第15話 ファミリーカー The Car
脚本/Isaac Aptaker
Elizabeth Berger
監督/Ken Olin
【STORY】
ピアソン家で火災が発生する。ケヴィンはソフィーの元
にいる。ジャックはみんなを助けた後に再び家の中に
戻って飼い犬のルイと思い出の品を取りに戻る。
しかしその過程で煙を大量に吸った為に病院で心停止を
起こして帰らぬ人となる。ケヴィンは父さんの木の所で
父さんと話した事を告げ、あの時の母さんはこんなに
強かったことが始めて分かったと語る。
【STORY】
・昔 / 子供たち17歳
レベッカは葬式の日に車に乗って子供たちが出てくる
のを待っていた。手にはThe Bruce Springsteenのチケッ
ト。センターコンソールボックスには数日前まで
ジャックが居た事を示すコーヒーのカップが置かれていた。
・大昔 / 子供たち8歳
ピアソン家は全員で自動車販売店”Daug Henly Automotive”
にいく。子供たちは自分達の欲しい車を語り騒ぐ中、
ジャックは店の中ではどうするのだっけ?とこれまでの
教えを思い出させる。レベッカは子守に預けるべきだっ
たと嘆くがジャックは寧ろあの子たちを使う為に連れて
来たのだという。値切る作戦?あなたってワルねとレベッ
カ。すると店の奥からメル・ブキャナン (Mark Proksch)
がやってきて車のセールストークをする。クライスラー
製のJeep Grand Wagoneerを売ろうとするビルだが、
このワゴンは高いとして語る。ウチには3人の子がいて
金がかかるとし、輝く車ではなく壊れないで手頃で安全
なものが欲しい事を告げる。すると中古車に案内される
がジャックは子供たちがジープに乗り込んで楽しそうに
しているのを見て、ビルと二人で話したいと語る。
・昔 / 子供たち17歳
子供たちは喪服でやってくる。葬式は2時からでしょと
ケイト。レベッカは急ぎたいから乗ってと語る。
・大昔 / 子供たち8歳
ジャックはジープを購入したことをレベッカに告げる。
買える訳ないというレベッカだが負けてもらったこと。
予定よりは高かったが・・と。何て交渉したのか?と問う
がジャックは曖昧な返事をする。みんなに伝えてくれと
しパパがワゴンを買ったと。
そのワゴンを使ってみんなで始めてのコンサートに行く。
ランダルはアル・ヤンコビックのサインをもらえるかと
問う。そんな中目の前には橋がかかっていた。
レベッカは橋が苦手で壊れそうで怖いという。いつも
渡る時には目をつぶっていた。マイケル・ジャクソンの
パロディ歌手のコンサートに行く途中で死ぬなんて・・
というレベッカに安心させようとするが、更に運が悪い
ことに橋は工事で一車線通行となっていた。
レベッカは自分でもばからしいと思っているが目は開け
られないと語る。ジャックはみんなに静かにするよう告
げる。ランダルは気が紛れるように橋を怖がることを
何と言うか知って居るかと問う。「渡橋恐怖症」だと
し全部の恐怖症の名称を言えるのだという。ケヴィンは
ヤンコビックの歌の中でお気に入りの曲を歌う。
「ラザニアは如何?美味しいよ。スパゲッティも・・。
料理が出来たのに何処に行くの?困った子だね」。
ジャックまで一緒に歌っていた為にレベッカは笑う中、
車はいつの間にか動いて橋を渡りきる。
・昔 / 子供たち17歳
ワゴン車に乗る一行だが急ぐ必要は有ったのかと問う。
ケヴィンは服もまともに着ていないと告げる。特にネク
タイを付けられずにいた為にランダルは後で手伝うと
語る。ケイトはルイをケージに入れるのを忘れた・・
カーペットにおしっこするかもしれないというが、
レベッカは無気力なまでに、「させておけば良い」と
語る。ケイトはもうあの子を飼いたくないと告げる。
ケヴィンはネクタイを触りながらかつてジャックがネク
タイの閉め方を教えてもらったことを思い出す。
・大昔
Bethel Park総合病院。
ジャックはレベッカが検査を受けて落ち込んでいることを
うけて2、3時間後にはMRIの結果が出て電話が来るし
何でも無いと励ます。しかしレベッカは今週ずっと目眩が
していてこのような状態は始めてだという。ジャックは
耳の調子が悪いだけというが脳腫瘍の可能性を見たのだと
いう彼女。そんな彼女にジャックは「一番好きな木」に
レベッカを連れていく。
■Impression
見てから時間が経過してしまったので記憶違いの所は
済みません。
人間って愛する人が亡くなった瞬間は悲しみとかよく
分からず、少しずつ相手が居なくなった影を見ている
ウチに悲しみが深まるというよね。
急速に悲しみと恐怖心が押し寄せると人は脳神経の伝達が
停止して気絶してしまったり、ドーパミンとノルアドレ
ナリンの神経伝達物質のバランス不均衡を起こして
パニック障害のように息が出来なくなったり目眩を起こ
したりする。
今回の展開を見るとまず一つは家族の象徴である「家」
と「車」という象徴の中でも、先日「家」を失ったので
今回は「車」を通して家族の象徴を奪うと共にこれまで
のピアソン家のこれまで当たり前のように存在していた
ジャックという「主」を失ったことへの喪失感を描いた。
人間は亡くなる時に走馬燈のように・・というけど
まさに生きて居るものがジャックという人間の過去の言動
を通して弔いに対して彼の偉大さを示すものがある。
だから葬式自体はそれ程大きい扱いではなく、寧ろ
それぞれの心に秘めているジャックとの一対一の思い出
を享受したことこそ、一番の葬式での言葉となった。
そして「ジャックの好きな木」というものが何かについて
は言及が無かったので今回はそれを説明した格好だった。
■今と昔
ドラマでは現在のエピソードは進まず、ジャックが死亡
したときのことを際立たせる為に更にそれ以前の過去に
遡って描いて見せた。ストーリーを書いた時に「昔」と
「大昔」と書いたけど、大昔は子供が7歳とか10歳の頃。
そして昔は基本的に葬式の時ということになる。
・ジャックの偉大さ
人は怖さや自分の弱さを知って居るとそれを克服するため
に努力する。ジャックは見た目は何でもこなしてしまって
いたが、実際には心配性で当時出産時に赤ちゃんを引き
揚げてくれた
■問題点のいくつか
・ケイトの苦しみ
彼女は自分のせいで父を死なせたと思っている。
その為その原因ともなった飼い犬のルイをもう飼いたく
ないと言い出す始末。そんなケイトに対してレベッカは
目を反らさずに向き合うように告げていた。
もちろん皮肉なのは過去のエピソードの中で目を反らして
いたのはレベッカの方だということ。その辺はレベッカの
方で言及する。
ケイトは過去の父親の思い出として、音楽性の違いを
見せる。ジャックは取り分けケイトに優しいとされて
いたけど、ケイトが崇拝しているAlanis Morissetteが
地元ピッツバーグの「ジュリーズ」に来るということで
学校をサボッてサインをもらいにいくというシーンを
描いた。
やはりアメリカでも世代の違いというのはあるようで、
ジャックはBruce Springsteen、ケイトはAlanis Morissette
をイチオシ。ジャックはAlanisの曲を聴いて「文句を言っ
いるみたいな音楽」としていた。
ケイトはブルースの曲を聴いてありきたりだと語る。
それでもケイトは二人の歌手に共通していること、それは
「歌で自分の物語を伝えてる。聞く人が共感出来る。
欠片は親友のようであるのと同時に聞く人自身でもある」
としていた。
ジャックは歌の道を勧めるが音楽の仕事で成功するのは
0.2%だとする中、彼は「俺が見た記事では何%が成功した
かと統計に捕らわれる人は100%成功しない」(Jack)
・ランダルの苦しみ
ランダルはなんでも上手くこなす。ネクタイの締め方は
ケヴィンはつい先日父親から習ったけれど、ランダルは
子供の時だった。ただ運転の仕方に於いては少々勇気が
なくケヴィンにからかわれて冷静さを失っていた。
「このままだと近所1周する間に40(歳)だ」(Kevin)
「お前は40でも実家暮らしだろ」(Randall)
「40でも女を知らないよりはマシだ」(Kevin)
・ケヴィンの苦しみ
ケヴィンとランダルは基本的に仲が悪い。
常にケヴィンはランダルの方が贔屓されていると思って
いて今回は「父親の時計」がきっかけとなった。
ジャックとしては父が酔っ払いで母が鬱病だったので
弟と暮らしていくしかなかったこと。その中で弟と共に
戦争にいったがそこで失った。
ジャックの凄い事はレベッカにも語っていたが、未来を
予期しているかのような行動を常に取っている。
いつまでも親が生きて居る訳では無い。そういう時には
三人で力を合わせていかねばならないこと。
・レベッカの苦しみ
ジャックはかなり自分主導で家族を率いていたので
レベッカとしてはそんな「主」を失い辛いことだろう。
まず彼女の負い目は今際の際にジャックの傍にいて
あげれなかったこと。その為に「骨壺」を追いかけて
いる葬式での光景が有る。
更に過去に遡った思い出としては二つ有った。
1つはレベッカの苦手な所は橋を渡ること。
「橋を渡るという行為」は心理的に見ても「人生」を
指していることは明らかで、目を開けられなかった橋を
渡るときを現在では目を見開いて渡っている光景が有る。
時に工事していて一車線になってしまうハプニングが
あることも起こるだろうがそれが人生である。
そしてもう一つは「ジャックの好きな木」の由来が
ここで出て来た。
何でこの場所なのかと問われて、公衆電話に近いから
というジョークが流石アメリカンって感じ。ベンチに
座る光景は、葬式時のカタウスキー先生の時にも訪れた。
レベッカは目眩が訪れ重病(脳腫瘍)ではないかと考える。
ジャックは耳の病気だろうとしていたけれどそれが
まさに正しいことだった。
そこでジャックが色々と心配して病院まで子育て相談に
来ていたことを始めてレベッカは耳にする。
カタウスキー先生は人生の大先輩でここでもレベッカの
悩みを払拭する為の言葉を投げかけてくれた。
■その他
・気になる
・ジャックは今週の土曜日は予定を開けておけとして
語る。そこにはサプライズが用意されていた訳だけど
本物のコンサートであるBruce Springsteenの音楽を
みんなに聞かせようと思っていた所で、残念ながら土曜日
は葬式になってしまうというサプライズと化した。
・6歳・6分
色々と数字とか見ているとややこじつけに近いが似た様
なところがこのドラマにはある。ケイトはアラニスとは
6歳違い。確かカタウスキー先生は立ち上がるまで6分
かかるような事を語っていた。どうせならランダルと
ケヴィンが歩かされた距離が6kmだったら良かったのに
8kmとしていたね。
・メルとの交渉
結局ジャックは何と言って交渉したのかよくわからなか
った。
しかし車についた傷は家族の歴史でもあり思い出となる
としていた。まさにシミや傷の一つ一つが思い出である。
本来家の柱の傷とかがそれに該当するとは思うんだけど
ね。
・因みに・・
twitterにも書いたんだけどS1で出産した際に子供を
取り上げてくれたカタウスキー先生は73歳だと語ってい
た。そしてその17年後に再会する。彼は90歳ということ
になる。
■Used songs
・South of the Truth by The Truly Desperate
・Lasagna by weird al yankovic
・All I Really Want by Alanis Morissette
・My Beautiful Reward by Bruce Springsteen
■Cast
ジャック・ピアソン (Milo Ventimiglia) 再びアルコール
レベッカ・ピアソン (Mandy Moore) ジャックの妻、夫とケンカ
ランダル・ピアソン (Sterling K. Brown) 37歳、エリートビ
ジネスマン
ケイト・ピアソン (Chrissy Metz) 37歳、ケヴィンの付き人
ケヴィン・ピアソン (Justin Hartley) 37歳、コメディドラマ俳優
ベス・ピアソン (Susan Kelechi Watson) ランダルの妻
テス・ピアソン (Eris Baker) ランダルの娘・長女
アニー・ピアソン (Faithe Herman) ランダルの娘・次女
トビー・デーモン (Chris Sullivan) 減量のためのサポートグループに参加
ウィリアム・ヒル (Ron Cephas Jones) 無職、62歳、ランダルの父
ソフィー (Alexandra Breckenridge) ケヴィンの妻
ミゲル・リバース (Jon Huertas) 現在レベッカの夫
17歳のランダル (Niles Fitch)
17歳のケヴィン (Logan Shroyer)
17歳のケイト (Hannah Zeile)
17歳のソフィー (Amanda Leighton)
10(8)歳のケイト (Mackenzie Hancsicsak)
10(8)歳のケヴィン (Parker Bates)
10(8)歳のランダル (Lonnie Chavis)
10歳のソフィー (Sophia Coto)
1歳のケイト (Sydnee Parker Anderson)
大人のテス (Iantha Richardson)
ジャネット・マローン (Elizabeth Perkins) レベッカの母
シェリー (Wynn Everett) ミゲルの妻
メル・ブキャナン (Mark Proksch) カーディーラー
アン (Susan Blakely) ネイサンの妻
Dr.ネイサン・カタウスキー (Gerald McRaney) 出産時の医師
アリソン・ウォルシュ (Isabel Oliver Marcus) ランダルの彼女
ランディ (Tom Lommel) ジャックの同僚
(Tyson Power) 司祭
(Omar Adam) 葬儀担当者
ルイ(犬)
クルーニー(猫)