第10話 クリスマスの贈り物 You Better Watch Out
監督/Tony Wharmby
脚本/George Schenck、Frank Cardea
【STORY】
●メリーランド州パタクセントリバー 海軍航空基地宿舎
住宅街はクリスマスの装飾をしている家で溢れる中、
タクシーに乗って帰宅するメーガン・ハフナー中佐
(Rose Rollins)。しかし室内に電気が付いていないことに
違和感を覚える。運転手(Brad Havens)にチップを渡すと
「メリークリスマス」
と、挨拶を交わして荷物を受け取る。
家の前には隣人のジョー・ベイカー (Ted Baker)が待って
いてメーガンに挨拶する。
長いこと任務で帰宅しなかった為に夫のノエル(Chris Mayo)
はクリスマスの電飾を付けなかったのか。
鍵を開けて室内に入るとノエルを探すが、匂いが酷く、
テレビは付けっぱなし。そして椅子にはノエルが死んだ状態
でもたれかかっていた。
・NCISが現場へ
メーガンは夕べの状況を説明する。
そして自分はペルシャ湾で半年間空母ステンスに乗艦して
いた事を語る。最後に夫と会話したのは感謝祭の時に電話
でのこと/一ヶ月前だった。夫は海軍の妻に変わって職に
は就いてはおらず家を守っていたという。
ジミーとダッキーは遺体の検視作業。
遺体の腐食臭に参るジミー。硫化水素とメタンによるもの。
更にメルカプタンも混ざっているというダッキー。
正しくはコルプス・メルクリウム・カプタンスだと語る。
ウジ虫はわいていなかった。
マクギーは侵入・盗難の形跡はないと判断・報告する。
死亡推定時刻は3、4週間前。11月27日から郵便物がたまって
いることもそれを裏付ける。傷は見当たらない為に
死因は検視室で見極めるというダッキー。
●NCIS
隣人は何週間も彼の姿を見ていない。職を転々としていた。
そんな会議中にトニーの携帯が鳴る。飛行機のフライト
情報だった。
ジヴァはハフナーは一年以上無職であることを告げ、家族と
は疎遠で有ることを報告。前科は?という問いかけにトニー
は携帯を気にしつつ、2009年の飲酒運転だけであることを
語る。シニアが現在嵐で足止めを食らっている為トニーは
落ち着きが無かった。クリスマスだから父がここに来る
というトニーにジヴァは初耳だと語る。いつものように
キャンセルすると思ったというトニー。
●NCIS / アビーの研究室
室内はクリスマスムード一色。ジミーはまだ4日後だという
が、アビーにとっては3日と14時間27分3秒だと語る。
ジミーは被害者のポケットの中身を持ってくる。
服は乾燥中。
携帯電話は壊れていた。
ポケットの金は20ドル札2枚、10ドル札1枚、1ドル札2枚。
男はシンプル・・私の財布はカードでパンパンだという
アビー。更に財布の中には謎のお札。
・製版印刷局 (BEP)
製版印刷局BEPのドナルド・リンダー (David Dean Bottrell)
に謎の札を見てもらうと、「本物の100ドル札」だという。
新品のフランクリン。新100ドル札として作られているもの。
「まだ発行されていないのにどういうことなのか・・
造幣局の手を離れていないハズなのに・・」
10年以上の研究開発の末の新札・ニューベンジャミン。
数字と鐘の絵に特殊インク。3Dリボンに隆起印刷の
偽造防止策が施されていた。発行は2011年2月の予定。
しかし問題があって延期されていた。印刷中に紙幣に皺が
寄ってしまったこと。既に1100億ドル分が印刷されてしま
っていた。欠陥紙幣は30%。
そんな欠陥を作ったのに誰かの責任に問われることがない
のが造幣局だという。紙片はテキサスとワシントンの金庫に
保管されていた。
そこにトニーの携帯が再び鳴る。
リンダーはパソコンで紙幣番号を入力するとその紙幣は一年半
前に細断して処分されたことになっているという。
そこにシークレットサービスの女性・アシュリー・ウィン
ター (Danielle Bisutti)がやってくる。
欠陥が見つかった後に数百万ドル分の処分が行われていた。
ウィンターは紙幣は財務省のものだとして預かるという。
しかしギブスはそれは殺人事件の証拠品だとして渡すことは
出来ないと語る。
●ギレスピー・サロン / Gillespie’s Saloon
●ロッククリーク公園 / Rock Creek Park
●アダムスカウンティ 処理場
■Impression
毎年恒例のクリスマスエピソード。
クリスマスは家族を大切にする日ではあるけれど、ここの所
日本では意外と「普通に仕事している日」という印象もある。
ただし町を彩る装飾やら雰囲気は12月にでもなればクリスマス
一色になりますよね。
今回興味深いのは犯罪者は海軍宿舎に入れた事と造幣局での
新札情報にも精通している人物であること。どちらも厳重に
管理・監視されていて容易に入れそうもない場所だけに意外
と犯行出来る人物というのも自然に絞られる気がする。
また上述した様にクリスマスエピソードだ。
アビーは絶対にそれを祝うためにその日は仕事ではなく
クリスマスに固守するハズだし(イブには映画「素晴らしき哉、
人生!」(It’s a Wonderful Life/1946年)を見ると語っていた)
お騒がせトニーのパパが出てくる事も有ってかなりかき乱さ
れるであろうことは想像に難くはない。
初動捜査が終わった頃に登場するトニーパパ。
トニーパパが真っ先に挨拶するのはアビーでありジヴァで
あり深めにハグする辺りは相変わらずといった感じか。
トニーパパは息子の家に泊まりたがっている。
当然トニーはそれを拒否しようとする。
果たしてどんな裏があるのか。
■Murder Case
海軍中佐の夫のノエルが自宅で殺害される。
殺害されたのは海軍航空基地の宿舎がある自宅。
妻が海軍中佐をしている関係で夫が家庭に居るケースだった。
遺体からは破棄されたハズの新札100ドルが出てきた為に
偽札捜査を担当するシークレットサービス(USSS)も捜査に
割り込んでくることになる。
■investigation
・検視
ダッキーとジミーの検視。
現場ではハフナーに外傷がなく死因の特定は出来なかった。
死因は首の骨折。第5、6の頸椎が折れて脊髄が切断しかけて
いる。殺人だと確定。
元々肝硬変を患っていた。ヘビードリンカーとはダッキー。
・第2の遺体
公園で見つかった遺体は指の切断からキャナディのもの。
ウィンター捜査官との駆け引きがある。
指紋採取の方法論を説明し出す。
インドのイラーハーバードで初めて用いた方法。
ハフナーと同じく頸椎骨折。
・アビーの捜査の流れ
新札から指紋採取。ハフナー以外の指紋。
AFISでジャスティン・キャナディという人物の指紋だと特定。
元造幣局の職員。昨年6月解雇。遅刻が多く勤務中の飲酒。
そして指2本を失っている。
・繊維
新札の包装フィルムについていたもの。
新札はゴミに混じって持ち出されたものだと断定する。
・ジヴァら捜査組
キャナディの家は不在。彼は金銭的信用度が低い。
失業、車も回収、家賃も滞納・・
キャナディの家はSSのウィンターが調べていたが、ハフナー
の家は海軍基地内でのことなのでトニーとマクギーが調べる。
ハフナー家はクレジットカードが使えない状態。
怠慢な夫のせいだという妻。
夫はギレスピー・サロンというバーに入り浸っていたという
妻からの証言。
「常に妻を疑え」とは「Major Crimes」のLouie Provenza
捜査官だけど、トニーも同様だった。
植木鉢の中から新札が大量に出てくる。
額は40万ドル分。2011年5月2日に細断されるハズのもの。
安くハフナーに売買したのではないか。
・バーにて
ハフナーは常連客。奥さんが夫を探して電話してきたことが
あるという。またジャスティンとハフナーは知り合いで店で
会話していたという。
・第2の遺体が公園で発見
指が二本切断されているのでキャナディだろうと語る。
今度の遺体は外に放置されているだけ有ってウジ虫が沸いて
いる。死後一週間。ハフナーが殺されたのと同じ頃。
・鍵を握る造幣局の副局長
副局長は細断され埋め立てられたハズだと語る。
ゴミ処理場へ確認に行く。
するとマクギーの友達からの証言がある。
「その日に侵入者がいた」
正確に覚えていることに疑いの目。
「ビンラディンが殺害された日だ。みんな覚えているさ」
最重要指名手配犯が殺害日ならば国土安全保障省がDCの
警備を強化しているはず。
ウィンター捜査官にDC地区の偵察衛星映像を見せてもらう。
■私生活編・トニーとシニアと仲間たち
なんだかんだ言ってもクリスマスにはプレゼント/贈り物が
つきもの。それが良い物であっても悪い物であってもだ。
昭和・平成初期の頃までは「良い物」が主流であったが、
今日日そんなに良い物ばかりが送られてくるものでもない。
・トニーは自宅でペットに金魚を飼っていて
「名前はケイト」。
・12年前から住んでいる。
・ベッドはシングル、冷蔵庫には酒。
トニーの中に女っ気が無いことをシニアは気にしている様子。
トニー曰く「ここは俺のSanctuaryだ。女に会いたければ相手
の家に行く」
・シニアがトニーが捜査中に”聖域”で料理する。
ディノッゾ家伝統のX’masディナー。
代々伝わる印章指輪は21歳のクリスマスにトニーに譲られる
ことになっていたが未だに手にしていない。
トニーが帰宅するとツリーの飾り付け。
そしてシニアが作るクッキー。
更にクリスマスの帽子をかぶってNCISにやってくる。
ジヴァが父とトニーの件に興味を持つ。
・シニアがトニーのベッドで現役姿
トニーが心を許しかけた途端に怒らせる父親の行動。
「私は私だ、変われないさ」
・ギブス
1953年式フォード社製、緑のピックアップのF-100がギレスピ
ーの家に有った。
・ジミー
結婚して初めてのクリスマス。
・マクギー
ゴミ処理場のスチュワートとマクギーが知り合い。
“ティミー”、”スチューイ”と呼び合う関係。
なんと知り合いと言ってもMIT(マサチューセッツ工科大学)の
同窓生。計算進化生物学を教えていたのだという。
「教室に居るよりゴミを見る方が人間について学べる」
マクギーは大学のマスコットだった。
「ビーバーのティム」
■クローズド
偵察衛星の映像を見る。ゴミ処理場には確かに人の姿が
ある。ピックアップトラックが置いてある。
ほらほらあのバーで見た緑の・・ね。
店の捜索。キャナディとギレスピーの姿。
またギレスピーは元海軍なので基地に入る事が出来る。
心理学のようにして探す流れの中で相手の顔色を伺い
クローゼットにあることを見つける。
手柄は全てウィンターに取られたがそれもまたクリスマス
のプレゼントとして一件落着。
■改めて思う
このドラマは一途な人が多く、過去の不幸を引きずっている
人の姿が目立つ。
ギブスは妻子を失い父親との関係も上手くいっていない。
アビーも問題を抱え、ジヴァもまた父と娘の関係はトニー
の父と息子の関係にも近い。
トニーは両親との関係もそうだけどケイトという愛する女性
を失っている。
未だに彼の中でケイトの存在が大きいことが金魚に付けられ
た名前にもあらわれているよね。
最後は映画を見てトニー特製のアップルサイダー。
マクギーがトニーを真似て作ったがダメ。
カルダモンポッドの差ではないかと。
ツリーの下に指輪があったのを見つけたトニーは父親は
償いをしに来たのだと素直に受け取るが既に追い出した後
だった。
アビーが真っ赤な服でやってきたと同時にシニアも一緒に
来ていた。
■Music
・Jingle Jangle Bells feat. Alex Macdougall by Rob Parton Orchestra
・Lounge Christmas by Emmanuel Fratianni
■Cast
リロイ・ジェスロ・ギブス (Mark Harmon) 主任
アンソニー・ディノッゾ (Michael Weatherly) “トニー”
ジヴァ・ダヴィード (Cote de Pablo) 元モサド、NCIS
アビゲイル・シュート (Pauley Perrette) “アビー”分析・解析
ドナルド・マラード (David McCallum) “ダッキー” 検視
ティモシー・マクギー (Sean Murray) コンピュータ
ジミー・パーマー (Brian Dietzen) ダッキーの助手、検視
レオン・ヴァンス (Rocky Carroll) NCIS局長
アンソニー・ディノッゾSr. (Robert Wagner) トニー父
アシュリー・ウィンター (Danielle Bisutti) シークレットサービス
ドナルド・リンダー (David Dean Bottrell) 造幣局副局長
メーガン・ハフナー (Rose Rollins) 海軍中佐
パット・ギレスピー (Joe O’Connor) バーの経営
ジェニファー (Diane Robin) トニーの迎えの部屋のクーガー女
スチュワート・ドーフマン (Devin McGinn) ゴミ処理場職員
ジョー・ベイカー (Ted Baker) 海軍、メーガンの隣人
(Brad Havens) タクシードライバー
ノエル・ハフナー (Chris Mayo) メーガンの夫
ジャスティン・キャナディ () 元造幣局員