第7話 混乱 Redux
監督/Carl Franklin 脚本/Alexander Cary
【前回までのあらすじ】
ソールはカーンに逢うと何故サンディが殺されたのかと問う。しかし
彼は大将の顔を立てて来ただけで尋問は受けないという。ソールは
アメリカに戻ろうとした空港でガージの姿を目撃してクインたちに
報告すする。しかしガージを追いかけトイレに入るとソールは注射を
打たれて拉致される。タスニームに対して完了したと報告。
タスニームはデニスと接触すると何か掴んだかと問う。あの鍵を
使ってキャリーの部屋に入ったら薬局のようだったとし、撮影してきた
写真を見せる。クロザピンなど・・彼女は双極性障害だという。
マックスはファラにアーヤンが看護師から薬の袋を奪った事を語る。
キランはアーヤンにさよならも言わずに出て行く気かと問う。
キャリーはアーヤンのパスポートに追跡装置を仕込んだとして国境まで
追跡するという。アーヤンはキャリーに公衆電話から電話してくる。
バスの中では君の事ばかり考えていた・・愛していると。
アーヤンが接触した連中は全員がハッカニ一味だとし、標的が現れたら
確実に抹殺するというキャリー。ジョンはハッカニが来たとするが、
クインはソールも一緒に捕らわれるて居るという。ハッカニはアーヤン
に対してキャリーは敵だとして今も無人機が上空で監視していること
を告げお前のせいでこのざまだと語ると、ハッカニはアーヤンを
射殺する。キャリーは感情的になり早くハッカニを空爆するのだとして
リーパーワンに攻撃してと語る。しかしクインは辞めろと命じ、キャ
リーに対してアソコにいるのはソールだぞと語る。
【ストーリー】
薬を処方する薬剤師はタスニームに渡す。
アメリカ大使館。
マーサの元にロックハート長官がアメリカからやってくる。全ては
ソールが拉致されたという情報を得たからだった。
パキスタン代表団との協議は11時半からだというマーサ。連中がソール
の解放に協力するとは思えないというロックハート。マーサは
論点をまとめて置いたとして資料を渡す。
ロックハートは副支局長のジョンとクインに逢うと、支局長のキャリ
ーは?と問う。職務からハズされているとし作戦遂行中の命令が拒否さ
れて明らかに動揺しているというジョン。その命令はソールを犠牲
にしてもハッカニを抹殺するというアレなのかと問うと、その時の君
の判断は?と尋ねられ、ボスの命令に従うべきだという。クインは
ハッカニに協力者を殺されて彼女は重圧がかかっていたという。冷静
じゃなかったというのかと問い、つまり感情に流されていたのかと
問うと、逆だという。心を鬼にして強攻策を採ったのだという。でも君は
それに反対したと・・助かったというロックハート。すぐにキャリー
を呼んできてくれとし、総力で当たらないといけないという。
その頃キャリーはマックスとファラとアーヤンが接触していた看護師
を調べていた。薬がハッカニのものだという根拠は何処に?というファラ
に対してアーヤンから直接聞いているという。何の薬なのかと問われ
キャリーは聞いておくべきだったと語る。キャリーはファラに対して
私が彼を死なせたと言えば良いと語るが、ファラは”みんながよ”と
語る。
クインはキャリーを部屋に呼びに行く。居ない為に電話すると何処に
いるのかと問う。ロックハートから呼び出されているとし怒っている
という。キャリーは”クソっ”と言うとすぐに行くと言ってくれと語る。
現在ソールを探しているのだという。マックスは看護師の名前が分か
ったとし、ウンメ・カルサム(Umme Kalsum)だと語る。居場所が分かっ
たら知らせてというとキャリーはロックハートの元に向かう。
その頃キャリーの部屋にはデニスが侵入していて危うくクインとすれ
違うところだった。デニスはキャリーのクロゼパムの数を数えると
それをトイレに捨てて同じ分だけタスニームから手渡された薬と
入れ替える。疑われないように写真で場所まで撮影して、元に置いて
有ったとおりの場所に置くのだった。
ロックハートは披露宴への誤爆にサンディの殺害、そしてこれ(ソール
の誘拐)だとして、この支局は機能障害を来しているという。しかし
ソールを取り戻せるのは君たちにかかっているのだと語る。彼が拉致
されたまでの捜索活動は難しいとし公開捜査をしたらどうかという。
CIAはただでさえワシントンでは厳しい目にさらされ火に油を注ぐような
ことはしたくないという。表向きハッカニの捜索でいうという。
キャリーはロックハートに対してハッカニの手がかりがあるという。
彼は重病人であり恐らく専門医が居る近場の病院に向かっているという。
病名は確認しているとのこと。
そんな中ロックハートにパキスタン代表団が到着したとの連絡が入る。
一方ソールはハッカニと共に車で走っていた。
ソールは分かっていると思うが私には諜報員に関する価値は無いと
いう。私の知っている情報は古すぎると。しかし君に価値があるのは
証明済みだとし、この自由・太陽を浴びながらドライブ出来るとし、
堂々と移動したのがいつかは思い出せないという。
ソールに結婚しているのか・・・子供は?と尋ねるハッカニに対して
妻が居るという。私は3年以上妻に逢っていないとし危険だからという。
息子と娘にも同様で、君に想像出来るかと。ところがやっと逢える
とし君のお陰だという。「神が私に人間の盾を与えたもうた」と語る。
■感想
なかなか難しい展開・状況が訪れているけど、ハッカニはタリバンと
してはかなり穏健派な感じにも思えてしまうところが有る。今現在の
現実社会で起きている自爆テロが頻発しているところを耳にしている
からだろうか。
勿論アーヤンを殺したり親戚の結婚式を犠牲にしているので言い訳の
しようもないところだけどね。
大抵のタリバンはソールみたいな人物を捕まえればまず間違いなく
力の誇示を見せつける為に、断頭刑のようなことで処分してしまうけど、
ハッカニが人間の盾と称してソールを活かしている事で、ハッカニ側
としても相当彼の生存の価値に気がついている。
ハッカニの故郷はミランシャーという所らしく、過去にダン・デ・
デルパケルへの空爆をして以降は地上部隊は近づけずに居るということ
で、CIAも手が出せずにいる。そもそも相手もアメリカが襲撃してくる
ことは見越しているので、迎撃されれば相当な被害が出ることは明らか。
ハッカニが戦略家であることは、アーヤンと遭った時の行動にも
現れていた。彼はソールを手放して仲間の解放をアメリカと
取引しようとしているみたいだけど、寧ろソールが居てこその自由が
有るのでそんなに容易に手放すものだろうか?
しかしソールに自由に発言する機会を与えて討論する夕食でのワン
シーンなどとても興味深く、宗教論争に於いてハッカニが、一方的に
自分たちの価値観を唱えるのでなく、ソールの発言に耳を貸す所など
意外なところもある。勿論ソールが正論を振りかざしたところで、
「イスラム教こそ唯一公正で神聖な社会の作り方を提示できる」
と盲信している彼らに説き伏せることなど出来ない事は承知している
のだろうけど、相手がキリスト教の矛盾点を指摘してきた際に、
ソールがオレはユダヤ教だと語る辺りが笑えるところだった。
どんな立場の人間であれ、妻子を愛するところはあるんだなって感じ。
ただハッカニはカルト教団と同じで、多くの子供がいるところ
が有った。そして家長として絶対的な権力を誇示し、アルワンドが
敵だと称してソールに靴を投げつけるシーンでは、ハッカニがそれを
許さなかった。
■ロックハート、イスラマバードに来る
元CIA長官のソールが拉致されていることも有って、現CIA長官の
彼がやってきた。ただ今のイスラマバードを見るとロックハート自身
が拉致されてもおかしくはない。
彼はどちらかというとハッカニ一味掃討作戦に於いてはキャリーの行動
に理解を示していた側の人間では無かろうか。
マーサ大使と共にパキスタンの代表団と協議するシーンが有り、
マーサとしては協力体制を取り、改めて助け合おうようとしたのに対して、
ロックハートは大統領の勅命を受けて強硬派の立場で協議に挑む。
年間アメリカがパキスタンに援助しているのは20億ドルの援助の見直し
を突きつける。
「問題は警備の不備ではない。拉致は敢えて見逃された。パキスタン
の諜報機関と軍にハッカニの信奉者が多数居るのは事実だ。」
「パキスタンの二枚舌外交こそ許し難い。」
マーサはこれまで築いた関係性を無にされたと激怒していたけれど、
正直常識が通じる人たちでもなさそうで、マーサがしているのは、
まるで北朝鮮相手に10年の間、太陽政策を唱えていた韓国と同じだ。
何せこの会談の中には、ソールを誘拐して、CIAのサンディを殺害した
ガージと精通するタスニームが居たし、カーンなどの姿が有る。
ただ個人的にカーンは意外とアメリカよりの事をしている人
なんじゃないかなと思う所も有るので、この辺は薬が切れている
キャリーを保護した後の行動の中にどんな態度を見せていくのかで
判明していきそうだ。
■唯一の打開策?
アーヤンが受け取っていた病院からの薬はハッカニの為のもの。
アーヤンが接触していた看護師の名前がウンメ・カルサムだと判明
するが、あれ以来行方不明になっている。
残すところアーヤンのことを知っているキランが何か知っているの
ではないかとして薬のことを聞き出そうとするキャリーだが、
既にこの時には、キャリー自身がデニスの保身の犠牲となって
すり替えられた薬を飲んでいて、双極性障害の症状が出ていた。
蛍光灯の音が聞こえたり、雑音が幻聴のような状況で伝わるけれど、
キャリーの薬がすり替えられたことに気がつくのはどんなシーン
なのかな。
■ベナジルブット国際航空の映像
ソールが拉致された時の映像は都合の良いところだけシステムが
稼働して折らず大事なところが見られなかった。カーンは全てを
見せようとしていたけれど、それでも一部は彼が意図して隠そうと
しているのか。それともカーンとタスニーム、ガージは繋がっている
のかどうか。まだ明確にタスニームとカーンが繋がっているという
のは不透明な気がするのだけど、どうなんだろうね。
■マーサの進退問題
夫のデニスは彼は諜報活動に目覚めてしまったようで、ここに
するのも住めば都状態。必要とされていると勘違いしているのだろう
か。
マーサは、自分には本部からの作戦は知らされていない為に辞表を
提出しようとしている。自分は必要とされていないとこちらはデニス
とは対照的な心理的状況に有る様子。デニスは今度は引き留めること
に必死だったけど、この二人はその内デニスの告白で協力していかな
いか不安だ。
■ソールはアフガニスタンへ
「帝国の墓場」に連れて行かれるソール。
会話を聞いていると、タリバン地域やイスラマバード内の病院では
ウルドゥー語が使われている野に対して、アフガニスタンはアラブ語
が使われていた。
この辺の流れから出身・民族、そしてどの地域にいるのかが分かる
ところがあるのかな。
■キャリーが見た光景
キランに話を聞きに行った辺りからキャリーの目に写る光景は何処まで
が現実なのかどうか見た目通りのものとは言えないところがある。
クインを殴っていた様にも思えたし、追いかけてきた警察官を射殺して
いたような光景が有ったけど、幻覚だった。
そして最終的に連れて行かれたのは豪華屋敷。
ブロディの陰にキャリーは恐れていたのは、潜在的な罪悪感が目の前
に形として現れたのかなと思うけど、ここでブロディを出したという
のもファンサービス的なものがあるのかな。
■使用された曲
・Homeland Main Title
Performed by Sean Callery Feat. Chris Tedesco
■出演者
キャリー・マシソン (Claire Danes) CIAカブール支局長
ピーター・クイン (Rupert Friend) CIA職員・イスラマバード支局
ファラ・シェラジ (Nazanin Boniadi) CIA職員・金融
マーサ・ボイド (Laila Robins) イスラマバードの大使館員
アンドリュー・ロックハート (Tracy Letts) CIA長官
ソール・ベレンソン (Mandy Patinkin) 民間軍事請負業者
ジョン・レッドモンド (Michael O’Keefe) CIA・イスラマバード支局
デニス・ボイド (Mark Moses) イスラマバードの大学教授、マーサの夫
マックス (Maury Sterling) チームキャリー
アザール・カーン (Raza Jaffrey) パキスタン情報局(ISI)
タスニーム・クレシ (Nimrat Kaur) デニスに仕事を依頼
ヘイサム・ハッカニ (Numan Acar) 過激派、タリバン
キラン・ジャファリ (Shavani Seth) アーヤンの友人
バニー・ラティーフ (Art Malik) パキスタン外務大臣
ハンク・ウォンハム (Alex Lanipekun) CIAガブール支局
ニコラス・ブロディ (Damian Lewis) 幻覚の中でキャリーが目にする
ブライアン・チェイス (Aidan Whytock) CIA局員
— (Vaughn Lucas) Security Guard
アルワンド (Roberto Meyer) ハッカニの息子
オベイド (Rameez Nordien)
— (Michal Banai) ハッカニの妻
— (Chi Mhende) Aide
— (Yves Garnier) PAF Lieutenant
— (Lemogang Tsipa) Drone Officer
— (Gulam Mahomed) Elderly Patient
— (Waheed Samsoodeen) Large Man
— (Gary Green) Tech