走りがフラっと宮殿に入ってくるなんて・・
とアルバート。ネコのように塀を乗り越えてきたのでは
ないかという。ヴィクトリアは女王をひと目見たかった
というネコの物語は童謡にもあるというが、アルバート
は深刻だという。刃物でも持っていたらどうしたのか。
寝ている所に侵入されたら刺されていたかも知れないと。
ヴィッキーの身に何か有ったら・・というアルバートに
対してまだ相手は子供で私でさえ取り押さえられるという
ヴィクトリア。ここの管理は滅茶苦茶だとしそこら中が
蜘蛛の巣だらけで、下水管は汚れきっている上に穴だらけ
だというアルバート。そんな気になるなら自分で何とか
すれば?というヴィクトリア。アルバートはその言葉を聞い
て改めて問う。それは宮殿の管理体制を僕が改めて良いと
言う事なのか?と。ヴィクトリアはジャッキーに対して
お父様の実力を見せてもらおうと語る。
◆プロケット・ホール
メル卿はロンドンから来た医者(Howard Corlett)に鎮痛剤
の抱水クロラール/Chloral Hydrateを打ってもらう。
地元の医者からはサジを投げられたとしてロンドンから来て
くれたことを感謝するメル卿。医者は左半身の脱力は憂慮
すべき症状で休養すること。そして嗜好品は控えてと語る。
随分と酷な治療法だというが、予断を許されないもの
でゆっくりと進む場合もあるが急激に悪化することもある
という。医者としては身辺整理を勧めると言われる。
◆
ヴィクトリアはエマに相談する。
メル卿からの手紙の返事が来なくなったことは変だという
もの。するとポートマン夫人もまた音沙汰がないという。
エマに対して遭いに行って様子見してきてくれないかと
いうヴィクトリア。
・アルバートとレーゼンはペンジの元にいく。
使用人を監督しているのはペンジさんだろうとし、どう
してこの宮殿の窓硝子は全く掃除されていないのか?と問う。
アナタには汚れているように見えるだろうが汚れているの
は外側だけで、外側は森林管理官の管轄なんだという。
うっかり掃除し忘れたのではないかと。内側は私の管轄なの
でピカピカだろうと。
・バクルー公爵夫人とウィレミーナが王室へ。
普段よりも陳述書が沢山来ているという。中には謁見願い
を出して居るものも・・しかしヴィクトリアは愛犬の
“ダッシュ”が元気がないことに気がつき鼻が乾いていること
を語る。スケレットに診てもらうというヴィクトリア。
バスクーム(Jacob Krichefski)さんや他のものにも御不例
の旨を伝えておくという。バスクームとは誰かと問うと、
ウェディングドレスの織手だというスケレット。2人の
モノグラムを織り込んでくれた人ねと思い出したヴィクト
リアは素晴らしいものだったという。バスクームさんを
呼んでくれという。
そしてスケレットに”ダッシュ”には大好物のトリレバーを
食べさせてと語る。
アルバートは無駄遣いが目に余ると語り、宮中が管理されて
いるのかと問う。ブロディーは仕方が無いとし王室の使用人
は給金があまり良くないんだと語る。でも名誉ある仕事で
役得もあるから務めているとのこと。厨房にいると茶柄を
もらえるなど・・それはどういう目的なのかと問われると
茶葉を売るのだとしまだ十分に出るからだという。
◆プロケット・ホール
ポートマン夫人は陛下から手紙を言づかって来たとメル卿
にいう。メル卿は前もって言ってくれたらお持てなしの
準備をしたのに・・と語る。しかし前もって言ったら理由
をつけて断ったのではないか?と語る。それは確かに否定
出来ないとし世捨て人のようになっていることを語る。
陛下は返事が来ない理由を知りたがっているという。
■Impression
正直あんまり面白いと思って見て居ないので
「ルシファー」の方の更新をしたいのだが・・
このドラマを見て居るとヴィクトリアという人物が実に
分からなくなるようなキャラクターで、元々彼女は箱の中
/ケンジントン宮殿で育った人物なのであまりに世間を
知らなすぎるところが有る。かと言って旧態形式
ばかりを重んじる訳でも無く、バクルー公爵夫人のことは
その象徴として扱い、格式を守りつつも女権の向上の為
に努力はしているのだろうし庶民のことを全く考えて
居ないだけではない。ただ無知なだけなのだ。メル卿は
彼女の直感に従う決定力を買っていたけれど、よく考える
とそれが本当に良い事なのか正しい事なのかは謎だ。
そしてアルバートは未来を考えてヴィクトリアとは違う
長期的視点を持っているが、イギリスではない外国からの
国王故になかなか認められることなく粛々と認められる
為の努力をしている。
舞踏会は結果として見ると悪くもなく良くもなかったけど
現実を知る上では必要な過程の一つではあった。
アルバートは今回バッキンガム宮殿の改革に関することを
任されたけど、決定権はヴィクトリアにあり、その壁を
なかなか突き破ることは難しかった。
しかしそういった流れが今回を通して全て取っ払られそう
な流れであり、色んな意味で別れと時代の変遷を感じさせ
るエピソードではあった。
そしてカゴの鳥などに見る流れを見ると今回のテーマ性を
見せられた感じにはなる。
■色々と悩ませること
・国内の不況と上流社会の腐敗
イギリスに限らず昔は何処も汚水処理とか生活用水などの
事を考えれば汚かったのだろうけど、ダウントンアビーの
執事・カーソンに比べて、この宮殿の使用人監督のペンジ
は底意地が悪く、自己中心的でどうにも宮殿での仕事に誇り
を持っていない。それ故に大して使用人の仕事を厳しく
チェックすることもなければ、その辺の事情はあまり細か
くは扱っていない。
イギリスを紳士の国だと言ったのは誰なのか。
ただ宮殿もそう潤っている訳では無いがそれでも庶民に
比べて贅沢三昧をしていることだけは確かだろう。
宮殿では廃棄されるものが庶民の生活の中ではまだまだ
リサイクルしていて使えるものばかり。
茶葉の話が出ていたが、それだけでなく色々と経費と
称して誤魔化しては横領している現状も明らかになって行く。
・宮殿の警備状況
今の所、大した問題は無い。ジョーンズという少年が紛れ
込んだことでアルバートは危機感を覚えたが肝心のヴィク
トリアはまるで危機感がない。
・士気の低下
宮殿内の給金は相当低いらしく、そのせいでスタッフたちの
士気も下がっているらしい。国民も同様で安い輸入品と
国内産業のどちらを守るべきなのか。
庶民もまた不況により民衆の不満が溜まっている。そんな
中で行われようとしている舞踏会。
チャーティストたちが署名を求めて行動を起こそうとして
いた。
■産業革命・近代化
・文化面
今回はイギリスの伝統のスピタルフィールズの織物職人を
守る為に努力しようとする。
大陸から輸入される絹織物との違いを例に挙げて何とか
保護して欲しいと嘆願して来た。
その為に取った策は、王室や貴族は彼らの作る絹織物を
使うと宣伝することで売れると考えたみたいだが、庶民が
そう簡単に手に出来る状況ではないことは確かなようだ。
「社交界の中心におられる陛下がスピタルフィールズの
絹織物しかお召しにならないと知れ渡れば・・世間の
注目が集められる。」
そこで舞踏会を催すことになるが・・
・穀物法
色々と貿易に関しては難しい。絹織物職人を守らなければ
伝統は続かないし、政府としては穀物法などを適用して
易い輸入品に関税を掛けて全ての産業を保護することは
出来ないことを語っていた。農民を守っているという
ヴィクトリア。
・南京条約
ヴィクトリアとアルバートが会話している際に二人の兵士
が箱を持ってくる。その際に彼は南京条約についての
概要を読んでいた。
※1842年、阿片戦争を終結させるため、清とイギリスの間
で結ばれた講和条約。(wikipediaより)
・舞踏会での変装
ピール首相はこの状況下で舞踏会をするのは反対の立場。
当然国会では大荒れすることは必至だろうしね。
仮装舞踏会をすることになる。
テーマ/コンセプトに関しては色々と見学して中世という
ことになった。ガーター勲章の産みの親のエドワード三世
とその王妃だったフィリッパ・オブ・エノーの時代のこと
が引き合いに出された。アソコには棺が祀られている場所
だったのか?
エドワード三世はカレーの街を包囲した際に街全体を破壊
することはせずに市民を代表するモノと6メイの投降を求め
たが、処刑するつもりが妻フィリッパはお腹の子に免じて
助けようと嘆願し思いとどまったという逸話がある。
アルバートはヴィクトリアから王冠をプレゼントされてい
た。プレゼントが届いた時のやりとりはちょっぴりホッと
させられる一息だっただった。
メルバーン卿はダンテになるという。
天国へ向かうダンテ。それを聞いてポートマン夫人も
気がついたのかな・・彼の病気のこと。長くはないであろ
うこと。
エルンストは東側の翼廊にいてステンドガラスを見て居た。
ウィレミーナからのアイデアでロビンフッドを引き合いに
出す。「シャーウッドの森に仲間と住んでいて盗賊で弓の
名手」それを聞いて決めたようだ。
ポートマン夫人は女子修道院長に扮することに。
■別れの連続
・メルバーン卿
何かの病気みたいだったけど鎮痛剤を使っていることだけ
は確かだった。そして酒を飲んでその痛みと闘っている
のかな。
メルバーン卿のことに関しては最初にポートマンが悟り、
そしてアルバートが最後の国会議事堂建設の是非の流れの
中で彼と出会ったことでその事実を知った。
その後アルバートはヴィクトリアに話すかどうか気になって
いたけど、結局事実を知っても言わないのが彼の為だと
していた。彼女は全てを悟ったように最後の贈り物として
オルゴールの鳥をプレゼントした。
一寸前にエマは妹の出産後の世話という名目でメル卿の
元に行ったよね
この辺はヴィクトリアも察していたようだったけど
そんなに急に亡くなるとは思っていたのかな。
・犬のダッシュ
ヴィクトリアが戻って来たら動かなくなっていた。既に
寿命だったのかな。お墓を作っていた。
しかしヴィクトリアはまだメル卿のことは知らないよな。
■その他
・イライザ
スケレットをナンシーだと知って居る人物。彼女は王妃が
妊娠して服を仕立て直していることを利用して絹をイライザ
に渡していた。イライザについてはかなり危険な人物でも
ある。
「ひもじさを分かって居ない。通りでパイを食べていたら
子供は小鳥みたいに食べかすに群がる。」
・国会
ブライト議員(Phil Rowson)がこの時期に舞踏会なんて
とんでもないと主張していた。なんといっても衣装代だけ
で64000ポンドかかる。何百万人もの国民をこれ以上
植えさせておくことは出来ない。贅沢三昧が出来るのは
人間性が欠けているからだというのだった。
・舞踏会その後に・・
アルバートはピール首相の忠告を聞いていれば良かったと
語る。また王室費用の横領を帳簿から見つけてレーゼンと
共にペンジを問い詰めた。
「殿下は核心を突かれました」
また舞踏会ではエルンストがハリエットの影を追っている
のをウィレミーナが静かに見守っていた。
その後エルンストとハリエットは踊ることになるがそれが
最後となる。エルンストも舞踏会後にコーブルクに帰る
事を告げ、彼女にショパンの譜面をプレゼントしていたよう
だった。
舞踏会の時に外壁のところで民衆が王室に文句を言っている
光景を目にしたヴィクトリア。
そして舞踏会後の会場には食べ残しが沢山。それを
・ウェストミンスターホール宮殿・国会議事堂
テムズ川の先に有った宮殿が国会議事堂になるという
ことで資金集めが必要であると共にそこの天井の芸術的
建造物にメル卿も最後の視線を投げかけていた。
議事堂の再建をアルバートがしていきそうだ。
「党派を越えた存在が必要。確かなのは審美眼を持ち
この国の政治の中枢に相応しい建物を形作れる人物。」
・ゲイ疑惑?
ドラモンドともう一人はアルバートだったのかな。
なんとなく視線とか会話が怪しい感じがした。
■Used songs
■Cast
アレクサンドリーナ・ヴィクトリア (Jenna Coleman) ハノーバー朝の第6代女王
アルバート王 (Tom Hughes) レオポルトの息子、弟
ルイーゼ・レーゼン (Daniela Holtz) 家庭教師から
ケント公妃 (Catherine Flemming) ヴィクトリアの母、ドイツ人
LADY エマ・ポートマン (Anna Wilson-Jones) 顔が広い夫人・女官
ハリエット (Margaret Clunie) サザーランド公爵夫人、ホイッグ党
ウェリントン公爵 (Peter Bowles) トーリー党員、ハノーバーの王様
Sirロバート・ピール (Nigel Lindsay) 首相、トーリー党員
ドラモンド (Leo Suter) ピール首相の秘書官
(Jasper Jacob) 宮内長官
ペンジ (Adrian Schiller) 王宮の使用人長
バクルー公爵夫人 (Diana Rigg) 女官長
ウィレミーナ・コーク (Bebe Cave) バクルーの姪
スケレット(ナンシー) (Nell Hudson) 王宮の衣装係長
アーチボルド・ブロディ (Tommy Knight) 王宮の使用人
Lord アルフレッド・パジェット (Jordan Waller) 馬車でヴィクトリアに
エルンスト王子 (David Oakes) 長男、アルバートの兄、ハノーファー
ジョージ・クーム (Gavin Marshall) ジョーンズを診る医者
メルバーン卿 (Rufus Sewell) 引退した前首相
ジョーンズ (Tommy Rodger) 少年、薬剤師の使い走り
(Howard Corlett) ロンドンの医者
バスクーム (Jacob Krichefski) スピタルフィールズの絹織職人
ジェームズ・プランシェ (Nick Waring) 過去の王妃・王様の施設を見学
イライザ (Samantha Colley) スケレットの子を育てる、秘密を知る
ジョン・ブライト (Phil Rowson) 議員
サザーランド公爵 (Tom Price) ハリエットと舞踏会へ
クリアリー (Tilly Steele) 衣装係助手
ハンター (Michael Parkhouse) メルバーンの従者
ナサニエル (Jonny Knowles) バスクームの息子
ダッシュ 犬