第7話 正当化の理由 Gerontion
監督/Carl Franklin 脚本/Chip Johannessen
——————————————————–
【前回までのあらすじ】
キャリーは帰宅し仮眠を取る前にトイレで妊娠検査薬で試すと
陽性が出る。ロックハート上院議員はソールに対して昨日大統領
と話したが諜報活動のあり方を見直しを考えていることを言われ
る。長官に任命されることになるというロックハート。CIAは
このまま壊滅してもおかしくないと言われたダールはロックハ
ートに抱き込まれそうになる。上院で腕をふるったあなたならば
改革出来るのではないかと告げる。
ファラはソールからジャバディとの関係を聞かれて話す。ジャバ
ディとはテヘラン時代、妻たちと交えて食事する中で、改革前
我々は共に若い諜報員だったという。友達だと思っていた男が
鬼畜に変わったという。その作戦は報復なのかと問われるが、
ソールは報復ならばその4ヶ月後に行い、彼の妻子をアメリカに
亡命させたのだという。キャリーをエサにジャバディを釣ること
に成功したかと思われた。キャリーはジャバディに対してナセル・
ヘジャジの話をしようと告げると、その名を使って貴方は革命防
衛隊から4500万ドルを着服していることを指摘し、イラン側から
も敵になっている事を語る。
「敵国の諜報員を転向させるのは極めて微妙で不確かな作業だ」
とソールは語る。キャリーと約束の地で逢う事になっていたジャ
バディだが、逢う前に彼はスーザン、ファリバを殺害する。
クインたちは急いで現場から凶器を回収して撤収する。
ソールの前に連れてこられたジャバディだが、ソールは彼を殴り
飛ばすのだった。
【ストーリー】
ファリバたちが殺害した現場には現地の殺人課刑事たちが調べて
いた。カル・ジョンソン刑事とコート刑事が鑑識と共に現場
を見て回る。鑑識によると凶器は22口径とワインボトルの割れた
先だという。プラムワインと言えばイランのものだが、イスラム教
は禁酒ではないのかと問う。何回刺しているのかと問うと10回
以上だという。そんな中コート刑事は隣の家の防犯カメラ映像
に男(クイン)が写っている事を語る。
その頃ファラはジャバディの尋問をしていた。
金は毎月決まって第一金曜日にテヘランのアスカリ銀行から香港
融資銀行カラカス支店に送られていることを語る。その金が
一連のテロ活動に資金源であることを語る。CIA本部爆発事件もその
一つ。一部5千万ドルを着服して自分の口座に隠している事を指摘
する。革命防衛隊に知られたら死刑だとすると、ソールに対して
狙いは何なのかと問う。こんな小娘に尋問させるのかと問うと、
ファラとジャバディはペルシャ語で言い争う。
それを見ていたソールはファラを退室させる。キャリーはファラに
対して彼はあなたを操ろうとしているのだから動じないことだと語る。
ソールと直接話すジャバディ。
彼はファラのことを何処で拾ったのかと問うと、テロに憤慨する
イラン人亡命者は多いのだという。彼女は使えないぞという
ジャバディにお前は76年にも同じ事を言ったよなと語る。私を釣って
得意満面なんだろうとし、吐かせる気なんだろうと問う。核兵器の
情報を引き出したいであろうこと。私を告発しないのは取引がしたい
からだと。ジャバディはその為には条件があるとし、情報を渡した
場合、保護すること。マイアミに安全な家を用意して護衛をつける
こと。金の凍結もなしだという。ソールは言い分は分かったとする
が君は思い違いをしているという。君に要求したいのは情報だけ
ではないというソール。大変に苦労して汚職の証拠を揃えた
のは何故だと思うか?と問うと、君は200人以上のアメリカ人を殺した
こと。革命防衛隊の金はどうしようと構わないとし、君にしてもらう
のはケチな情報提供よりも重要なこと。イランに帰って働いてもらう
という。我々の協力者として今後は私が担当諜報員になるという。
ジャバディは顔色を変えてこれは無理だとするが、どっちにしろ
テヘランには返すという。スパイとしてなのか、イランの敵と
してなのか。甘く考えない方が良いとし、着服がバレたら即処刑
で死ねる訳じゃないという。拷問、そして公開絞死刑にされるだろう
と。ジャバディは欲しい情報は正確に渡すので国には帰れないという。
絶対嫌だとするがやってもらうと語る。
クインはシャワーを浴びていると、玄関のチャイムがなる。
用心深く覗き窓を見るとダールがそこには居た。徹夜したのか
と問われ疲れた顔をしていることを指摘される。ここ数日オフィス
で見かけなかったことを指摘され、ソールも見ていないというと、
どういうことか説明しろと言われる。彼に聞けば良いとするが
ダールはクインに対して君は私の部下であり採用し育てたのは
私だと語る。君は報告するのが義務だという。ベセスダで2人が
殺される事件が発生したこと。1人はファリバ・ジャバディで
イラン情報省次官の元妻、もう一人は義理の娘のスーザンだという。
クインはそれを調べれば良いのか?とするが、事件が起きた2時53分
現場住宅の前の防犯カメラで君の姿が取られているとし、
容疑者となっていると語る。せいぜい搾られろと言われる。
クインは急いでソールの元にやってくる。
キャリーに対してクインは写真を撮られたとして自分が指名手配
されている事を語る。キャリーとジャバディは写っては居ない
とするが、アダルが警察記録から何かあると疑っているという。
ソールはクインに当分隠れていろと告げると、キャリーは自分
はベセスダ署の刑事・ロンザに貸しが有るので彼に電話して
指名手配を外すよう語るという。ソールは私の名前を出して、
安全補しように関わることだと言えと告げ、ジャバディのこと
を知られれば全てが終わりだと語る。
——————————————————–
CIA本部爆破事件でテロリストに資金提供していたジャバディ
の逮捕に成功するが、ジャバディはソールをあざ笑うかのように
して彼と接触する直前に、元妻のファリバとその義理の娘の
スーザンをベセスダで残忍な殺害方法をしてからやってくる。
かつては革命前にテヘランで諜報員として一緒に活動していた
ことも有るソールにとって、ジャバディが冷酷な殺人鬼と化した
ことに憤る姿も有る。ジャバディはソールが逮捕せず当局に
突き出さない理由として、司法取引を考えているからだとして
見透かしたような言葉をかけてくるが、ソールが考えていた計画
はもっと壮大なもので、敵の諜報員を転向させるというものだった。
イラン政府に接近させたまま情報をアメリカに流させるというもの。
しかしそんな計画を邪魔しようとしてするのは皮肉にも、敵では
なくアメリカ内の自分達とは違う意図・違う正義の下で働いている
ものたちだった。
CIA諜報員の活動が、如何にアメリカにとって偉大なことをしている
のかという事情があるにもかかわらず、それを知らせることの
出来ない辛さみたいなものを感じる流れが有った。
この辺はシーズン1の頃からその活躍を理解されずに何処か白い目
で見られているキャリーにとっては最も分かるべき心情なんだろう
けど、キャリーの場合、仲間であるものたちにも理解されない
事情が有ったので更に辛いものが有ったのだろうね。
他の刑事ドラマを見ていると、政府機密という名で殺人犯の捜査を
妨害するCIAなりFBI捜査官たちの捜査妨害的存在に嫌気を指したり
するものだけど、このドラマは正反対にそんな機密の中で戦って
いて決して表には出ないものたちのドラマの中で、真相を証そうと
することへの憤り感を感じるという角度・視点を変えた楽しさが有る。
ただ一話の頃から感じて居たように、キャリーがソールによって
病院に入れられた流れに関してはクインだけでなく、ジャバディ
もまた騙されていたとしていたけど、実際にキャリー自身も騙されて
いた感じも有るし、未だに違和感が拭えずにいるな。
この件はやはり想定外だったのではないか。
取りあえずジャバディをイランに逃がせば情報がバレても良いみたい
な扱いだったけど、何処までもジャバディの件では少しでも
漏洩すれば例えイランの地にいたとしてもジャバディの身に危険
が及ぶのではないかな。
ファラがジャバディに対して相当嫌悪感を露わにしていた。
感情を見せれば彼に操られるのがオチだとされるも、そんなキャリー
自身もCIA爆破の件では、ブロディ以外の誰が犯人であるのか
証明したい事実が存在し、ジャバディの口車に乗りそうな姿も有る。
彼女の中で生まれ育つ子供の存在を考慮すれば、よりその思いが
強いだろうけどね。
ベセスダの現場に行った際に、普通の捜査官ならば遺体を見て
嘔吐する姿が有るのだろうけど、彼女の場合明らかに妊娠が影響
しての気持ちの悪さが有るのだろうし、そんな状態での諜報活動を
することが出来るのかだよね。
妊婦だということで、彼女が飲んで居る抑鬱の薬なんかの子供への
影響も気になるし、ストレスがかかれば、流産の可能性も有る。
イランに帰国させたけど、それ以降はどうジャバディと連絡を
取るのか気になるものが有るし、CIAの爆破犯の一人として関与して
いるかもしれない元弁護士・ベネットの男のことを追っていくこと
になるのか。
「国の安全の為?あんたにクズだ。いつも事を悪化させるだけ。
違うのか?」(キャル刑事)
クインが今回の一件を通して、一つの人生の区切りをつけようと
している姿も有ったけど、キャリーから協力を求められて、また
ズルズルとこの道で生きる道を選んでいくのか。
「長年君らが続けてきた馬鹿な工作が4ヶ月前にCIA本部への攻撃
を招いたんだぞ。忘れたのか?易々と敵を信用した君らの失速が原因
だ。」(ロックハート)
「攻撃は攻撃を生む。報復は繰り返されだけ。くだらない連鎖を
断ち切る為に、中東全土を変革する為に計画だ」(ソール)
ミラはイラン系だかインド系だか忘れたけど、不貞に関しては
相当幼い時から罪の意識の重さとか心得ていそうな気がするんだ
けど、そんな彼女が浮気してしまうのだからなんとも言えないね。
■使用された曲
・Sean Callery Feat. Chris TedescoのHomeland Main Title
・Bye Bye Blackbird by Van Morrison with Chris White, Alistair
White, Paul Moran, Jeffery Lardner, David Keary and Paul Moore.
キャリー・マシソン (Claire Danes) CIA
ニコラス・ブロディ (Damian Lewis) 2003年行方不明、軍曹
ピーター・クイン (Rupert Friend) デビッドの部下、CIA職員
ジェシカ・ブロディ (Morena Baccarin) 妻、マイクと不倫
クリス・ブロディ (Jackson Pace) 息子
デイナ・ブロディ (Morgan Saylor) 娘
ミラ・ベレンソン (Sarita Choudhury) ソールの元妻
ソール・ベレンソン (Mandy Patinkin) キャリーの上司
アンドリュー・ロックハート (Tracy Letts) 上院議員
ダール・アダル (F. Murray Abraham) CIA職員
フィラ・シラジ (Nazanin Boniadi)
フランク・マシソン (James Rebhorn) キャリーの父
スコット・ライアン (Tim Guinee) CIA職員
カルヴィン・ジョンソン (Clark Johnson) ベセスダ警察
マジッド・ジャバディ (Shaun Toub) イラン情報省次官
アラン・バーナード (William Abadie) ミラと浮気
ロンザ (Vincent Irizarry) ベセスダ警察・署長
スーザン・ロバーツ (Emily Donahoe) ファリバの義理の娘
コート (Brett Gentile) Forensic Tech
— (Keith Flippen) Partner
ナヴィド (Ahmed Lucan) ザリンと精通