第9話 裏庭の情事 The Ecstasy and the Agony
脚本/Jenny Bicks 監督/Tricia Brock
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【前回までのあらすじ】
レニーは友達がアートの個展を開くためバハマに行くことを
告げるとキャシーは自分もいく事を語る。誕生にしたいこと
とはこれだという。しかし帰宅するとポールが気の合う仲間を
集めてサプライズのパーティーを開いてくれていた。
しかしキャシーは喜びの余り、20年間こんな楽しいことは
なかったことを口にしてしまい、ポールは20年間といえば
俺と一緒にいた時間の殆どだとして、激怒してしまう。その
光景を見たキャシーはレニーに電話して一緒にバハマにいく
と語る。
【ストーリー】
日焼けしたキャシーは帰国すると、アダムに車の運転の練習を
していた。ちゃんとミラーを見る手順を忘れない様、1-2-3と
して必ず確かめる様語る。そんな中2のミラーから父が見える
というアダム。スクーターでやってきたポールは、二人に何を
しているのかと問う。アダムは運転を教わっている事を告げると、
ポールはまだアダムは14歳で有り免許を取るには1年先だろう
と語る。教えているだけで運転させる訳では無いというキャシー
は私が教えたいからしていることだという。ポールはそれならば
車の運転はお前が教えて、俺はバハマへの逃げ方でも教えるか
と嫌みをいうと、それもお前が教えた方が良いと語る。
アダムは辞めてくれとして二人の行動を止める。キャシーもポール
に対してアダムの前では自制してと語ると、切れずに話すなんて
お前とは無理だという。昇進祝いのディナーの為にスーツを
取りに来ただけだというと、キャシーはおめでとうと素直な心で
語り、ディナーに一緒に行った方が良いかと問うが、ポールはまた
嫌みの如く、俺よりも自分がチヤホヤされたいだけだろうとして、
俺ってキレてしまうんだと語る。
キャシーはトッドの診察を受けると、保険ではスキャンの医療費
には7割しかカバーされない事を知る。保険の駆け引きも7割しか
払うのを辞めようと思うというキャシー。スキャンはいざという
時の為に取って置かないといけないという。キャシーはガン治療
の治験の件で何か分かったか?と問うと、本来はそれは無料でしょ?
と問う。トッドはわかり次第すぐに知らせると。
キャシーはPCのモニタを見ると、ジュリーに何時プロポーズする
のかと問う。何で知っているのかというトッドに、そこのPCの画面
の指輪は間違って飲んだ患者のものでない限り、プロポーズする
為に見ていたとしか思えないという。トッドはもうそろそろかと
思っているとし時間的にも・・と語る。5年間付き合っていること。
キャシーは何だか変な感じだとし、先生とジュリーの2人が洗濯もの
を畳んでいる時にキッチンタイマーが鳴って、先生は跪いてジュリ
ーに時間だよって言っているようなものだという。そう言われると
ロマンチックではないなというと、キャシーはロマンチックと言えば
バハマだと語る。私は誕生日のご褒美で行ってきたとし、夫とは
別れたという。それを聞いたトッドは別れたのはキャシーがガン
だと聞いて逃げたものだと勘違いする。最低のタイプだというと、
逃げる男はイルのだという。苦しんでいる病人を放り捨ててよく
そんなことが出来るというトッドに色々有るのよというキャシー。
しかしそんなのは無いというトッドは式でも病める時も健やかな
時も・・と言うだろうと語る。それを聞いたキャシーはジュリー
はイエスねと語る。
キャシーは授業をする中、「噛むビタミン」と書かれた錠剤のビン
が床に落ちている事を知り、生徒たちに問い詰める。
これは魅力的なものだとし、甘いお砂糖とフルーツパンチの良い所
だけを全部取ってチョークの粉をミックスしてサプリにしたもの。
奇跡ねというと、放課後に床の上に落ちていたとし、先生はドラッグ
には詳しく無いが、こんなの飲んだら顔面蒼白になり親が莫大な
保釈金を払うことになりそうな薬に見えるという。誰か何か知って
いる人は教えてというが、授業終了のベルが鳴り生徒は無言で
教室から出て行ってしまう。アンドレアに何か知っていないか
と問うと吸引パイプでも見つけたら教えてとし、一緒にやりたい
からと語る。私のイメージでそういうことを聞くのは辞めて
くれとし失礼だというアンドレア。
レニーがキャシーに逢いに教室に来る。
まだ生徒がいるのに教室に来るとは随分大胆だとすると、バハマに
行ったことで大胆になれたという。レニーはドラッグを見て
なんでこんな所にエクスタシーが有るのかと問う。一変に飲んだら
死ぬまで薄っぺらい夢とファンタジーな世界に住めるものだという。
Eを飲んだ事はないのか?とキャシーに尋ねる。どんな感じがするの
かと問うと、まず幸せ一杯になって自由になるという。レイブでも
よく飲んで居るとし徹夜で御道路のだという。現実を忘れられると。
キャシーはドラッグはやったことがないとし、マリファナはちょっと
だけやったという。本格的なのは恐かったと。
アダムはショーンの髪の毛をキッチンで切っていた。
キャシーは帰宅するとアダムに対して映画「ザナドゥ」を借りて
来たとするが、ショーンが髪の毛を切っている姿を見て何をして
いるのかと問う。金を使うことが如何に不自然なことなのか分かる
ように教えていたという。アダムはカットしたらネックレスを
くれるというからやったと。今夜社交界デビューらしいよという
と、アダムはプレントのパーティーだという。キャシーは月曜日なの
にパーティーなんて変だとし、レイブって変なことをするんでしょ
と問う。大人もいるのだとし、ブラントの従兄弟の誕生日なんだ
と語る。泊まるので今日は帰らないという。代わりに母から言われて
いた夏の間に作れるようになれと言っていたもしもの時の料理と
デザートを使って置いたという。チョコレートムースだとすると
それを試食したキャシーは仕方なくそれを認める。
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キャシーは誕生日のパーティーの際にポールからサプライズの
パーティーをしてくれたことで、彼のことを少しは見直したものの、
互いにちょっとしたすれ違いから、彼女は誕生日に本当に
したいことをしようと考えて、浮気相手のレニーと共にバハマ
旅行に行ってしまう。
帰国したキャシーは医師に頼んでがん治療の治験プログラムを
探してもらうがなかなか条件が合わずに見つけることが出来なかっ
た。そんな中、ポールは昇進が決定し、浮かれているのもつかの間
大変なことを目にしてしまう。
人生に限りが有る人にはどれだけモラルから外れた行為をしても
許されるのか。そしてそんな相手を許せるものなのか。
人である限り誰もが寿命が有ることなので厳密な意味では、キャシー
に限ったことではないけど、余命宣告のキャシーや79歳になる
マーリーンに於いては、いつ不測の事態が起きるとも限らない。
目先の楽しみだけを考えず、将来を考えて行動しろとも言えない
状況の中、マーリーンが単純に男性との関係に於いて、互いに
親密になるまでの過程を省いて、性的関係にのみ楽しみを見出し
たり、キャシーに至ってはこれまでモラルによって縛られていた
ドラッグの件で、未知なる領域へと足を踏み入れていく。
キャシーの立場で見ることが出来るか、ポールの立場で見ること
が出来るかで感じ方がまるで違うドラマなんだけど、このドラマ
に於いて前提となるべきことが欠落していることも有るので、
二人の立場を公平に見比べてみることが出来ない部分も有る。
キャシーがポールに対して病気の事実を伝えて、初めてポールが
悪いのかキャシーの我が儘なのかということを感じる流れになる
と思うのだけど、その辺が実に曖昧だ。
今回ポールはアダムに対してキャシーが運転の仕方を教える
流れとか、Dr.トッドがキャシーの病気を知って夫のポールと
離婚した(字幕では別居)と語っていたけど、こういう流れで
ポールが悪者にされてしまうというのもちょっと違うような
感じがするんだよね。まぁトッドがポールに対して怒りを感じて
発言をしている時のキャシーの微妙な表情が全てを物語っている
のではあるけど。
ただキャシーが病院でトッドに語る様に、
「もう少し普通の生活をしたい。言ったら病気一緒になっちゃうで
しょ。幸せに生活していたいの。もう少しだけ・・ポールに言っても
ラクにはなれない」としている事情もわからないでもないので
ドラマは複雑な思いにさせてくれるよね。
今回の息子・アダムは年上のパーティーに憧れて参加することに
なった。しかしアダムはキャシーが思っている程、ふしだらでも
なく寧ろ理性や常識を持ち合わせていた。残念なのはアンドレアを
傷つけてしまったことだけどね。
トッド先生からの電話が鳴る際、「ガン」で登録してあるとして
いるけど、字幕では「C(キャンサー)」で登録してあると翻訳され
ている。治験に落ちたことを知り、キャシーが現実逃避の為に
レニーに連絡してドラッグ(エクスタシー)を服用することに
なる。ダンス曲を流すのは辞めてとしてABBAの曲が引き合いに出さ
れていた。
また二人の会話の中で薬の効用とか人の死に関して「恐いこと」
をキャシーは口にする。人は死んだら何処に行くのか。
質量保存の法則ではないけど、人は死んでもこの世にそのエネルギー
が残ると考える人は多く、レニーはこの世のあらゆるものの一部
になる事を語る。子供の傍に居られること。ただ傍に居られれば
良いとするキャシーの中で、ちょっとした一つの答えにたどり着いた
様で、それが薬の効果なのかどうかは分からない。
レニーと楽しむのは良いとしても、まさか自宅の庭で関係を持って
いるのを目にした、ポールとしてもショックだっただろうね。
ガンの患者だからと言っても何をしても良いという訳では無いと
いうことを考えればポールに同情する視線も生まれ始めているのも
確かだ。上司夫婦とのディナーなんかでも一人で参加するポール
の姿を見ると悲しいところが有るしね。
そして何よりも自分のことを優先するがあまり、アダムの対応が
疎かになり、事故に至ってしまった。この件で始めてキャシーと
しても、病状を隠して行動を起こす事への深刻さやリスクという
ものを感じたのだろうけど、上述した様に、もう少し病人扱いされ
ない自分で居たいのだろう。
ただこのドラマで思うのは、どちらがキャシーにとってキツイこと
なのだろうか。
1) 病気だとする同情の目で見られること。
2) 不貞を働くふしだらな女性だという視線で見られること。
最後にトッドからポールに病気の事実が伝ってしまうかと思った
けど、なかなか上手いこと伝わらないものだね。
■使用された曲
・So nice by Forest Sun
・Alone by Tripping Lily
キャシー・ジェミソン (Laura Linney) 43歳、妻、高校の教師
ポール・ジェミソン (Oliver Platt) キャシーの夫
アダム・ジェミソン (Gabriel Basso) 高校生
ショーン・トルキー (John Benjamin Hickey) キャシーの兄
アンドレア・ジャクソン (Gabourey Sidibe) 生徒、デブ
マーリーン (Phyllis Somerville) キャシーの隣人、夫が他界
レニー (Idris Elba) キャシーの浮気相手
Dr.トッド・マウザー (Reid Scott) 腫瘍科医師
アール (Madison Arnold) 82歳、現役、マーリーンに紹介
ブレント (Nathan Eswine) アダムの友達
トレバー (Russell Dennis Lewis) ブレントの従兄弟
サイモン (Jonathan Walker) ポールの上司
ダニエル (Kelly Deadmon) サイモンの妻
ニック (Daniel Cameron Talbott) 昇進、ポールの同僚、ゲイ
アンディ (Eric Sheffer Stevens) ポールのパートナー