第10話 赤レンガの虚栄 Red Brick and Ivy
脚本/Eoghan Mahony
監督/Paris Barclay
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カリフォルニア州リーランド大学・ストゥッツァー研究所。
この日、大学学長のスターンはシンポジウムで偉大な功績を
称えて研究所の教授たちのスピーチをしてもらう予定だった。
「人間の精神は広大な宇宙です。その内なる宇宙の探求が
今ようやく始まりました。」
スターンは脳内宇宙飛行士であり、神経科学分野に於ける
希望の星で我がリーランド大学の貴重な教授のアレックス・
ネルソンを紹介し壇上に上がらせる。アレックスは妻のエミリ
ーと共に来ていた。そんな講演を立ったまま見守っている
金髪の女性・ソフィー・ミラーの姿も有る。
アレックスはスピーチしようとして水を飲むと突然その場に
倒れてしまう。エミリーは駆け寄るとすぐに助けを求める。
CBIのリグズビーの元に電話が鳴る。
電話はパトリックにかかってきたもので、リグズビーは彼を
見つけるとソフィー・ミラーという人から電話だという。
パトリックは出るべきか迷う中、出る事にする。
パトリックはリズボンのオフィスに行くと、州立大で事件が
起きた場合、ウチが捜査するのだろうと尋ねる。するとリズボン
はウチが捜査権を主張すれば可能だという。リズボンに対して
パトリックは頼みがあると語る。
捜査官のマクヴィカーはソフィーのことを取り調べしていた。
ネルソンが飲んだ水の中にシアカ化水素の10%溶液が含まれて
いたこと。人を死に至らしめる毒だとすると、ソフィーは刑事に
対してミラー博士と呼んでという。しかしここでは肩書きなど
意味がないとし、被害者と事件前にあなたが言い争っているのを
見た人がいるのだという。また事件直後に現場から立ち去る
貴方が目撃されているとのこと。被害者とあなたは二年前に
離婚しその後、2度に渡って暴行で逮捕されているという。また
殺すという脅迫もしていること。彼はそれで接近禁止命令を出して
いた事を告げると、ソフィーはそれならば私も彼に対して接近禁止
命令を出している事を告げる。アレックスが再婚したことで頭に
来たのではないかと問われると、私たちは研究の為に過去を忘れる
ことにしたのだと告げ、私を犯人だと決めつけている様なので
今後は弁護士が来ないと何も話さないと語る。
そんな会話を聞いていたリズボンとパトリック。
パトリックに対して彼女が犯人だと分かったかと問うと、彼女
は犯人じゃないと語る。本人がやっていないと言っているのだ
とし、彼女はウソはつかないのだと語る。それでもウソを付いて
いたらどうするのかと問うと逮捕するしかないという。でも
犯人ではないと語る。リズボンはあの人は誰で、どういう関係なの
かと問うが、パトリックは知らない方が良いとして話さなかった。
リズボンはマクヴィカー刑事に話して、彼女の犯行を裏付ける
証拠はないとして釈放を求める。しかしマクヴィカーはソフィーは
今朝そちらの署に電話している事を告げ、本人が捜査官を選んで
いるのではないかと問われる。電話は偶然ですよというリズボン。
そんな中、新人警察官がマクヴィカー刑事の元にやってくると、
大学のキャンパス中に貼られているとしてチラシを持ってくる。
そこには「動物平等連合(AEL)は正義を見た。罪が無い動物たちを
殺したネルソンはその罪の代償を払ったのだ」と書かれれていた。
リズボンたちは貼り紙について更に詳しく調べると、そこには
「AELはリーランド大学が動物実験を辞めないと次は怪物ストゥッ
ツァーが大虐殺の報いを受ける」と書かれていた。
ミネッリ局長の元にスターン学長、そしてリズボンがやってくる。
ルイス・ストゥッツァーは世界最高の神経学者の一人で我が
ストゥッツァー研究所の創設者だというスターン。ネルソンと
ミラーはストゥッツァー研究所の同僚だという。そしてラボの
副責任者だったこと。我が校はストゥッツァー研究所によって
成り立っているので事件を迅速且つ慎重に解決して欲しいと語る。
またストゥッツァー博士の警護も頼むと告げる。
ミネッリはリズボンのチームを捜査にあたらせる事を告げ、州
で一番の検挙率である事を語る。
しかしミネッリが学長が去った後に、リズボンに対してなんで動物
実験絡みの事件など引き受けたのかとして厄介だと語る。
パトリックはリズボンにお礼する。
そんなパトリックに真実を話してと告げると、彼は「ダースベーダー
はルークの父だ」とおちゃらけるが、今まで何度も貴方のことを
庇ったでしょと告げちゃんと話をして欲しいと語る。ミラーとは一体
あなたの何なのか。
パトリックは精神科医の担当医だとし、彼女は優秀な医者だった
ことを語る。鍵のかかった部屋にいたこと。パトリックは事件
の後暫く病院にいたがその時に彼女に世話になったのだという。記録
は伏せてもらっていた事を告げ、精神がまいるのは恥ずかしいもので
はないがそれでもやっぱり恥ずかしいのだと語る。隠していてゴメン
と告げる。
そんな中、ヴァンペルトがやってくる。
防犯カメラには不審者は写っていないこと。AELはネット上でも
大学を非難している筋金入りの愛護団体だという。過去には
食肉処理場、動物実験施設に火炎瓶を投げているという。
チョウはシンポジウムの会場には警備がいなかったので毒は
誰にでも入れるチャンスが有ったとし、ペットボトルにはネルソン
以外の指紋は付着していないという。また購入先も不明とのこと。
大学にいくと、ストゥッツァー博士の助手のケリー・シーハンに
案内してもらい博士に逢いに行く。パトリックはケリーに
ネルソンはどんな人だったかと尋ねると、いい方だという。しかし
何か奥歯にものが挟まったいい方だった。
リズボンとパトリックはストゥッツァー博士の元にいくと、
ネルソンについて尋ねる。彼は一流の研究者だったとし、これで
計画が何ヶ月も遅れてしまうと語る。どんな研究をしていたのかと
問うと、「悪の治療法・・悪魔の退治法」だという。脳の中で
道徳的判断を下す部位を我々は突き止めたこと。帯状回という帯状
組織で大脳の内側にあるもので、そこは善と悪を生み出すのだという。
我々はそこが正しく機能しない時の調整方法を見つけたのだとし、
「道徳エンジン」によって調整出来ることを語る。
魂とは何で出来ているか分かるかと問うと、パトリックは
カエルとカタツムリで犬の尻尾?と語る。リズボンは思わず笑い
を堪える中、魂は電気であり、人間の本質は高速で流れる一連の
電気パルスであり、道徳観念に脳内スイッチで我々はそれを善悪に
切り替える方法を探っているのだという。動物実験で確かめている
としてチンパンジーの姿を見せるのだった。
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リーランド大学のストゥッツァー研究所で勤務していた神経科学
の研究者・アレックス・ネルソンがシンポジウムでの壇上で
シアン化水素の10%溶液が含まれている水の入ったペットボトルを
飲んだことで亡くなったことを知る。彼に恨みを持っていた人物
は誰なのか。
容疑の目はアレックスの元妻で彼から接近禁止令を出されている
同僚研究員のソフィー・ミラーが挙げられるが、そんな彼女から
パトリックに電話が鳴る。パトリックは過去に妻子が殺されて
入院していた際に、ミラーが精神科医として彼を助けてくれたこと
も有り、微妙な気持ちで助けていくことになる。
今回は精神科医とか神経科学を研究しているものたちとのやりとり
だった故に、以前にパトリックの前に現れた超能力者同様に
案件としては手こずる一面が有るのかなと思っていたけど、
意外とあっさりとしたものがあったかな。
ただ今回の展開を見ると、人の性格や役割は二分出来るものが有り、
支配するものとされるもの、善と悪というのに大別されるものが
有るんだなという感じ。
今までパトリックは支配出来る立場にいてそれを突出させていた
ことで家族に災いが起きる事になったけど、今回の一件に於いても
支配するものが結果的には殺されてしまった。
男性はとかく女性を支配したがるとされるけど、このドラマで
殺されたアレックスも善人でありながらも他人に過干渉し、
自分好みの女性像を求めて変えて居たという私生活の部分が明らか
にされていた。
気が付くと金髪で似たような人物はアレックスと不倫していた
みたいな流れが有るけど、アレックスは潜在的にはソフィーの
ことを求めていたのだろうか?それともソフィー自身も彼にとって
は母親の影とか象徴すべき女性像を求めていたというところなのか。
支配したがるのはリズボンも同じ。
車を運転したがるものは大抵そんな性格を持ち合わせているのだろう
けど、そんな事情を見ると「NCIS:LA 極秘潜入捜査班」に於けるサムと
カレンのような関係にも思える。そんなリズボンが今回、パトリックに
対して譲ろうとしたことが何を意味するのか。
パトリックが少しずつ過去の自分のことを語りだす傾向は悪いこと
ではない。ただ今回の一件に於いては、リズボンは捜査上パトリック
に事件関係者のソフィーとの関係を強引でアレ尋ねなければならず、
ソフィーにしてもパトリックが助けてくれるであろうことを知って
連絡したのだろうけど、事件の関係者が捜査に感情を持ち込むこと
のリスクさを考えると、パトリックがこの一件に関わるべきでは
なかったのだろうね。
まだまだレッド・ジョン事件に関しては解決しそうにないけど、
傷ついた時のパトリックの様子が描かれた。彼としては思い出した
くない過去ということも有り、ソフィーと関わりたくない面も
有るのかも。彼女を前にすればパトリック自身の中の捜査の勘が
狂うことも有りそうだしね。感謝しつつ最後は頬にキスする姿。
それを見たリズボンとしてはどんな気持ちが有ったのかな。
正直回想シーンは演出的にはイマイチ挿入の仕方がよくなかった
感じがする。
パトリックのジョークに不機嫌そうなリズボンが笑いを堪える
というシーンがドラマとしては魅力だ。平和を作ろうとしている
という教授のセリフに対して「サルの攻撃から守る?」とした
際には、リズボンも笑いそうになっていた。
今回は三人組(笑)があんまり出てこなかったな。
脳をいじって善人ばかりの世界を実現しようとしているという
主張は「アルジャーノンに花束を」と似ているところが有った。
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パトリック・ジェーン (Simon Baker) 犯罪コンサルタント、CBI
テレサ・リズボン (Robin Tunney) CBIの捜査チーム・上級捜査官
キンブル・チョウ (Tim Kang) CBI捜査官・元軍人
ウェイン・リグズビー (Owain Yeoman) 放火事件のエキスパート
グレース・ヴァンペルト (Amanda Righetti) CBIの新人捜査官
ヴァージル・ミネリ (Gregory Itzin) CBIの捜査チーム・責任者
ルイス・ストゥッツァー (John Aylward) ストゥッツァー研究所・教授
エド・マクヴィカー (Mark D. Espinoza) 刑事
エミリー・ネルソン (Sarah Lafleur) アレックスの妻、後妻
スターン (Lawrence Pressman) リーランド大学・学長
ソフィー・ミラー (Elisabeth Rohm) ストゥッツァー研究所・博士
— (James Di Giacomo) 新人警官
— (Anise Fuller) 女性の学生
— (Jack Nathan Harding) Medical Examiner
アレックス・ネルソン (Mark Hengst) ストゥッツァー研究所・教授
— (Alvin Lam) 学生
ハウィー (Jonathan Spencer) 動物平等連合(AEL)
ケリー・シーハン (Deborah Ann Woll) ストゥッツァーの助手