第2話 ヤクザと血筋 / 家族の過去 Bloodlines
脚本/Alfredo Barrios Jr.
監督/Colin Bucksey
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コスタリカのジャングルで二台のバイクが森の中を疾走する。
『バイクで敵を追跡しているとスピードを上げて追い越したい
誘惑が出る。後ろからムチャさせて勝つ方が有効だ』
フィーのバイクをけしかけて横転させるマイケルは勝利を宣言
するがフィーはもう一度やろうと告げる。私は負けず嫌いなの
を知っているでしょと。しかし新しい生活に馴染まないといけ
ないと呟くと折角のバカンスだとしてマイケルの上に馬乗りに
なる。しかしそんな中、軍人が現れ、ラングレーから呼び出しだ
としてマイケルに電話を手渡す。
実は二人は休暇を政府の訓練所で過ごしていたのだった。
マイアミでは「原子力工学 国際会議」が開かれていた。
CIAの連絡係のマックスはマイケルの元を尋ねる。
これはCIAとしての公式任務。マイケルにとっては4年ぶりのこと
だった。マックスは指令として、アメリカへの協力者を監視する
ことだという。カーソン・ハクスリー、イギリス人で天才的学者
で協力者でも有るが、頭は学者でも心はロックスター、そして
女好きというたちの悪い男だった。しかしそれでもイギリストップ
の原子力技師だった。国際会議の場では常に女性を引っかけて
いるが、そこでハニートラップにかかる可能性は幾らでも存在
していた。
『諜報機関は秘密を盗むより秘密を守る為に金を使う。』
マックスはカーソンに近づく女を交代して追い払うのだとマイケル
に告げる。マイケルには学者の振りして近づいてもらうので
ココナツラウンジで話のネタを仕込めという。
フィーは自分が住むマンションを見にマイケルと訪れる。
しかしマイケルは仕事のことで頭が一杯でフィーの話を一切聞いて
いなかった。ジェシーからの電話で、助けを求める知らせだった
為15分でいくという。フィーはそんなマイケルに激怒する。
不動産業者の女性も、「男は家賃の交渉まではボーっとしている」
ものだと言うと、フィーは「あの人は悪の組織に人生をぶちこわさ
れるまでボーっとしているタイプなの」と告げる。
ジェシーに合流する。
民間の警備会社に勤め始めたジェシーは高級車に良いスーツを
着ていた。仕事を頼まれたとし、人助けなので手を貸して欲しい
というもの。しかしマイケルは現在の自分はフリーターではなく
CIAの正式なスパイだとして任務中は勝手な行動を取れないという。
ジェシーはとても深刻なトラブルであり、命がかかっていること
を告げ、大勢の女性が殺されようとしていることを語る。
それなのに忙しいのに手伝えないというのかと問い詰める。
ジェシーは後で依頼人から説明があるが20人の女性が行方不明で
売り飛ばされようとしている事を告げる。任務があるというマイケル。
それを聞いたフィーはCIAがエロオヤジのナンパの邪魔をする仕事
にかまけて飲みたいのか?と問う。いつも困っている人を助けて
来ただろう事を告げ、スパイに戻れば人助けは終わりというのか
と問う。任務が終われば駆けつけるというマイケル。その間は
フィーはサムと共に対応すると告げる。
依頼人はリョウコという日本人だった。
太平洋物産の販売部長をしている彼女は従姉妹が行方不明なのだ
という。家族は京都近くの小さな街に住んでいるが、余所から
来た男が街の若い子たちを騙して良い仕事を紹介すると言って
ついていくと海外に無理矢理売りに出されるのだという。ヤクザ
が仕切っているもので、誘拐されたのはノリカ(15歳)とのこと。
マイアミから2日前に連絡してきた子がいて、その子はマイアミ港
だという看板を見たと話したところ、銃声が聞こえて恐らく殺された
のだという。叔母が私に連絡してきたとのこと。警察にも知らせた
が情報が少なすぎて捜査することが出来ないといわれたという。
ジェシーは通話記録を手に入れたとし、二日前に日本の京都に
国際電話をした携帯電話はサウスビーチのホテルにあるとのこと
だった。
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ついにマイケルはCIAでの公式的なスパイ活動を行うことになり
休暇中にもかかわらず無理矢理マイアミに戻される。
そして言い渡された仕事は、イギリス人原子力技師で、アメリカ
に情報提供をしているカーソンが国際会議の間にナンパして
下手に情報を漏らさないかどうかの監視をすることだった。
一方ジェシーの方も女性が誘拐され人身売買があるということ
で依頼人から捜索を依頼される。マイケルとしてはCIAとしての
任務から逃れることは出来ず、復帰後初の仕事故にきちんと
職務を全うしたいと考えていたが、任務はジェシーのものと
比べて人の命が関わっていない分、その選択は間違っていると
ばかりにマイケルは非難されるが・・・
CIAの仕事とこれまでの人助けする仕事の両立がちょっぴり難しく
なってきてしまったことを感じさせるエピソード。
今回のエピソードはCIAの任務としてはもの凄く幼稚な流れがある
中で、人助けとそんなくだらないCIAの任務のどちらを取るのか
みたいな選択が有り、それは同様にマイケルとフィオナの将来に
対する選択にも暗に繋がって居る感じのものだった。
日本のヤクザの人身売買に関しても、描写としてはかなり妖しく、
捕まえた相手とのやりとりを通してヤクザの仁義を貫く日本人の
精神を描こうとするものが有ったのかもしれないけど、そんなに
義理立てする人物の描写自体は面白く出来ていたけど、その人物に
固執することなく、別の方法論を使って、もう少し穏やかな解決法
があったのではないかなと思わせるものが有った。
この手の人身売買は中国の農村部とか東南アジア当たりの人権に
希薄さを感じる国で起きていることで、密航者を入国させる
くらいに国が疲弊している状態でないと、ちょっと割の合わない
犯罪という感じがする。
日本に於けるヤクザの仁義などを通して、日本の犯罪組織との
対決というのはある意味では興味深かったのだけどね。
なんと言っても今回はマデリンやマイケルなど、ウェスティン家
の歴史や傷跡を深くえぐり出すような内容で、父親から虐待・
暴力を振るわれていたというマデリンに対して、それを思い出さ
せるような流れとして描かれている。その分だけ信憑性を帯びる
演技が見せられたのだろうけど、かなり気の毒な作戦ではある。
最後まで虐待されていたことを口にしなかったけど、マデリンが
乗り越えようと前向きな発言をしていることに対して、マイケル
も感化されるところが有ったのだろう。
フィオナとしてはマイケルがCIAに戻れば新しい生活が出来て
彼女が望む家族としての生活があると思い込んでいたのだろう。
その現実はあまりに辛く、両立出来ないものかにも思えたが、
マイケルとしては逆に無くてはならない存在としてフィオナ
を受け入れていく格好だった。
イギリス人気勢と日本人気勢の差として描いたようなエピソード
だけど、出来ればイギリス人ではなくイタリア人ならば、その辺の
民族的比較としてはしっくり来ていたのかも知れない。
・Wire by Joseph Trapanese
・Standoff by Joseph Trapanese
・Madison Waits by Joseph Trapanese
マイケル・ウェスティン (Jeffrey Donovan) スパイ
フィオナ・グレナン (Gabrielle Anwar) 元・彼女”フィー”、武器商人
サム・アックス (Bruce Campbell) 元相棒
マデリン・ウェスティン (Sharon Gless) マイケル母
バリー (Paul Tei) マネーロンダリング
ヴォーン・アンダーソン (Robert Wisdom) 政府・裏組織
ジェシー・ポーター (Coby Bell) スパイ防止
マックス (Grant Show) CIAの連絡役
カーソン・ハクスリー (Daniel Gerroll) イギリスの学者
タケダ (Brian Tee) ヤクザ
リョウコ・マジ (Eiko Nijo) 太平洋物産・販売部長、依頼人
シュガー (Arturo Rossi) 麻薬の売人
ヒロシ (Eric Esteban) ヤクザ
— (Trave Reynolds) Soldier
— (Andrea Conte) Realtor
— (Dean Coleman) Drunk Businessman
— (John McKerrow) Drunk Businessman
— (Van Banoovong) Scientist / Bartender
— (Ansley Gordon) Carlito’s Patron
— (Trina Christine Mason) Pool Girl
— (Clancy McLain) Hexley’s Bar Interest
— (Terry L. Reed) Bar Patron