18 September 2011
第3話 覇権争い Episode #2.3
監督/Andy Goddard 脚本/Julian Fellowes
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メアリーがマシューに継承権があるかないかで揺れている状況
の中断ってしまったことがきっかけでマシューはラビニア・ス
ワイヤーとの婚約を決める。それを知りメアリーは今更ながら
後悔の念が募る。そんなメアリーの前には新聞王・リチャード
卿との出会いが有り、結婚して欲しいとするプロポーズを受け
る。野心家の彼は貴族であるメアリーに結婚を迫った格好だ
った。次女・イーディスは農場を手伝うことで自分を必要と
してくれている人がいることに満足するが、農場主と不倫関係
に至りそうなところ、夫人が気が付いた為に、ロバートの元に
男手を雇うことになったとしてイーディスとの関係を絶つ。
下僕のウィリアムはついに召集令状が来たとする中、人手不足
のダウントンでは執事のカーソンに負担がかかり倒れてしまう。
カーソンは見舞いに来たメアリーにマシューに本心を話すべき
ことを助言するが出来なかった。三女のシビルが働く病院では
戦地から戻ったトーマスも働き始める。次々と負傷兵が運ばれ
てきてクラークソン医師も回復期の患者を留めることは出来ない
としたことで、病院での収容者のキャパの問題が現れる。
マシューの母・イザベルはダウントンで預かろうとする。
アンナとイーディスはダウントンで患者を受け入れる為に
ベッドを設置する。イザベルは書斎を娯楽室にするとして
勝手に仕切りダウントンを病院化させていく。コーラはそんな
現状を見て文句を言う。シビルはイザベルに賛成の立場だが、
将校だけを招き入れることに不満を述べる。そういう決まり
だと言われるとシビルはそんな決まりが馬鹿げていることだという。
バイオレットがやってくると、彼女も患者の受け入れには反対の
立場だった。患者には心と体の休養が必要なのに、色んな階級の
患者が混じり合えば気が休まらないというのである。シビル
はそれでも療養は出来るとすると、バイオレットは私ならば
確かに出来るとし、使用人の舞踏会でもカーソンと真っ先に
踊っていると語る。しかし気弱になっている人にはそう簡単
なものではないという。
バイオレットはメアリーに対して話が有るとして呼びだす。
イーディスは周りが忙しなく動き回る中、一人何をして良いの
か分からず浮いていた。
使用人たちは食事の際、アンナは村に行くので何か用事が有るこ
とはないかとみんなに尋ねる。するとヒューズは切手を買って
来て欲しいとのこと。
エセルは共同寝室になるなんて変なことだと告げるが、アンナ
は戦争なのに私たちだけが平和にしては居られないと語る。
デイジーはこれから誰の指示に従えばいいのか?と問う。
詳しい指揮系統に関してはまもなく決めるとカーソンは語る。
バイオレットはメアリーに対して、ラビニアとリチャードの
件を語る。二人は知り合いだということ。ロンドンに住んでい
れば知り合いでもおかしくはないという。しかし茂みに隠れて
人を脅すのをロザムンドも見ている事を告げる。紳士の淑女に
対する振るまいとは思えないと。メアリーは紳士かどうかなんて
どうでも良いというが、ロンドンのロザムンドの家でラビニア
をお茶に招待することを語る。メアリーはとって食べちゃいそう
だとバイオレットを皮肉る。
パットナムたちの元ではウィリアムが出征前にここに立ち寄る
としてデイジーは手紙が届いた事を語る。デイジーは何を
しに来るのか不安だった。ウィリアムがデイジーに気が有るのは
確かだがデイジーには全くその気がなかったのである。プロポーズ
でもされたら困るというが、パットナムは腹をくくり、無下な
態度だけは取るなと語る。戦地にいく人の士気を下げないこと
も大切だと。
アンナは村に買い物にいく中、ベイツがいるのを目撃。
しかしすぐにベイツは視線から居なくなってしまう。気のせい
だったのか・・・。
コーラは家族の前で一体この屋敷は誰が責任者なのかとして
激怒する。みんなイザベルだと思っていること。みんな彼女に
よって振り回されているという。
シビルはお構いなしとばかりに夜勤があるので夕食後に
病院にいく事を告げると、そんなやりとりを耳にしていたイーディス
はあなたがうらやましいと語る。シビルはドレイク家の農場が
恋しいか?と問うと、あなたは目的をもって働いていたので
楽しそうにしていたとし姉さんには合っていたという。
イーディスは確かに楽しかった事を告げると、姉さんだけが持つ
才能があるとして、それを活かすべくだという。何もしないこと
が一番悪いのだと。
オブライエンはイサベルがこの屋敷の責任者のように振る舞って
いるとしてコーラの気分を逆撫でする。運営の責任者を決める
べきではないかとし、トーマスなどはどうかと薦める。
病院と屋敷の事情を知っているのは彼だとすると、コーラは
下僕が責任者なのかと問う。しかしオブライエンは彼は今は衛生兵
で兵士としての経験を積んだ伍長だと語る。しかしクラークソン
がそれを許すのかというと、オブライエンはそこはコーラ次第だと
言いたげだった。
アンナはメアリーの髪の毛にコテを当ててカールにする。
メアリーがアンナが上の空のようにしているのを知り尋ねると、
今日の午後、村に出た際にベイツを見たのだという。
ロンドンの住所は知っているのかと問うとそれは聞いているという。
メアリーはリチャードに頼んで調べてもらうとして今夜早速
電話してもらうと語る。
ロザムンド邸で、ラビニアを呼んでお茶をする。
バイオレットはラビニアについて疑問をすべてぶつけてみる。
リチャードのことを知っていたのは彼が私の父の古い友人だった
こと。また叔父のジョナサンとも知り合いだという。
ロザムンドはジョナサンというと自由党の人かと問うと、
その後ジョナサンとは不仲になったという。ラビニアは屋敷の
ことを誉めると、ペインズウィック家の歴史は浅いことを
告げ、義理の息子の祖父が一代で財を成した成金であることを
語る。
シビルは運転手をしているブランソンに招集されたのかと問う。
ブランソンは兵役は拒否しようと思っている事を語り、今では
なく時が来たらそのような行動を起こすという。行進中に出て
叫べば嫌でも目立つだろうとすると、シビルは一生犯罪者扱い
されることに懸念を示す。しかし命があるだけマシだという。
負傷兵で帰還し屋敷で働くラングは、ここで働いている人たち
はまるで戦争とは無縁で、ここで戦争の凄惨さを知っているの
は僕だけのようだと告げる。しかしそれを聞いたパットナムは
こう見えてもみんな戦争で辛い目に有っているのだという。
しかしラングはどけだけ戦争が恐ろしいのか分かるのかと問う。
するとパットナムは妹の息子の甥っ子のアーチは敵前逃亡して
撃ち殺されたことを語る。アーチは決して逃げたりするような子
ではないがそんな子が逃げているくらいなので余程のことが
有るのだろうと語る。
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戦争が激化する中で、負傷した兵士たちが病院に溢れ収容でき
なくなり、イザベラは一部の人をダウントンアビーで受け入れた
らどうかとして提案していく。しかし許可なく次々と段取りを
進めてしまうイザベラに対して城を守るロバートを始めとして
コーラはあまり反発心を見せる。取りあえず将校クラスの
人だけを迎入れていくことになるが・・・
相変わらず戦争による影響が至る所で傷跡として現れている感じ
のエピソード。
そのトラウマにも近い心的外傷が及ぼす影響が、新たに現実の事件なり
問題として浮上してしまうのではないかとするものも有って
終始ハラハラさせられるものがある。
城を療養所化させることに関して、元々住んでいるものたちに
邪魔くさく感じることは明らかだろうし、庶民的感覚で見れば、
利用出来るものは利用すべきであり、戦時中に於いては
プライドよりも優先させるべきものが有るのではないかとして
問いかけるところに繋がっている。それに関連して階級による敷居の
高さというものが限りなく取り外されようとしているところは、
このドラマの中でも特権階級にないものたちが願っているものの
一つとして存在しているところも有り、来るべき”新時代”に対する
期待感にも繋がって居るのだろう。
兵士としての階級とイギリスからかねてから存在する階級制度。
戦時下に於ける価値感の違いによって、イギリス階級制度の論理が
根底から覆される可能性の一端にも触れ、実際に戦地に言ったか
どうかという事実があるかないかによって人々の心の中での
優劣が存在していたりするところが有る。
そんな状況の中イギリス社会階級がどこまで意味のあるものとして
保っていけるのか。
人材不足というだけ有って、城で働くスタッフたちも質の悪さみたい
なものも目立つ中、個性的な人物、それぞれに持つ思惑の違いに
よって足並みの乱れさ加減がここに来て色々なところで現れている。
ただその分なかなかコレと言ったエピソードがないこともあるのだけど、
そんな状況の中でもみんな個性を出そうとして必死な姿が有る。
その中でもとりわけアイデンティティの喪失感によって迷走している
感のあるイーディスが少しずつでは有るが、自分の役割というものを
掴んでいく流れが有り、自立心と共に上手いこと影で腐っていた
だけの彼女に日の光が当たる辺りは見ていても嬉しく感じさせる
ところだった。ただもう少しかねてからイーディス自身の性格の
中に人の心に寄り添えるというキャラクター性の一端を見せていれば
良かったんだけどね。この人の屈託の無さは階級制度に対する
優越意識が希薄なところから来るのかも知れないけどね。
ドラマではもの凄くヤバそうなことが今後起きるであろうことを
臭わせつつ、城で起きているイザコザなど戦場に於ける凄惨
さに比べれば取るに足らないというところを皮肉っている感じに
も思えるし、ほぼ肩すかしで終わるというシーンとして描かれて
いるところは、ある意味ではこのドラマに於ける安定感に繋がって
居るところなのかも。
トーマスが伍長から臨時の代理軍曹の位を得た際には、立場の
逆転によってカーソンがヤバイことになるかなと思って見ていたし、
ロバートさえも「国王の為に戦って怪我を負った男を今更昔の
罪(泥棒)で責められない」として戦争を体験したかどうかの差が
ロバートの中でのプライドを傷つけている部分も有る。
トーマスが正面玄関から入ってくるという行動だけ見ても、
宣戦布告みたいな流れが有って嵐の予感を感じさせるところが
有ったな。
城の使用を巡りイザベルとコーラが激しく争っているところは
ある意味可愛いところである。
バイオレットとロザムンドがきな臭いマシューの婚約者である
ラビニアに対して追求していく流れを通して、メアリーとマシュー
を結びつける為の工作を企てるものの、前回の流れでも出来なかっ
たメアリーの中の善人としての顔が抑止力として働き、ブレーキ
がかかってしまった。
きな臭い人物といえば、デイジーと仲良くしていた運転手の
ブランソンの素性についても語られた。
国の為に尽くす兵役や戦争に反対していた彼の中では、アイルランド
で”嫌な目”が起きたことを語る。昨年のイースター蜂起の際に
従兄弟が殺されたこと。通りを歩いているだけでイギリス兵に
よって射殺され、反逆者に見えたからというだけで罪にも問われ
なかったみたいだ。
またアンナとベイツの再会も嬉しいところだった。
「レッドライオン」というパブで働いていること。
ヴェラが他の男性と浮気していることが分かり、それをネタに
離婚できそうなこと。ただやはり幾ら金を積まれても、メアリー
とトルコ大使の件はいつでも流出しそうなものが有るので、
止める事が出来るのかはちょっぴり懐疑的なものが有るね。
ダウントンで飼われている犬の名前がアイシスだというのを
初めて聞いた気がする。
イザベルは衛生面から犬が病室にいくのを止める方法はないか?
としたけど、ロバートが「そんな方法はない!」と一蹴する辺りに
彼の中のストレスさ加減が感じ取れるし、犬の存在が思い通り
にならない現状に対して”象徴”的なものとして写るところが
有るのもまた皮肉なところだ。
心的外傷を負っているラングが、深夜に叫びだした時には何事か
と思ったけど、徐々に悪化しているところがあった。
パットモアが彼のキズを少しでも軽減する為に話した甥っ子の
敵前逃亡のエピソードをみんなの前で話してしまった時には
一瞬嫌悪感も有ったけど、その辺は仕方がないか。
唯一そんなラングに対して温かい目で見守るのがオブライエン。
前回の流れから引き継いで、オブライエンの中の人間的一面を
引き出せる存在だったのに、彼が辞めてしまうというのは
抑止力の封印がまた解かれて、トーマス&オブライエンが復活
してしまうのか。
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Downton Abbey – The Suite
Performed by The Chamber Orchestra of London
ロバート・クローリー (Hugh Bonneville) グランサム伯爵
シビル・クローリー (Jessica Brown Findlay) 三女
イーディス・クローリー (Laura Carmichael) 次女
メアリー・クローリー (Michelle Dockery) 長女
コーラ・クローリー (Elizabeth McGovern) 伯爵夫人
バイオレット・クローリー (Maggie Smith) ロバートの母
マシュー・クローリー (Dan Stevens) ロバートの遠縁
イザベル・クローリー (Penelope Wilton) マシューの母
Mr.カーソン (Jim Carter) 執事
ジョン・ベイツ (Brendan Coyle) 従者
サラ・オブライエン (Siobhan Finneran) 侍女
アンナ・スミス (Joanne Froggatt) メイド長
ウィリアム・メイソン (Thomas Howes) 第二下僕
デイジー・メイソン (Sophie McShera) メイド・新人
トーマス・バロウ (Rob James-Collier) 第一下僕
グウェン・ドーソン (Rose Leslie) メイド
Mrs.ヒューズ (Phyllis Logan) 家政婦長
Mrs.パットモア (Lesley Nicol) 料理長
エセル・パークス (Amy Nuttall) 新人メイド
ヘンリー・ラング (Cal Macaninch) ベイツの変わりの従者
ラビニア・スワイアー (Zoe Boyle) マシューの婚約者、ロンドン在住
ロサムンド・ペインズウィック (Samantha Bond) コーラの妹
スマイリー (Tom Feary-Campbell) 大尉、左手を失う
トム・ブランソン (Allen Leech) 運転手
— (Graham Padden) Army Doctor
チャールズ・ブライアント (Daniel Pirrie) 少佐、アルマダの間へ
Dr.クラークソン (David Robb) 医者、少佐
Sir ハルバート・ストラット (Julian Wadham) 将軍、マシューの上官
— (Peter Brown) Villager
— (Giles Spencer) Officer
ケレンスキー
レーニン
ウエインライト
イブリン・ネイピア
エイムズ大尉
ヴェラ
アーチ
ホームズ少佐
コメント
詳しい解説で本当に役に立っています。大変かと思いますが引き続き楽しみにしています。
書き込みありがとうございます。ダウントンアビーは見ていても感想を書いていても楽しいドラマなので
大変ということはないのですが、日曜日のPM23:00という微妙な時間に放送しているのが一番のネック
ですね。blogの方、またご贔屓によろしくお願いします(^o^)