第9話 小さな死 A Little Death
脚本/Jenny Bicks 監督/Anna Boden、Ryan Fleck
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【前回までのあらすじ】
アンドレアはミックのノリが好きだとし、ミックはアンドレア
の全てが好きだという。そんなミックが職場から商品を盗んで
いるのを見たポールはそんなことしたらダメだとするが、治療
費で首の回らないポールは俺も参加して良いかと語る。
ラグビービッチことティナとポールはかつてキャシーとケンカ
している間に”テコキする”相手だった。レベッカが妊娠した
ことでショーンは感謝祭の日にプロポーズするがレベッカの容体
が急速に悪化して救急車で運ばれる。
【ストーリー】
この日レベッカとキャシーは葬儀店に来ていた。レベッカは
もっと豪華な棺を用意したいとするが、キャシーはシンボルとし
て置くだけで良いので形だけで良いのではないかと語る。しかし
レベッカはこれぞ棺という感じのものを見せてというと、私の
血を分けた娘の死なのよと語る。キャシーは店員に彼女は流産
したことを語り気持ちの整理をつけようにもまだ4日しか経過
していないのだという。レベッカが豪華な棺を買うというので
何も入れるものがないでしょというが、店員も商売人でお母さん
の思いが入りますと煽る。更に悲しみを乗り越える為に色々と
するようセールスしてくる。キャシーはレベッカに私が流産した
時には木を埋めた事を告げるが、レベッカは悲しく湿っぽくなる
のは嫌なのだという。18週間お腹の中に居てくれたこと。命を
祝いたいとし笑顔で送ってあげたいと。店員はメモリアルサービスは
黙想の部屋があるというと、レベッカはインスタント写真のフォト
ブースや寿司バーもつけてと要求する。キャシーはレベッカの
悲しみに寄り添いたいと思うが葬式に寿司バーはどうなのかという。
私は元々子供に縁がないとし、真剣に欲しかったら若くて子宮
が劣化する前に何が何でも産んでいたという。寧ろショーンが
心配で彼は投薬を辞めたのだという。ベビーキャシーを失った
悲しみととことん味わいたいのだという。棺の埋葬はどうするのかと
問われると、トルキー家の墓に埋葬するという。しかしキャシー
はそんなところはないと語るとレベッカはあんたはガンでしょと
告げ、考えた方が良いのではないかという。今ならば区画が有り
ますよと言われる。
キャシーは帰宅するとポールに今の棺は通風口もつけられるみ
たいよと語る。ポールはキャシーは葬式のパンフを見ていること
に違和感を覚えるが、キャシーは話合わなければならないこと
だという。全然用意もしていないとし埋葬場所も決めていない
と。ポールは全てレベッカのせいだと激怒。
アダムはブレントの家にいくという。ショーンと出かける予定
だったが、今の叔父さんはなんだかおかしいのだという。胎児
を崇拝しているみたいだと。
そんな中ショーンは死亡広告を出したとして告示しないといけない
という。20週を超えないと出生証明も死亡証明ももらえないとし
酷い話だという。この世に存在しないみたいに抹消しようとして
いること。ある新聞社が自分に同情してくれて20ドルで載せてく
れたのだという。キャシーは辛いのは分かるとすると、ショーン
は未熟児の病棟に一度行って見ろという。赤ん坊はドングリみたい
な大きさで頑張って生きていること。彼らを抱っこするボランティア
も有って発育を促すのだという。キャシーはクスリを止めたのか
と問うと何で自分をいじめようとするのかと問う。辛さをとことん
味わいたいんだと語る。
ミックは倉庫から大量に白昼堂々トラックに商品を詰め込んで
盗み出す。ポールは呆気にとられるがオーウェンは休憩して
いるとし今居るのは俺たちだけだという。ポールは盗みは認めて
いないとするが、盗みに参加して分け前を受け取る。俺はガム
の万引きだってしたことがないとするが今、妻の医療費のために必要
なんだという。ミックはみんな色々あるとし、俺は家賃を払った
に残りはアンドレアに使うという。彼女はキラキラ好きだと
するとポールは彼がアンドレアを本気で好きだという事を知る。
デカイパンに惚れないかとするとポールは分からないという。
俺は惚れるのだというミック。
アンドレアは葬式に着ていく服を作っていた。
葬式は恐いのでなるべく光り物をつけるとキャシーに語る。
家族が変わり者でゴメンというが、寧ろ居候していなければ
ミックに逢えなかったという。真剣な付き合いなのかと問うと
ママみたいだというアンドレア。
何でも相談してくれというキャシーに対して、ミックとはヤル
と思うと語る。婦人科に連れて行くか、外出禁止にするかと
キャシーは語るとやっぱりママみたいだというアンドレア。
経験は有るのかと問うと初めてかもという彼女。乙女を前にする
と緊張するというキャシー。アダムは初体験の話をする前に勝手
に経験してしまったという。アドバイスは頼んでいないという
アンドレアに対してキャシーは一つだけ言わせてというと、
期待はうんと低くねと語る。セックスは全然よくないが相手には
絶対大切にしてもらってと。そうすると特別なものになるという。
私の初体験はビーンバッグチェアの上でしかも5分で終わった
という。
そんな中レベッカがキャシーの元にやってくると、葬式で
スピーチを頼まれてと語る。ロバート・フロストの詩で良いもの
があるというと、そうではなく弔辞みたいなものを頼むとのこと。
しかし弔辞となると生前のことも言わないといけないのではないか
とするとキャシーならば何とか考えてくれると語る。
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レベッカのお腹の中の子が亡くなってしまったことで、レベッカ
は盛大な葬式を出すことを決める。キャシーとしては大袈裟だ
として悲しみにくれ、正しい判断を見失うレベッカに寄り添おう
とするが、寧ろ彼女はキャシーに対して亡くなった時のことを
考えるべきなのではないかと告げる。レベッカからショーンが
悲しみをより味わう為にクスリの服用を辞めたとされる中、
キャシーも自分の死のことを想定して行動を起こす。一方アダムは
ネットで自分と同じ境遇に居るような人物を捜すと、POPPY17という
HNの人物に声を掛けられCHATした後に逢う事になる。実際に逢うと
彼女はキャシーほどの年齢で驚くが、彼女は親が肺がんで一応私も
「がん患者の子供」KOCに該当するということで話合うことになる。
なんだかテーマとしては徐々に分かりづらくなっている感じもする
けど、お騒がせレベッカが起こした行動を通して、色々と生きて
いるウチにやるべきことというものを実感していく流れが有った
のかな。
倉本聰さんが日本のドラマの脚本の中で(「風のガーデン」)
中井貴一さん演じる末期がんを患う白鳥貞美が生前葬というもの
を行い、死ぬ前に旧友と逢って今のウチに別れを告げ、そして思い
を告げるというシーンが有るけれど、なんだか今回のエピソード
はそんな感じだった。
キャシーが亡くなったとする告知を新聞に掲載。
アメリカの新聞広告には結婚したことが掲載されたり死亡記事
が掲載されるけど、ニューヨークだけでなく地方紙でも同様の
ことが有るのだろうか。
しかし実際に亡くなったのはベビーキャシーであり、キャシーが
亡くなったと知って集まったものたちであふれかえり、レベッカ
としては、自分の娘の為の葬式だったハズが主役をキャシーに
奪われたことで憤怒する姿が有る。
キャシーの元には水泳部時代の仲間が集まり、レベッカとして
は複雑。上述したように楽しんで欲しい気持ちは有るけど、
それはベビーキャシーの為のもの。キャシーを奪われただけで
なく、支えて欲しいとする人物がダレもいないことに気が付いた
レベッカ。
更にこの世に誕生していない赤ちゃんにとっては、当事者だけの
問題として認知され、政府や役場も当然認知せず、彼女がこの
世にいたという存在自体がないものとなることへの焦燥感なんか
もショーンの口からは発せられていた。それはそれで仕方がない
ことだと思うけど、ショーンとレベッカは赤ちゃんが出来た
ことで繋がって居ただけの関係に見えただけに、それを失ったときには
二人の関係としてはこれ以上留めることは出来ないのかな。
一応結婚しようとしてプロポーズは成立しているんだけどね。
キャシーが死んだと思っていたことも有り、ネタ的にはゾンビが
引き合いに出されることが有った。ラグビービッチがポールの
為にやってきたけど、キャシーが死んでいないと知ってガッカリ
したのか。キャシーは死んだ後にもポールに触れたら墓から出て
くるようなことを口にして脅していたり、死んだ後のことを想定
して眠るハズの墓の上に寝てみたり、墓参りに来たら投げキスを
していると思ってとポールに語っていたけど、流石に死後のこと
まで考えるべきことなのか。
キャシーはベビーキャシーの為に弔辞を読む中で、キャシー本人
は忘れていたけど、昔ジェリーを慰めた際に使った言葉を改めて
使用していた。キャシーの言葉は自分の死が目の前にあるから
こそ説得力が有るのだけど、周りの人は変にキャシーに同情する
ことがないところは凄いなと思う。
そしてレベッカとしては、キャシーとの再会に関して、自分達の
再会は正しいものだったのかを語るシーンが有った。
互いにまるで性格の違う二人。20代前に出会った為に関係を続けて
いるが、大人になった今知り逢ったら友達になれたのかどうか。
20代がピークなのかも知れないことを口にしていたけど、
人との出会いで転がる人生の方向なんかも変わっていくようね。
ショーンと出会い。僅かでもあるけど母親としての気持ちを味
わえたことの喜び。これは同時に死の悲しみというものも
感じてキャシーのことを労って欲しいところも有るけどね。
ただ死の悲しみを知ったからこそ、こんなところで貴重な時間を
潰しているヒマはないと感じたのだろうか。
シカゴに戻るということで今回がレベッカの登場の最後の
エピソードだった。キャシーが亡くなるとしたらまた集まるハズ
なので結局もしかすると完治していくのかな。
アダムが知り逢ったポッピーという女性。
彼女自身がガンなのかな。手に腫瘍のようなものが見えた感じ
がする。
ミックとアンドレアの関係はどうなるか分からないけど、
車の揺れ方からすると取りあえず不謹慎にも今回葬式の場で
結ばれた様だ。
しかしミックの窃盗の流れは万引きレベルではなく窃盗団レベル
のものなので相当ヤバそう。
そしてショーンはお尻にタトゥーを入れる姿が有り、クスリも断薬
しているけれど、最後に赤ちゃんを抱く姿を見ると癒される
ものが有りそうで一応安心なのかな。依存性がありそうなので
ちょっと恐い結末も考えられるんだけどね。
■使用された曲
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キャシー・ジェイミソン (Laura Linney) 43歳、妻、高校の教師
ポール・ジェイミソン (Oliver Platt) キャシーの夫
アダム・ジェイミソン (Gabriel Basso) 高校生、15歳
ショーン・トルキー (John Benjamin Hickey) キャシーの兄
アンドレア・ジャクソン (Gabourey Sidibe) 生徒、デブ
レベッカ (Cynthia Nixon) キャシーの親友
ポッピー・パメラ・コワルスキー (Parker Posey) がん患者の子供KOC
ミカイロ (Boyd Holbrook) ウクライナ人、販売店、”ミック”
ティナ (Nadia Dajani) “ラグビービッチ”、酒と女
ジュリー (Seana Kofoed) キャシーの高校の水泳部時代の友達
— (Jason Antoon) Funeral Director
— (Paul Desiderio Jr.) Funeral Worker
— (Teena Byrd) Burger Joint Patron
— (Theodore John Forsi) Mourner